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今日のお昼は唐揚げ定食。本文とは関係ありません。


【ファンマ型〜それは踏み台ではない!落とし穴だ!】

私たちの記憶に新しいところでも「ファンマ型」が最も一般的な番狂わせです。

ジョシュ・ウォリントンの〝噛ませ犬〟のはずだったマウリシオ・ララや、フェリックス・ベルデホの戦線復帰にうってつけと思われた中谷正義、さらにはゾウ・シミンをアジア史上最大の番狂わせに粉砕した木村翔、ジェームス・カークランドの物語を暗転させた石田順裕らの堅い拳によってファンマ型がもたらされました。

彼らはエリートの〝予定表〟を見事に引き裂いたのです。

ウォリントンもベルデホもシミンもカークランドも実力者であることは間違いありませんが、その評価は実態以上のバブルでした。

卓越した技術や一発強打、派手な人気はないものの、燃え盛る野心と不屈の根性持つ戦士を選んでしまった時点で、彼らは自らが転落することになる番狂わせの陥穽をすでに掘り終えていたのかもしれません。
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この人は〝逆ファンマ〟。

ファン・マヌエル・ロペス
、ファンマ。

10年前、トップランクはファンマとユリオルキス・ガンボアが〝決勝〟で激突する。「フェザー級ウォーズ」を企画していました。

ボクシング大国プエルトリコのオリンピアンにして、ハードヒッター。

無敗街道を驀進、21戦全勝19KOで、迎えた世界挑戦はジュニアフェザー級でした。相手はプエルトリコにとっての宿敵メキシコのダニエル・ポンセ・デレオン。

ダニポンは評価の高いWBO王者でした。

この大一番、番狂わせでダニポンを1ラウンドで粉砕、ジュニアフェザー級で刃を研ぎながら、ファンマはフェザー級も制覇。

しかし、盤石の強さを見せつけるガンボアに対して、打たれ脆く不安定なファンマは人気はあっても〝決勝〟を勝ちきれないと見られていました。

トップランクがスターになって欲しいのは、共産主義国からの亡命者ではありません。人気者のファンマです。

自ら落ちる落とし穴を、意識して掘る馬鹿はいません。しかし、番狂わせの陥穽は無意識のうちに掘られるものです。

それどころか、掘ってる彼らは踏み台を作ってるつもりのケースがほとんどです。

30戦全勝27KO、27歳のファンマが選んだその男も、誰の目にも踏み台にしか見えませんでした。

35勝23KO 11敗2分、直近5戦は3勝2敗。どう見ても冴えない当時32歳のオルランド・サリドでした。

しかし、陥穽が踏み台に見えたのはファンマ陣営だけではありません。メディアもファンの目にも〝それ〟が見えませんでした。

そして、驚くほどフシ穴なことに再戦でも多くの人がファンマが勝つと決めつけていたのです。

アリvsリストン、ホリフィールドvsタイソン…私たちは二度叩きのめされてようやく気付くのです。

あれは番狂わせなんかじゃなかった…、と。

115ボンドでもPFPキングのままスライドしたローマン・ゴンザレスもまた、評価バブルでした。

ロマゴンはシーサケット、ソールンビサイに二度敗れますが、再戦でもオッズや欧米メディアはチョコラティトを支持していましたが、日本のボクシングファンは難しい戦いになると半ば確信していたはずです。

柔らかい泡沫にとって、燃え盛る野心と不屈の根性を併せ持つ鋼鉄のファイターほど厄介なもの他にないのです。