カテゴリ: オッズを蹴散らせ!大番狂わせを巻き起こせ!

「アマプラLive Boxing 第6弾」に続いて、またまた見逃してしまいました。

今日見逃したのは、大阪国際女子マラソン。

昨年10月のパリ五輪パリ選考大会、MGCで7位に沈んだ、生まれも育ちも阪神地区の前田穂南が「アレを目指す」と背水の陣で臨んだリベンジレース。

3ヶ月で2度目のマラソンにも疲れを見せず、2時間18分59秒の日本記録を叩き出しました。

従来の記録は2005年に野口みずきがマークした2時間19分12秒(ベルリン)で、19年間凍りついていた女子マラソンの時計の針を再び動かしました。

世界記録はティギスト・アセファが昨年9月にマークした2時間11分53秒で、その差は7分以上、距離にして2km以上も先です。

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大昔に市民マラソン大会で優勝した時にいただいた副賞。


高橋尚子が2001年9月に2時間19分46秒の世界記録を樹立したとき、日本は間違いなく世界のフロントランナーでした。

しかし、2001年10月にキャサリン・ヌデレバが2時間18分47秒で走り、高橋の記録を約1分も短縮。さらに、2003年4月にはポーラ・ラドクリフが2時間15分25秒と世界記録を大幅に更新。

世界との差は4分30秒にまで広がりましたが、2004年アテネ五輪では野口が25kmすぎに大勝負のロングスパートを仕掛けて、ラドクリフとヌデレバを撃破、見事金メダルに輝き、世界最強を証明しました。

その野口の記録が18年ぶりに更新されたのです。

野口に思い出されるのは、常識はずれの練習量とプロ意識の高さです。

特に後者は引退して高橋にあったときに、泣いて謝ったというエピソード。

野口は、高橋の活躍に「女子でもあそこまで注目されて尊敬される存在になれるのか」と感動、大きなモチベーションとしますが「憧れていては追いつけないし、追い越せない」と、その思いを心のずっと奥底に封印します。

どこかで聞いた言葉ですが、イチローや大谷翔平に言われるまでもなく、野口は自分で自分を律したのでした。

そのことで、偉大な先輩に対して不遜な態度をとってしまったであろうこと、不愉快な思いをさせてしまったかもしれないことを「本当はずっと憧れていました」と、謝ったのでした。

心理的な限界を緩める〝後出し〟が圧倒的に有利なタイムスポーツ、厚底シューズに代表されるギアの飛躍的な向上、そんな時代や環境を抜きにしても、前田の日本記録更新はマラソン暗黒時代に飛び出した一筋の光明です。

しかし、男子では慣れっこになった「優勝じゃないけど日本記録」に一抹の寂しさを覚えてしまうのは、贅沢すぎるのでしょうか?

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リバーダンスを初めて見たのは1998年だったか。

ある日、仕事関係で「アイルランドのダンスミュージックで凄いのがやって来る」と、フジテレビのスタジオで行われるプロモーションに誘われたのでした。

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すでに欧州ではブームを巻き起こし、米国では1996年にラジオシティ・ミュージックホール(16年後の2012年にリゴンドーvsドネアが行われた会場です)で火蓋を切った公演が大きな反響を呼んでいた独創的なパフォーマンス。

しかし、私は欧州の古典芸能には全く興味がなく、オペラを見ても1時間も耐えられない野蛮人なので「アイリッシュダンスなんて生理的に受け付けない体質なので」と、お断りしたのですが、「間違いなく君にもわかる」と、「猿でもわかる」みたいに言われて説き伏せられたのでした。

50人も入れば満杯の小さなスタジオで、約20分程度のパフォーマンス。

映画大好き人間の私ですが、ミュージカルまでならギリセーフという、非常に低い芸術的ハードルしか持ち合わせていませんでした。しかし、そんな小さなハードルは文字通りに蹴り飛ばされました。

