ゾーンプレス。

今では死語です。

というか、そもそも存在しない言葉が〝死語〟になるなんて、おかしな話ですが。

ゾーンプレス…。それは、ジャイアント馬場が「そんな言葉はない」と切ったプロレス最強を謳った「ストロングスタイル」のようなものです。

しかし、多くの人は存在しないものに惹かれるものです。

Jリーグが開幕した年、横浜在住だった私は家族ぐるみで横浜フリューゲルスの熱狂的なサポーターとなりました。

それを知った大学時代に知り合ったサッカー部の先輩から、久しぶりに飲もうと誘われ、学生時代に私が「サッカーの時代など永遠に来ない!」と酔うがままに言い放っていたことをネチネチと弾劾されるのでした。

そして、フリューゲルスの加茂周が唱えたゾーンプレスを話題にあげると、今でもアホちゃうか?というレベルで欧州サッカーに精通している先輩は、こう切り捨てるのです。

「そんな言葉は無い」。

しかし「ゾーンディフェンス」「プレスディフェンス」と防御偏重の色合いが濃厚な正しい言葉を伝えるよりも、ディフェンスという単語を削って「ゾーンプレス」とすることで、攻撃的で前向きな印象に変わります。

Jリーグ元年。オリジナル10クラブの中で「お荷物」と呼ばれていたフリューゲルスは、加茂周の唱える「ゾーンプレス」と、森敦彦やエドゥーとモネールらリーグを代表する個性派プレーヤーが躍動しました。

わずか6年の活動期間で、天皇杯で2度優勝。

マリノスとの合併、フリューゲルスの消滅が発表されてからはリーグ戦と天皇杯を9戦全勝で駆け抜けました。

面白いクラブでした…。


ドーハW杯開幕まで、あと27日。