ジャーレル・ミラーが何度もドーピングを重ねたことに、ついにこの人も口を開きました。

ちょうど明後日にラスベガスのMGMカンファレンスセンター〝The Bubble〟 (気泡のように外部から遮断された小さな会場という意味でしょうか)で開催予定だったジェリー・フォレストとのヘビー級10回戦を前に、ミラーの採取検体が禁止薬物のヒト成長ホルモン「GW1516」の陽性反応を示しました。

ミラーは出場停止、カルロス・タカムが〝代打〟することになりました。

昨年6月、アンソニー・ジョシュアとのメガファイトでも同じようにドーピングでアンディ・ルイスJr.が代打出場、超大番狂わせの〝本塁打〟を放ちました。

それにしても何度も同じ過ちを繰り返す “Big Baby” には、もう永久追放しかありえません。
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身長193㎝、体重300ポンド(136kg)の、31歳のミラーはその風貌からもヘビー級の人気者の一人でした。

ボクシングの戦績は23戦全勝20KOと無敗をキープしていましたが、2018年に41歳のトマス・アダメクから2ラウンドKO勝利を収めた以外、その対戦相手リストには見事に無名選手が並びます。

昨年からわずか1年のVADAの薬物検査プログラムで、5回の検査中4回で禁止薬物が陽性反応。ジョシュア戦ではGW1516に、他の禁止物質も検出されていました。

ミラーは「ドーピング目的でステロイドなどの化学物質を使用したことは一度もない。怪我の治療薬に禁止薬物が混入していた」と毎回同じ言い訳を繰り返してきました。


現在、SNACの最高責任者ビクター・コンテは「2年間の出場停止処分でも短すぎる」とミラーを糾弾。

ドーピングの世界にどっぷりと浸かってきた〝最高権威〟は「VADAは選手からの無料相談を受け付けている。どのサプリメントがセーフで、どの治療薬がアウトか。自分が摂取しようとしているものが禁止薬物を含んでいるかどうか、事前に簡単に知ることが出来たはず。どうしてそれをしないで何度も繰り返す?」と、ミラーの言い訳を信用していません。


バリー・ボンズやマリオン・ジョーンズというビッグネームも巻き込んだバルコ・スキャンダルの元締め、コンテは70歳になりましたがノニト・ドネアやマイキー・ガルシア、アミール・カーン、ショーン・ポーター、ケイレブ・プラント、ジェシー・バルガス、デビン・ハニー、ダニエル・ジェイコブス、デメトリアス・アンドラーデをはじめボクシング界でも信奉者は後を絶ちません。

ドーピングで有罪判決を受けた元犯罪者の元にこれだけのビッグネームが群がるというのは「李下に冠を正さず」の日本の常識では考えられません。

昨年は、ゲンナディ・ゴロフキンもSNACのプログラムに参加しました(その後離脱)。


世界的な統括団体を持たないプロボクシングの世界では事実上、罰則がないのと同じです。

ルイス・ネリが「日本」から永久追放されても北中米で自由にリングに上がっているように、ミラーも現時点では「ネバダ州」からライセンスを停止されているだけです。

昨年から5回の検査で4回陽性反応を示しながら、試合前検査で陰性なら出場できたというルールも、五輪スポーツなら狂気の沙汰です。

「ボクシングのザルルールで、もし私に任せてもらえば100%陽性反応を示さないサイボーグを作ることができる。もちろん、もうそんな過ちは犯さないが」(コンテ)という、余計な自慢も米国の闇を見るようです。

ボクシングの現状を踏まえると、もはや「俺もやらなきゃ損」というレベルです…。