一団体10階級時代に、史上初のフライ・バンタム2階級制覇。フェザー級でも二団体時代のWBCピースに肉薄したファイティング原田。
時代背景を考えると、それだけでもとんでもない偉業ですが、そのキャリアには「原田しか勝てなかった」エデル・ジョフレというグレートが鎮座してしまっているのです。
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そして、現在まで90人を超える世界王者を輩出してきた日本ボクシング史ですが、原田は白井義男に次ぐ二人目というのに、モダーン部門での殿堂入りは原田一人しか生み出せていません。

しかも、一発殿堂です。

当時の試合はテレビで驚異的な数字を叩き出していることからも、原田が国民的英雄だったことは容易に想像出来ますが、今では忘れられた存在です。

それでも、世界評価が飛び抜けて高いことが、この日本史上最高のボクサーの輪郭をハッキリと浮かび上がらせています。

それでも「ファイティング原田超え」の声が挙がったボクサーは、現在の井上尚弥の他にも瞬間的とはいえ出現して来ました。

その刹那の評価は泡と消えたとはいえ、文句なしの「原田超え」とは「ジョフレ超え」です。

世界=欧米という檻の中で軽量級で人気階級並みのビッグネームと巡り合えるなんて奇跡的な運任せであることを考えると、軽量級という枠の中で世界に「原田超え」を認めさせるのは至難の業です。

その、日本ボクシング史上、最も高く険しい壁に挑んだ5人のグレートと井上尚弥の相違点を探りながら「ファイティング原田の呪縛」から解き放たれる日が訪れることを期待します。

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