Judging The Sanctioning Bodies〜承認団体の正体に迫る!

いよいよ主要4団体、最後のWorld Boxing Organization、WBOの登場です。
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この団体もまたWBAから分離独立しました。ここがミソです。

1988年、WBA会長選挙でヒルベルト・メンドサが4期連続で選出されてことに異を唱えた米国とカリブの反対勢力が元副会長ラモン・ピーニャ・アセベドを担ぎ出して発足したのが第4の団体、世界ボクシング機構です。

当時は、現在のIBO同様にWBO王者は多くのメディアで認められませんでした。

日本の多くのボクシングファンも「WBO?UFOみたいだな。もう何でもありだな」と呆れ返っていました。

確かに、未確認飛行物体みたいな怪しいもんでした。今も、そうですが。

1989年から展開された決定戦に勝った初代王者を見ると、ヘビー級(フランチェスコ・ダミアニ)、ミドル級(ダグ・ドゥビット)、ウェルター級(ヘナロ・レオン)の人気クラスでビッグネームを招聘できませんでした。

スーパーミドル級(トーマス・ハーンズ)とジュニアウェルター級(ヘクター・カマチョ)でスター選手を確保したとはいえ、二人ともピークを過ぎたビッグネーム。

それでも、オスカー・デラホーヤやナジーム・ハメド、マルコ・アントニオ・バレラらスター選手を次々と抱き込み、メガファイトでWBOの露出が増えると、世界は4番目の主要団体と認めざるをえなくなりました。
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1988年のWBO以来、major(主要)と数えられる承認団体は、32年間も誕生していません。

マイナー団体のIBC、WBF、WBU、IBUが主要と認められないのは当然としても、欧州で認知度が高いIBOはどうしてmajorの仲間入りが出来ないのでしょうか?

WBOとIBOの差はどこにあるのでしょうか?

JBCは加盟していないものの、IBOには人気選手も王者に名を連ねてきました。

その最も大きな原因は「いくら何でもmajor5は、もう認められない」というメディアとファンの拒否反応ではありません。
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IBOがmajorになれない表向きの理由は「大義名分がない」こと、そして本質では「ボクシング界へ根回しするコネクションが脆弱であること」です。

実はこれは同根です。

本家WBAの不正を糺すと掲げた分離独立の反旗「大義名分」は、「ボクシング界に影響力のあるプロモーターなど有力者の後ろ盾」がなければけして翻すことのできないフラッグでした。

WBCもIBFもWBOも、この「大義名分」の反旗を振り回して、分離独立したのです。

「大義名分」。

言葉は格好いいですが、要はボクシング界に影響力のあるWBAの反乱分子は有力プロモーターやネバダ州、カルフォルニア州などの統括団体を抱き込むコネクションを持っていたのです。

WBAは、WBOの離反によってようやく、気づきます。

分離独立の動きが噴出するのは、会長選挙のとき。

WBOの反省から、WBAは選挙前に反乱分子を宥和するか粛清する内規引き締め強化に乗り出しました。

しかし。いまもなお、WBAに不満分子が潜んでいるのは明らかで、いつかまた「大義名分」の反旗を振って第5団体が産声をあげるかもしれません。

そのときを楽しみに待ちましょうか…。双子や三つ子が産まれるのも楽しいかもしれません。世界王者の数は、ついに4桁に達する日が来るかもしれません。
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さて、WBO発足直後のボクシングマガジン1989年3月号です。

17階級中13階級が初代王者を待つ「空位」。

左隣の、5年前に立ち上がったIBFのランキングが、既にビッグネームで埋められているのとは対照的です。

当時は「WBOなんてそのうち消えて無くなる」と見る向きも少なくありませんでしたが、彼らは「大義名分」、すなわち有力プロモーターや英国、米国の統括団体との強固なネットワークを持っていました。

デラホーヤやハメドがこの団体を選んだ理由は、穴王者を狙っただけではなかったのです。

…なかなか本題に突入しませんが、続きます。