カテゴリ: 茶番劇は茶番劇

このお話の中では、老害といっても誰か個人のことではありません。

国家でも団体でも、歴史や時代から何も学ばないのであれば、それが「老害」です。

老害が蔓延る中で連綿と受け継がれてきたものは、悪き因習です。

もちろん、歴史や時代を学びながら育まれてきたものはおカネで買えない、誰にも奪うことも盗むことも出来ない財産です。

ボクシングが他の格闘技から尊敬されているのは、そんな財産があるからです。

しかし、その意味を考えずに財産を浪費するのであれば、それは老害に他なりません。

歴史と格式は、誰かが奪うことも盗むこともできません。

しかし、その持ち主が浪費し食い潰すことは、よくある話です。

ジャニーズも、宝塚も、日大フェニックスも、誰にも侵害されない歴史と格式を持っていました。



他の話に合流します。

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奥渋谷で仕事関係の方と二人で飲み。




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DAZNで配信中の「22YEARS」で、中田英寿がかつてのチームメイト、フランシスコ・トッティと対談、「カネがサッカーをダメにしている」と語りました。

「残念ながらビジネスを中心に全てが回っている」(トッティ)。

「サッカービジネスはますます盛況で、高額報酬でサウジアラビアに行く選手もいる。これではもはやスポーツではない」(中田)。





魔裟斗がブレイキングダウンを「日本の格闘技は不良の人とかヤンキーとかが輝く時代になってしまった。そうなっちゃうと格闘技の未来がなくなるね。裾野が萎んじゃうね」「せっかく俺とかが格闘技をスポーツに持って行って、格闘技の裾を広げたのに、(格闘技が)不良のヤンチャなものになってしまうと、親が子供にやらせたくないからね」と非難したのも、結局同じことです。


より優れた技術を持つ者が評価され、強い者が勝つのではなく、勝った者が強い、非常にわかりやすい世界、それがスポーツであるべきです。

より優れた技術の持ち主と、勝者が評価、つまり注目と賞賛と大きな報酬を獲得できるべきなのです。

しかし、プロスポーツはそんな綺麗事が通る世界ではありません。




競技レベルと報酬(注目度)が正比例しないのはボクシングも同じです。競技レベルの指標の一つPFPと、報酬がどれだけ倒錯しているのかを一目見れば明らかです。

井上尚弥が数週間で陥落したPFP1位に2年間も君臨したローマン・ゴンサレスは、世界評価という点では傑出した軽量級ファイターでしたが、その注目度と報酬は実力とは不釣り合いなもののまま。PFP圏外のカネロ・アルバレスの100分の1以下レベルの報酬に甘んじていました。


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ボクシングを含めた格闘技界で最も大きな興行となったのは「フロイド・メイウェザーvsマニー・パッキャオ」(2015年5月2日)、ピークを過ぎた二人のじゃれ合いでした。

そして2番目は「メイウェザーvsコナー・マクレガー」の正真正銘の茶番劇。

3番目が「メイウェザーvsアルバレス」。

メイウェザーの試合がジュニアウェルター級までのスペクタクルは影を潜め、退屈なものに成り下がっていたにも関わらず、品性下劣なマネーのキャラクター作りに成功したウェルター級〜ジュニアミドル級バージョンで商業的に大きな成功を収めたこと、日本でも「曙vsボブ・サップ」が大きな関心を呼んだことを考えると、格闘技が興味を引き起こす最大のフックは野次馬を刺激する茶番劇性なのかもしれません。

興行規模を「両者のファイトマネー」までフォーカスすると、1位はまさにサウジアラビアが招致した「タイソン・フューリーvsフランス・ガヌー」という見方もあります。


中田とトッティの発言にしても、彼らの時代に〝サウジアラビア〟が存在していなかっただけで、当時のサッカーも「ビジネスを中心にして回っていました」。

セリエAに最初に挑戦した記者会見で「日本のスポンサーに関する質問は一切禁止」という狭い度量を見せてしまった中田こそ、そのことを誰よりもわかっていたはずなのですが…。
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世界最大のスポーツメディアESPNのボクシングコーナー。この10年ですっかり貧相になってしまいました。

ESPNは長らく業務提携してきたトップランクとの契約で注目されています。

来月92歳になるのボブ・アラムが存命のうちは関係を保つと見られていますが、ボクシングの商品価値がどんどん低下する中、いつ打ち切りを決断するのか?

