いよいよあと3日に迫ったカネロ・アルバレスの今年3試合目。

ジュニアウェルター級とジュニアミドル級に続く、今年3度目の完全統一戦。
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本当ならリング誌もこの試合を表紙に特集して欲しかったのですが…。懐古特集まっしぐらです。

勝者がFighter Of The Yearの有力候補になる…などなどボクシング界では注目度の高いメガファイトですが、同じ日にUFC268のイベントが重なっていることからボクシングvs総合格闘技という側面から顧客を奪い合う不毛な事態が懸念されています。
 

ラスベガスのMGMグランド・ガーデン・アリーナでは、PFPキングのカネロ・アルバレスが、スーパーミドル級の完全統一戦でケイレブ・プラントと対決。

西のラスベガスとは真反対の東のニューヨークでは、UFC 268がマディソン・スクエア・ガーデン(MSG)で開催されます。

どちらもPPV。格闘技ファンはどちらを見るのか、二者択一が迫られています。

いつか見た、デジャブです。

ちょうど2年前、カネロはやはりMGMグランドでセルゲイ・コバレフとライトヘビー級タイトルマッチを戦い、UFC244がMSGで開催されました。 


常識的に考えると「カネロvsプラント」が圧倒的に優勢です。

しかし、SHOWTIMEのイベントは、あまりにもしょぼすぎるアンダーカードを並べています。

最低保障でカネロが4000万ドル、プラントが1000万ドルというメガファイト。

ボクシングの試合は大きければ大きいほど、アンダーカードは人気階級でもせいぜいルーキーの試合や、軽量級の世界戦を並べるなど、みすぼらしくなります。

今回は、元ジュニアフェザー級王者レイ・バルガスが登場しますが、軽量級の世界戦すらありません。

これは仕方がないところです。

「ゲンナディ・ゴロフキンvs村田諒太」をセミに持ってきたら、ファンは大喜びでもビジネスとしてはPPV単価(今回は79.99ドル)を倍に設定しないと割が合いません。 

倍になると売上件数が減りますから、大物をアンダーカードにすることは商業的にありえないのです。

かつて、メイウェザーやパッキャオのメガイベントではアンダーカードに対して非難轟々でした。

「パッキャオやメイウェザーのイベントなら無条件で買うと思うなよ!」と怒るボクヲタたちでしたが、結局買っちゃうんです。


今回もUFC268は充実したラインナップです。事実上のMMAのトップリーグであるUFCは8階級制で、そのランキングもボクシングのアルファベット団体とは比較にならないほど納得できるものです。

40年近くもボクシングに洗脳された私にとって、ボクシングのメガファイトを捨ててUFCを見るという選択肢はありません。

しかし、目の肥えた格闘技ファンは、まずUFC268、それから可能であればカネロvsプラントに切り替えるはずです。


2年前。カネロとコバレフがうUFCのメインイベントが終わるのをロッカールームで待っていたのは、ボクシングファンの記憶に新しいでしょう。

「なんでこんなに間が空いてるんだ?」。

DAZNが両方のペイパービューを見るための時間稼ぎをしたためですが、あの長い待ち時間はボクシング史の汚点となりました。

オールドファンの多くが深いため息をつきました。

「ボクシングはここまで堕ちたのか」「そのうち相撲やキックボクシングにまで負けるんじゃないか」。 

しかし、あの〝カノッサの屈辱〟(より権威があるはずのボクシングがUFCに屈してしまう)は再現されないはずです。

カネロvsプラントの79.99ドルに対して、UFCのPPV単価は69.99ドル。

いいとこ突いてますが、SHOWTIMEのステファン・エスピノサは「 (UFCは)全くノープロブレム。米国でしか興味を持たれていない他のイベントに合わせて、カネロの世界中のファンを待たせるなんてことは馬鹿げている」と、DAZNへの皮肉も吐いています。


そもそも、プラントをプロモートするPBCとShowtimeが、UFCとの衝突を避けたいと考えていたなら「11月6日」を外せば済む話でした。

それをぶつけてきたのは、最初から〝その気〟だったのです。

UFCを吹っ飛ばす、回避するのはお前らの方だ、と。

もっと本音まで勘ぐれば「DAZNよ見ろ!これがカネロの売り方だ!」ってとこでしょう。


2017年以降コロナ下を除いて、UFCは11月の第1土曜日にMSGで大型のPPVイベントを開催してきました。

UFCが11月6日にイベントを開催することは、ボクシング業界でもよく知られていたことです。

UFCライブイベント担当責任者ピート・ドロピックは「MSGは約2年前に予約していた。それを知っていたPBCとSHOWTIMEがこの日を避けなかったのは、そういうこと(対決姿勢)だろう」と憮然として語っています。

SHOWTIMEは開催の後ろ倒しも考えていましたが、なぜPBCは11月13日や11月27日ではなく、11月6日に開催することにしたのでしょうか?

カネロが11月6日を熱望していたとはいえ、最低4000万ドルのファイトマネーを用意するのはプロモーターです。

しかし、この試合のチケットはほぼ即日完売。転売市場では最安席でも最低700(約7万7000円)ドル、リングサイド席は2万5000ドル(275万円)もの高値で取引されています。

それでも、UFCカードと競合していなければ、この興行はもっと大きなものになっていたはずです。

それにしても、カネロですらUFCとやっと互角。

もちろん、UFCは1団体8階級で年間興行数も凝縮された団体ですが、ESPNなど総合スポーツメディアの取り上げられ方、報道量を見ると米国で場ボクシングとUFCが2大格闘技です。

今回のイベントでゴロフキンやジョシュア、フューリーの試合がセミで組まれたら、UFCがMSGをキャンセルして興行を後ろ倒すでしょうが…。

米国ではUFCに押されっぱなし、というかすでに抜かれた感もあるボクシング。

太平洋の反対側、日本ではボクシングのカウンターパートのプロ格闘技はキックボクシングでした。
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もし実現したら「那須川天心vs武尊」の価値は、ボクシングのほぼ全ての世界戦を凌駕するでしょう。

井上尚弥の試合よりも、ずっと大きな興行になるかもしれません。

これ、やらない理由がどこにあるんでしょうか?

団体のメンツ?選手の契約問題?

いやいや、これはいつも日陰でバッタもん扱いされてきた「非ボクシングの格闘技」が、ボクシングに放てる最強のハイキックでしょう。

これ、打たない理由がありますか?

村田のゴロフキン戦はDAZNの持つ放映権を、電通+フジレビ+WOWOW連合がいくらで買うか?という話でした。

セミに「天心vs武尊」でもいいでしょう。バカ高いチケットも売れます、電通もスポンサー集められます、ボッタクリDAZNにとっても嬉しい話です。

こんなWin−Win、ないでしょう。JBCだって莫大な承認料が入るわけですから超法規の決断を下すときです。

兎にも角にも!

ファンをおいてけぼりにして面白い試合が組めない、そんな馬鹿げた理由なんて絶対にありえない!

こっちはとっくの昔に注文出してる。さっさと注文した料理、出してこんかいッ!!!