*****リング誌からセルヒオ・マルティネスのカムバック続報です。

「日本で村田諒太に挑戦したい」。2020年に6年以上のブランクからリング復帰したマルチネスは3連勝(2KO)で、WBAミドル級4位までランキングを上げてきました。

この週末には復帰4戦目を戦います。

ここに掲載するリング誌ではマルチネスの年齢は48歳ですが、BoxRecなどでは1975年2月21日(46歳)。ボクサーの年齢、よくあることで、瑣末なことです。



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どうして彼らは戻ってくるのか?

引退したファイターがリングに戻って来るとき、必ず裏がある。

成し遂げることが出来なかった目標への未練、もう一度チャンピオンベルトを腰に巻きたいという栄光への渇望。

そして、生活に行き詰まって止む無くグローブを再びはめることになるのは、カムバックの定番だ。
 
では、セルヒオ・マルティネスの場合はどうなのか?

「そんなものはもう忘れてしまった」。1月27日のマコーレー・マクガバン戦に向けた長いキャンプを終えた48歳のマルティネスは、マドリードから電話インタビューに応じてくれた。

「正直言って、私には未練はない。私は、時代に取り残された恐竜のようなベテランファイターと、まだ大仕事を成し遂げることができるボクサーの間で揺れる存在だった。マドリードとラスベガスで戦うのは同じじゃない。でも、後ろは振り返らない。2013年にアルゼンチンでやったことは、歴史的な試合だ。ラスベガスでやったことも栄光そのものだ。そして、自分にはこれまでと同じように、自分が注げる限りの情熱を注いで働き続けることができるとわかったんだ」。

アルゼンチンでのマルティネスの "歴史的 "な試合は、ブエノスアイレスのクルブ・アトレチコ・ペレス・サルスフィールドに4万人の大観衆を集めてマーティン・マレーを激闘の末に判定で破った大勝負。驚異の男は、2ラウンドにマレーの肘を強打して左拳を骨折しながらも勝ち抜いたのだ。

2012年にはシンシティ、ラスベガスのトーマス&マックセンターでフリオ・セザール・チャベスJr.に劇的な勝利を収めている。

栄光の日々が流れ去ってから、長い歳月が積み重ねられた。

2014年にニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデンでミゲール・コットに惨敗し、足を引きずりながらリングを降りた。古傷の膝は日常生活を送るにも支障をきたすほど悪化していた。

しかし、不治に思えた痛みが消えたとき、復帰への誘惑は抗うことが出来ないほど大きく膨れ上がっていた。

「新しいトレーナーのアウグスティン・ロドリゲス、ストレングス&コンディショニングコーチのデビッド・ナバーロ、医師のアントニオ・エルナンデスとハイメ・ベルメホのことを指して、「私たちはコンパクトでポジティブなチームを結成した」。

「以前と同じ過ちを犯さないよう、真摯に慎重に練習している。この挑戦は簡単ではないが、だから成功の喜びも大きくなる。古傷はすっかり良くなった。世界タイトルを獲るための準備は計画通りに進んでいる」。

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マラヴィタ(驚異の男)のカムバックはマイク・タイソンらの台本仕込みの茶番劇とは違います。だから…最後は悲劇で終わるケースが殆どです。

「カムバックしたときの目標は村田諒太と対戦することだった。でも、本当は他の選手でも良かった。クリス・ユーバンクJr.かもしれないし、もしかしたらゲンナディー・ゴロフキンかもしれない。ゴロフキンのような選手と対戦できるなら、そんな高いリスクを負うことは、大きなモチベーションとなる。この年齢でそのチャンスを得られるということが、よりモチベーションを高めてくれる。リスクのある試合では命の危険もあるかもしれないが、だからこそ、よりハードなトレーニングをするモチベーションになります」。

最も多くの報酬が期待出来る村田と、勝利によって最も大きな栄光が約束されるゴロフキンの二人は、COVID19の規制が解除されると日本で対戦することが決定している。

マルチネスは現在、WBAランキングで4位。村田とゴロフキンの勝者へ挑戦する機会を伺っている。

もちろん、1月27日、マドリードのウィジング・センターでマクガバンに勝たなければならない。

マルチネスは現役選手であり、リチャード・シェーファーのプロベラムと提携するMaravillaBoxでスペイン人ファイターの試合を組むプロモーターでもある。
 
「選手が勝利を重ねてレベルアップすると、対戦相手に保障するファイトマネーも大きくなる。スペインはスポンサーやメディアのサポートが薄く、名前のある選手を呼ぶのは本当に難しい仕事になる」。

「今回も20人のファイターにオファーを出したが、折り合いがついたのはマクガバンだけだった。彼も栄光に飢えている、私に勝つためにマドリードまでやって来るんだ。簡単な相手じゃない」。