MEN WITHOUT WOMEN は、マチスモ(強靭な肉体と精神を持つ男が最も尊敬される世界)の世界です。その哲学を凝縮させたスタイルが、メキシカン・スタイルです。

打たれたら打ち返す。打撃戦は望むところ。

もし打ち合いに応じないのなら…たとえ彼らのスーパーアイドル、カネロ・アルバレスでも容赦のないブーイングが浴びせららてしまいます。

カネロとゲンナジー・ゴロフキンとの初戦は全くおかしな判定でしたが、メキシコのファンが怒り狂ったのは、そこではありません。

打撃戦を挑んできたGGGから引いて戦ったからです。そのくせ不可解極まるドロー判定に対して「勝ってたのは私」と不満を示したのですから、メキシコのファンからすると「打撃戦から逃げた時点でお前の負けなんじゃ!ボケ!」となるわけです。

フリオ・セサール・チャベスが神の如く尊敬されているのは、誰が相手でも常にメキシカン・スタイルを貫き通したからです。

また、マルコ・アントニオ・バレラとエリック・モラレスが、軽量級にもかかわらず絶大な人気を誇った理由も〝そこ〟です。

パッキャオと分の良い勝負を演じたファン・マヌエル・マルケスが、バレラとモラレスに人気の面で遅れをとったのも〝そこ〟が足りなかったから。

彼らが見たいのはボクシングではなく、ファイト、問答無用の殴り合いなのです。

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ファイターがズラリと並ぶメキシコの7人のサムライ(古いデータですまぬ)。

メキシカン・スタイルを突きつけられる宿命を背負った彼らの系譜で、ディフェンスも巧みにブレンドしているカネロはスペシャルなメキシカン・スタイルを完成させたと言えるでしょう。

さて、メキシコの歴代最強PFPです。

上記の7人は当確でしょうかね。

扱いに困るのがオスカー・デラホーヤのような米国代表でバルセロナ五輪に出場しながらも、メキシコをアピールし続けたファイターです。

幸い、現時点でオールタイムPFPの俎上に上がるのはデラホーヤくらい。

アマ、プロ、プロモーターと三つの舞台で頂点に立ったゴールデンボーイは10位に。


⑩オスカー・デラホーヤ

⑨カネロ・アルバレス

⑧カルロス・サラテ

⑦ルーベン・オリバレス

⑥ビセンテ・サルディバル

⑤マルコ・アントニオ・バレラ

④エリック・モラレス

③ファン・マヌエル・マルケス

②サルバドル・サンチェス

①フリオ・セサール・チャベス


リカルド・ロペスを入れたかったのですが、メキシカン・スタイルの話の流れでは圏外か。

しかし、このランキング、10年後にもやると〝米国生まれ・米国育ちのメキシカン〟だらけになりそうです。