ボクシング事業に乗り出しているネット配信も新規契約者の獲得や宣伝広告が目的で、メガファイトは定期視聴料に上乗せされるPPVで提供しているのが現状です。

結局、衰退スポーツのボクシングは儲からないのです。

無料で配信されることが多い日本の場合は、宣伝広告の色合いがより濃厚でビジネスとして成立していないと考えて差し支えないでしょう。

ネット配信企業の市場淘汰が完了すると、宣伝広告の意味合いは低くなり、高額のPPVを課金したり、ボクシングから撤退することも十分考えられます。

HBO、そしてSHOWTIMEときて、次にボクシングから見切りをつけるのは順番からしてESPNです…。

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さて、ESPNのそんな貧相なボクシングコーナーの「Boxing real or not〜その噂は本当か?」から、二つのお題をピックアップ。

一つ目は「Real or not: Naoya Inoue will become the second men's boxing two-division undisputed champion」(井上尚弥は2階級でUndisputed championになれるか?)。

結論は「スティーブン・フルトンを粉砕したよりも手っ取り早く仕事を終わらせるだろう」。

そして、二つ目はこの「井上」記事よりも先に掲載されている「Real or not: Bam Rodriguez-Sunny Edwards has a chance to win 2023 fight of the year」(バム・ロドリゲスとサニー・エドワーズの勝者に2023 Fight Of The Yearの可能性はあるか?)。

…はあ?来月16日にアリゾナ州で行われるフライ級のIBFとWBOのフライ級団体王座統一戦。悪いカードではありませんが、こんな試合の勝者がFight Of The Yearになってはいけません。

Fight Of The Yearはテレンス・クロフォードでほぼ決まりでしょうが、対抗馬は井上でしょう。

間違ってもバムはあり得ません。

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ソーキそば、着丼。時々無性にすすりたくなります。

そして無性に沖縄に行きたくなります。
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スポーツは、技術の優劣で階層が分かれたピラミッドで構成されています。

そして、上に行けば行くほど、注目度と尊敬と報酬が跳ね上がっていくのが当然の良識です…が、現実はそうではありません。

もちろん、人気が注目と報酬に反映されるプロである限り、当然は良識になりえません。

それでも、ボクシングは特に米国において末期症状を呈しています。

最も集客力のあるファイターはカネロ・アルバレス、次いでライアン・ガルシアで、彼らがそのポジションを得ている大きな要因はメキシカン・アイドルだからです。

軽量級という難しいクラスで奮闘している井上尚弥が米国でほとんど無視された存在であるのは、ある程度納得できるとはいえ、人気階級であるはずのテレンス・クロフォードやオレクサンデル・ウシクまでが実力評価に見合った人気は獲得出来ていない現実には違和感しか感じません。

クロフォードやウシクがメキシカンや日本人なら、もっと特別な評価と人気を集めていたでしょう。

もちろん、その出自が人気を大きく左右するのは今に始まったことではありませんが、それにしても現状は酷すぎます。クロフォードに至っては人気階級の米国人というのに…。



前置きが長くなりました。

まだ見ていない、おそらく見ることもない試合について何かを語るのは憚られますが、スポーツにおける良識のピラミッドをふざけながら崩す行為が茶番劇です。

もちろん、モハメド・アリやフューリーのような特異なキャラクター、つまりプロスポーツのもう一つの醍醐味にまで良識を押し付けるのか、という問題にはここでは一旦距離を置きます。


