現在、オレクサンデル・ウシクは多くのメディアでPFP1位の評価を受けています。

インターネットの時代が成熟した2010年以降、ESPNやリング誌電子版などがPFPを相次いで発表するようになり、コアなマニアはPFPランキングを気にかけるようになりました。

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この15年でESPNとリング誌でPFPにランクされたヘビー級はウラジミール・クリチコと、ウラジミールに勝利したアンソニー・ジョシュア、タイソン・フューリー、ウシクの4人だけ。

これが1位となるとウシクただ1人だけに絞られます。

PFPの概念は階級制が導入される19世紀末には存在していました。

PFPが一般的になったのは、1950年代に近代ボクシングの技術体系を完成させたシュガー・レイ・ロビンソンへの賛歌として紹介されたこと。

ロビンソンは、PFP(pound for pound=1ポンドあたり=体重同一時)なら知名度と人気で圧倒的だったヘビー級王者ロッキー・マルシアノよりも屁理屈上は強いという妄想です。

当時は、PFPとはロビンソンその人を指し、定期的なランキングなど存在しませんでした。

地球上に世界王者が8人しかいないオリジナル8の時代ですから、PFPトップ10なんて妄想は膨らませようがない時代だったのです。

PFPがランキングとして取り上げられるのは、1980年代。

やはりメディアからの仕掛けでシュガー・レイ・レナードを中心としたFour Kings たちがいかに素晴らしいかを喧伝するツールとして使われました。

ここでも、モハメド・アリからマイク・タイソンとヘビー級への問答無用の注目度を逸らすのに、PFPは格好の詭弁となります。

さらに、リング誌は1980年から年間表彰にPFPキングを加えました。

リング誌がPFPではなくBest Fighter Pollと表現したのは、多くの人がPFPがロビンソンを指す言葉であることを勘案したからでした。

歴史的にもPFPはヘビー級に偏重するファンの意識、人気を減量階級に向けるための小道具ですから、ヘビー級に厳しいのは当然です。

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それでも、ウシクは無視できませんでした。
減量階級に光を当てるために、PFP(体重同一時)という妄想に逃げ場を求めたのは理にかなっているように見えましたが、現実のヘビー級の舞台でウシクがやってのけたのは〝PFP破壊〟でした。

例えば、108ポンドでキャリアをスタートした井上尚弥は4階級制覇(スキップしたフライ級を含めると5階級)していますが、それは自分の肉体も上の階級に合わせて膨らませる作業でした。

前日計量では対戦相手とたったの1ポンドも違わないような試合を必死の減量で積み重ねてきました。

ウシクと比べると、マニー・パッキャオの8階級制覇ですら、茶番にすぎません。

ウシクは前日計量で50ポンド以上も重い相手と当たり前に戦って、勝ち抜けているのです。

ウシクの不敵な微笑みには、フロイド・メイウェザーやパッキャオがカネロ・アルバレスにキャッチウェイトを無理やり飲ませた狭量とは全く違う、無差別級の矜持がにじみでています。



歴史上「最も尊敬されて最もカネが稼げるヘビー級が相対的にレベルが低い」なんて時代は一度もありません。

もし、そうであるならライトヘビー級やクルーザー級の強豪王者が簡単に攻略して、ヘビー級は下の階級の王者にとって楽園になっているはずです。

現実は、ヘビー級のレベルが絶対的に低い時代でも、減量階級からの挑戦はとんでもなく高いハードルであり続けています。

ヘビー級は「PFP(体重同一時)」なんて甘えとは常に無縁のクラスなのです。



そして…ウシクだけが特別ではありません。

そう思うのは、最近ボクシングファンになった人だけでしょう。

ヘビー級は無差別級。それを忘れてはいけません。

本物の世界ヘビー級チャンピオンは、いつの時代でも矮小な減量階級では何階級も飛び越えた体重差を跳ね返してきたのです。


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それにしても、サウジアラビア版リング誌…。⬆︎

私が高校時代に惹きつけられたリング誌のカッコ良さとは、別次元。恥ずかしくなるほどのカッコ悪さです。

まあ、漫画に厳しい審美眼を持つ日本人でなければ、あれがクールに見えるのかもしれませんが。


ここまで2024年12月号から2025年2月号までの3冊とも表紙はウシクがらみのコミック風、かわいそうになるほど陳腐です。

あのカッコ悪いTHE RINGのロゴも、なんであれを世に出すかな?

センス劣悪の娯楽庁長官が「こんなんどう?」と提案して、馬鹿どもが「素晴らしい!!!」となったんでしょうか?

あるいは、さらにその上の皇太子が「これ、俺が考えたんだけど」と出されたクソロゴに誰もが狂喜乱舞したのでしょうか?

サウジの趣味なのでしょうが、誰も「それカッコ悪いよ」と言えない空気がすでに醸成されているとすると、リング誌は死んでます。

まあ、リング誌なんて20年以上前にすでに死んでたからどうでもいいっちゃあ、どうでもいいのですが。