格闘技のような、ど迫力の舞踊でした。アイルランドのオーラを発散させるコナー・マクレガーやバリー・マクギガンのような青い炎の闘争心が、轟々と燃えていました。

ダンスミュージックというにはあまりにも物語性に富み、古典とはかけ離れたダンサーの傑出した身体能力、ダンスパフォーマンスと呼ぶには激しすぎる音楽の波状攻撃に感動しました。

そして、翌年から日本ツアーを展開、ちょっとした話題になりましたから、ご存知の方も多いのでは?



https://www.hipjpn.co.jp/live/riverdance2024/

このリバーダンスが産声をあげたのは、1994年、ヨーロッパ最大の音楽祭ユーロビジョンソングコンテスト。

ホスト国となったアイルランドのTVプロデューサー=モイヤ・ドハティーが幕間の穴埋めとして作った8分間の余興が、リバーダンスでした。

そう、余興だったのです。ディナーなら前菜、舞台なら格下芸人の前説、ボクシングならアンダーカードの末席です。

その8分間が終わったとき、客席は誰も拍手せずに静まり返っていました。ドハティーやダンサーたちは「何も伝わらなかったのか?」と不安になりましたが、それは観客がスタンディングオベーションを送るために席を立つための一瞬の間に過ぎませんでした。

「素晴らしい!」という絶賛と「なんじゃ、こりゃあ!」という衝撃が激しく入り混じった拍手喝采。

余興のリバーダンスが、欧州から選りすぐられた作品を圧倒してしまいました。リングではありませんが、彼らはステージ上のマニー・パッキャオ、Massive Upset、大番狂せを起こしたのです。



私が偏愛する大番狂せのストーリーを持つリバーダンスが、9年ぶり7度目の来日公演を果たします。
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スポーツを楽しむ最大の前提は、平和、平穏です。

平和ボケ、万歳、です。

そうはいっても、世の中は悲しい出来事に溢れているんですが。


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昨日の箱根駅伝往路、なかなか見ることが出来ない大番狂せでした。

ボクシングとマラソン・長距離走は、本当の意味での大番狂せが少ないスポーツです。

多くの〝大番狂せ〟はラッキーパンチや、不測のブレーキ、アクシデントによってもたらされます。

アクシデントがなければ、大番狂せは起きません。

至極、当たり前のことですが、アクシデントがなければ、大番狂せは起きません…そのはずです。

その意味ではアクシデントがなかった大番狂せは、大番狂せと呼ぶべきではありません。

何度も大番狂せを起こしたマニー〝パックマン〟パッキャオも、本当は一度も番狂せなど起こしていないのです。



そして、昨日。圧倒的優勝候補だった駒澤大に明らかなアクシデントがなかったにもかかわらず、下馬評を引っくり返した青学大は勝つべくして勝ったのです。

勝負事、しかも駅伝で油断は起きにくいはずですで、駒澤大も最悪のケースを想定し、追いかける展開も覚悟していたはずです。

しかし「後手に回ったとき、選手に動揺が走った」(藤田敦史監督)というのは、学生三大駅伝5連勝中の王者のプライドが裏目に出たのかもしれません。


正月から全身全霊を捧げて走る舞台がある、幸せな大学生を見ていると、こっちも幸せをお裾分けいただいた気分になります。

がんばれ。
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The Japanese underdog landed the cleaner punches and out-worked Ebanie Bridges to upset the defending IBF bantamweight champion


WBCジュニアウェルター級王者レジス・プログレイスと、ライト級の完全統一王者デビン・ヘイニーのアンダーカードで、日本人女子が大番狂せを起こしました。

IBFバンタム級王者エバニー・ブリッジスの防衛戦の相手が怪我でキャンセル、元WBOジュニアバンタム級王者・吉田実代にオファーが届いたのは試合の2週間前。

突然のオファーに吉田は「準備期間がない」ではなく「私は幸運だ」と喜んだそうです。

初回からペースを握った35歳の日本人は、そのまま10ラウンドを押し切って3−0(99ー91*2/97−93)で勝利。100−90でも良い内容でした



舞台となったのは、サンフランシスコのチェイスセンター。キャパ2万人の第アリーナです。



「こんな奴には負けられない」なんて言っちゃいけないか…。


吉田は2年前に三迫ジムとの契約を解除、ディベラ・エンターテインメントと契約し、活動拠点を米国に移していました。

直前のオファーに圧倒的不利の予想を跳ね返しての大番狂せ。

パッキャオを彷彿させるショック・ザ・ワールドでした。
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動画配信を前提に制作された〝映画〟が増え、優秀な作品はアカデミー賞にノミネートされる時代になりました。

