私たちにとって「幻の右」といえば、ガッツ石松です。ガッツポーズも石松語源です(諸説あり)。

しかし、世界的にはモハメド・アリがソニー・リストンとの再戦で放った“The Phantom Punch”のことです(諸説なし)。
 
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アリ信者のウラジミール・クリチコの「現代でも十分に通用する。全く特別」という言葉を笑えません。身体能力はもちろん、初戦では〝魔法のガウン〟を何枚も重ね着していたはずのリストンが、怖がっているのがよくわかります。リストンや、タイソンはアリやホリフィールドの何がそんなに怖かったのでしょうか?

おそらく、彼らは自分を全く恐れないで立ち向かってくる相手が、とにかく無性に怖かったのです。



1965年5月24日。今から57年前のちょうど昨日のことでした。

「アリが殺される」と言われた初戦が、世紀の大番狂わせ。 再戦でもアリはアンダードッグでした。

32年後の1997年6月28日 。マイク・タイソンとの再戦に臨んだイベンダー・ホリフィールドも、初戦に続いてアンダードッグでした。

後世の人々は結果論を振りかざし「精神薄弱のリストンやタイソンが、鋼鉄の意思を持つアリやホリフィールドに勝てるわけないだろ」と、当時の専門家やブックメーカーをフシ穴だと笑ますが…。

いま、結果論を振りかざしている人々は57年前にはリストンを、25年前にはタイソンを盲信的に支持していた輩でしょう。

リストンやタイソンはよくよく考えると人間的な弱さを凝縮したようなボクサーでした。

そして、アリと石松は、狂気のファイターでした。