あと170日。
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年越しで働き続けるカウントダウン時計というのもめったやたらに拝めるものじゃありません。

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今日の白昼話はDREAM MATCH2。

ウェルター級やミドル級は日本人にとっては世界挑戦すら至難の「地図にないクラス」ですが、米国ではここがホットゾーンです。

米国で常に100万ドルプレーヤーが割拠している階級は、ヘビーとミドル、ウェルターだけです。

ライトやジュニアウェルターといったウェルターに続く階級も人気で、大きな試合が繰り広げられることがありますが、それは特別なスターが現れた特別な時間だけです。

人気があるとはいえ、少し上を見ると絢爛豪華なウェルター級が視界に入るわけですから、ライトやジュニアウェルターで傑出した人気や実力を持つファイターが進む方向は決まっています。

とはいえ、競技人口が分厚く、選手報酬も高額なウェルター級の世界は過酷です。

ライトからウェルターの3階級制覇に成功したボクサーはフロイド・メイウェザーやマニー・パッキャオら史上8人しかいません。

①ヘンリー・アームストロング(フェザーから)

②パーネル・ウイテカー

③オスカー・デラホーヤ(ジュニアライトから)

④シェーン・モズリー

⑤メイウェザー(ジュニアライトから)

⑥パッキャオ(フライから)

⑦ロバート・ゲレーロ(フェザーから/ウェルターは暫定なので世界的には認められていません)

⑧エイドリアン・ブローナー(ジュニアライトから)

⑨テレンス・クロフォード
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そして、そして、この8人リストに名前がない、一人のド変態がいます。

ライト級からジュニアウェルター飛ばしでウェルター級を制したロベルト・デュランです。

現代ボクシングで最も重要な「誰に勝ったのか?」を考慮すると、デュランのウェルター制覇が史上最大の勝利であることに、誰も異論はないでしょう。

あのとき、レナードが選択したスタイルがデュランにとってオーダーメイドだったとしても、あのレナードに初黒星を付けた衝撃は変わりません。

そのデュランがやってのけたライト級からジュニアウェルターのタイトルをスキップしていきなり〝ウェルターを制した〟衝撃は28年後の2008年にパッキャオによって再現されます。

歴史上、石の拳とパックマンしか突き破ることが出来なかったライトからウェルターへのダイレクト制圧。

今、この離れ業に挑もうとしているのが、ライアン・ガルシアです。

22歳の人気者がターゲットと睨むのは、42歳の生きる伝説、パッキャオ。

メキシコ最大のホープが、21世紀最高のグレートに挑む大一番は正式決定はまだというのに「13年後に巡って来た因果」も絶妙のスパイスとなって大きな関心を巻き起こしています。

対戦決定でも、パッキャオがWBA休養王者に格下げられていることから、世界タイトルはステイクされない見通しです。

しかし、瑣末な世界タイトルがメガファイトのスケールに何の影響も与えないことは、フィリピン上院議員が何度も証明済みです。

まあ、WBCあたりは豪奢なメキシコベルトを設えそうですが。

DREAM MATCHと銘打たれた世紀の大番狂わせから13年。

DREAM MATCH2も衝撃を起こすのか?

そして、大方の予想通りにリングの伝説がSNSのお調子者を叩きのめすと、昨年のFighter  Of The Yearも指を咥えて黙っているはずがない、と見られています。

日米で同時に勃発したライト級ウォーズ、その花舞台がレジェンドの最終章になびいてしまうのは少し残念な気もしますが、コナー・マクレガーよりはマシかもしれません。

ライトからウェルターへ。

圧倒的不利予想の中、一足飛びでスターダムの頂点を強奪したパナマとフィリピンの怪物がやってのけた衝撃の〝巨人狩り〟を振り返り、ライト級の勘違いも甚だしい温室育ちの青二才どもに同じことが出来るかどうかを考えてみます。