「甲子園の選手が野球をそこまで頑張っていて、甲子園優勝しました、プロになりました、それは引退なのかなと言われたら、そんなことないじゃないですか(笑)。僕はそれと同じだと思っていて」。

日本語を喋って下さい、そう思いました。

甲子園球児がプロになるのは「よりレベルの高い競技の世界へ挑戦する」ということです。

翻ってフィギュアスケートにおけるブロ転向は「レベルの高い競技の世界から身を引いて、昔の名前でショーの世界で生きる」ということです。

もっと具体的に言うと「競技の世界で通用しなくなったから、名前で稼げるショーの世界に落ちる」ということです。

競技者としてと、アイスショーの演者としてと、その注目度が全く違うのは、そういう側面もあるでしょう。

もちろん、テニスやボクシングのexhibitionを見れば一目瞭然、途轍もない実績を残したグレートだけが〝そこ〟に行くことが許されるのです。

〝そこ〟は競技を退いたグレートの園であり、落合博満のような遅咲きの怪物や、育成選手からの超下克上などあり得ません。

ただ…。この会見に臨むにあたって羽生は、自分の気持ちをしっかり整理して言葉を選んだはずです。

従来のアイスショーとは違うものを作りたい、というのは、スポーツファンとして期待してしまいます。

「より強くなりたいと思って決断しました」という言葉からは、本人が避けた「競技」の匂いが立ち昇っているように感じたのは気のせいでしょうか?

「アマチュアからプロに降りたというつもりはありません」。

そうです。従来のプロ転向は競技者から演者に「降りる」ことでした。

「4回転半ジャンプも突き詰めたい。(アイスショーでも見せる)つもりです」。

それがどこまで本気なのか「甲子園球児がプロに行くのと同じ」という言葉は、単なる心理的な事象を指しているだけなのか、それとも額面通りに捉えていいのか。

もし、額面通りなら…、

甲子園球児が憧れ挑むプロの世界は、アイスショーの世界にはありません。

「競技を退いたグレートの園」ではなく、「グレートが挑む戦場の続き」を現出させようとしているなら…。

羽生結弦は稀代の大馬鹿者、令和の歌舞伎者です。