WBOウェルター級12回戦 @ラスベガス マンダレイ・ベイ ミケロブ・ウルトラ・アリーナ

王者テレンス・クロフォードvsショーン・ポーター

プロモートの牢屋「トップランク」に幽閉されていたクロフォードが、ウェルター級の強豪とついに対決する注目の一戦です。

オッズはクロフォードが1/7(1.14倍)、ポーターが5倍。リング誌の専門家予想では20人全員が王者の勝利を支持。戦前の書類上の対決ではクロフォードの圧勝です。

ともに34歳の友人同士で、手の内も分かり合った二人の決戦。37戦全勝28KOのクロフォードが大きく有利と見られていますが、スーパーミドル級デビューからウエルター級に〝圧縮〟 してきたポーターのタフネスと鉄の顎は侮れません。

そして、クロフォードに付いてる顎はユリオルキス・ガンボアにグラつかされた不安が拭えていません。

UAEで6月5日で内定と報じられた「夢のマニー・パッキャオ戦」は、巨額の招致フィーを約束していた投資家グループが入金期日を守れずに頓挫。

クロフォードが閉じ込められた牢屋の鍵は開けられそうには見えませんでしたが、トップランクを村八分にしていたPBCがポーターを差し出す、意外な形で試合が実現。

トップランク&ESPNが興行を打つ形で全米で生中継するのはESPN+のPPV(69.99ドル)。

どんな取引があったのかわかりませんが、ボクシングファンとしては、このあとウェルター級のビッグファイトがトップランクと興行を分け合う形で展開されると期待したいのですが、どうなりますやら。
スクリーンショット 2021-11-20 12.58.25

ポーターはここまで31勝17KO3敗1分と素晴らしいキャリアを築いてきました。

無敗のクロフォードと比べるとやや見劣りするものの、3つの黒星はケル・ブルック、キース・サーマン、エロール・スペンス相手のいずれもクロスゲーム。

2013年にデボン・アレキサンダーを押し切ってIBFのストラップを獲得してから8年、ボクシング17階級で最もディープなウェルター級のトップ戦線を走り続けるショーン〝Showtime〟 ポーターは、まだ誰にも叩きのめされたことがないのです。

クロフォードのマネージャー兼トレーナー、ブライアン・マッキンタイアは「オッズや予想は好意的だが、詳しく読めば楽勝できるとはブックメーカーも専門家も考えていない。私も同じだ。ポーターはキャリア最強の敵で、簡単に勝てる相手ではない。だからこそ、この試合は大きな意味を持つ」と気を引き締めています。

マッキンタイアはさらに思いの丈を吐き出します。

「強い相手に勝っていない、だからこれまで高い評価と大きな人気を得られなかった。評価のためにスペンスやキース・サーマン、ショーン・ポーターと戦いたい、人気のためにパッキャオと試合がしたいとことあるごとにアピールしてきたが叶えられなかった」。

「 今回の試合でクロフォードの実力が本物であることが証明される。その評価は彼とトレーナーに与えられるべき。この試合で鮮やかな結果をもたらせば、私はTrainer of The Year(年間最高トレーナー賞)に相応しいはず」。

「そして、人気。プロボクサーにとって大切なことだ。しかし、パッキャオはもういない。カネロは大き過ぎる。ウェルター級で最強を証明したい」。 

評価でいうと「ポーター相手に勝ち方を追求する」というのは、ハードルがかなり引き上げられてしまいます。

しかし、サーマン、スペンスと接戦を演じたポーターと同じような内容なら、評価は下がるでしょう。「派手に勝ってたのは相手が弱かったから」と。

人気は…難しいですね。残酷な話ですが、クロフォードはライバルに恵まれない以前に、華がない…。