アマンダ・セラノは史上最多の7階級制覇(ジュニアバンタム〜ジュニアウェルター級)を達成した女子ボクサー。

ESPNでPFP2位に評価されるなど傑出した存在ですが、ファイトマネーは5万ドル前後と低迷。女子格闘技でより注目が集まるMMAにも参戦するなど、33歳のプエルトリカンは一生懸命の存在証明を続けています。

米国史上初の五輪2連覇を果たしたクラレッサ・シールズですら「ゲンナディ・ゴロフキン相手でもチャンスがある。キース・サーマンなら楽勝」と必死のアピール、やはりMMAにも挑戦しています。

女子ボクサーは売れない。そんな偏見が業界には沁みついています。

彼女たちは、自分で自分のチケットを売り、少ない報酬に甘んじてきました。

アマンダの姉、シンディもプロボクサーでしたが、妹が自分と同じ道に進もうとすることには猛反対しました。

それまで50ドルが最高だったシンディのファイトマネーはWBCジュニアライト級王座への挑戦者決定戦で、一気に跳ね上がります。それでも、それは2500ドルに過ぎませんでした。

アマンダは2009年にプロ転向。ボクシングに全身全霊を捧げて、女子では史上唯一の7階級制覇を達成します。

She committed herself to a sport without the potential of much fame or attention because it was what she loved -- something she was exceptional at. 

アマンダが、名声を得たり注目を浴びる可能性のない悲しいスポーツに人生を賭けた理由は、ボクシングが大好きで、自分の才能を最高に発揮できるからでした。

その才能をどんなに爆発させても、PFPランキングが上がるだけ、専門家から「史上最高の女子ボクサー」と絶賛されるだけで、一般的には全く無名のまま。

この先、何をどうしたって、女子ボクサーに華やかな未来はない。

そう諦めかけていたときに出会ったのが、ジェイク・ポールでした。
 
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アマンダは今年9月、ジェイク・ポールとナキサ・ビダリアンが共同で設立したMost Valuable Promotionsと選手契約を締結します。

ルウ・ディベラとも契約していたものの、それは非常にゆるやかで拘束力の弱いものでした。つまり、何も保証されないFA同然だったのです。Most Valuable Promotionsとの契約に、何の障害もありませんでした。

ポールはプロデュースにかけては天才です。

スマホも持たないアマンダにインスタグラムに投稿すべき内容を提案し、プロのカメラマンにインスタ映えする写真を数多く撮影させました。

Twitterでの表現方法を伝授し、彼女のイメージに沿ったプロフィールを掘り下げ、頻繁に更新することを薦めます。

効果はてきめんに現れました。

レストランで食事をしていると若い20代のグループから「大ファンです。グッドラック!」と声をかけられ、アマンダが食事を終わるのを〝出待ち〟してサインと写真をリクエストするファンもいました。

7階級制覇しても、そんなことはまずなかったというのに。
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"First and foremost, I hope it just puts [women's boxers] on a different pedestal of respect and gets them paid better,"

ジェイクは「女子ボクサーの地位は低すぎる。来年には7figure(7桁=100万ドル)のファイトマネーが得られる試合をアマンダに提供したい」と語り、PFP1位のケイティ・テイラーとのスーパーファイトの実現に積極的な姿勢を示しました。

「女子ボクシングとアマンダに欠けているのは物語だけだ。ケイティ・テイラー戦ではそれが完璧に補完される。世間が注目する物語を作り上げて、過小評価されている女子ボクシングに生命を吹き込みたい」。

ボクサーとしてのジェイクはフェイクかもしれません。しかし、その知名度と資産を使って女子ボクシングの地位向上を目指すというなら、それはフェイクではなく偉大な挑戦です。