カテゴリ: 村田がカネロを倒す!

スーパーミドル級で史上初のUndisputed Champion=完全統一王者=となったカネロ・アルバレスが、ESPNのインタビューに答えて「ゲンナディ・ゴロフキンとの第3戦」に前向きな発言をしました。

"I would love the fight [with GGG]. Why not?"

ゴロフキンと戦ってもいい。戦わない理由がない。 


もちろん、階級はスーパーミドル級。

「私は168ポンドの完全統一王者だ。最強の挑戦者がいるなら、誰であろうが受けて立つ」。

煮え切らないマッチメイクしかできないゴールデンボーイ・プロモーションズに見切りをつけ、約束した報酬を用意できないDAZNへの不信感を募らせながら、フリーエージェントの立場を強めているカネロは、この12ヶ月で4試合を戦いました。

21世紀のスーパースター、フロイド・メイウェザーやマニー・パッキャオが年2試合しかリングに上がらなかったことを考えると、その試合への意欲はアンチの私でも賞讃するしかありません。

素晴らしい、です。
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さて、世界中のメディアとファンが望む「カネロvsGGG3」はUnfinished Business=やり残した仕事・決着をつけなければならない勝負=と考えられています。

日本のファンの多くは、その必要性をあまり感じていないかもしれません。

GGGはミドル級で破壊的なKO勝利を重ねていましたが、そのほとんどは水準の低い相手。しかも、39歳のカザフスタン人は明らかに劣化の兆候を晒しています。

一方、カネロは今がプライムタイム。スーパーミドル級の強豪を、圧倒的なやり方で軒並み蹴散らしました。

第1戦ではGGGがやや上回っていた実力差は、第2戦ではゴロフキンがカネロにプレッシャーをかけられるまで接近(逆転)、それが3年以上前のことです。

ゴロフキンがケイレブ・プラントやカラム・スミスに勝てるか?あるいは、全盛期なら勝てたか?

極めて怪しいと思います。

その、黄昏時を迎えているゴロフキンは12月29日に日本で村田諒太と戦うと言われています。

正式発表がいまだにないのが、心配でしょうがありませんが、日本のボクシングファンは、この試合がどういう意味を持っているのか、よくわかっています。

ファイティング原田がエデル・ジョフレを2度撃破した勝利は、日本ボクシング史上最も偉大な勝利です。

しかし、それは世界のボクシングファンは知りません。知っているのは非常に詳しいマニアだけです。

村田がゴロフキンを倒せば、世界中のカジュアルなボクシングファンも驚くでしょう。

そして、日本のボクシングファンは、その先に何が待っているかも知っています。

「絶対不可能」と考えられた原田越え、日本ボクシング史上最も偉大な勝利を書き替えるチャンスが巡ってくるのです。
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6月6日(日本時間7日)に行われるフロイド・メイウェザーの茶番劇とバッティングするのを回避した結果、有力選手の試合が19日にズレ込み「ジャモール・チャーロvsファン・マシアス・モンティエル」「ハイメ・ムングイアvsマチェイ・スレッキ」「テオフィモ・ロペスvsジョージ・カンボソス」「井上尚弥vsマイケル・ダスマリナス」と大渋滞。

同じ日にメキシコでは「フリオ・セサール・チャベスJr.vsアデルソン・シルバ」「チャベス父vsヘクター・カマチョJr.」の異色の親子イベントまで企画されています。
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注目はもちろん、井上尚弥のリング誌/IBF/WBAバンタム級タイトル防衛戦。ダスマリナスとの力量差は歴然としており、オッズが示す通りの完全勝利を収めるはずです。井上1/20(1.05倍)、ダスマリナス12倍。
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この試合はESPNで全米生中継されますが、同じトップランクでエース格のテオフィモ・ロペスはトリラーのPPVイベントに登場。こちらはロペス2/17(1.18倍)カンボソス8.5倍。

3社競争入札でトップランクの$2,315,000(現在の為替で2億4539万円)とマッチルームの$3,506,000(3億7163万円)を大きく上回る$6,018,000(6億3790万円)を提示したトリガーが興行権を獲得したテオvsカンボソス。

