4団体17階級時代。

3団体時代まで最も名誉ある王者は、Undisputed Champion=議論する余地のない王者でした。

マーベラス・マービン・ハグラーやマイク・タイソン、全てのベルトをコンプリートし他の誰にも王者を名乗らせない、議論する余地のない王者は至高の輝きを放っていました。
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Undisputed Championは実質4+1(リング誌チャンピオン)です。

しかし。

Undisputed Championになるのが最も難しいはずの4団体時代で、この至難のコレクションを完成させたのはバーナード・ホプキンス、テレンス・クロフォード、アレクサンダー・ウシクの3人、揃いも揃って日陰の不人気キャラクターでした。

この間、スターダムの頂点に屹立したのはオスカー・デラホーヤ、フロイド・メイウェザー、マニー・パッキャオ、カネロ・アルバレスでしたが、彼らのいずれもUndisputed Championにはなっていません。

「人気のない実力者が世間を振り向かせるために懸命にベルトをかき集めたけど、結局世間はそんなの見てくれない」。それが悲しい現実です。

ボクシングに限らず、プロスポーツは人気が全てです。

それでも、ボクシングならUndisputed Championが最も評価されるべきです。

現在のボクシングシーンで、Undisputed Champion誕生が「スター誕生」として最も歓迎されるには、ヘビー級とバンタム級でしょう。

バンタム級の場合は日本の井上尚弥が完全統一するというのが大前提で、大歓迎を受けるのは日本限定と局地的ですが…。

現在、チャンピオンベルトを二つ以上持つ王者が存在するクラスをおさらいし、その可能性と、実現した際の価値を検証してゆきます。

アルファベットのピースを二つ以上保持する王者が存在する階級は、意外と多く17階級中12階級。

ミドル、フェザー、フライ、ジュニアフライ、ストローの5階級は王座のストラップが完全に分離してしまっています。

ここでは、早ければ1試合で完全統一王者が誕生する階級もある「12階級」に焦点を当ててゆきます。


◉ヘビー級◉

【可能性】リング誌/WBC王者タイソン・フューリーと、WBA/WBO/IBF王者アンソニー・ジョシュアの二人で「4+1」のベルトを分け合っています。

この完全統一戦は今年中に実現するといわれ、サウジアラビアが1億5000ドルで招致に乗り出すなど盛り上がっていますが、交渉成立の報はまだ届いていません。

今年初めには「2試合実施」構想もぶちまけられていましたが、1試合も怪しい雲行きです。


【価値】二人とも破格の年収を誇るフォーブス・ファイター。なによりも、17階級で最も価値の高いヘビー級です。

レノックス・ルイス以来の完全統一王者を賭けた英国人同士の激突はどちらが勝っても、世界的なビッグニュースになるでしょう。

サウジアラビアの提示額や、放映権料の巨額の数字を考えると、当該年度のフォーブスアスリート長者番付でワンツー独占もありえます。