PUNCHESFURYNGANNOU
Total landed7159
Total thrown223231
Percent32%26%
Jabs landed3922
Jabs thrown137115
Percent29%19%
Power landed3237
Power thrown86116
Percent37%32%


やってもいいんです。これまでも茶番劇はどの時代でも行われてきました。

ただ、そこにクロフォードやウシクを遥かに上回る注目や報酬が用意される現実は、そのスポーツが滅亡する前兆にしか思えません。もう、ボクシングはある意味で、滅亡してますが。

年末に「内定」と伝えられていたフューリーとウシクのUndisputed Championshipはどうなるのでしょうか?

The deal to fight Usyk for the undisputed championship, what was set to be a rare meeting of heavyweights on the pound-for-pound list.

〝弱者救済ランキング〟としての性格が色濃いPFPは、最強者のヘビー級を冷遇してきました。

フューリーとウシクは、滅多に見られないヘビー級のPFP対決。そのサイズ差、スタイル、非常に興味深い激突になるはずです。

その注目のメガファイトが流れてしまうとしたら、非常に残念ですが、望みはこの内定試合がサウジアラビア開催ということ。

勝者・敗者共に再戦権利を持つ条項が盛り込まれた契約で、2試合ともサウジアラビア開催。とんでもない報酬がまた用意されるのですから、フューリーも応じる可能性大です。

それにしても、サウジ…。
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午後から紀尾井町のホテルで打ち合わせ。その前に少し早い昼休み。ワンタンメンでも。
着丼まで一気に書き殴ります。


今週末、サウジアラビアでタイソン・フューリーとフランシス・ガヌーが異種格闘技戦を行います。




For generations, it was a hypothetical question. But that is no longer the case, and hasn't been for years. Before Fury vs. Ngannou, we had Floyd Mayweather vs. Conor McGregor. Before that, we had Muhammad Ali vs. Antonio Inoki. A boxer was Royce Gracie's first opponent way back at UFC 1. And the Octagon later welcomed three-division world champion boxer James Toney.

最強の格闘技は何なのか?それは誰もが答えを欲しがる想像の質問だった。しかし、ここ数年、競技の枠を超えた戦いが繰り広げられ、想像の世界は現実になっている。

「フューリーvsガヌー」までにも「フロイド・メイウェザーvsコナー・マクレガー」が大きな注目を集め、さらに時代を遡るとモハメド・アリはアントニオ猪木と戦っている。

全ての始まり「The Beginning UFC1」で優勝したホイス・グレイシーの最初の対戦相手もボクサーだった。(ESPN)

https://fushiananome.blog.jp/archives/20038248.html



 

1963年12月2日 ユタ州ソルトレイクシティ 
フェアグラウンズ・スタジアム

ジーン・ルベルvsマイロ・サベイジ


〝異種格闘技戦〟に世界最高の技術が激突することはなく、それは常に茶番劇でしかありえません。

そこに渦巻いているのは、下劣な野次馬的興味だけです。

「アリと猪木」の13年も前に、三文小説家ジム・ベックが "The Judo Bums"(柔道なんて弱い)というふざけた記事を書き、欧米で神秘的な幻想と共に語られることが多い柔道や空手の使い手がボクサーに勝つことが出来たら1000ドルの賞金を用意しました。

この異種格闘技戦に手を挙げたのが米国柔道選手権優勝の経験を持つジーン・ルベル。のちにロンダ・ラウジーを育てる柔道家です。

ルベルは格闘家であるだけでなく、映画やドラマでスタントマンなどもつとめていた〝目立ちたがり屋〟でした。

日本の格闘技ファンもその名は知らなくても、その姿は15ラウンド、45分間も目に焼き付けているはずです。そうです、「アリvs猪木」をさばいたレフェリーです。

対戦相手のボクサーは引退したばかりのミドル級ボクサー、マイロ・サベイジ。50勝(25KO)46敗10分の凡庸なキャリアを持つサベイジはソルトレイクシティでは名前の知れたプロボクサーでしたが、39歳になっていました。