テオをプロモートするのはトップランクですが、今回は報酬を工面する必要がなくなったわけです。

それどころか王者テオフィモの取り分「65%=約390万ドル」の中からマネジメント料として20%(78万ドル)が、何もしないで入ってくるわけですから「これ以上楽な商売はない」(ボブ・アラム)。

ただ、トップランクのプロモーターとしてのメンツは丸つぶれ。3社の中で最も安く叩かれたテオの心境は「トップランクがマッチルームとトリラーから試合を奪い取ってくれると期待していたのに、アラムには幻滅しかない」というのは当然です。

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2010年のリング誌Fighter Of The Yearはテイクオーバーとジプシーキングが分け合いました。この事象だけを見るとトップランクはこの世の春を謳ってるはずなのですが…。二人ともトップランクへの忠誠心は非常に希薄です。


現在、トップランクが契約しているファイターを格付けすると、ダントツでタイソン・フューリーですが、これは大物すぎて没落トップランクではコントロールしきれていません。

2番手グループが、ライト級の4/5王者テオフィモ、ウェルター級の〝村八分〟テレンス・クロフォード、ジュニアウェルター級の完全統一王者ジョシュ・テイラー。

ライト級はワシル・ロマチェンコ、中谷正義らを抱えており、今後大きな試合が期待できるだけに、テオフィモの離反はなんとしても食い止めたいところです。

3番手グループはオスカル・バルデス、エマヌエル・ナバレッテ、ジョー・スミスJr.に、井上尚弥と村田諒太、アーサー・ベテルビエフの多国籍軍に、エドガー・ベルランガら温室栽培中のホープ。

井上と村田は日本への放映権料など選手の人気・実力+アルファの魅力を持ったタレントで、例えば「村田vsゲンナディ・ゴロフキン」実現なら、単発的とはいえ2番手グループを大きく引き離す興行になります。

また、現状では+アルファの魅力が乏しい中谷ですが、ライト級という需要のあるクラスでバイプレーヤーの役割は十分果たしてきました。

もし、26日にロマチェンコを撃破するようなことがあると、米国での存在感が一気に膨れ上がり、テオフィモとの再戦は避けられないでしょう。

「テオフィモvs中谷」実現で、再びトップランクが及び腰…となれば今度の競争入札は帝拳+フジテレビetc.の日本連合で競り落とせることができたら爽快です。

「村田vsGGG」「井上vsジョンリール・カシメロ」「中谷vsテオフィモ2」。東京ドームでは物足りません。



今の所、大晦日の国立競技場、空いてます。26日、バージンホテルから番狂わせの報が届いたら、即予約です!
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本当なら最も尊敬され、注目されるべきUndisputed Champion。

しかし、それも3団体時代まで。

4団体時代におけるUndisputed Championは、人気のない地味な実力派ボクサーがスター不在のやはり不人気階級で達成する〝日陰の大偉業〟に成り下がってしまいました。

ところが、どんなことにも例外はあります。

「アジア人は米国でスーパースターにななれない」という揺るがしがたい偏見から、誰もがわかりきっていてそんなジンクスすら存在しない「フライ級王者はウェルター級王者にはなれない」という鉄板の常識さえもひっくり返されるのがリングの現実です。

そして、シュガー・レイ・レナードがイタズラ心から手を出したスーパーミドル級もまた、米国と日本の2大市場では決して人気階級とは言えませんでした…。

しかし、カネロ・アルバレスが「168ポンドを主戦場とする」「ゴロフキンが私と戦いたいならここに上がって来い(168ではたぶん無理)」と〝スーパーミドル定住〟を匂わせていることから、一気に活気付いています。

「ジュニアバンタムが最も熱い」「17階級で最も注目すべきはライト級」…メガファイト、興業の巨大さを物差しにすると、そんなものは全部妄想です。

ジュニアバンタムやバンタムなど超軽量級では、商業的な意味でのビッグファイトはそもそも存在しません。

ライト級ですら一番人気のテオフィモ・ロペスが競争入札で390万ドルの報酬を約束されて大喜びしている階級ですが、超軽量級はそれすらも雲の上の上。

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エディ・レイノソが立ち上げた NO BOXING NO LIFE ブランド。帽子だけでなく、グローブなどギアも統一しています。変な詰め物してないか調べて欲しいです。


