テオフィモ・ロペスのコーナーに就くアシスタントトレーナー、ジョーイ・ガマチェ。

「オッズも予想も不利?ネットや紙の上で何を語ろうが、それは全部ウソだ。リングの上で起きたことだけが、事実であり真実だ。1980年にロベルト・デュランがシュガー・レイ・レナードに挑戦したときから、あなたたちメディアは一歩も前に進んでいない」。

現代最高のボクサー、ワシル・ロマチェンコへの挑戦が決まってから、テオフィモ・ロペスはロベルト・デュランの再来という煽りをよく目にするようになりました。

米国人でもメキシカンでもプエルトリカンでもない〝異邦人〟が米国のリングでスターの座を射止めることは極めて稀です。

そのキャリアが極めて稀で異常で変態的なパッキャオはもちろん例外ですが、デュランも例外中の例外の一人です。

ホンジュラスにルーツがあるとはいえ、ニューヨークで生まれ育ったテオフィモを〝異邦人〟というのは、ちょっと違う気もしますが、デュランを拠り所にしたい気持ちは良くわかります。
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当然のことながら、ガマチェもロマチェンコは認めています。

「五輪で2大会連続金メダル。微妙な内容であってもそれは至難なのに、ロマチェンコはそうじゃないから、特別なんだ。彼を見るとウィリー・ペップを思い出す、それくらいに凄い。そして、世界はロマチェンコをほぼ正確に評価している」。

そして、ロペスについては「間違いなく、世界で最も過小評価されている才能だ。人気先行の一発屋のような見方は、完全に間違っている。テオはオリンピアンで約170戦のアマチュア経験がある。彼のボクシングIQと、その防御ほど見過ごされているものはない」。

 If I was Lomachenko and his camp I would say, ‘Hey, we don’t need this fight. This is the wrong fight for you’.

「私はかつてロマチェンコのコーナーにも就いていたが、今もそうなら、この試合はやらせたくない。ロマチェンコにとって危険なだけで、プラスは何もないのだから」。

「テオが勝つと言っているのは、私が彼の陣営だからじゃない。彼のことをよく知るに至ったからだ」。

「テオを過小評価する人は必ず中谷正義のことを持ち出すが、彼は18戦全勝の東洋王者だ。しかも180㎝を超える身長とリーチ、彼に苦戦しないボクサーはいない。そして、これを言うとテオは怒るが、あの試合前のテオの心理状態は人生最悪だった。彼の姉妹と、彼の奥さんの間が上手くいかなかなくて、練習に身が入らなかったんだ」。

ロペスの妻と姉妹の間に確執があるのは事実ですが、中谷戦の背景についてガマチェが直接知り得るわけがありません。

なぜなら、ガマチェがテオフィモ陣営に加わったのは、大苦戦した中谷戦の後なのですから。

リングの外では虚々実々が渦巻きます。

しかし、事実と真実はリングの上だけにしか存在しません。

試合開始のゴングが鳴るまで、あと15時間を切りました。