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ついには「副音声だけまるごと公開」↑なんて作品まで。

ロードショーを観るときは、なるべく情報を少なくして観ている映画ファンからすると驚くしかない、斬新な楽しみ方です。

スマホやテレビなどで見る〝動画〟〝映像〟は、そもそも〝映画〟ではありえないのですから、並べて語ること、驚くことの方が間違っているのでしょう。

スクリーンに映し出される映画が芸術で、動画配信で流される〝映画〟は邪道だなんて思いません。

映画も最初は、小説や歌劇、演劇などに劣る下級の娯楽と見下げられていたのですから。


問答無用の下剋上が進んでいるのは、何もリングの上だけではありません。

少し寂しい気もしますが、非常に面白い時代を生きることができているのです。

悪い話じゃありません。
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瞬間最大風速で語ると、田中将大の24勝0敗や、佐々木朗希の13者連続を含む19奪三振を取っての完全試合は、21世紀のNPBの中で特別な光を放っています。

しかし、彼らと同じように山本由伸も、私たちが2人目を見ることが出来ない投手でしょう。

3年連続投手四冠。瞬間最大風速ではなく、3シーズンにわたってこれほどの成績を収める投手は歴史上、山本しかいません。

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そんな歴史に残る名投手を、タイガースはなぜ粉砕できたのでしょうか。

もっと突き詰めると、山本はこれで日本Sは4戦先発して勝ち星なし。どうして「普段どおり」の実力を発揮できないのでしょうか。

〝番狂せ〟の類型に当てはめると【Overestimation and Underestimation】。

世間の山本への天井知らずの評価に、岡田は「難攻不落ゆうても6つも負けてるやん」と口を尖らせました。そして、だらしない歴史を迷走してきた超人気球団への過小評価。

しかし、それだけではありません。

ど素人が簡単に分析できる話ではありませんが、タイガースは「日本シリーズ初戦、相手は山本で普段どうりになんて、いかんよ」(岡田)と〝緊急事態〟と捉えていたのに対して、おそらく山本は「普段どおりのピッチングをしたら大丈夫」という意識があったのではないでしょうか。

「予祝」までして優勝を意識しまくり、開幕から歴史的な連敗を喫して沈んだ昨シーズンのタイガース。

今年は「アレ」と漢字二文字の目標意識をカタカナ2文字のオブラートにくるみ、日本シリーズになると「普段どおりにはいかんよ」。

リーグ三連覇、昨年の日本一、史上初の3年連続四冠投手…成功体験に彩られたバファローズ側が「普段どおり」から逸脱する理由は、探す方が超難題です。

一方で、タイガースという最も特殊なチームで現役時代を送り、2005年の日本シリーズでこれ以下はないという悪夢を見せつけられた岡田は「過剰な意識」や「普段通り」が地獄への罠であることを思い知らされてきました。

同じ関西のチーム。甲子園と京セラドームは電車で30分あまり、車で20分ちょっとの距離。しかし、両者の歴史、染みついた文化、そして何よりも現在のチームの性格は全く異なります。

先制点は渡邉諒のポテンヒット、初戦はタイガースに運もありました。山本が先発したバファローズに8−0で勝つなんて、とんでもない番狂せ、超常現象です。

昨夜の〝番狂せ〟で「普段どおりにはいかんよ」が「普段どおり」に勝ったと決めつけるのは早計です。

「普段どおりにはいかんよ」は弱者の戦略、「普段どおり」は強者のそれです。

まだ、7分の1しか終わってません。昨夜の8点は1点も持ち込めずに、今夜は0−0からのプレーボールです。1勝1敗になったら、タイではなく空気は逆転してしまうでしょう。

