ビクター・コンテとマーガレット・グッドマンは対極的な人生を送ってきました。

コンテはBALCOの創設者兼社長であり、史上最悪のドーピングスキャンダルの主犯。

彼は2005年に、違法なステロイドの配布とマネーロンダリングの罪を認める司法取引に応じて、刑を大幅に軽減されましたが、それでも4か月の実刑判決を科せられました。

「私が捕まったのは全て内部告発。ドーピングが見破られたことは一度もない」。

そう豪語していたコンテは出所すると「改心した」とクリーンなスポーツ、教育、改革に生涯を捧げると語ります。
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現在、カリフォルニア州サンカルロスにSNAC(Scientific Nutrition for Advanced Conditioning)を起業、最先端の施設で、コンディショニングと栄養士としてアスリートをサポート。

〝ドーピング・グル〟コンテはその知識を提供し、かつて自らが汚染させたスポーツ界の健全化に努力しているのです。
 
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そして、グッドマンはラスベガスで開業している神経内科医。

ネバダ州アスレチック・コミッションの主任リングドクターと医療諮問委員会の議長として、ボクサーの健康とドーピング問題に正面から取り組んできました。

アジアの軽量級選手が直面している過酷な減量にも警鐘を鳴らし、2005年にはマニー・パッキャオらをサンプルに「フェザー級のパキャオはフライ級に乾燥させるような無茶な減量を強いられていた。弱い相手を探すのではなく、より強い自分を探す体重管理をすべき」と主張。

グッドマンはVoluntary Anti-Doping Association(VADA)を創設、ボクシング界では最も誠実なドーピング機関として活動しています。
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釈放されたコンテに群がった迷えるアスリートの一人が、ノニト・ドネアでした。

「私が捕まったのは全て内部告発。ドーピングが見破られたことは一度もない」というコンテにすがる彼らの思い、心の奥底に何が潜んでいるのかを想像すると、清々しい思いにはなれません。

コンテは、あれほど多くの有名選手とドーピング犯罪を繰り広げた張本人です。

WADAですら手玉に取ったコンテにとって、ザル検査のVADAをすり抜けるのは朝飯前でしょう。

それにしても、ドネアには「李下に冠を整さず」という美学がある日本人の感覚とは懸け離れた心理、思考回路があるようです。

セカンドチャンスは与えられるべきで、コンテは司法取引もしていますから引き続きドーピングの知識を活かした職業に就くのも自由です。

ただ、日本ならコンテはスポーツ界から永久追放です。 もちろん、そんな硬直した社会意識が世界から遅れをとる一因になっているのですが…。