ルベルは背負い投げでサベイジをカンバスに叩きつけると、サブミッションでボクサーを締め上げます。

何が起きているのか、何が起こったのか、誰もわかりませんでした。

ルベルが立ち上がり、サベイジが死体のように転がって全く動かないのを見て、ボクサーが失神していることがようやくわかりました。

人を失神させることが出来るのは、ボクサーのパンチや打撃だけ。そう信じられていた時代です。

寝転がって揉み合ってるうちに相手を気絶させるなんて、考えられません。スタジアムに詰めかけた観客は「こんなの八百長だ!」「柔道はやはり魔法だ!」と大騒ぎになります。

サブミッションなど見たことも聞いたこともないのですから当然です。

しかし、「The Beginning UFC1」でホイスが優勝する30年も前に、柔道・柔術こそ最も強い格闘技である可能性が、確かに提示されていたのでした。

それでも、米国の片田舎で行われた39歳の引退ボクサーと、怪しい柔道家の真剣勝負かどうかもわからない見せ物に、総合格闘技の発芽を見出すことは誰も出来ませんでした。




フューリーvsガヌー。

ボクシングvs総合格闘技なら勝敗の帰結は明らかですが、この試合はガヌーが一度も公式戦を戦ったことがないボクシングルールに則って行われます。

オッズはフューリー勝利が1/14(1.07倍)、ガヌー7/1(8倍)。

もちろん、スポーツとしての意味はありませんが、巨大な商業規模の他に、この異種格闘技戦に何か意味を見出すことが出来るのでしょうか?





思いつくままに書き連ねてるうちに、着丼でござる。

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現役の世界ヘビー級Linealチャンピオンが、ボクシングルールとはいえ〝異種格闘技戦〟のリングに上がる。

前代未聞。…と言いたいところですが、47年前の1976年(昭和51年)6月26日 に日本武道館で挙行された、あの試合がありました。

日本時間10月29日、サウジアラビアのリヤドで世界ヘビー級Linealチャンピオンのタイソン・フューリーと、元UFCヘビー級王者フランシス・ガヌーがボクシングルールで対決します。

オッズを紹介する気も湧いてきません…。



ラスベガスではウェルター級の完全統一戦よりも、136ポンド・キャッチウェイトのにアイドルメキシカンと、そこまで人気のない犯罪者ガーボンタ・デービスの対決の方が大きな興行になる時代です。もう、何にも驚いたり、戸惑ってはいけないということです。

「もうボクシングは死んだ」(HBO)のなら、商売優先だけを追求するのも当然かもしれません。

だったら、日本でも奇数ラウンドをボクシング、偶数ラウンドをキックで「井上尚弥vs那須川天心」なんて、タパレスとかネリとかよりも、遥かに大きな話題を巻き起こして最高の盛り上がりになるでしょう。

しかし、日本のスポーツファンはそんなものは全く望んでいないはずです。その点で、まだ、日本は正気なのかもしれません。
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来年大会が第100回の記念大会となる箱根駅伝。

節目の年を記念して、関東学連に所属していない日本学連所属の大学でも予選会に出場できる〝門戸開放〟が行われます。

しかし、これは100回大会限定で、101回大会からは関東学連所属の大学オンリーに戻すことが明らかになりました。

本来なら関東学連主催の地方大会の箱根駅伝を全国開放するのはおかしな話です。

しかし、地方の箱根駅伝の方が、全日本大学駅伝よりもあらゆる意味で遥かにメジャーだという現実が横たわっているのです。

関東学連管轄外の大学生ランナーにとって「注目度の高い箱根駅伝を全国開放して欲しい」というのは悲願です。

しかし、ここにもう一つの現実が立ち塞がっています。

30年ほど前まで、大学スポーツの中でラグビー、野球に大きく後塵を拝していた箱根駅伝は日本テレビのマーケティングによって大学スポーツのNo.1イベントにまで登り詰めました。