そして、何よりも史上初の3年連続四冠投手はもう一度マウンドに上がるはずです。


それにしても、タイガース。あれほどの大勝を収めても、ファンですら猜疑心を拭いきれない、ある意味恐ろしいチームです。
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タイガースが山本由伸を6回途中6失点でKO、マウンドを引き摺り下ろす…。

そんな日本シリーズ初戦を誰が予想できたでしょうか。

スポーツの世界では何が起きても不思議ではありません。

もちろん、リングの中でも何でも何が起きても不思議ではありません。

というわけで、これまでも何度か書いてきたはず?のリングの中の大番狂せ、その類型を改めて確認します。




【Because He is The SuperStar〜スーパースターのスーパースターたる所以】
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最も感動的な番狂せはスーパースターの格にひれ伏せさせて頂くことです。

リアルタイムで見ることはできませんでしたが、モハメド・アリの初戴冠(ソニー・リストン戦)、キンシャサの奇跡(ジョージ・フォアマンせん)は「アリが殺される」と、勝ち目のない戦いと決めつけられていました。

シュガー・レイ・レナードが実質5年のブランクを乗り越えて挑んだThe Super Fight (マービン・ハグラー戦)も「1体1のリンチ。全盛期のレナードでも勝てない」と見られていました。

WBCフライ級のストラップを大番狂せ(チャチャイ・ダッチボーイジム戦)で獲ったマニー・パッキャオが、8階級上のウエルター級でThe Dream Macth(オスカー・デラホーヤ戦)のリングに上がったとき「大きな事故が起きたらネバダ州アスレティック・コミッションは責任が取れるのか」と糾弾されました。



【End of His Era〜そして一つの時代が幕を閉じる】

アリもレナードもパッキャオも、番狂せを起こしただけでなく、晩年には番狂せを喰らってリングを去りました。

ソニー・ボーイ・ハロがPFP7位のポンサクレック・ウォンジョンカムをKOしたのは、タイの伝説がキャリア晩年を深めて劣化しながらも、勝ち続けることで評価は上昇し続けるという〝番狂せの時限爆弾〟がタイムアップした瞬間でした。



【Puncher’s Chance〜1発強打は全てを清算する】

グラスジョーと同時に起きる番狂せ。

ホルヘ・リナレスやウラジミール・クリチコらは、思わぬ伏兵に足元をすくわれ、Upset Of The Yearの敗者という不名誉なリストに名前を刻んでしまいました。

石田順裕をパンチャーと定義する是非はともかく、MGMグランドガーデンアリーナを揺るがしたジェームス・カークランド戦も、このカテゴリーの番狂せです。



【Overestimation and Underestimation〜絶対王者は誰に勝ったのか?】
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マイク・タイソンの東京ショッカー(バスター・ダグラス戦)。長谷川穂積とフェルナンド・モンティエル。アンソニー・ジョシュアとアンディ・ルイスJr.。

最高評価のチャンピオンが撃沈されたとき、多くの人の頭によぎるのは「ところでタイソンは誰に勝ったんだ?」という思いです。

ロイド・ハニーガンがドン・カリーをストップしたときも、世界中のボクシングファンが掌を返しました。



【Weight -class’s Pitfall〜3ポンドの差でチョコレートは溶解する】

優れたライトヘビー級王者は凡庸なヘビー級に駆逐される〜古くからの格言にある「階級の壁」です。

シーサケット・ソールンビサイに連敗したローマン・ゴンサレスは、非力で装甲が薄く見え、バンタム級までは破壊的だったノニト・ドネアは、ジュニアフェザー、フェザーで完全武装解除を強いられました。

