フシ穴の眼 〜スポーツ疾風怒濤編〜

      Hope Lights Our Way / 希望の道を、つなごう。

カテゴリ: WBSS

2年前。

DAZNは「ボクシング界のビジネスモデルを変える」と宣言、米国ボクシングに〝参戦〟しました。

高額のPPVを購入して一部のマニアがメガファイトを観る時代は終わった。これからは月額わずか9.99ドルでこのスポーツを楽しむことができる時代になる。

しかし、DAZNが投資したボクシングの米国での立ち位置は正真正銘のニッチスポーツ。

カネロ・アルバレスとの11戦3億6500万ドル契約も馬鹿げて見えましたが、ゲンナディ・ゴロフキンと3年6試合を推定1億ドルで契約したことは「全試合カネロならまだしも、GGGの価値はカネロ以外の相手だと100万ドルがせいぜい。それほど人気がない」(HBO)というのが常識的な見方でした。

DAZNがこのビジネスに乗り出したのは2016年。「フロイド・メイウェザーvsマニー・パッキャオ」のビジネス面での余熱は十分すぎるほど残っていた時期です。「人気だけならメイパック以上」というカネロとの契約を急いだのは無理もなかったかもしれませんが…。
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さらに、実質経営破綻していたWBSSに投資したのもビジネスとしては大失敗でした。米国のテレビ局が揃って無視した、不人気階級で行われた超不人気トーナメントWBSSは発足当初から〝詐欺的手法〟で出資者を募り、選手を欺いてきました。

もちろん、ご存知の通りWBSSの「バンタム級」は「日本だけ」とはいえ例外的・局地的な大成功を収めましたが、それはDAZNの経営手腕が優れていたからではありません。DAZNはほとんど恩恵を受けることが出来ませんでした。
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そして、新型コロナのパンデミックで、DAZNが手がけるスポーツ界の試合は中止・延期に追い込まれてしまい、世界9カ国で視聴料の支払いは一時停止となります。

しかし、皮肉なことにこの状況がDAZNの短期的ながら収支決算を好転させます。

シンコデマヨに予定されていたカネロの試合、赤毛のメキシカンだけで4000万ドルの報酬を支払う契約を、とりあえずは履行する義務がなくなったのです。「カネロ戦は全てが赤字」と見られている中で、4000万ドル以上の支出を抑えることができたのです。

一方で 、2020年の年初で米国で約80万人とされた視聴者のほとんどがこの数ヶ月で契約解除したと見られています。DAZNは今年上半期の視聴者数の発表を見送っているので実数は不明ですが、公にできないレベルの数字ということでしょう。

DAZNが米国ビジネスをゼロから立て直さなければならない苦境に陥っているのは、100%間違いありません。 

ましてや、コロナ前ですら赤字コンテンツだったボクシング部門をどうするのかも注目です。

昨年、機関投資家のゴールドマン・サックス証券が5億ドルを出資するなど、DAZNがすぐに倒産する状況ではないとはいえ、ここまで失敗を重ねているボクシングビジネスへの取り組みに大きな決断を下す可能性はあります。

5億ドル。大金ですが、カネロと3億6500万ドル契約を結んだことが、いかに馬鹿げていたかもよく分かる数字です。

DAZN再生には、米国で思い通りに伸びなかった視聴者数を同じやり方で再獲得すののでは、また失敗を繰り返すだけです。

従来のリースナブルな月額と年額視聴料でなく、特別なイベントはPPVでの配信に集約する方針とも囁かれています。

2019年の「英語圏」でのDAZNの配信時間はサッカー、野球、モータースポーツ、アメフトでボクシングはサッカーの1割にも満たない5番手。

ボクシングにおいては、WBSSで唯一無二の成功である「11月7日のさいたまスーパーアリーナ」が世界中の視聴者のほぼ全てが集中した日本市場で独占放映権を獲得できず、日本以外では極端に関心が低かったため、全くその恩恵にあずかれませんでした。

また、人口13億4000万人を抱えるインドでは、デオンティ・ワイルダーvsタイソン・フューリーが、まさかの2000件の販売数にとどまりました。

カネロについては最低保障で4000万ドルをゴールデンボーイ・プロモーションズ(GBP)に、GBPがそのうちの3500万ドルをカネロに支払う流れになっていました。

GBPは残りの500万ドルとゲート収入から、対戦相手とアンダーカードの選手報酬、プロモーション費用を捻出するのですから、手元にはほとんど残らないでしょう。

カラム・スミスに提示した「500万ドル」は、この状況下でもDAZNが4000万ドルを支払うことを前提とした「これ以上譲歩できない」ギリギリの金額だったのです。 

しかし話しは逸れますが「アリ法」は素晴らしいですね。こういう金額も公表しなければならなくなりました。

さらに、ゲート収入がほとんど期待できないコロナ下で、GBPのエリック・ゴメスは「DAZNが支払いの大幅な減額を要求してきているのは一見、理解できる。しかし、現実にはコロナとは関係なしに非常に厳しい経営環境にあるのだろう。自分たちの経営失敗をコロナのせいにして大幅減額するなら話し合いの場は法廷になる」と冷めきっています。