◉スーパーミドル級◉

メキシコ時代の象徴カネロ・アルバレスがリング誌/WBA/WBC/WBOとUndisputed Championに王手をかけているスーパーミドル級。

カラム・スミスに、今日のビリー・ジョー・サンダースと英国のトップ選手を力でネジ伏せたカネロに対して、最後のピースを握るIBF王者ケイレブ・プラントがどこまで抵抗できるでしょうか。



【可能性】カネロがシンコ・デ・マヨに並ぶメキシコのお祭り、9月の独立記念週間にIBF王者プラントとUndisputed Championを賭けて激突する公算が高くなりました。

これまでカネロ戦への態度を明確に示してこなかったプラントも、今回は完全統一がステイク、報酬も跳ね上がるでしょうから断る理由はどこにもありません。

今年中にUndisputed Championが生まれるのは、ほぼ確実です。

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【価値】スーパーミドル級で完全統一王者誕生となると、1983年の誕生以来38年の歴史で初めて。
 
欧州、特に英国で人気が高いクラスですが、カネロがUndisputed Championになると北米市場でもさらにホットなクラスになるのは間違いありません。

「ミドル級に戻るつもりはない」というように、ゲンナディ・ゴロフキンとの第3戦やミドル級の強豪と戦うとしても、舞台はスーパーミドルとなります。

スーパーミドルはスミスとサンダースという英国カードが消え、残るビッグネームはプラント、デビッド・ベナビデスくらい。

村田諒太が大晦日にGGGを撃破すれば、スーパーミドルに転向するのは当然です。

舞台はずっと東京ドームと思ってましたが、AT&Tスタジアムが良いですね、ドームよりでかい。360度アウエーの方が応援しがいがあります。

それに、何よりも、あの巨大スタジアムなら手が出せる金額のチケットが手に入りそうです。 
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全米屈指のキャパを誇るAT&Tスタジアムを埋めたのは7万3126人の大観衆。

1978年にモハメド・アリvsレオン・スピンクス第2戦(6万3350人)を1万人近くも更新する米国ボクシング史上最多記録をマークした、というアナウンスで始まったメガイベント。

パンデミックの影響をほとんど感じないスタジアム風景、羨ましい。
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WBO世界ジュニアフライ級タイトルマッチは王者エルウィン・ソトが高山勝成のねちっこいボクシングに、最終回のゴングを聞くことになりそうな展開でしたが、唐突な9ラウンド2分44秒ストップ。

レフェリーはテキサス州お抱えのローレンス・コールですから、何があっても驚くことではありませんが、37歳の高山を最後まで戦わせてあげて欲しかった。
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CompuBoxの数字では37歳の日本人が手数では圧倒していましたが…。

ローレンス・コールの唐突なストップに、王者エルウィン・ソトが一番ホッとしたことでしょう。

高山は準備期間がない中でしっかり仕上げてきました。初回の軽いピンチも簡単にすり抜けて、いつもの慌ただしい展開に持ち込んだのですが、最後はパンチをまとめられたところでコールが唐突にストップ。

BoxingNews24は8ラウンドまでを6-2!で高山リードとしてくれていましたが、これはちょっと日本人贔屓すぎます。私の採点では初回をソト減点1(ゴング後の打撃)で9-9のイーブンで、高山から見て2-5。

ストップのタイミングは残念でしたが、出来ることはやった満足感はあるんじゃないでしょうか?

24歳のメキシカンは穴王者ではありませんが、京口紘人にとって大きな脅威ではありません。マッチルームには是非、家内制マッチメイクを進めていただきたい。

判定に不満を示してシャドウボクシングを披露、まだまだ出来たとアピールした高山ですが…今後はどうするのでしょうか。

無理に進退を決める必要はないのですが…。

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試合後、インタビューが終わると恒例の「ビバ!メヒコ!」。非常にうざいです。東京ドームと思ってましたが、この巨大スタジアムで倒して欲しい。。。

リング誌WBA/WBCスーパーミドル級王者カネロ・アルバレスはWBO王者ビリー・ジョー・サンダースを8ラウンド終了TKOで勝利、完全統一まで残るベルトはIBFのケイレブ・プラントのみとなりました。

