井上尚弥と亀田和毅。
その「スタイル」と「対戦相手の質」です。
まずは、井上と和毅の「スタイル」。
「無敗のまま3階級制覇したモンスターはパワーだけでなく、スピードとテクニックも持ち合わせた軽量級の王様」(リング誌)というように、万能型のプレッシャーファイターです。
「普通はカウンターを恐れて100%では打てないのに、井上はそれが打てる」(長谷川穂積)のが最大の特徴でしょう。
井上がジェイソン・マロニーとの防衛戦を控えていたとき、両者と対戦経験のある河野公平は「キャリアで一番パンチがあったのは(井上ではなく)マロニー」と語っていました。
しかし、現実の試合ではマロニーが井上のカウンターを恐れて自慢の強打を全く打てないまま、7ラウンドで仕留められてしまいます。
あの火力を見せられてしまうと、現在のバンタム級シーンで応戦出来るパワーを持っているのはノニト・ドネアだけ。他のボクサーは後退して戦うことを余儀なくされてしまいます。
リング誌100周年記念企画「この100年の最強パンチャー100人」で33位に選出された井上。見開きページでは31位マーベラス・マービン・ハグラー、32位エドウィン・ロサリオ、34位ジョン〝ザ・ビースト〟ムガビと共に紹介されています。
一方で、そのドネア戦で井上はいくつかの綻びを露呈しています。アマチュア時代から言われ続けていることですが①クロスレンジが不得意であること。そして、②ディフェンスに難点があること、③ピンチでの対処が中途半端。
①クロスレンジでの戦い方については、ドネア以外は誰もそこを突けていません。1階級下のローマン・ゴンザレス、ファン・フランシスコ・エストラーダ、井岡一翔のようなPFPファイターがバンタムにいたら面白いテストになるのですが。
②ディフェンスについては、これはクセの問題もあり、超攻撃型のファイターでディフェンスも完璧なんてありえません。ただ、ドネアのような鋼鉄のアゴを持っているわけではないので、本物の強豪との対戦では危険なシーンを招いてしまうでしょう。
③についても「普段から練習している」とはいえ、ドネア戦第9ラウンドでダウン寸前になったときのクリンチ。ドネアの詰めの甘さに救われましたが、追撃のパンチをもらってもおかしくない危なっかしいクリンチでした。
ただ、井上が欠点を見せたのはドネア戦だけ。そして、その欠点も、超攻撃型ファイターという特性とトレードオフの関係です。
一方で、亀田和毅はクロスレンジを苦手としないボクサーファイター。井上よりも1階級上とはいえ、そのパンチ力の無さは絶望的です。
線香花火で大砲に向かっていくようなものですが、大砲に怯えて後退してしまうと勝ち目はありません。
井上のキャリアで和毅のハンドスピードと回転力は最強でしょうから、線香花火で撹乱しながら激しく出入りを繰り返して、大砲の照準を合わせさせないことです。
和毅がこれまでの世界戦で負けるパターン、ペチペチの打撃戦に傾注して出入りが少なくなると、12ラウンドの試合終了のゴングは聞けません。手だけでなく足も頭もとにかく忙しく動かし続けること、リングの中央で戦う時間を長くすること、ロープやコーナーに釘付けにされずに大きくリングを使うことです。
井上のキャリアで、和毅は最も速く、パンチの回転力が高いボクサーですが、和毅にとっての井上はあらゆる面でキャリア最強の相手になります。
共通の対戦相手ジェイミー・マクドネルは、井上戦では重病人状態でしたから指標としては意味がありません。
それでも、ライアン・バーネット、リー・ハスキンス、ポール・バトラーらバンタム級の英国の同胞らよりも母国での人気・評価が低く、タイトルを獲ってからも誰もが認める階級最弱王者だったのがマクドネル(日本で「10年無敗の最強王者」になっていたのはご愛嬌)。
バーネットが対戦を回避し、バトラーが完敗したエマヌエル・ロドリゲスを2ラウンドで破壊した井上が、万全のマクドネル相手でも和毅のような不細工なシーソーゲームを繰り広げたとは考えられません。
そして、マクドネルやレイ・バルガスとの見苦しい〝線香花火〟戦をフルラウンドにわたって展開した和毅のままでは、井上の大砲を序盤はしのげても中盤には被弾してしまうでしょう。
井上戦に挑むにあたって、和毅はスピードと手数だけでなく出入りの速さと頻繁さが求められます。
出入りの速さと頻繁さ。これが出来ずに、これまでのような正面からペチペチ線香花火戦を繰り返すようだと悲惨な結末しか想像できません。
15歳でプロデビュー、41試合299ラウンドを消化した30歳の和毅は、世界基準ではもう一生パンチャーにはなれません。いくら練習でパワーアップを実感しても、試合になると骨の髄まで染みついた後ろ重心と手打ちは治りません。
これまでのKO宣言は冗談ではなく半分(以上)本気で口にしていたでしょうが、もう気づくべきです。世界基準(と呼べる相手はバルガスだけですが)では余程の幸運が重ならないとKOできるパワーはありません。
線香花火でどうやって大砲を攻略するか、それを考え抜くしかないのです。
両者が対峙するとき、井上のやり方は変わらないでしょう。線香花火相手に大砲が奇を衒うを衒う必要はありません。
相手の出方がわかりやすい、対応策をいくつも用意できるのは和毅の方です。
その「スタイル」と「対戦相手の質」です。
まずは、井上と和毅の「スタイル」。
