「那須川天心vs武尊」という格闘技ファンが何年も熱望していたカード。そんな特別な背景があるとはいえ、発表されたPPVの販売件数「50万件以上」は驚異的な数字です。

日本にPPVが根づくのはまだまだ時間がかかると考えていた私なんかは、認識をあらためなければなりません。

一般チケット販売価格の5500円を当て込めると27億7500万円。実際の数字はもう少しシュリンクするでしょうが、大きな誤差はないでしょう。

放映時間の問題を無視して、メインとセミの数試合で2時間枠と考えると、テレビ放映権料は1億円も集まりません。

毎回、東京ドームをフルハウスにして、高額のPPVが好調に売れるわけはありませんが、米国市場でも50万件を単体で確実に売れるのはカネロ・アルバレスだけです。

カネロはコンスタントに100万件以上売り、単価も高いため同列には語れませんが、天心vs武尊の商品価値はテレンス・クロフォードvsエロール・スペンスJr.と比べても大きく見劣りしないレベルです。

もちろん、天心vs武尊は究極のハレの舞台であること、Abemaの親会社サイバーエージェントの藤井琢倫執行委員の発表数字が事実だとしたなら、ですが。

50万件以上が事実なら、本当に画期的なことで、後日、米国のように詳細な数字が固まれば発表すべきです。というか、歴史に残る巨大な成功を収めたのですから、発表すべきです。

そして、この成功の果実はメインを戦った2人とアンダーカードの選手たちに還元しなければなりません。

ファイトマネーを公表する最初のステップになれば、素晴らしいのですが…。ボクシングでもそこは黒いベールに隠してしまいますから、難しいでしょう。