

後漢書の王覇伝に出てくる古事成語です。
この言葉を座右の銘にしている人の、なんと多いことか。
先日、仕事でお会いした大企業の社長さんもそうでした。大企業の社長もピンキリですが、その方は私から見れば聖人君子…なんて言うと「お前から見たら全人類が聖人君子」と言われそうですが。
その会社が総会屋とべったりだった昭和の時代に上司や役員の反対を押し切って非常に早い段階で総会屋やと手を切ったのでした。
疾風に勁草を知る。
好天のときは逞しく美しい樹木と、ひっそりと自己主張しない雑草。
猛烈な風が吹き荒ぶとき、頑丈に見えた樹木があっさりとへし折られても、しっかりと根を張って風に飛ばされない雑草もある。
そんな意味の言葉です。
博識な社長さんとその故事の逸話について話し、私は「高橋尚子も座右の銘にしてるんですよね、確か」と言うと「ああ、それは知りませんでした。花の咲かない寒い日は、下へ下へと根を伸ばせって言ってたのは聞いたことあるかもです」と答えられました。
この方とは何度か深酒してるのですが、スポーツの話は一切出なかったので、高橋尚子の「下へ下へ…」をご存知だったのは少し意外でした。
すると、その方は「シドニー直後の高橋尚子なんて、今の大谷翔平に準ずる国民的ヒーローでしたからね」。
確かにそうでした。あのときの高橋尚子は私の知る限り、史上最高の女子アスリートでした。
その社長の武勇伝はここでは割愛しますが、私の大好きな馬淵史郎も「疾風に勁草を知る」を座右の銘にしているということを、その社長さんとお酒を飲んだ翌日の新聞記事で知りました。
そのことを伝えるために電話すると「あなたも読まれましたか、朝日新聞でしたな」とすぐに切り返され、「あちゃー、そりゃこの人は日経、読売、朝日くらいは全部目を通してるよな」と恥ずかしい気持ちに。
すると「馬淵史郎も知ってますよ、彼はあのときはとんでもない悪役にされましたから。それにしてもスポーツが好きなんですか?競馬とか大好きそうですよね」と、受け取り方によってはなかなか失礼なことを言われ、「先日飲んだばかりで立て続けでなんですが、仕事とか歴史とか文学とか映画とか音楽とか、そんな学校の教科書に載ってるような話から離れる、というルールでサシで飲みません?」と誘われたのが今夜。
私が「高橋尚子や馬淵史郎も教科書に出てる気がしますねぇ。逆に、社長さんと話した歴史や文学や映画や音楽の話の方が相当に教科書離れしてる気がします」と、他の誰にも聞かれては困る偉人たちを貶める会話に触れると、「確かにね、でも今度はスポーツ新聞的な話しで盛り上がりましょうよ」となった次第です。
短い時間でしたが、楽しかった。彼とは価値観や生き方は違っていても、人間の相性が良いんでしょう。
こういう話をまるっとまとめて、酒場の会話ではなく、一人称の普遍的な一般論で書ければ面白いのですが、なかなか消化しきれそうにありません。
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