ボクサーの年齢、その若さに、あらためて驚かされることが多々あります。

具志堅用高がハングリーなペドロ・フローレスの攻勢に燃え尽きたのは、なんと25歳のとき。

シュガー・レイ・レナードが長期ブランクからまさかの復帰、マービン・ハグラーを競り落としたのは、まさかの30歳のとき。

マニー・パッキャオがマルコ・アントニオ・バレラを圧倒して、ファイティング原田の〝アジア最高〟の座を激しくチャージしたのは、まだ24歳のときでした。
Alan-Minter-Photo-credit-W8-Media

ミドル級の元王者アラン・ミンターが癌のため、69歳で亡くなりました。

完全統一王座の座をかけてビト・アンツォヘルモと死闘を繰り広げ、ハグラーの強さを世界に改めて知らしめてくれたサウスポー。

ハグラーに惨敗した一戦はプロ45戦目でしたが、調べてみるとまだ29歳の若さ、ハグラーより3つだけ年上でした。

私の中ではレジェンドの戦いに登場する貴重な脇役で、その年齢ももっと重ねていると思い込んでいました。

ミュンヘン五輪ミドル級で銅メダルを獲得して、プロ転向。

米国の五輪金シュガー・レイ・シールズを5ラウンドTKO、晩年のエミール・グリフィスをポイントアウトするなど、そのキャリアは鮮やかな色彩に富んだものでした。

ミンターは英国ボクシング史上、ただ一人唯一のUNDISPUTED MIDDLEWEIGHT CHAMPION、まだタイトルに幾ばくかの価値があった時代の完全統一王者、しかもミドル級です。

ミンターからその玉座を強奪したハグラーが膝から崩れ落ちて歓喜に号泣する姿は、恐ろしく新鮮で感動的でした。

それにしても、まだ69歳でしたか。長い闘病生活を送っていたそうですから。若かったが故に癌の進行も早かったのかもしれません。

素晴らしい激闘、忘れません。安らかにお眠り下さい。