今まで、米国のPPVイベントが安いと思ったことは一度もありません。

カリフォルニア州カーソン、デグニティ・ヘルス・スポーツ・パーク(←スタハブセンター←ホームデポ・センター)で行われたFOXのPPVイベント。

今回の販売単価は$49.95。日本円で約5500円。高いです。しかし、昨年の「チャーロ兄弟」「ガーボンタvsサンタクルス」が $75=約8250円だったことを考えるとかなり抑えられた価格設定です。

メインイベントがヘビー級トップ戦線生き残こりを賭けたアンディ・ルイスJr.とクリス・アレオラのノンタイトル12回戦。

世界戦はWBAのミドル級と、フェザー級暫定の決定戦が行われましたが、いずれもセカンドタイトル。

それでも、面白い試合が続きました。

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Middle Contest, 12 Rounds
vacant World Boxing Association World Middle Title 

エリスランディ・ララvsトーマス・ラマナ

 
村田諒太のスーパー昇格で空位となったセカンド王座がステイクされた決定戦。 

亡命キューバ人のララはWBAジュニアミドル級のセカンド王者(ファースト王者はジャーメル・チャーロ)。

対するラマナはWBA Fedecentro(中米カリブエリア)王者、典型的な〝地域タイトル〟ホルダーで、世界基準の強豪との対戦はありません。

BoxRecの写真がメガネをかけてること、渾名がCornflakeということからも「ここまで弱そうな奴はめったにいない」「こいつがララに勝ったらびっくり」と最初からバカにされまくってたWBA特製の純度100%雑魚ランカーです。

レベルが低い日本ミドル級タイトルですら、極めて怪しい実力のWBAランカーです。 

いつも引いて戦う38歳のキューバ人が80秒で仕事を終わらせたのは、試合前にラマナが「ララをノックアウトする最初のボクサーになる」と挑発を繰り返していたことに怒りの拳を振り回したからではありません。

それは、毎度のことです。

左ストレートの軌道にあまりにも無防備にスッと入ってきた29歳の白人のレベルが劣悪だったからです。

このレベルの試合で「年間最高KO賞候補」と騒ぎ立てる解説者のオツムを疑います。そして「村田は大晦日のゲンナディ・ゴロフキン戦の前にララと戦ったら倒される」とも。

ふざけるな、ボケ。

アッサン・エンダムが村田戦の前にアルフォンソ・ブランコを1ラウンドワンパンチで沈めたときも大騒ぎ、ブランコとラマナはレベルが違いますし、ESPNの年間最高KO賞にも選ばれましたが、村田とは力比べは全く出来ませんでした。

ララは「ミドル級は快適だが、ジュニアミドルでジャーメルvsブライアン・カルロス・カスターニョの勝者と戦いたい」と、残念ながらミドル級にはとどまらない模様です。

ミドル級にいてくれたら、エンダムと同じようにキャリア初のKO負けを経験させてあげたのに。

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WBA世界ヘビー級王座挑戦者決定戦

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自分をコントロールできない規律にかけた二人が、頑張って肉体を絞って激突したメキシコ対決は予想以上の好試合になりました。

メキシコヘビー級の新旧対決は「新」の31歳ルイスが「旧」の40歳アレオラをKOできるかどうかが焦点の試合でした。

厳しい敗北を重ねた老兵では、ルイスの速くて重い攻撃に反応できない。

ルイスの判定勝ち。スコアは118-109, 118-109 and 117-110。大方の予想は間違いではありませんでしたが…。

直前のオッズはアレオラ勝利が18倍まで跳ね上がって、試合開始ゴングが鳴らされました。
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ルイスが主導権を握ったかに見えたオープニングラウンドから一転、第2ラウンドは、40歳のアンダードッグが右強打でダウンを奪います。大番狂わせの香りが一気に匂い立ちます。

アレオラの追撃に、続く第3ラウンドもルイスはダメージを深めますが、第4ラウンドから最終12ラウンドは31歳がゲームをコントロール、ボディショットとジャブで劣勢を立て直しました。

終盤は、採点で勝てないことに覚悟を決めたアレオラが悲壮なアタックを試みましたが、再び強打をヒットすることは出来ないまま、試合終了のゴング。

試合後半、アレオラが何度も左肩を回し、怪我してしまったのは明らかでした。

言い訳にはなりませんが、万全の状態で玉砕させてあげたかったです。

40歳のナイトメアは勇敢に戦いました。