広義の意味では、ヘビー級からライトヘビー級に戻って無惨なKO負けを繰り返したロイ・ジョーンズJr.も階級の壁に苦しんだのかもしれません。
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WBAインターコンチネンタル・ジュニアウェルター級タイトルマッチ

王者ジャック・カテロール、挑戦者ホルへ・リナレス、ともにリミット一杯の140ポンドで前日計量をクリア。

38歳のリナレス、仕上がってます。30歳、今が全盛期のカテロールも気合い満々。

エディー・ハーンは「英国にとっては苦い思い出をたくさん作ってきたレジェンド」とリナレスを紹介。「直近2試合で連敗しているのは、準備不足のままロシアで戦ったから。彼はまだこの階級のトップファイター」。

リナレスは正確には3連敗。2018年5月のワシル・ロマチェンコ戦から数えると8戦3勝5敗。5敗のうち三つがKO負け。ベネズエラのゴールデンボーイにキャリアの終焉が迫っているのは間違いありません。

そして、リナレスは140ポンド級で戦うのはこの試合が初めて。

いつものことながら、ハーンは「嘘をつく、嘘を重ねる」というプロモーターの仕事に忠実です。

そのハーンはこの試合の勝者を、12月9日に行われるWBCジュニアウェルター級王者レジス・プログレイスとデビン・ヘイニーにぶつける計画です。

さらに、ライアン・ガルシアとのビッグファイトの可能性もあると口にしていますが、これは〝プロモーターの仕事〟

現在のオッズはカテロールの勝利が1/9(1.11倍)、リナレス11/2(6.5倍)。立ち上がりから英国人が圧倒的有利と見られていた試合、その旗色はますます濃くなる一方です。

軽いクラスでも打たれ弱かったリナレスが、初の140ポンドでカテロールのパンチに耐えることは出来ないーーー常識とハーンの台本にはそう書いていますが、そうはならないのがボクシングのリングです。



さて、今回の舞台はキャパ1万人のリバプール・アリーナ。見やすそうなアリーナです、行ったことないけど。

アンダーカードには140ポンド史上屈指の人気者リッキー・ハットンの息子で13戦全勝無敗のキャンベル・ハットンも登場、偉大な父親と同じ10ストーン(140ポンド)級のリングに上がります。

ジュニアウエルター級(63.5kg)の試合が3試合盛り込まれた明日のイベントでは、英国以外ではなかなか耳にできない「テンストーン!」のアナウンスコールが聞けそうです。

日本は完全に「kg」単位に毒されてしまい、尺貫法に愛着を感じている人なんてほとんどいないでしょうが、尺貫法なら100斤級(60kg)が人気クラスになりそうです。
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Saturday 21, October 2023
  
Echo Arena, Liverpool, Merseyside, United Kingdom
commissionBritish Boxing Board of Control
promoterEddie Hearn (Matchroom Boxing)
matchmakerTom Dallas
 media:DAZN


ホルヘ・リナレス

フェザー級、ジュニアライト級、ライト級でアルファベット団体のストラップをピックアップ。オスカー・ラリオス、ケビン・ミッチェル、アンソニー・クロラ、ルーク・キャンベルらから勝利を収め、ワシル・ロマチェンコとマディソン・スクエア・ガーデン(シアター)で激闘を繰り広げたベネズエラのゴールデンボーイ。

