ウエルター級バージョンのフロイド・メイウェザーやマニー・パッキャオがらほんの一握りの変態を例外に、ヘビー級を除く16の階級では「より弱い相手を求めて自分も弱体化する苛烈な減量」に身を投じています。

計量前の井上尚弥は頬がこけ、顎が尖り、肌はカサカサ、そして水分を断ち、皮下脂肪までほとんど落とした体は筋肉の形があらわになっています。

そこから一晩、一気のリカバリーとリバウンドで表情には生気が戻り、計量時よりも筋肉のラインは緩やかになっています。

井岡一翔やノニト・ドネアのように、計量時でも筋肉の輪郭が比較的緩い選手もいますが、これはタイプによるもので、軽量級選手が過酷な減量と向き合っていることに変わりはありません。

この「より弱い相手を求めるプラス」と「自分も弱体化するマイナス」のギリギリの収支を追求するのが減量階級です。

一方で、体重制限のないヘビー級のファイターのウエイトコントロールは単純明快、最強の自分を作り上げることです。

パワー重視で体重を増やすこともあれば、スピードを意識して体重を絞ることもあります。

体重を絞る、といってもファイティング原田から井上尚弥に通じるようなストーブを燃やした部屋で毛布にくるまり、出ない汗を絞り出すような〝自殺行為〟はしません。

Usyk-Fury 2 - CompuBox Punch Stats

PUNCHESUSYKFURY
Total landed179144
Total thrown423509
Percent42.3%28.3%
Jabs landed7344
Jabs thrown211252
Percent34.6%17.5%
Power landed106100
Power thrown212257
Percent50%38.9%

さて、オレクサンデル・ウシクとタイソン・フューリーの再戦は返り討ちに終わりました。

判定には様々な見方があるでしょうが、許容範囲だったと思います。

フューリーは過去最重量で臨んだことに、何か計算があったのでしょうか?

もちろん、こんなもの結果論です。フューリーが判定勝ちなら「パワーでウシクを押し切った」です。

ただ、フューリーはもっと絞って動ける肉体を作るべきだったように思えてなりません。

そんなこと百も承知でも、体を絞る規律が保てなかったとしたら、ウシクのような老練な勝負師を倒すことは不可能です。