の言葉に傷付いた。骨が折れたり、血が噴き出したりしないのが不思議なくらいに傷付いた。

私自身の言葉も、きっと人を傷付けているかもしれないと気付いたとき、自己嫌悪で気が狂いそうになった。

ウラジミール・クリチコに勝ったとき、私が傷付けた人や、私を傷付けた人たちが愛想笑いを浮かべて近寄ってきた。

界で一番傷つきやすい人間のくせに、私は王様になった気がして、あたりかまわず威張り散らした。

私の心の中にある小さなダムが決壊した。

自分が世界で最悪最低の人間であることに気付いてしまった。

何度も自殺しようと思った。

でも、死ねなかった…。
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★日本時間6月16日、ネバダ州ラスベガス★

世界ヘビー級リネラル王者タイソン・フューリー vs トム・シュワルツ


13日現在、ウィリアムヒルのオッズはフューリー1/33(1.03倍)、シュワルツ13倍。

「MSGの衝撃」からまだ2週間。「無名のシュワルツを買う人が多い」(MGMグランド)というのも頷けます。

それにしても、これまでも話題にしてきた「リネラル王者」。

もし、大番狂わせが起きると、この最も重要な目に見えないチャンピオンベルトがドイツ人の腰に巻かれることになります…何か腑に落ちませんね。

The lineal heavyweight champion, the man who beat the man who beat the man.

「王者に勝った者だけが王者」。当たり前でわかりやすいリネラル王者の理屈です。

しかし、その理屈が通らないのが現在のボクシング界です。

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急坂に逆らいながら巨大なタイヤを押すシュワルツ。身長197cm、無敗のドイツ人が華奢に見えてしまいます。

幼い頃から重度のうつ病を患い、のたうちまわりながら生きてきたタイソン・フューリー。

最近では、同じ英国のライバルでこれまで〝口撃〟し続けてきたアンソニー・ジョシュアに励ましのエールを送ったことで好感度急上昇のマンチェスター生まれの大巨人。

ヘビー級ボクサーとしては十分に若い、まだ30歳。

しかし、彼は心の病と「30年戦争」を格闘し続けているのです。

He squeezed into his Ferrari and took off down a lonely stretch of road near his home. The car was moving at a high rate of speed and he was planning to drive to kill himself.

「ギリギリの瞬間も経験した。死にたい衝動に駆り立てられて、谷底に向かってフェラーリのアクセルを思い切り踏んだこともある」

 「デオンティ・ワイルダーのパンチは強烈だった。あんなパンチを放てる彼を尊敬する。でも、本当に痛いのは、本当に立ち上がれないほどズタズタにされるのは…心にダメージを負ったときなんだ」。

「ワイルダーが右拳に全身全霊を込めて火を噴くようなパンチを打ってくれるのは、変な言い方だけど嬉しいもんだ。あんな凄い男が、ものすごい形相で全力で私を倒そうとしてくれてるんだ」。

「でも、心が深く傷つけられるときは、相手の顔も見えないこともある、一人で部屋に座っているときにどんどん深みにはまっていくこともある…底なし沼だ」。

「火を噴くようなパンチだったら嬉しいよ。ワイルダーに倒された私がダメージや恐怖に怯えていたように見えたかい?〝わちゃー、ミスした!よし!今度は私がやり返すぞ!〟 そんな感じだった」。

「でも心の病はそんなわかりやすいヤツじゃないんだ」。

タイソン・フューリーと「人生の30年戦争」。その真実に迫ります。