GBPは、DAZNが米国で人気どころか認知もされていないWBSSに投資する際にも「米国の事情が全くわかっていない。WBSSの階級は米国で人気がないのが理解できていない。必ず失敗する」と警告していましたが…。

9月12日と日程だけが発表されているカネロの次戦ですが、7月26日現在でも対戦相手のアナウンスはありません。

景気の悪い話ですが、続きます。 
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ハッタリの賞金、選手の不満と告発、そしてスケジュール遅延が当たり前の運営、ビッグネーム不在の不人気階級で実施されたこともあり米国での関心が低く低空飛行が続いたワールド・ボクシング・スーパーシリーズ(WBSS)。

波乱満載のセカンドシーズンも、クルーザー級のWBO王者マイリス・ブリエディスvsIBF王者ユニエル・ドルティコス(3月21日:ラトビア リガ)でなんとか「ゴール」を迎えます。

ファーストシーズンは「クルーザー級」「スーパーミドル」、セカンドシーズンで「クルーザー」「ジュニアウェルター」「バンタム」の全5階級で展開。

「The Undisputed  Champion を決定するトーナメント」を標榜していましたが、完全統一王者はクルーザー級のオレクサンダー・ウシクだけしか生み出すことが出来ませんでした。

興行的にもファーストシーズンから空席が目立つ会場が多く、その傾向はセカンドでも加速してしまいます。

それでもサウジアラビアやDAZNが手を差し伸べたことで、破綻寸前の資金繰りを立て直しました。

「不人気階級」「スター選手は参加しない」という最初から両翼をもがれた形でキックオフしたにもかかわらず、「高額賞金トーナメント」を謳い、公言していた賞金総額5000万ドル、優勝賞金1000万ドルは一度も支払われることがありませんでした。

しかし、WBSSが仕掛けた5階級のうち1階級でUndisputed  Champion を決定させ、3階級で2団体統一王者を生み出した事実は十分評価できます。

そして「バンタムが不人気階級でない」経済大国の日本で「村田諒太に次ぐマネーパワーを持つ」井上尚弥の立場から見たWBSSは、両翼がもがれたトーナメントなどではなく、世界のボクシングマニアに名前を轟かせる飛躍の舞台になりました。

実際に「WBSSは日本で開催された2試合については画期的な大盛況、大成功」(リング誌)でした。

もちろん、「井上vsノニト・ドネア が名勝負になったのは結果論で、そもそもドネア(WBSS運営に関わるリチャード・シェーファーがマネジメント)が階級最強トーナメントへの参加資格を与えられるのが狂ってる」という批判は、まともなスポーツなら正鵠を射ています。

※その後、シェーファーは金銭面のトラブルから運営サイドから追放されています。

ドネアはジュニアフェザーとフェザーを迷走しながら直近3試合を1勝2敗。カール・フランプトンに完敗した時点で「ここで引退するのがベスト」と多くのメディアに書かれた当時36歳。

ドネアがバンタム級最強トーナメントに名前を連ねるのは誰が考えても違和感しかなく、実際に優勝オッズは参加選手中最低の50倍でした。

優勝候補の一角ライアン・バーネットに勝利しても最低オッズは変わらず、ゾラニ・テテとの準決勝でも圧倒的不利予想が立てられてしまいます。

テテの代役ステフォン・ヤング戦でやっと有利のオッズが出ますが、それも小差。無名の30歳を一発で倒したものの、完全にスピード負けしていた嫌な展開でした。

半年後の井上戦も悲惨な結果しか予想されませんでしたが…。

しかし、これがボクシングです。ドネアがトーナメントに組み込まれたことも含めて、他のスポーツではありえないことが普通に起きるのがボクシングです。

そして、もう一度繰り返しますが、WBSSは詐欺的トーナメントのダークサイド一色ではありませんでした。

特に、井上と日本のボクシングファンにとっては、間延びしまくりの杜撰なスケジュール以外は、十分に楽しめる実りあるトーナメントでした(最初に思い描いた報酬とはまったく違ったほとんどの選手は可哀想でしたが)。

これは、欧米では不人気の軽量級でも、日本や経済発展著しいアジアでは活路があるということです。

欧米目線では不人気のバンタム級でも、日本では堂々のビッグファイトなのです。

「今頃気づくな」という話ですが、バンタム級がメインで2万人以上の有料観戦者が埋まったさいたまスーパーアリーナの景観は欧米のボクシングファンはもちろん、メディアの度肝を抜きました。
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リング誌2月号でもWBSSを「総括」。見開きページはフルハウスの「たまアリ」。リング誌は「全てが順調というわけではなかったが、WBSSの理念〝世界王者は1人でなければならない〟には全面的に賛同する」と評価。

そして、カレ・ザワーランドは〝 I'll be looking at two weights 〟(とりあえずは2つの階級で考えている)と「サードシーズン」にも意欲を見せています。

