「私がノックアウトされると予想しているみたいだが、それが間違っていることを証明する」。

プロキャリア16年9ヶ月、47戦で一度もストップされたことのないペドロ・ゲバラが判定の声を聞くことなくKO負けを喫するーーーそれは誰もが確信していました。

井上尚弥が同じように仕留めたTJドヘニーやスティーブン・フルトンもKO負けの経験がありませんでしたが、彼らが倒されるのは分かりきっていたように。

要するに、彼らはCompuBoxなどのデータを見るまでもなく、ディフェンスに致命的な欠陥を抱える、いつKOされてもおかしくない、4団体17階級時代だから刹那の間ストラップにありつけただけの凡才でした。

しかし、それにしても。

フィラデルフィアのウェルズ・ファーゴセンターでバム・ロドリゲスは結果こそ大方の予想通りでしたが、オペレーションに費やした時間とやり方は想定以上でした。

パンチの多彩さと角度は、現在のボクシング界で頭抜けています。


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身長/リーチは両者とも同じ163㎝/170㎝と全く同じ。年齢は24歳と35歳と11歳も離れていましたが、それは2人を分け隔てる最も大きな要素ではありませんでした。

ボクシングの技術、センス、スピード、パワー…このスポーツに必要な要素の全てにおいてバムが上回っていました。

リング上でクリス・マニックスに「次の試合は誰?」と聞かれたバムは「統一戦をやりたい。もしそれが出来ないならローマン・ゴンサレスかな。チョコラティトとの試合は統一戦ではないけど、それが物足りないとは誰も思わないでしょ?」。


“You saw tonight who I am.”

今夜、私が何者であるかがお分かりになったでしょう。