PRIME VIDEO PRESENTS LIVE BOXING7

2月24日 両国国技館

コミッション:日本ボクシングコミッション
プロモーター:本田明彦(帝拳プロモーションズ)

WBCバンタム級タイトルマッチ

©️アレハンドロ・サンチアゴvs中谷潤人

7ヶ月前にアンドリュー・モロニーを痛烈に鎮めて、ジュニアバンタム級のタイトル(空位のWBOストラップ)を獲得したばかりの中谷が、3階級制覇を賭けて28歳のメキシカンに挑みます。

フライ級のジーメル・マグラモ戦、ジュニアバンタムのモロニー戦はいずれも空位のタイトルを争った決定戦だったので、今回が始めての王者挑戦。

マグラモ戦から数えて5試合で2階級制覇、24日のサンチアゴ戦でも勝利すると7試合で3階級制覇したことになります。

世界には1試合で2階級制覇したシュガー・レイ・レナードのような傑物?もいますが、足早の複数階級制覇であることは間違いありません。

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身長172㎝の中谷は本人が語るまでもなく「バンタムは通過点」。認定団体の忖度を受けながら、得体の知れない相手との決定戦なら、ジュニアライト級までの6階級でアルファベットタイトルを拾い上げても、大きな驚きはありません。

中谷がこれまで拳を交えた26人のファイターを見渡すと、サンチアゴも含めた7人で無敗のボクサーは一人もいません。また、Transnational Boxing Ranking BoadやESPNのようなまともな世界ランキングでトップ5に入る選手もいません。

数字的な表層では「王座獲得は決定戦だけ=王者に勝った経験ゼロ」「強豪相手の試合経験ゼロ」は、全くもってその通りです。

だというのに、この26歳の日本人は飛び抜けて高い世界評価を集めているのです。

やってることは亀田興毅と何も変わらない気もしますが、結局は対戦相手の質です。

亀田興が得体の知れない相手や、完全ロートルを相手にアルファベットのストラップをいたずらにコレクションしたのとは違い、中谷の相手は揃いも揃って〝得体が知れている〟のです。

亀田とは違うのだよ、亀田とは!





直近3試合でも井岡一翔が手こずったフランシスコ・ロドリゲス、ファン・フランシスコ・エストラーダとクロスゲームを演じたアルヒ・コルテス、世界トップ戦線で活躍する元王者モロニーに対して完勝を収めているのです。

三段論法は通用しないのがスポーツですから、これをもって「中谷は井岡やエストラーダよりも強い」とは言えません。しかし「中谷は少なくとも井岡やエストラーダの領域に達している」と考えるのは間違いではありません。

まだ発展途上の26歳で、あの領域に達しているのが確実視されているのですから、そりゃ世界評価も高くなるわけです。

サンチアゴは直近3試合をデビッド・カルモナ、アントニオ・ニエベス、ノニト・ドネアと井上尚弥が喰い散らかした相手に勝利。

特に、ドネアとのWBC王者決定戦は、ドネアが8/13(1.62倍)、サンチアゴ13/10(2.3倍)と不利予想を跳ね返しての番狂せで戴冠しました。

それでも「サンチアゴが中谷相手に初防衛に成功したらUpset Of The Yearの有力候補」(ESPN)と言われるほど、両者の実力差は大きいと見られています。

オッズを見ても中谷の2/7(1.29倍)に対して、サンチアゴは1/5(6倍)とミスマッチ一歩手前の数字です。

キャリア最重量の118ポンドデビューで、タフネスが取り柄のメキシカンが相手というのは危険な香りも漂ってきそうですが、サウスポーのゲイリー・アントニオ・ラッセルとグダグダの試合を展開してしまったサンチアゴには、中谷はあまりにも荷が重いように感じられてしまいます。

〝Peque(小さい)〟サンチアゴはドネア戦では中途半端な距離を取らずに上手く懐に潜り混んでいましたが、中谷は一面的なボクシングしか出来ないドネアとは違い、臨機応変でアッパーカットも得意。中谷のアッパーがキーパンチになるかもしれません。