個人的には、6ラウンド折り返しのスコアは五分と見てました。サンダースは見せ場も作りましたが、カネロのパワーにねじ伏せられた格好です。
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8ラウンドまでのオフィシャルは77-75/78-74*2。ラウンドでは5-3/6-2*2。6ラウンドまでは3-3/4-2とサウスポーのサンダースが僅差判定に逃げ込む期待も十分でしたが…。

カネロは「168ポンドで完全統一を目指す」と、年内にプラント戦を計画しています。

カネロには、そろそろビッグパンチャーと戦って欲しいところですが、プラントですか。
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他のどのスポーツよりもトレーナーの存在がクローズアップされることもボクシングの面白さを深めてくれています。

ボクシングのトレーナーは、技術や戦略の「コーチ」というだけでなく、試合中に采配を振るう「監督」の性格も強いことが、その要因かもしれません。

レイ・アーセル、エディ・ファッチ、アンジェロ・ダンディ、ナチョ・ベリスタイン、エマヌエル・スチュワード、ブレンダン・イングル、フレディ・ローチ、ロベルト・ガルシア、アベル・サンチェス…。

思いつくままに並べてみても、偉大なトレーナーは明らかにその技術体系を哲学を超えて宗教的にまで性格づけています。

優れたボクサーは長いキャリアの中はもちろん、試合中でもスタイルを変えて戦うバーサティリティを持ち合わせています。

しかし、偉大なトレーナーは自らの哲学、宗教に対して頑固な一神教信者です。悪い意味で言うと、全く融通が利かない。

個人的な今のお気に入りは、月並みですがシュガーヒルとエディ・レイノソ。
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カネロ・アルバレスと自分を軽視する米国メディアに攻撃的だったエディ・レイノソでしたが、2019年に全米ボクシング記者協会とリング誌の年間最高トレーナーに選出されました。

レイノソは「メキシカンスタイル」という言葉を繰り返し使い、母国の伝統を遵守しているように見えますが、ディフェンスを優先徹底して教え込んむ〝二枚舌〟なトレーナーです。

彼の教え子はみな攻撃的に見えますが…。

そのキャリア全てに関わっているカネロ・アルバレスはもちろん、2年前から指導しているオスカル・バルデスにも最初に手をつけたのはディフェンスでした。

「メキシカンは打ち合いから逃げない。メキシカンスタイルは打撃戦だ。しかしそれは打ちつ打たれつや、肉を斬らせて骨を断つなんて破れかぶれ戦法ではない。メキシカンスタイルは我々が一方的に攻撃する打撃戦だ。メキシカンスタイルにおいて、最も重要なことは攻撃ではない」。

きわめて少ないサンプルながら、この指導法でダメになってるのはルイス・ネリくらいです。レイノソは「まだ教習中」と言いますが、いまのところ牙を抜かれた犬になってます。

実際のメキシカンスタイルが、レイノソの否定する「肉を切らせて骨を断つ」が本質であることはフリオ・セサール・チャベスから防御的とみられるファン・マヌエル・マルケスまで共通しています。

また、カネロがゲンナディ・ゴロフキン第1戦やダニエル・ジェイコブス戦で見せたように、対戦相手に危険な匂いを感じると躊躇なくディフェンスモードにスイッチし、12ラウンドをクルーズ、メキシコファンからブーイングを浴びています。

偉大なトレーナーは誰もがそうですが、レイノソもまた実にしたたかな一面を持っています。

そして、レイノソが使うテキストは、歴史に残るメキシコのグレート。
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ジョー・メデル、ヒルベルト・ローマン、マンティキーラ・ナポレス、フリオ・セサール・チャベス…彼らのビデオを何度も繰り返し見せるそうです。

メデル、ローマンを最初に挙げてくれているのが嬉しいじゃないですか!米国のファンはまず知らない名前です。しかも、二人とも〝メキシカンスタイル〟じゃない…。

「メデルのロープとリングの使い方、ローマンの身のこなしとコンビネーションは最高の教科書」。

さすがよくわかってらっしゃる。その通りです。
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Weigh-In!

