昨年6月から英国ボクシングニューズ誌を購読していますが、このパンデミックの影響で英国も大混乱。

「流通が100%機能できていない。海外の愛読者の方々にプリントバージョンを手元にお届けする約束の時間が守れない可能性が出てきた」。

「それでも必ず絶対届けるから、待っててくれ。デジタルバージョンを読んで待っててくれ」。

そんな律儀なお手紙を頂いて、確かに4月2日号から届かなくなりました。約1週間遅れで我が家のポストに到着するはずの4月2日号(4月9日到着予定)が、今日届きました。

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月刊誌のリング誌よりも週刊ということで、同じ月刊レベルで見ると両誌の情報量は英国に軍配が上がります。

このブログでは「WBAの回」で止まっていた「承認団体を斬る!」シリーズ、いよいよWBCです。

WBCが WBAから分離独立できた力学の源泉がずっとわからなかったのですが、ボクシングニューズ誌の記事を読んで、やっと納得できました。

元ボクサーでボクシング大好きの大統領が〝国策〟として設立したのです!

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【HISTORY】

1963年にWBAから分離独立したWBCは、最も影響力のある承認団体として現在に至り、特徴的なグリーンのWBCベルトは、多くのボクサーとファンから「メジャー」と認められている。 

ボクシングがあるゆるスポーツの中でも「メジャー」と認められていた1970年代、このベルトにはスポンサーが付いていた。

アディダスだ。

長年のボクシングファンなら、アディダスのロゴが入ったWBCベルトを見たことがあるはずだ。 



時を戻そう。1963年だ。 

アドルフォ・ロペス・マテオス。

この名前を聞いて「メキシコのボクサー?」と思ったあなたは勘が鋭いが、ボクシング以外のことも少しは勉強すべきだ。

マテオスは第48代メキシコ大統領だからだ。

そして、若い頃はボクサーだった。
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元ボクサー、大のボクシングファンというだけで、すごいシンパシーです、マテオス大統領。今も空港の名前に残っています。 
 
The WBC Began in 1963 . Mexico's then President, Adolfo Lopez Mateos, a boxer in his youth, grew conerned that Mexican boxers were not getting the opportuninties to fight the world title.


当たり前だが、マテオス大統領は大のボクシングファン。

少年時代からアメリカとヨーロッパ、日本という経済大国がタイトルをたらい回しにするギルドを形成していることに不満を募らせていた。

「どうしてメキシコのボクサーには世界挑戦のチャンスが回ってこないんだ?」「才能あふれるメキシコ人の努力を無駄にしてたまるか」。

ボクシングの素晴らしさを理解している大統領は「このスポーツを腐敗させてはならない」と、強烈な思いに駆られ、私財も投げ打って積極的なロビー活動を展開した。

そして、機は熟した。

1963年2月14日。マテオスはメキシコシチーにボクシング界のリーダーと有識者を世界中から集めて、世界ボクシング協会(WBA)、欧州ボクシング連合(EBU)、英国ボクシング管理委員会(BBBofC)、ラテンアメリカプロボクシング連合(LAPBU)、東洋ボクシング連盟(OBF)がスクエアに討議する「評議会」として「World Boxing Council」をついに設立させた。

当初、賛同した各国コミッションはメキシコと米国、英国、アルゼンチン、フランス、フィリピン、パナマ、チリ、ペルー、ベネズエラ、ブラジルの11カ国に過ぎなかった。

それがいまや、主要4団体で最多の166カ国まで拡大することに成功する。

発足当初、WBC世界戦の勝者に贈られたのは、ベルトではなくグローブを形どったトロフィーだったが、60年代後半には黒い革とサテンのベルトが登場。

1975年12月、ホセ・スライマンが第4代会長に選出されると、WBCは現在とほぼ同じ緑のベルトを採用し、アディダスをスポンサーにするなど新しいビジネスモデルも模索した。

グリーンのベルトは美しい。

その大きなバックルの周囲には加盟国の国旗が小さく縁取られ、中央には右手を上げて勝利を喜ぶボクサーを包むようにメキシコや米国、英国の10カ国の国旗が大きく彩られている。

「え?オリジナルの11カ国じゃなくて10カ国?」。

よく見たまえ。

よく見れば、そんな純粋な疑問はどうでもいい話になる。

この「中央10カ国」の国旗の中で最も目立っているのは…米国でも英国でもなく、当初加盟を固辞していた日本なのだから。

「中央10カ国」はベルトによって異なるが、日本とメキシコ、米国、英国がデフォルト。

WBCとは何なのか?

この疑問に言葉は要らない。

ベルトを見ればよくわかる。ベルトはカネで買えることを、そのベルトで表現したWBCのセンスは即物的だが、あまりにも即物すぎて逆説的に芸術的ですらある。

ESPNは「WBCはそのうち自動販売機でベルトを販売する。誰でも「承認料」のボタンを押せばガチャンと出てくるはずだ」と揶揄していたがリアルすぎて笑えなかった。

スライマンは悪の権化のように見られているが、多くの革新も進めてきた。

ボクサーの安全と健康を考慮して12ラウンド制と、階級別にグローブの重さを設定、前日計量、(サミング防止の)親指接着型グローブも積極的に導入した。

それらが全て効果があったかどうかは問題ではない。スライマンがボクシングの発展を考えて、課題に取り組んだという事実は評価すべきだ。

マテオス大統領はWBCの発展を見届けることなく、1969年に亡くなった。

不遇に泣くメキシコ人ボクサーを救済したいと尽力したマテオスは、カネロ・アルバレスやレオ・サンタクルスを見て「悲願が達成された」と歓喜するだろか?

WBCを世界タイトル量産メーカーに貶めたスライマンを、雲の上からどう見つめているだろうか?