「北尾光司はジョージ・フォアマン。マイク・タイソンにも勝てる」。

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世界を驚かすには、フライ級やバンタム級の軽量級では話にならない。

その「世界」とやらが米国や欧州なら、その通りでしょう。

しかし、地球に住んでいるのは奴らだけではありません。私たちのアジアや、アフリカ、南米…もし「人の命が平等」だというのなら、欧米など地球の少数派です。

しかし、悲しい哉。

「人の命は平等」ではありません。地球は欧米を回転軸に回る歪な惑星です。

だったら、地球の回転をアジアから、日本から逆に回してやろうじゃないか!そんな燃えたぎる野望を持つのは政治や経済はもちろん、スポーツでも同じです。

スポーツでいうと「MLBで本塁打王」「サッカーでバロンドール」かもしれませんが、それ以上のロマンを「ボクシングで世界ヘビー級チャンピオン」に感じるのは、私がボクシングファンだからというだけではないでしょう。


1988年に廃業した元横綱双羽黒のもとには、プロレスを筆頭に格闘技のオファーが殺到しまし。

重量級への夢を募らせていた相模原ヨネクラボクシングジムの佐藤太治会長も、そんな野望を燃やす1人でした。

相模原ヨネクラは身長の高い若者を優遇して募集するなど、野望に向かって懸命な取り組みを進めていました。

「私は信じています。北尾さんはきっとヘビー級ボクサーになることを決断し、あのタイソンを倒してくれますよ」。

相撲界からプロレスに転向して成功した例は力道山や天龍源一郎ら、その例は少なくありません。

しかし、ボクシングになると世界王者はもちろん、日本王者ですら2人しかいないのが現実です。

幕下力士だった前溝隆男は1962年に、三段目の赤坂義昭も1967年に共に日本ミドル級王者になっています。

しかし、日本人としては大きな力士もボクシングのトレーニングを重ねると肉体は絞られて、ミドル級まで圧縮されてしまうのでした。

それでも、北尾は身長199㎝の巨体。

「タイソンの左フックは北尾さんには届かない。マイナス面は体重とスタミナだけ。走り込んで体を絞っても北尾さんならスーパーヘビー。スタミナさえつければヘビー級で十分通用する。北尾さんは和製ジョージ・フォアマン」(佐藤会長)。



結局、北尾は一度もボクシンググローブをはめることなく、人生を迷走してゆきます。

もし、北尾が心を入れ替えて、全身全霊をボクシングに傾倒していたなら…?

あまりにも虚しい、ビッグイフです。