このメジャー化が、競技レベルの驚異的な向上に繋がったのは当然です。

今回の予選会で関東学連傘下の大学以外が本戦出場を果たせるのか?これについては、すでに多くの関係者が断言しているように100%不可能」です。

競技レベルが違いすぎるのです。「選抜チームを結成しても難しい」とも言われるほどの厳しさです。

これが30年前なら中京大や近畿大、京産大なら十分チャンスがあったでしょう。

しかし、今ではノーチャンス。

これが第100回大会限定でなければ、地方大学も箱根を目指す中長期ビジョンに取り組めます。

関東2部でパッとしなかった青山学院大が強豪校になったように、関関同立などブランド力と資金力のある大学なら〝青学パターン〟で箱根の常連校、強豪校になる可能性は十分です。

ちなみに青学は今も2部校、箱根に特化した長距離だけが異様に強い陸上部です。

箱根駅伝が突出した人気を博している現状を見ると、この大会を全国に格上げして、主催団体も日本学連にするのが学生ランナーや駅伝ファンにとってベストの選択に思えます。

ただ、これに首を縦に振れないのが関東学連です。

大学No.1スポーツに育て上げたのは自分たちだという自負があるでしょうし、自分たちの努力で作ったものを、横取りされるのは我慢ができないのもわかります。

お前らは「全日本」の看板があるんだから、そっちを箱根よりも魅力的な大会にする努力をしろ、というのも正論に聞こえます。

しかし、関東学連は営利を追及する民間企業ではありません。日本学連も商売上のライバルではなく、日本の陸上を盛り上げる仲間です。

「恒常的な全国開放」が、日本とまでは言わなくても、関東の学生ランナーにとっても良いと考えられないのであれば、その理由をしっかり説明すべきです。

大迫傑の「箱根はとんでもないカネを生み出しているのに、どこへ行った?」という疑問も当然です。

箱根駅伝はどこまで変質するのでしょうか?
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フロイド・メイウェザーが日本時間の今日26日、ロンドンで総合格闘家のアーロン・チャルマーズとエキシビションを行いました。

今回は、リング誌もESPNも〝本誌〟では扱いませんでした。

2018年に那須川天心、2021年にローガン・ポール、2022年にはドン・ムーア、朝倉未来、デジ・オラトゥンジと、茶番劇はこれで6試合目(ネバダ州アスレティック・コミッションが公認したコナー・マクレガー戦も数えると7試合目)。

日本で開催した2試合を除くと、世界的な注目度は過去最低でした。

メイウェザーのエキシビション商法は、このままジリ貧を辿ると思われます。




タイソン・フューリーと、フランシス・ガヌーのオープンフィンガーグローブによるボクシングマッチならマクレガー戦だけでなく、マニー・パッキャオ戦も上回る格闘技史上最大の興行になる可能性もあります。

エキシビション商法が廃れたというよりも、メイウェザーブランドに錆がついてきたという方が正確かもしれません。

ただ、いずれにしてもこのビジネスは〝焼畑農業〟です。

メイウェザーはエキシビションのリングでは、1ミクロンのレガシーも積み上げていません。貯金を取り崩していくような行為ですから、注目度がジリ貧になるのは当たり前。

「フューリーvsガヌー」 も、ボクシングと総合格闘技の最強階級の巨人が 撃墜する、つまり2人の看板を燃やして灰にする作業です。

ボクシングファンの1人としては、メイウェザーはメイウェザーのままで幸せに暮らして欲しいと願っていますが…。 
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「最もニューヨークらしい絵」と専門家に絶賛されていたピート・モンドリアンの抽象画「New York City1」が、長い間逆さまで展示されてきたそうです。 1941年に製作され、1945年にMoMaに展示されたときから逆さまにされて77年、名だたる美術専門家が「最もニューヨークらしい芸術」と絶賛してきた作品。

