Japan boss Akira Nishino admits 'risky' tactics to rely on other result 西野朗監督は他力本願の危険な賭けであったことを認めている。〜ESPN〜

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【上】グループ H最終順位表/【下】「西野監督が危険を承知で最善と考えて選んだ戦略なのは、十分理解ができる。ポーランドから1点を奪いに行くリスクを犯すには、残り時間も少な過ぎた」とESPNは一定の理解も示していますが、海外メディアの中には西野采配に批判的な意見も少なくありません。

「彼らをサムライと呼ぶことはできない」(ロシア:スポルト・エクスプレス紙)。

「不可解な結末でW杯を汚した」(英国:BBC)。

「世界的な笑いもの」「くすんだフェアプレー」(韓国:中央日報)。


コロンビアがセネガルをリードした時点で、「フェアプレーポイント」の差での決勝トーナメント進出を選択、一切攻撃を仕掛けないパス回しで時間を消費したことに、世界中で賛否両論が渦巻きました。

決勝トーナメント進出をかけた大一番、面白い試合になると期待してチケットを買ったファンは、そりゃブーイングするでしょう。

ただ、面白い試合も見たいけど「最優先すべきは日本代表が次のステージに進むこと」だと考えるサポーターにとって西野采配は十二分に納得できるものであったはずです。

「他力本願は情けない」「セネガルが1点返してたら後悔する」…というのは確率を考えたら馬鹿馬鹿しい反論です。

日本に蹴散らされたコロンビアが息を吹き返し、セネガルに勝つしかない状況でリードを奪ったのが後半74分。このまま1−0で南米の強豪が逃げ切る公算が極めて高いと踏むのは当然です。

そして、やはり残り短い時間で日本がポーランドに総攻撃をかけて、2点目を奪われるリスクと、このまま0−1でフェアプレーポイントでの救済狙いのボール回し、二つを天秤にかけてどちらを選ぶかは監督の一存です。

同点に追いつき、さらに1点勝ち越して勝利をもぎ取ってグループリーグを首位通過、そういうシナリオに突き進みたいという選手もいたかもしれません。

それでも、長谷部を投入したとき、選手たちは自分たちのミッションをすぐに理解、不満はもちろん、少しの迷いも見せませんでした。

その過酷な任務にも関わらず、メディアやファンからは諦めムードでロシアに追われた日本代表が、強烈な絆で結びついているのは当然かもしれません。

日本のファンやメディアのGK川島への容赦ない批判に多くの選手が声をあげて反発したことからも、それがひしひしと伝わってきました。

警告(イエローカード)4の日本が、同6のセネガルを上回り、その恩恵に浴したフェアプレーポイントですが、グループリーグ全体を見渡してもこの2カ国の戦いぶりは非常にクリーンなものでした。

特に、日本は警告・退場につながるファウルの数が28と32カ国中最少(最多は韓国の63)、西野監督がこの瀬戸際突破まで考えてクリーンサッカーを徹底していたとは思いませんが、ファンとしてはうれしい数字です。

それにしても。「勝利へ向けて最短距離を走る」のがスポーツの本質であり、「美しく勝つ」のは二の次のはずです。

しかし、多くの人が違和感や嫌悪感を感じてしまう「勝ち方」が存在するのも事実です。

一昨日の「ボルゴグラードのブーイング」。そして、やはり西野朗の傑作の一つ「マイアミの奇跡」(1996年)。

「瀬古利彦の小判鮫走法」(1978〜1983年)。「セルゲイ・ブブカの1㎝」(1985〜1997年)。「松井秀喜への5打席連続敬遠」(1992年)。

ボクシング界の「山中慎介のビック・ダルチニアン戦」(2012年)に代表される〝リードしているボクサーの12ラウンド〟も、今回の「ボルゴグラード」に近似しているかもしれません。

けして間違っていない、彼らの生き様を振り返ってゆきます。