フリオ・セサール・マルチネスがドーピングの疑いで、キャリアの中断を余儀なくされてしまいそうです。

3月30日にラスベガスT -モバイル・アリーナで開催されたPBCとアマゾンプライム・ビデオの提携イベント第一弾の前座で行われたWBCフライ級王者マルチネスのアンヘリノ・コルドバを迎えた6度目の防衛戦。

ネバダ州アスレティック・コミッション(NSAC)のドーピング検査で採取したマルチネスのサンプルが、複数の禁止薬物に陽性反応を示したというもの。

反応を示したのはS5利尿薬などで筋肉増強剤ではありませんでしたが「減量のために利尿薬を使った」というのは通用しません。

マルチネスの検体が反応したS5利尿薬やその他の化学物質は、いずれもドーピングの世界で「マスキング剤」と呼ばれる物質。

つまり、筋肉増強剤を使用したドーパーが禁止物質の尿中、血液中濃度を下げるために利用する隠蔽(マスキング)物質です。

そんなマスキング物質がゾロゾロ出てきたのです。

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マルチネスはタイトル返上、ジュニアバンタム級への転級を発表していますが、NSACによる追加検査や審問を受ける必要があり、その全てが終了するまでNSACも所属する全米ボクシング協会が管轄する試合に出場することができません。

つまり、米国での試合が出来ないということ。

一方で、米国以外ならライセンスが交付される可能性があるということで、メキシコシチーでタイトルマッチを行っても、それを禁止することは現時点ではできません。

世界的な統括団体が存在しない、ということはそういうことです。


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マルチネスは以前もドーピング検査で筋肉増強剤クレンブテロールが陽性反応を示した前科者。

当時WBCジュニアフェザー級王者だったレイ・バルガスも同じ物質で陽性でしたが「クレンブテロールが含まれた飼料で育った牛肉を食べたから」という二人の抗弁を認めてWBCはタイトル剥奪などのお咎めなし。


今回もメキシコでWBCの地域タイトル戦などを行いながら、米国でのライセンス交付停止期間(半年くらい?)を待つことになりそうです。

他の競技なら過去に遡って全てのタイトルを剥奪、永久追放もあり得ますが…もう、笑う気もありません。 THIS IS BOXING です。

そして、他の競技ならもっと上手くドーピングします。

医療機関や製薬会社に勤めてる私の友だちレベルでも「体に残った化学物質をマスキングしたり完全に排泄するのは3日もあれば出来る」と、ドネアが栄養アドバイザーとして信頼しているビクター・コンテと全く同じことを言っていました。

それもしない、この大胆不敵さ。メキシカンだけではありません。