プロボクシングほど胡散臭いスポーツは、滅多にお目にかかれません。

もしかしたら、あなたはドヤ顔で「もっと胡散臭いのを見つけた!」と叫ぶかもしれませんが、それはきっとアマチュアボクシングです…。

11年前の10月にTransnational Boxing Rankings Board(TBRB)が創設されました。

The Transnational(国境を超えた) Boxing Rankings Board(ボクシングランキング制定委員会)。なんだか「国境を越えた医師団」みたいですが、OUR MISSION(私たちの使命)では以下のように標榜しています。
 
The Transnational Boxing Rankings Board was formed in October 2012 as a volunteer initiative to provide boxing with authoritative top-ten rankings, identify the singular world champion of every division by strict reasoning and common sense, and to insist on the sport’s reform.

Board membership includes fifty respected boxing journalists and record keepers from around the world who are uncompromised by so-called sanctioning bodies and promoters. 


 国境なきボクシングランキング制定委員会は、2012年10月、誰もが納得するトップ10ランキングを作成し、厳密な理由と常識によって、全ての階級で唯一の世界チャンピオンを決定、スポーツの改革を主張するボランティア活動として結成されました。

ボードメンバーには、いわゆる承認団体やプロモーターに影響を受けない、世界中から集まった50人の尊敬すべきボクシングジャーナリストやレコードキーパーによって組織されています。

ここでいう「厳密な理由と常識によって、全ての階級で唯一の世界チャンピオン」とは、王者を倒したものだけが王者、そのチャンピオンシップ制度の原理主義を固守するLineal Championのことです。

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現在、TBRBのバンタム級とジュニアフェザー級のランキングです。

この2階級の現在のランキングを見ると、Lineal Championの保守性がよくわかります。

井上尚弥は今年1月16日に「全てのタイトルを返上する」と声明を出したので、バンタム級の王座は空位です。

一方で、ギレルモ・リゴンドーは2022年7月まで王者と認定されていました。キューバのジャッカルは2017年6月を最後にジュニアフェザー級のタイトルマッチは行わず、アルファベット団体はタイトルを剥奪し新王者を擁立しました。

ただ、リゴンドーはジュニアフェザー級では負けていません。また、本人がタイトルを返上するとも語っていません。世界でたった1人だけのLineal Championは、ずっとリゴンドーのままなのです。

昨年7月にリゴンドーはLineal Championの座を放棄することを認めて、ようやく空位になった次第です。

もし、井上尚弥がスティーブン・フルトンに勝利してWBCとWBOのストラップを奪っても、WBA&IBF王者ムロジョン・アフマダリエフが控えているため、Lineal Championになはれません。

もっと複雑なのは、リゴンドーが返上しなければフルトンとアフマダリエフを倒して4団体統一してもLineal Championにはなれない、という理屈です。

そんなタイトルに意味があるのか?アルファベット団体の方が、まだ存在価値があるんじゃないか?という疑問は大きなブーメランです。