アマチュアとプロの違いはどこにあるのでしょうか?

アマチュアは3ラウンド制、同じ呼称の階級でもプロとは重さが違う。採点基準が違う…数えきれない違いがあります。

リングの中で言うと、アマチュアは勝ち進めば勝ち進むほど、強い相手と戦えるトーナメントです。

世界選手権やオリンピックでは、世界の強豪と拳を合わせて勝ち進まなければなりません。

そして、世界選手権やオリンピックの開催地はカネとコネを持つ富裕国ですが、極端な偏りはありません。

一方で、プロは安易なマッチメイクで世界王者になることが出来ます。世界王者は世界最強とは限らないというわけのわからない世界がプロです。

長谷川穂積や内山高志、山中慎介らは、勝ち続けるに比例してどんどん強い相手が現れるという、スポーツなら当たり前の風景を見ることが出来ませんでした。

タイトルマッチの舞台も、富裕国のボクサーのホームに大きく偏ります。そして、そこでは当然、地元判定と思われるジャッジが下されることもあります。

これらの違いに加えて、選手側には「練習環境」という大きな問題が横たわっています。

実力があれば、国際大会でトップレベルの真剣勝負が体験出来るアマチュアに対して、アルファベットの世界王者としてどんなに勝ち抜いても本物のトップと拳を交えることが出来ない悲劇がプロでは起こり得ます。

そして、それは日本のライト級以上の選手にとって、より深刻にのしかかってきます。

例えば日本のミドル級の選手は、練習相手にも困ります。

村田諒太は日本人の五輪金メダリストであるが故にさまざまな恩恵に浴しましたが、それはベターであってもベストではありませんでした。

もし米国人やメキシコ人に生まれて金メダルなら、中量級のボクサーを育成するノウハウに長けた大手プロモーターが村田に最高の環境を整えたでしょう。

もちろん、練習相手に困ることもありません。

プロ向きでないと言われたジョージ・フォアマンが〝フォアマン方式〟で自信をつけるマッチメイクを消化して怪物化、アンドレ・ウォードも対戦相手の質が低いと批判されながらも着実にプロのスタイルを習得、スーパー6を大番狂わせで優勝しました。

フォアマンやウォードは、プロでも最初から別格だったわけではありません。

村田のマッチメイクが、金メダリストに自信とプロの流儀を学ばせるプログラムとして合格点だったと言う人は少数派かもしれません。

しかし「日本を拠点にして」という条件付きなら、100点満点です。帝拳は出来ることは全てやり尽くしてくれました。

まだ、進退は表明していませんが、ここまでのキャリアは素晴らしいの一言に尽きます。

清水聡や井上尚弥らもそうですが、アマチュア時代から応援していたボクサーがプロでも活躍してくれるのは、嬉しいものです。

そして、そして、村田は対戦相手にも本当に恵まれました。

当初ターゲットにしていたビリー・ジョー・サンダースとの交渉は難航、ESPNの年間最高KO賞に輝いたばかりのアッサン・エンダムに決まったときは少し嫌な予感がしたものです。

しかし、あの疑惑の判定負けも、今となっては村田とエンダムの人間的な魅力を演出してくれました。

そして、ゲンナジー・ゴロフキン、です。

それにしても。

実力だけでなく、運まで持ってる人っているもんですね。