長谷川陣営が「オーラがある」と戦慄したフェルナンド・モンティエルを「2ラウンドKO」の予告通りになぎ倒したのがノニト・ドネアでした。

ドネアとモンティエルは何度もスパーリングをしており、ドネアには「どう転んでも負けるわけがない」という自信満々。

一方のモンティエルは本人だけでなく陣営も緊張感で表情が強張ったまま試合開始ゴングを迎えてしまいます。



【まさかそこが終着駅だったとは…】


ノニト・ドネアは2001年2月にバンタム級4回戦でプロデビュー。

2007年7月、IBFフライ級王者ビック・ダルチニアン戦で大番狂わせを起こすまでの18試合でフライ級で戦ったのはわずか3試合。フィリピンの閃光は自分の適正階級に迷いながらキャリアを積み重ねていきます。 

フライ級王者としてはモルティー・ムザラネとの〝原石〟対決、ジュニアバンタム級では先に上がっていたダルチニアンとの再戦がメディアとファンから熱望されますが実現ならず。

バンタム級はモンティエルを破壊、当時無敗のフライ〜ジュニアバンタム2階級制覇王者オマール・ナルバエスに「勝とうとしない相手ほど楽な相手はいないが、もうナルバエスとは関わりたくない」という圧勝で初黒星を付けて「ライト級まで7階級制覇してPFPファイターになる」という公約を果たすべくジュニアフェザー級へ。

2012年にはジュニアフェザー級で4戦全勝、この年の業績が認められて全米ボクシング記者協会(BWAA)からFighter of the yearが贈られます。

しかし、ウィルフレド・バスケスを圧倒できず、ジェフリー・マブセラにトドメを刺せず、、西岡利晃に終盤まで粘られるドネアの姿に「衰えた」と断言する専門家も少なくありませんでした。

そして2013年、ギレルモ・リゴンドーに完敗。

そして、2014年にはニコラス・ウォータースに破壊されてしまいます。

世界戦ではジュニアフェザー級で6勝2敗、フェザー級で1勝2敗。

4階級制覇したドネアにとっての階級の壁。それがジュニアフェザー級であったことは、バンタム級に逃げるように出戻ったことからも明らかでした。


プロ22年で42勝29KO7敗。

誰に勝ったのか?では、殿堂クラスのファイターには、ついに勝つことができませんでした。

しかし、PFPファイターのビック・ダルチニアンを大番狂わせに撃沈し、ホルヘ・アルセ、ライアン・バーネットというビッグネームをねじ伏せ、無敗の2階級制覇王者オマール・ナルバエスにも初黒星を擦りつけました。

キャリア2戦目で喫した敗北を除くと、負けたのはリゴンドー、ウォータース、ヘスス・マグダレノ、カール・フランプトン、そして井上尚弥に2敗。

リゴンドー は歴史に残るテクニシャン。フランプトンはBWAAとリング誌のFighter of the yearをW受賞経験者。井上はPFPキング。ウォータースとマグダレノも穴王者ではありませんでした。

21世紀が幕開けた年にデビューしたドネアは、この世紀のジュニアフェザー級以下の超軽量級シーンのフロントランナーであり続けましたのです。

そして、その殻を破壊する、あと一歩まで迫ったこと、バンタムに出戻ったもののそこで再び輝いたことをボクシングマニアはずっと記憶しているでしょう。