瀬古利彦は「俺のときにもそうせぇよ!」と憤ってるかもしれません。

米国が北京冬季五輪に対する「外交的ボイコット」を発表しました。

「外交的ボイコット」は開会式や閉会式に、その国の政治的代表を派遣しないという抗議の形です。

最大の抗議形は選手団も派遣しない「完全ボイコット」で、瀬古らのモスクワ1980で日米など西側諸国が、その報復としてロス1984で東側諸国が実行してしまいました。

「外交的ボイコット」は人権問題などで深刻な抑圧を行っている中国やロシアに対して、北京2008とソチ2014でも検討されていた外交オプションの一つです。

「完全ボイコット」は選手があまりにも不憫ですが、国を代表する政治家、岸田文雄首相が開会式に出席しなくても「全くどーでもいい」というのが、スポーツファンの本音でしょう。

とはいえ、日本の立場上は米国に追随しなければなりません。そして、中国は重要な貿易相手で、東京2020に〝完全体〟で参加してくれた恩義もまだ新鮮です。

「政治」から遠く「スポーツに至近」の室伏広治スポーツ庁長官を派遣することで、中国に対しては「日本の代表」として、米国に対しては「岸田首相ら政治のトップは行かせなかった」という、両大国に顔が立つアイデアもあちこちで語られています。

中国が台頭してから、米国との板挟み状態の日本の立場は非常に情けないものがあります。とはいえ、米国追従一辺倒だった時代から潮目が変わっています。

極論ですが、もう一回戦争して米国と中国に勝ったらこの立場は逆転するのですが、それはありえませんし、あってはいけません。

今の状況は、あの戦争で負けたからこうなっちゃったんです。

そんなこと、おおっぴらに言っちゃいけません。しかも、あの〝宣戦布告〟からちょうど80年目が迫るこんな時期に。

でも、そういうことなんですよね…。