ドネアがWBSSに参戦したとき、決勝進出のオッズは最低の50倍。

8年以上もまともな相手に勝てないまま、30代後半を迎えたドネアのバンタム出戻りとWBSS出場は、引退する時期を誤ったと見られていました。

しかし…。

優勝候補の一人、ライアン・バーネットは試合中に背中を損傷して棄権。

ゾラニ・テテとの準決勝も圧倒的不利と見られていましたが、テテが離脱。代打のステフォン・ヤングは一発で仕留めたものの、ヤングは世界基準に届かないボクサーです。

そして、決勝ではラッキーパンチ?で井上尚弥の眼窩底を破壊、敗れたものの、惨敗予想を覆し判定まで持ち込みました。

やはり圧倒的不利のフラグが立てられたノルディーヌ・ウバーリ戦でも破壊力を見せつけてKO勝ち。ここでも、ウバーリは井上拓真戦よりも体が薄く、調整に失敗していたとも言われました。

そして、先日のレイマート・ガバリョ戦です。
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WBSSは米国と英国の2大市場での関心は低かったものの、日本では大興行となりました。

もはや、ドネアが勝ち続けているのが幸運によるものではないことを理解できない人はいないでしょう。

ドネアに対して疑いの目を向けてしまっていた理由は大きく3つもあります。

①まず、その年齢。20代がピークとも考えられている軽量級で39歳というのは異常な年齢です。

経年劣化の影響を最も受けないパワー、鍛えることで下落を抑えられるスピードとは違い、衰える一方の反射は鍛えられないはずで、ドネアもその衰えは明らかというのに…。

②バーナード・ホプキンスは50歳でも世界の最前線で戦い、軽量級でもドニー・ニエテスがドネアと同い年と、例外はありますが、消耗の激しいファイタースタイルのまま39歳でも強打を振るうのは、やはり異常です。

常識的には、打たれ強さと引き換えの被弾覚悟のパワーボクシングは、経年劣化に最も脆いスタイルなのですが…。

③上の階級で通用しなかったから下に戻る。ボクシングにおいて、それが非常に危険な選択であることはシュガー・レイ・レナードやロイ・ジョーンズJr.が身をもって証明してくれています。

「軽量級のロイ」とまで言われたドネアも身体能力への依存度が高いボクサーで、バンタム出戻りは仇になると誰もが考えていました。

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このブログでも紹介しましたが、常にシェイプアップする生活に改善、減量によるダメージを最小限に抑えることに成功したのでしょうが、それにしても、です。


一旦、ドネアから離れて、加齢の影響をを受けにくいスポーツについて考えてみます。

ボクシングでは減量による消耗がないヘビー級が、最も加齢の影響を受けません。

ある程度の体づくりと、それに伴う爆発的なパワーが求められるヘビー級は、100メートル競争に似ているかもしれません。

では、同じ無差別級の大相撲はいかがでしようか?

人間の骨格と筋肉が支えることが出来る限界まで肉体を大きくさせた力士は、深刻な怪我と向き合わなければなりません。

では、マラソンのような長距離走は?男女差が最も少ない競技の一つとも考えられていますが、トップレベルでは故障が付き物です。

実際に高齢者が活躍する射撃やアーチェリー、乗馬などは、身体能力だけでなく精神的な成熟も求められ、加齢の影響が少ないようです。

一方「頭脳的=加齢の影響が少ない」というのは、スポーツではありませんが、将棋の藤井聡太を見ていると、何か違う気もします。

頭脳もハイレベルになればなる程、加齢で失われる反射が重要な要素になるのかもしれません。

高いだけの昼ごはん、ハンバーガーを頬張りながら思いつくまま書き連ねましたが、まだまだ続きます。