ドイツの出張展示会の際に現地のキュレーターが指摘したもので、そのキュレーターの評価は急騰、MoMaは面目丸つぶれです。


このシリーズでも散々書いてきましたが、専門家評価ほどいい加減なものはありません。

中学美術の教科書でダ・ビンチの「最後の晩餐」に「暗い未来を暗示して霞んだ色彩で描かれている」という説明がありました。

しかし、その後「長年にわたって付着、積み重なった塵の下から、食器などの鮮やかな絵が現れた」というニュースが世界中を駆け巡ります。

専門家の中でも美術・芸術分野ほどいい加減なものはありません。


…そろそろ、本題のボクシングの専門家の話といきますかな。
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ボクシングでは、ウェルター級に上がってからKOシーンをほとんど見せられなかった非力なフロイド・メイウェザーさん。

 最後の6年間10試合でKOをマークしたのは、ジョー・コルテスがよそ見したすきに、無防備のビクター・オルチスの顔面に思いっきりワンツーを叩き込んだ、ジス・イズ・メイウェザーさんなちょっと卑怯なノックアウトでした。



ボクシングでは、そんなやり方でしかKO出来ない、ウェルター級(66㎏)であっぷあっぷだったメイウェザーさんが、体重制限なしの〝無差別級〟で、ライトヘビー級(75㎏)の朝倉未来を右のショートフック一発でノックアウトしたのです!

スゲェな、メイウェザーさん!

贅肉が目立つとはいえ、メイウェザーさんの体重はせいぜいミドル級(72㎏)でしょうから、3㎏近くも重い「路上の伝説」と戦ったのです!

もう一度言います。スゲェな、メイウェザーさん!

ボクシング時代は姑息なキャッチウェイトや、契約破りで、自分に有利な体重を全身全霊をかけて追求していた、あのセコすぎるメイウェザーさんが、なんと正々堂々と、どころか圧倒的不利な無差別級のリングに上がったのです!

ボクシングでは卑怯なやり方でオルティスを倒すのが精一杯だった、そんなメイウェザーさんが、コナー・マクレガー(公式戦)、神童、路上の伝説を余裕でKOしているのです!

ウェルター級でも非力だったメイウェザーさんが、無差別級に乗り込んでKO勝利!

同一人物とは思えません!

何度でも言います。スゲェな、メイウェザーさん!

引退してからのディフェンス勘の衰えは目も当てられませんが、ボクシングでは、あんなにつまらない試合しかできなかったメイウェザーさんが一撃で試合を決めるKOパンチャーに変身したのですから!

もっと言わせてください。スゲェな、メイウェザーさん!

マクレガーはもちろん神童や路上の伝説にまでパンチをもらうのが心配ですが、あの〝触れなば落ちる〟打たれ弱いアンドレ・ベルトすら倒せなかったメイウェザーさんがワンパンチ・フィニッシャーに変身して大活躍している姿は、ボクシングファンの1人として頼もしいの一言に尽きます。

ただ、自慢の防御が素人目にもあちこち破綻しているのがやはり心配です。ボクシングに復帰したらジャーメル・チャーロ相手だと、2ラウンド開始ゴングを聞けないんじゃないでしょうか。

ボクシング復帰だけは、絶対にやめてください。

今のメイウェザーさんでは、地域タイトルも獲れません。ボクシング復帰したら殺されちゃいます。

なにしろ、ボクシングのリングなんて「神童」も「路上の伝説」もいないつまらない場所ですから。

もちろん、全くKO出来ない苦手のボクシング・リングに、あの賢明なメイウェザーさんが戻ることはありえません。 

ボクサー時代はBoo!(つまんねえぞ!カネ返せ!)、Zzz・・・(寝れない時に見ると副作用ゼロの最高の睡眠薬)と、散々罵倒されてきたメイウェザーさんでしたが、それは嫌われることまで計算した周到なセルフプロデュースでした。

