昨夜録画しておいたNHKスペシャル「OSO18 ”怪物ヒグマ”最期の謎」を見ました。




人間が保護して増えたエゾジカの死体で肉の味を覚え、人間が森を切り拓いた牧場で飼育された牛を襲うようになったOSO18ーーーそこまでの仮説は知っていました。

しかし、あれほど用心深かったOSO18がどうして無防備で草原に横たわり、人間が近づいても逃げることなく、熊を撃ったことがない町役場の職員に簡単に仕留められたのかは謎でした。

逃げなかったのではなく、逃げることが出来なかった、それほど衰弱していたというのは最も納得できる推測で、実際に毛が薄く、胃袋の中も空っぽ、狩りも出来ずに、かなり高齢だったと言われていました。

しかし、1ヶ月前まで牛を襲っていたヒグマが急に老い衰えるものでしょうか?

そして、今回の番組の中で解体所の廃棄場所から見つかった骨などの分析からOSO18の年齢は9歳だと特定されます。

ヒグマの平均寿命が20年であることを考えると、若い、今が全盛期の個体だったのです。

本来、草や木の実を食べ、動物の肉は食べないはずのヒグマ。

自然の生態から逸脱して、肉食に偏ったOSO18の体に何らかの異変が起きていたとする推測も納得です。

その名前の由来にもなった、足の幅18㎝が、射殺されヒグマのそれが20㎝もあったということに、ベテランハンターが「何度も足跡を測って18㎝かそれより少し小さかった。20㎝なんてありえない」と憮然として語っていました。

真夜中に赤外線カメラで捉えられたOSO18は、逞しく用心深い巨体のヒグマにしか見えません。

それなのに、わずかな期間で衰弱し、歩くこともままならず草原の端で横たわっていた…そして足は膨らんでいた。

番組では触れられていませんでしたが、ヒグマの生態を逸脱して肉食に走ってしまったOSO18は、酷い痛風のような症状に見舞われていたのかもしれません。

OSO18を生み出しておきながら最後は殺し、最も自然に逆らってきた自分勝手な動物がどこにいるのか、私たちの誰もが自覚しています。

いつか自然が、人間に最後の審判を下す日が来るのでしょうか。

「OSO18 ”怪物ヒグマ”最期の謎」。悲しい物語でした。