中谷潤人、スピードとパワー、テクニック、すべてのマトリクスが世界基準を超えた世界王者です。

立ち上がりこそやや固さが目立ったものの、ジュニアフライか上がりのアンヘル・アコスタにとって長身・万能型のサウスポーは荷が重すぎる相手でした。

2ラウンドから鼻血がひどくなり、2度のドクターチェックの末に4ラウンド32秒で主審が試合をストップ。

フライ級ではパワーですら世界基準が怪しい粗々のプエルトリカン相手では、中谷の凄みを見せつけるまでにはいきませんでした。

倒して試合を終わらせたいところでしたが、これは仕方がない。 
 Punch Stats   
 PUNCHESNAKATANIACOSTA 
 Total landed5740 
 Total thrown195147 
 Percent29%27% 
 Jabs landed81 
 Jabs thrown8337 
 Percent10%3% 
 Power landed4939 
 Power thrown112110 
 Percent44%36% 
 -- Courtesy of CompuBox   

会場のCasino Del Sol、屋外リング、い〜〜雰囲気。気温38度でも湿度が低く、気持ちのいいビールが飲めそうです。 




▶︎セミはガブリエル・フローレスvsルイス・ロペス。

フローレス、何度も指摘されてきた非力で防御に欠陥、それが全部さらけ出された試合でした。

趣味が悪いですが、トップランクの温室ホープが大きくつまずくのはざまあみろです。 




▶︎オスカル・バルデスvsロブソン・コンセイサン
IMG_6061














すっかり夜の帳が降りました。

第1ラウンドは両者に有効打はなかったものの、コンセイサンのこれぞリングジェネラルシップという戦いっぷりで10-9。

続く第2ラウンドも32歳のブラジル人が先に手を出す展開。10-9。バルデスはやりにくそう。 

第3ラウンドは王者が前進、ロープに詰めて右をクリーンヒットしますが、3分間通してみるとコンセイサンの手数をとって10-9。

第4ラウンド、バルデスは流れを変えようと前に出るもブラジル人のジャブに遮られます。10-9。 

第5ラウンド、コンセイサンの動きに余裕。ガードを下げる時間が長くなる。ジャブはもちろんどのパンチも引きが速い。打ち終わりを狙えない。ベルチェルトとは大違い。 10-9。

第6ラウンド、バルデスが強引に距離を潰して打撃戦に。初めて王者が手数で上回る。9-10。ここを取られてたらやばいラウンドを押さえます。

第7ラウンドもバルデスが手を出し続けて前進。両者クリーンヒットはないものの、挑戦者の表情から余裕が消えます。9-10。 

第8ラウンドは、コンセイサンが左ジャブでペースを取りも通そうとしますが、王者の前進は止まらない。両者とも有効打なし。10-10。

第9ラウンド、コンセイサンが減点1。ラウンドを支配したのはそのコンセイサン。10-10。

第10ラウンド、バルデスが疲れの見えたコンセイサンを攻め立てるも決定的な場面は作れない。コンセイサンのジャブはまだ生きてる。9-10で王者。

チャンピオンシップラウンド。コンセイサンの左ジャブが冴える。 10-9。王者は万事休す。倒さないと勝てない。

最終回、時間を使うブラジル人をメキシコ人が無策のまま追う。9-10で王者。 


オフィシャルはユナニマス、115-112*2、117−110でスティル…。まじか?


試合を中継したESPN+は114-113、ボクシングニューズ24は116−112でいすれもコンセイサン。

試合終了時の両者の顔の傷つき具合とスコアカードが絶対的にリンクするわけありませんが…。

第9ラウンドの減点も警告なしのいきなりでした。もちろん、悪質な場合は警告なしも当たり前ですが、流れの中で頭を押さえた行為が一発減点になるとは。

大きな試合にはAサイドとBサイドがあります。

この試合は「Aサイドとは何なのか」を、リングの外とリングの中の両方で教えてくれた素晴らしい教材でした。

バルデス、好きな選手だっただけに今回は試合前のドーピング、さらにこの判定(バルデスのせいではありませんが)、がっかりです。 
 Punch Stats   
 PUNCHESVALDEZCONCEICAO 
 Total landed83141 
 Total thrown390576 
 Percent21%25% 
 Jabs landed1938 
 Jabs thrown181279 
 Percent11%14% 
 Power landed64103 
 Power thrown209297 
 Percent31%35% 
 -- Courtesy of CompuBox  
 
スタッツは試合の実態を現しません。この試合もCompuBoxの数字ほど挑戦者が支配した展開ではありませんでした。

それでも、スタッツ上はフラジル人がジャブもパワーパンチも手数・精度ともに圧倒的に上回っています。

両者の顔面を見てもどちらのパンチが相手を痛めつけたかは明らか。

「スタッツでボロ負け」「試合後の顔面でも完敗」でも余裕の判定勝ち。そういう試合もあると思います。そして、バルデスはそんなタイプのファイターです。

しかし、今日の試合は断じてそうではありません。

バルデスはやりたいことが出来ずに空回り、コンセイサンは作戦通りに戦い抜きました。

KOするしかない、まではいかなくても決定的な場面をいくつか作らなければメキシコのスター選手には勝てません。

ポイント計算なんかして勝てる相手じゃありません。