「無敗のまま3階級制覇したモンスターはパワーだけでなく、スピードとテクニックも持ち合わせた軽量級の王様」(リング誌)というように、万能型のプレッシャーファイターです。
「普通はカウンターを恐れて100%では打てないのに、井上はそれが打てる」(長谷川穂積)のが最大の特徴でしょう。
井上がジェイソン・マロニーとの防衛戦を控えていたとき、両者と対戦経験のある河野公平は「キャリアで一番パンチがあったのは(井上ではなく)マロニー」と語っていました。
しかし、現実の試合ではマロニーが井上のカウンターを恐れて自慢の強打を全く打てないまま、7ラウンドで仕留められてしまいます。
あの火力を見せられてしまうと、現在のバンタム級シーンで応戦出来るパワーを持っているのはノニト・ドネアだけ。他のボクサーは後退して戦うことを余儀なくされてしまいます。
リング誌100周年記念企画「この100年の最強パンチャー100人」で33位に選出された井上。見開きページでは31位マーベラス・マービン・ハグラー、32位エドウィン・ロサリオ、34位ジョン〝ザ・ビースト〟ムガビと共に紹介されています。
一方で、そのドネア戦で井上はいくつかの綻びを露呈しています。アマチュア時代から言われ続けていることですが①クロスレンジが不得意であること。そして、②ディフェンスに難点があること、③ピンチでの対処が中途半端。
①クロスレンジでの戦い方については、ドネア以外は誰もそこを突けていません。1階級下のローマン・ゴンザレス、ファン・フランシスコ・エストラーダ、井岡一翔のようなPFPファイターがバンタムにいたら面白いテストになるのですが。
②ディフェンスについては、これはクセの問題もあり、超攻撃型のファイターでディフェンスも完璧なんてありえません。ただ、ドネアのような鋼鉄のアゴを持っているわけではないので、本物の強豪との対戦では危険なシーンを招いてしまうでしょう。
③についても「普段から練習している」とはいえ、ドネア戦第9ラウンドでダウン寸前になったときのクリンチ。ドネアの詰めの甘さに救われましたが、追撃のパンチをもらってもおかしくない危なっかしいクリンチでした。
ただ、井上が欠点を見せたのはドネア戦だけ。そして、その欠点も、超攻撃型ファイターという特性とトレードオフの関係です。
一方で、亀田和毅はクロスレンジを苦手としないボクサーファイター。井上よりも1階級上とはいえ、そのパンチ力の無さは絶望的です。
線香花火で大砲に向かっていくようなものですが、大砲に怯えて後退してしまうと勝ち目はありません。
井上のキャリアで和毅のハンドスピードと回転力は最強でしょうから、線香花火で撹乱しながら激しく出入りを繰り返して、大砲の照準を合わせさせないことです。
和毅がこれまでの世界戦で負けるパターン、ペチペチの打撃戦に傾注して出入りが少なくなると、12ラウンドの試合終了のゴングは聞けません。手だけでなく足も頭もとにかく忙しく動かし続けること、リングの中央で戦う時間を長くすること、ロープやコーナーに釘付けにされずに大きくリングを使うことです。
井上のキャリアで、和毅は最も速く、パンチの回転力が高いボクサーですが、和毅にとっての井上はあらゆる面でキャリア最強の相手になります。
共通の対戦相手ジェイミー・マクドネルは、井上戦では重病人状態でしたから指標としては意味がありません。
それでも、ライアン・バーネット、リー・ハスキンス、ポール・バトラーらバンタム級の英国の同胞らよりも母国での人気・評価が低く、タイトルを獲ってからも誰もが認める階級最弱王者だったのがマクドネル(日本で「10年無敗の最強王者」になっていたのはご愛嬌)。
バーネットが対戦を回避し、バトラーが完敗したエマヌエル・ロドリゲスを2ラウンドで破壊した井上が、万全のマクドネル相手でも和毅のような不細工なシーソーゲームを繰り広げたとは考えられません。
そして、マクドネルやレイ・バルガスとの見苦しい〝線香花火〟戦をフルラウンドにわたって展開した和毅のままでは、井上の大砲を序盤はしのげても中盤には被弾してしまうでしょう。
井上戦に挑むにあたって、和毅はスピードと手数だけでなく出入りの速さと頻繁さが求められます。
出入りの速さと頻繁さ。これが出来ずに、これまでのような正面からペチペチ線香花火戦を繰り返すようだと悲惨な結末しか想像できません。
15歳でプロデビュー、41試合299ラウンドを消化した30歳の和毅は、世界基準ではもう一生パンチャーにはなれません。いくら練習でパワーアップを実感しても、試合になると骨の髄まで染みついた後ろ重心と手打ちは治りません。
これまでのKO宣言は冗談ではなく半分(以上)本気で口にしていたでしょうが、もう気づくべきです。世界基準(と呼べる相手はバルガスだけですが)では余程の幸運が重ならないとKOできるパワーはありません。
線香花火でどうやって大砲を攻略するか、それを考え抜くしかないのです。
両者が対峙するとき、井上のやり方は変わらないでしょう。線香花火相手に大砲が奇を衒うを衒う必要はありません。
相手の出方がわかりやすい、対応策をいくつも用意できるのは和毅の方です。
コメント
コメント一覧 (4)
アフマダリエフについては攻守ともテクニックがあり、パンチも多彩、亀3はおそらく勝つのは厳しいはでしょうね。
フシ穴の眼
がしました
フシ穴の眼
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