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https://www.youtube.com/watch?v=-RQJzpoesPc&t=372s

テキサスの太陽がギラギラ照りつけるAT&Tスタジアム前広場での前日計量には、5000人を超える観客が詰めかけました。

明日は7万人前後の観客が巨大スタジアムを揺らすとみられています。パンデミックでなくても超弩級のメガファイトです。



この大舞台でアンダーカードをつとめるWBOジュニアフライ級12回戦。高山勝成は107.6ポンド、 エルウィン・ソトは107.8ポンドで一発クリア。

カネロ・アルバレス:167.4ポンド、 ビリー・ジョー・サンダース:167.8ポンド
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大勝負を前に、高山は普段通り落ち着いています。

テキサスでメキシコ人王者からタイトルを奪う。ミッション・インポシブルです。

オッズもその通り、高山勝利は7/1(8倍)、ソト1/14(1.071倍)。勝てばMassive Upset(大番狂わせ)の見出しが躍る明白なアンダードッグ。

高山のKO勝ちは13倍。ラウンドごとでは1〜12ラウンドまできれいに100倍が付いて、壮観です。ソトが消耗する終盤、一気に攻め落としましょう。
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あと3日に迫った今年一番のメガファイト。

カネロ・アルバレスvsビリー・ジョー・サンダース。

まだ「アンソニー ・ジョシュアvsタイソン・フューリー」という、温室育ちの赤毛も吹っ飛ぶカードが交渉中ですが、今年中に実現するでしょうか?
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カネロといえばAサイド、キャリア16年、58戦の中でBサイドに回ったのはフロイド・メイウェザー戦のみという純度100%の不純物なし、生粋の温室育ちです。

より人気のあるスター選手側の理不尽な要求が通るのは、このスポーツならではの恒例行事です。

多くの場合、Aサイドに都合の良いキャッチウェイトやリバウンド制限など体重管理に関することが多いのですが、今回はリングの広さで一悶着ありました。

カネロ陣営が18フィート=5.47m=四方、サンダース陣営が20フィート=6.1m=四方を希望、サンダースが「18フィートなんて電話ボックス、そんな試合やってられるか」と試合キャンセルまでほのめかしましたのです。

これまでに「20フィート」で何度か戦っているカネロは「ばからしい。優れたファイターはどんなリングにでもアジャストできる」と譲歩する姿勢を見せましたが、エディー・ハーンによると「サンダースは24フィート=7.32m=四方を要求している」と、リングの大きさで白熱の綱引き。

結局、22フィート=6.71m=四方に落ち着きます。

ちなみに、今回の興行を統括するテキサス州格闘技スポーツ・プログラム(Texas Combative Sports Program)の規定は「16フィート=4.88m=から24フィート」。

テキサス州の下限は、後楽園ホール(18フィート)よりも小さいことになります。

18フィートを「電話ボックス」と例えたサンダース。カネロが16フィートを突きつけていたら、何に例えてくれていたでしょうか?
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Aサイドの要求が多岐に渡った例としては、1987年の「マーベラス・マービン・ハグラーvsシュガー・レイ・レナード」の史上最大のメガファイト(当時)がすぐに思い浮かびます。

12ラウンド制、リングの広さ、カンバスの硬さ、ロープの緩み…。

しかし、あのTHE SUPER FIGHTで使用されたグローブはなんとレイジェスでした。
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リング誌2014年8月号「Lessons of GLOVE−GATE」より「世界5大メーカーの特徴」。
 
グローブにまつわるAサイドの要求とトラブルでは、フロイド・メイウェザーとマルコス・マイダナの〝グローブ・ゲート〟事件も有名です。


キャッチウェイトなど体重で縛りをかけた試合はワンサイドになりやすいが、ギアで一悶着あった試合はクロスゲームになる…なんてことが言われていますが、はてさて今回のケースはどうなるでしょうか?
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シュガーヒルが「サンダースに勝機はある。ただしボクシングをしようとしてはダメ。KOを狙うんだ」と、いつもの逆張りを見せてくれました。

いいですねえ〜、シュガーヒル。全く独断と偏見ですが、21世紀で最も魅力的なトレーナーです。

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There is nothing else to do. You can outbox someone for ten or 12 rounds and the decision goes the other way still because it’s somebody else’s opinion and decision. 