しかし、本音は「ちょっとくらいは褒めてもらいたい」という思いが少しはあったのかもしれません。

その意味で、メイウェザーさんはついに〝約束の地〟に辿り着きました。

現役時代とは見る影もなく鈍重で、防御技術も崩壊してしまったメイウェザーさんですが、日本や中東では誰もBoo!したり、Zzz・・・したりしません。

それどころか、中東や日本では大歓迎を受け、純粋な尊敬と賞賛を浴び、大金を稼げるのです。

「ドバイ、最高!」「日本、最高!」とマイクを持てば、Boo!やZzz・・・ではなく大歓声が湧き起こるのです。






バカ中学生どもから「みんなで見よう!」と見せられた「超RIZIN」。

「格闘技が好き」という中学生のお父さんが、試合前に投げ出された花束を拾ったメイウェザーさんに感動、褒めてくれていたのも、素直に嬉しかったです。

ただ、あの場面「ここで花束を蹴ったり、掴み上げてプレゼンターに叩きつけて良いものかどうか?」という戸惑いの表情が浮かんでいました。

あれは紳士的な対応などではなく、エンターテイナーとしての迷いが露呈した、メイウェザーさんには珍しいミスだと思います。

WWEなどで見せたパフォーマンスをここでもやっていいのか?その逡巡がダメでした。RIZINはプロレスなのに。

子供たちが「メイウェザー、スゲェ!」とテレビの前で歓声をあげるのが、素直に嬉しかったです。

私もそう思います。スゲェな、メイウェザーさん!

ボクシングファンからは「KOしてみろ!」とBoo!やZzz・・・されてたメイウェザーさんなのに、寛容な格闘技ファンの方々は純度100%で絶賛してくれるのです。

それもそのはず、当たり前です。

ボクサー時代はチキンと揶揄されたメイウェザーさん、フェザー級上がりのファン・マヌエル・マルケスにさえビビってトドメを刺せなかったメイウェザーさん、そんなメイウェザーさんがキャッチウエイトも使わず、緩んだ肉体とぐずぐずのL字ガード、見る影もなノロノロの足運びでも、熱い勇気だけを胸に抱いて、自分より大きい「路上の伝説」に立ち向かって行ったのです!

なんと勇敢な男でしょうか!

路伝を前にしてもメイウェザーさんの表情からは恐怖が全く読み取れません。

ボクサー時代は下唇を震わせて、ビビりながら相手にタッチするのが精一杯だったというのに!

何度も言うしかありません。スゲェな、メイウェザーさん!



あの路伝をたったの一発で破壊するのですから、グラスジョーのベルトや軽量級のマルケスごときは本気を出していれば簡単にノックアウトできたはずです。

そうです、メイウェザーさんはボクシングでは本気を出していなかっただけなのです。

パンチではなくタッチと馬鹿にされ「蚊に刺された方が痛い」とマルコス・マイダナに嘲笑されたメイウェザーさんの拳が、今では一打必倒の破壊力を秘めた恐怖のパンチに変貌したのです!

今のメイウェザーさんなら、路伝を破壊した強打でマイダナごときブエノスアイレスまでふっ飛ばしていたでしょう。

多くの対戦相手から逃げていた、あのメイウェザーさんが贅肉と勇気を胴体にまとい、劣化しまくりのL字ガードだけで勇敢に路伝に立ち向かってゆく姿は、究極の感動です。

こんな大感動を創造してくれたメイウェザーさんはイグ・ノーベル賞ものです。イグ・ノーベル賞は渡航費まで本人持ちですが、そんなのメイウェザーさんにはハシタ金です。



最後にもう一度言わせてください。スゲェな、メイウェザーさん!



なにわともあれ。ボクシングファンとして、幸せそうなメイウェザーさんを確認できる幸運にあずかれて、嬉しかったです。

スゲェな、メイウェザーさん!

…あ、これで最後です。
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