もし、ホルヘ・リナレスが日本人だったら、欧米の人気階級に果敢に挑戦するその姿に、日本のボクシングファンに超軽量級とは違う新鮮な感動を与えていたでしょう。

そして、アウエイをサーキットするサーカスライフを送る必要もなかったでしょう。

ロマチェンコとの大一番も、ニューヨークではなく日本で開催され、「村田諒太vsゲンナジー・ゴロフキン」の先駆けになっていたはずです。

そのロマチェンコ戦から5年。リナレスは、8試合しかリングに上がっていません。その星勘定は3勝5敗、現在3連敗中です。

ロシアのRCCボクシング・プロモーションズと契約したことも試合枯れの原因ですが、最も良い条件を提示してくれたのがRCCだったということです。



38歳になったリナレスと対決するのは、ジョシュ・テイラーとの激闘で名前を挙げた30歳のジャック・カテロール。

実績十分、英国でも知名度の高いリナレスは、カテロールにとってホームに設置された格好の踏み台と考えられています。

あのリナレスをKOして、テイラーとの再戦へ。あるいは、テオフィモ・ロペスとのさらなるビッグファイトに。

オッズは「事実上のジュニアウェルター級 Undisputed Champion」カテロールが1/8(1.125倍)。リナレスが5/1(6倍)。

大番狂せが起きると、リナレスがカテロールから奪うのはWBAインターコンチのベルトだけではありません。マッチルームが描いたビッグファイト行きの切符を勝ち獲ることになります。



そして。リナレスがもう一度日本のリングに上がる、そんな日がいつか訪れるでしょうか?
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稀代のロードウォリアー、ジョンリール・カシメロが10月12日、ついに日本のリングに上がります。

クアドロアラスは、2007年にデビュー。

①母国フィリピンを皮切りに②アルゼンチン、③メキシコ、④南アフリカ、⑤パナマ、⑥タイ、⑦中国、⑧イギリス、⑨米国、⑩韓国と10カ国をサーキット、日本が11カ国目のリング、アウエーはちょうど10カ国目となります。

ロードウォリアーに主戦場はありません。

フロイド・メイウェザーはその全てのキャリアを母国米国の中で収めました。母国に十分な需要があったこと、日本など富裕国が誘致するには世界的な知名度、インパクトがヘビー級のスーパースターと比べると弱かったからです。

カシメロの〝先輩〟マニー・パッキャオは軽量級でありながらメキシコのライバルに恵まれ、大番狂せを繰り返しながら、米国で最も大きな需要を抱えるウエルター級まで進出、ラスベガスを主戦場にしましたが、パックマンのケースは非常にレアです。


カシメロの3階級制覇が軽量級ではなく、欧米で認知されるライト級をからめて成し遂げられていたなら、彼はロードウォリアーになる必要はありませんでした。ワシル・ロマチェンコやゲンナジー・ゴロフキンのように。

それを言い出すと井上尚弥も全く同じで、フライやバンタム、フェザーではなく、ライト級以上だったら、それこそ信者たちの「もう日本では見れなくなる」という幻覚は現実になっていたでしょう。

軽量級では世界的なビッグネームなど存在するはずもなく、だから「日本が好きなようにできる」(村田諒太)のです。しかし、それゆえに井上尚弥に相応しいダンスパートナーを探すのは至難の業になっています。

昨夜、数少ない有力なパートナー候補の1人がほぼ脱落してしまいました。

那須川天心が成長・進化するには、まだ時間がかかるでしょうし、〝そこ〟に辿り着く前に興味を消失させるような敗北を喫するかも知れません。

そう考えると、当面はルイス・ネリやムロジョン・アフマダリエフ、そしてカシメロのような日本のボクシングファンには名前が知られた海外の実力者しか候補者は見当たらないことになります。

その中でもカシメロは実力とキャラクター共に、最高のカード。

〝トップランカー〟カシメロが12日に拳を交えるのは小國以載

東洋レベルでは十分な実力を発揮、ジョナタン・グスマンからIBFジュニアフェザーのストラップも奪っていますが、キャリア二つの敗北はいずれもサウスポーになすすべもなく敗れたもの。IBFタイトルも岩佐亮佑に6ラウンドTKOで明け渡しています。

カシメロはサウスポーではないものの、野生と変則のハイブリッド、小國にとって相性が良いとは到底思えません。

また、2020年以降1試合しか戦っていない実戦感覚、35歳という年齢も不安要素。カシメロの〝野生対策〟として比嘉大吾とのスパーリングを重ねていますが、決して良い内容ではないと伝えられています。

小國には失礼ですが、カシメロの豪快なKO劇が見れそうです。そして、勝利者インタビューでは井上への刺激的な挑発も聞けそうです。
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