KOしかない。KOでなければ、勝ったつもりでも、公式判定では負けなんてことが当たり前に起きる。他人に勝敗を委ねるのが判定だ。勝利は自分の拳で掴み取るもの、それにはKOしかない!

「遠くの星を目指してロケットを打ち上げれば、ちょっと足りなくても月には着陸できる。ビリー・ジョー、自分を安売りするんじゃないぜ」。

いいわぁ〜。

「タイソン・フューリー」 で世界を驚かせた実績がありますから、適当なこと言いやがってとなりません。

ただ、フューリーじゃなくてサンダースなんですよね…。馬鹿PFPキングのサンダース。
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5月からまたホテル暮らし…。ですが、お仕事がいくつかキャンセルになって今日は自宅で事足りるホームワーク。

1ヶ月料金だからもったいない気もしますが、東京のど真ん中だというのに、夜8時で街が死ぬところにはなるべくいたくないです。

それに昨日、ときどき野球やら勉強やらの面倒見てるバカ中学生の親御さんからお魚をもらったので、早く食わねば!酒も飲まねば!というわけです。
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ほうぼう(竹麦魚/魴鮄)のお刺身。薄桃色の白身魚。プリプリ歯ごたえがあって、甘みも旨みもある、日本酒とのマッチメイクが最強の肴でやんす。



それにしても、米国メディア(もちろんボクシング専門)は週末のカネロ・アルバレスとビリー・ジョー・サンダースのメガファイト一色です。

リング誌も英国ボクシングニューズ誌も、揃いも揃って…。しかし、どれもが面白い内容で充実してるから、これまた悔しい…。

悔しいけど、ESPNから。。。

How to beat Canelo Alvarez?Easier said than done

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カネロ・アルバレスに勝つなんて、そんなことが可能だろうか?

もちろん、カネロは一度敗北したことがある。そればかりか、何度かクロスゲームも強いられた。大きなトラブルに見舞われたこともある。

ただ、今のカネロは、あの時のカネロではない。

唯一の敗北はユナニマスデジションで敗れたフロイド・メイウェザー戦(ESPNの間違い、実際は0-2のマジョリティデジション)だが、それはもう8年も前の出来事だ。

そのあとも、エリスランディ・ララやゲンナディ・ゴロフキンときわどい試合を繰り広げている。メイウェザー戦前にもオースティン・トラウトには随分苦労した。

さて、今のカネロを倒す方法などあるのだろうか?


♠️ティモシー・ブラッドリー:ESPN解説委員 生涯マニー・パッキャオにしか負けなかったJr.ウェルター&ウェルター2階級制覇王者

最初にはっきりさせておかねばならないのは、カネロは進化してるということ。

キャリア初期からカネロはカウンターパンチャーだったが、進化の過程で獰猛なファイターの顔を見せてきた。そして、重要なことはそれにもかかわらず、ディフェンス能力も大きく成長していることだ。

一貫して成長を続ける中でも、メイウェザー戦からは多くを学んだ。メイウェザーをコピーすることでディフェンスの本質を掴んだのだろう。

クロスレンジでも有効な防御技術と、階級最強の攻撃力は対戦相手を焦らせ、ミスを誘い、致命的な状況に追い込んでいく。正対したクロスレンジでは、カネロの最大の武器ボディショットがいつでも打てる。

しかし、カネロが正面に立って退路を塞ぐプレッシャーをかけてくるのは、足が重いから。長い距離で戦うにはカネロのフットワークは遅い。そしてそもそものフレームが短い。

トラウトやメイウェザー、ララはカネロのプレッシャーを分断し、重くて遅い足を露呈させた。

カネロのプレッシャーを分断し、クロスレンジで正面に立たない。これをやるのに、サンダースのスタイルはぴったりだ。

ただし、カネロはいつも最高の状態に仕上げてくる。そう、サンダースとは違って。サンダースにもチャンスはある。しかし、それはベストコンディションでリングに上がるのが大前提。

カネロはサンダースの非力さを確かめたら、被弾のリスクをいとわずにKO狙いで攻めてくるだろう。




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♠️フレディ・ローチ:マニー・パッキャオのトレーナー 2012年殿堂入り

