私が世界のボクシングを見始めた1980年代。

米国ではリング誌はもちろん、KOマガジンやボクシング・イラストレイテッドなどが月刊で発行されていました。

また、スポーツイラストレイテッドも今では考えられませんが、結構なペースでボクシングを特集していました。

これら米国の雑誌は日本でも大きな書店の洋雑誌売り場で入手可能でしたが「KO」と「ボクイラ」は廃刊、ボクシング人気の凋落も激しく、今では日本中を探してもリング誌を置いている書店もないかもしれません。

英国のボクシングニューズ(BN)は世界唯一のボクシング専門週刊誌として健在ですが、後発のボクシングマンスリーは今年の5月号で廃刊に追い込まれてしまいました。

一方でネット媒体はそれなりに生き残っていますが、BOXINGNEWS24やboxing scene.com はESPNに代表される大手メディアやリング誌からの転用記事が目立ち、個性の輪郭が見えません。

「まとめサイト」的な便利さはありますが、やっぱりジャーナリズムとは呼べません。
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4月に「 Four Kings (四天王)」を出したリング誌は8月にも「GATTI WARD」の特別号を出版します。「GATTI WARD」は要りません…。「GATTI WARD」は日米ボクシングファンの意識の大きなズレの象徴です。

その逆がマニー・パッキャオです。あの小さなフィリピン人はボクシングファンの国境を簡単に超えました。

紙媒体でなければジャーナリズムではない!とは言いません。

実際にESPN電子版の充実度は、リング誌を超えますし、私のような愛読者ですらリング誌とBN誌が紙媒体を維持している説得力のある理由が思い浮かびません。

リング誌なら毎月、 BN誌なら毎週、自宅ポストにニューヨークとロンドンからカラフルな雑誌が届けられます。

それは、人生のささやかな楽しみの一つですが、私が変わり者で超マイノリティなのも自覚しています。
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週刊ボクシングニューズ誌。今日発行の6月11日号もデジタルバージョンでは読めますが、やはりプリントバージョンの到着が楽しみです。

スマホを触るだけで英国にいるのと同じ最新号が読める、というのは素晴らしいし、私もスマホやPCなどで興味を引く記事を読んでから、プリントバージョンで全ての記事に目を通すというのが習いです。


ボクシング専門の紙媒体が生き残るためには何か必要か? 

それともボクシングも紙媒体も〝死に行く産業〟といわれる現在、そんな巨大で重い十字架を二つも背負わされたボクシング専門誌が「生き残ろうとしていること」がそもそも間違っている、無駄な努力なのでしょうか? 

まだまだ。続くのです。