米国には全国区のスポーツヒーローは存在しない。

「全国区」なんて概念がない国なので、当たり前と言えば当たり前です。

それでも、Forbesのアスリート長者番付や、2018年にESPNマガジンが創刊20周年を記念して企画した「The Dominant20」などのランク付けから、米国でパワーを持つアスリートが誰なのかは少しは覗き込んだ気分になれます。

The Dominant20は米国に特化して知名度、新聞雑誌への露出、SNSのフォロワー、報酬などの視点から、1999〜2018年の20年間、米国スポーツ界で最も支配的に活躍したアスリートの20傑です。

ちなみに電子版では2018年の1年間でも選考基準はより恣意的になっていますが同様の企画を実施、下記がその順位です。

これを見て「羽生結弦は米国で11番目に有名なアスリート」と巨大な勘違いする人は皆無とは思いますが…。

20. Mike Trout – Baseball
19. James Harden – Basketball
18. Patrick Mahomes – Football
17. Alex Ovechkin – Hockey
16. Justify – Horse Racing
15. Drew Brees – Football
14. Mookie Betts – Baseball
13. Lebron James – Basketball
12. Lewis Hamilton – F1
11. Yuzuru Hanyu – Figure Skating
10. Novak Djokovic – Tennis
9. Simona Halep – Tennis
8. Luke Modric – Soccer
7. Breanna Stewart – Basketball
6. Chloe Kim – Snowboarding
5. Katie Ledecky – Swimming
4. Ariya Jutanugarn – Golf
3. Daniel Cormier – MMA
2. Eliud Kipchoge – Marathon
1. Simone Biles – Gymnastics
先ほど終わったばかりの東京2020の男子マラソンで圧勝したエリウド・キプチョゲが2位(マラソン世界記録樹立)、シモーン・バイルスが1位と五輪選手がワンツーでした。

そして、これ、2021年でやるとESPY大坂が最優秀女子選手賞、大谷が最優秀野球選手賞をすでに受賞していますから大谷翔平と大坂なおみのワンツーも十分ありえます。



前置きが長くなりましたが、1999〜2018のThe Dominant20です。

詳しいThe Dominant20はここをクリック

1. Tiger Woods, golf (17.0)
2. LeBron James, NBA (15.6)
3. Peyton Manning, NFL (12.7)
4. Jimmie Johnson, NASCAR (12.0)
5. Roger Federer, tennis (10.6)
6. Annika Sorenstam, golf (10.3)
7. Michael Schumacher, Formula 1 (10.2)
8. Floyd Mayweather, boxing (10.1)
9. Marta, soccer (9.8)
10. Usain Bolt, track (9.5)
11. Lionel Messi, soccer (8.9)
12. Serena Williams, tennis (8.9)
13. Lauren Jackson, WNBA (8.3)
14. Cristiano Rinaldo, soccer (8.2)
15. Novak Djokovic, tennis (8.0)
16. Alyson Felix, track (7.3)
17. Barry Bonds, MLB (7.1)
18. Mike Trout, MLB (7.1)
19. Manny Pacquiao, boxing (6.5)
20. Tom Brady, NFL (6.3)→The Dominant20には「ブレイディが20位なわけがない。デタラメ順位だ」という批判もありました。
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ESPNと米国、独断と偏見の二段重ねであることをまずお断りして、当該の20年間は「タイガー・ウッズ」の時代でした。

日本から見ると4位のジミー・ジョンソン(ナスカー)、9位のマルタ(女子サッカー)、13位のローレン・ジャクソン(女子バスケ)、16位のアリソン・フェリックス(陸上競技)、が「誰だ?」ってなりそうです。

ナスカーなんて、南部のちょっと懐古的右翼が楽しんでるイメージです。
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米国目線では8位のメイウェザーと19位のパッキャオが「この報酬要素だけでランキングされてるのは誰だ?」でしょう。

順位が上の方が大きなページを割いているのに、8位のメイと9位のマルタだけは〝逆転〟。メイやパックは知名度などではなく報酬のバロメーターが振れまくってることからランキングされました。

2028年の30周年でもこの企画があるのかどうかわかりませんが、大坂なおみが上位に入るどころか1位もあるかもしれません。

2021年限定なら、大谷翔平の1位は十分にありえますが、報酬の低さがネックになりそうです(公表されていませんが大谷のエンドースメントは選手年俸の数倍でしょうが)。
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米国人でもヨーロッパ人でもない、多くの米国人がどこにあるかも分かっていないアジアの島国という背景を考えると、大谷とパッキャオが米国に残している爪痕は途轍もないことです。

まあ、パッキャオは報酬だけ、大谷は現実のムーブメントを引き起こしているので、米国スポーツへの影響力という点では27歳の日本人が圧倒的に上です。 

といっても「大谷がホームラン王とMVP、スポーツイラストレイテッド誌とESPYの年間最高選手賞を受賞する」のと「村田諒太が東京ドームでカネロ・アルバレスを沈める」の、どっちが熱狂するかといえば、迷うことなく後者です。

アスリートに競技結果以外や、そもそも競技を超えて順位をつけるのは面白い試みですし、このブログでもさんざんやってます。

頭のおかしい平等主義者におもねって、タブーにすべきではありません。 

ただ、それはスポーツの楽しみ方の中でも最も瑣末でどうでもいい部分です。

米国ではボクシングは完全なマイナースポーツ、日本でのメジャー度も大谷と村田では国内外のメディアの取り上げ方や報道の質量は全く比較になりませんが、個人的には大谷がホームラン100本打って30勝しても、村田がカネロ沈める方がワクワクします。

もちろん、大谷の凄まじさや、米国でのステイタスは十分認めていますが、世界が認める高級ワインよりもピートの効いた暴力的なモルトウィスキーの方が好きなのと一緒です。