サンダースは間違いのない距離を取らなければならない。

これは攻撃のためだ。回転力のあるパンチを打ち込める距離を保つことが、勝利への鍵になる。

手数でカネロを後手後手に回すこと。カウンターアタックのチャンスを与えてはいけない。

カネロは動きが鈍い。じっと構えると強いが、忙しい展開になって動き回ると攻撃力は落ちる。カネロを下がらせたら、それは勝利のサインだ。

これを実行するにはひとつ条件がある。サンダースが生涯最高のコンディションでリングに上がることだ。



♠️テディ・アトラス トレーナー、解説者 「ザ・ファイト オブ テディ・アトラス」主催。

倒せないファイターなど存在しない。カネロも例外ではない。

確かに良いファイターで、今なお進化している。素晴らしいワインが熟成するように。

カネロが最強に見える最大の原因は、彼のチームの対戦相手の選び方だ。

アンドレ・ウォードならメイウェザーよりも楽にカネロを料理するだろう。チャーロ兄弟にもチャンスはある。デビッド・ベナビデスにだって。

ライトヘビー級でもアルトゥール・ベテルビエフやディミトリー・ビボルが相手なら、オッズは不利になるだろう。

カネロを倒すのに空飛ぶスーパーマンになる必要はない。

ただ、サンダースはカネロにとって難しい相手にはならない。ケイレブ・プラントもそうだろう。二人ともカネロのプレッシャーにクロスレンジで長い時間を戦い、ボディーを晒してしまうだろう。
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SATURDAY, MAY 8Arlington, Texas (DAZN)
 
super middleweights (for Canelo’s Ring/WBA/WBC and Saunders’ WBO titles)


 junior flyweights (for Soto’s WBO title)
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高山勝成の2階級制覇と、カネロ・アルバレスの団体統一戦まで1週間を切りました。

注目のメインイベントはカネロ・アルバレスvsビリー・ジョー・サンダースのスーパーミドル級タイトルマッチ。

現代ボクシング最高のスーパースター、カネロは2月27日、アブニ・イルディリムを相手に防衛戦を片付けてから〝中69日〟の短いインタバルでリングに戻ってきました。

年2回のお勤めを定着させてしまった フロイド・メイウェザーとマニー・パッキャオに比べると、戦うスーパースター・カネロはこのパンデミック下で12月19日(カラム・スミス戦)から138日で3試合目。

1ヶ月半で1試合というハイペース、これは素晴らしいことです。

ボクサー本人だけの責任とはいえませんが、井上尚弥や村田諒太は「コロナだから仕方ない」じゃなく、スターとしてファンに見えるように旗を振って欲しいものです。
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契約解除が簡単じゃないのはわかりますが、今後はあの糞プロモーターには日本のエースは預けちゃダメです。

さて、ゴールデンボーイ・プロモーションズに三行半を叩きつけてフリーとなったカネロが向か討つのは、村田諒太もターゲットにしていた〝フェザーの拳を持つミドル級〟サンダース。

WBOバージョンのミドル級とスーパーミドルの2階級制覇を達成した無敗のブリテンです。

30戦全勝ながら、わずか14KOという非力さが目を引きますが、もっと特徴的なのは最大の勝利がデビッド・レミュー相手に起こした番狂わせの金星だけ、という地味さです。

帝拳と村田が真っ先に照準を合わせるのも無理はありません。

劣化版のレミューやマーティン・マレーは、スピードがあってつかみどころのないボクシングに幻惑されましたが、今がプライムタイムのカネロ相手ではノックアウトされないで試合終了のゴングを聞くのが精一杯かもしれません。

互角なのは、カネロが30歳、ビリー31歳という年齢くらい。

そういえば、家庭内暴力を推奨するような内容の動画をアップするなど低脳な行為も重ね、リング誌から馬鹿PFP1位と認定されていました。

今日のオッズはカネロ1/6(1.17倍)、サンダース9/2(5.5倍)。カネロのKO勝利は10/11(1.9倍)。

大方の予想も、カネロが中盤以降に試合を終わらせると見ています。馬鹿PFPキングに頑張って欲しいところですが…ダメかな。
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