「フライ級(112lb)とジュニアバンタム級(115lb)。それも今までとは趣向を変えてキャッチウェイトでの実施も考えている」というのです。

目に付けどころが良いですね。全試合を日本で開催したいでしょうね。ただ、そうなるとWBSSに主導・主催させて金儲けさせてあげる必要はないとも思えますが…。

「フライ+ジュニアバンタム・キャッチウェイト構想」の詳細は明らかではありませんが、例えば114lbのキャッチウェイトでフライ級とジュニアバンタム級のトップ選手を集めてモハメド・アリ杯を争うということでしょうか。

階級の異なる王者同士の戦いとなると、どちらのタイトルを賭けるのか複雑ですが、レナード式でどっちも賭けてもらいたいですね…。

もし、フライとジュニアバンタムの4団体王者が参加すると、優勝者は8つのアルファベットのベルトをコレクション、二つの階級で Undisputed  Champion の座に就くことになります。

ザワーランドはサードシーズンについて「フライ+ジュニアバンタムの他にも、ミドル級とヘビー級でも企画している」と言っちゃってますが、これはいつもの嘘ですね。言わなきゃいいのに…。
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WBSSは優勝者にモハメド・アリ杯を贈りますが、何故かWBCも「WBSS優勝ベルト」を売りつけてきました。

11月7日のさいたまスーパーアリーナでは、このベルトが見当たらず、皆様からもいろいろな情報をいただきました。ありがとうございます!
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▶︎拒否というか、それは拓真のベルトだから違うよって感じだったんじゃなかったでしたっけ?=ナジーム

▶︎最後はリングの外にいる関係者が持ってる様に見えますね。明らかにいらないって意思表示してるし。=またファン

▶︎試合後にザワーランドが尚弥に渡そうにしたけど、尚弥が受取りを拒否し、大橋ジム関係者が受け取っていた様に見えた=おやじーたん 

▶︎リング上で渡されそうになったけどイラネって拒否してたじゃん=うバーリ  

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WOWOWではわかりませんが、フジテレビでは井上尚弥が「これ拓真の」と口にしてるのをマイクがはっきり拾っています。あれは確かに暫定王者だった拓真のベルトです。

この画像も鮮明ではありませんが、国旗が縁取られた円内で「WBC」の位置が「WBSSベルト」なら中央部にあるはずなのに、尚弥が受け取らなかったものは明らかに下部にあります。

あれは拓真のベルトをWBSSのスタッフが間違えて尚弥に渡そうとしたのが真相です。本来ならリングに上げるベルトではないはずですが、何かの手違いでしょう。

となると、WBSSベルトの行方が気になるところですが、尚弥がリング上でアリ杯を受け取り腰にIBF、右肩にWBAセカンドとリング誌、左肩にWBAスーパーのベルトをかけたシーンでも見当たりません。

商魂たくましいWBCが作るのを忘れた、ということはないでしょうから、井上陣営が拒否したのでしょうか?

だとしたら英断です。無償ならまだしも、何の意味もないベルトです。

WBCが法外な金額をふっかけて、井上が拒否したなら痛快な話です。 
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WBSSの優勝者にはWBCからも特別ベルト「WBSS優勝ベルト」が贈呈されるはずなのですが、井上尚弥はそれを腰に巻いたのでしょうか?

私が目にした乏しい情報では見当たらなかったもので。

WBCベルトは日本人の世界チャンピオンベルトで50万円前後、ダイアモンドだと500万円で購入するのですが「WBSSベルト」もダイアモンド級と言われてました。

ダイアモンドベルトはパッキャオvsコットが始まりでしたが、試合前にパッキャオが「5万ドルもするなら買わない」と拒否。結局、WBCが無償で差し出したというその出自からして卑しいベルトです。
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WBSS優勝ベルト。モハメド・アリとホセ・スライマンの肖像を並べるこの醜悪なセンスには反吐が出ます。

そんな意味のない高額ベルトなんて要らん!と拒否したのか、WBSSの財政難でそれどころじゃなかったのか。

いずれにしても、あの軽量級史上に残るビッグイベントは井上もドネアも100万ドルの報酬では足りません、それほどの商業的成果を彼らはあげました。

日本も公表しましょう。おそらく、世界戦のリングに上がる多くの日本人選手よりも、穴王者や雑魚挑戦者のファイトマネーがびっくりするほど安すぎることから公表するのに逡巡してるんでしょうが、もはやそんな時代ではありません。
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◉井上自身はインタビューの中で『1ラウンドの出だしはよかった』、『2回に左フックでドネアをぐらつかせた段階で、早い決着になると感じていた』と管理人さんとまったく逆のコメントをしています 
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20191109-00000501-sanspo-fight 
管理人さん的にはこの井上のコメントにどれだけの信憑性があると思いますか? 
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前半6ラウンドは三者一致が一つもなく、後半6ラウンドは完全一致。ドネアは前半6ラウンド*3人=18の判定で15も失ったことが敗北に直結しました。


▶︎ボクサーはよく嘘をつきます。それは企業が粉飾決算するのに似ています。粉飾決算は重大な犯罪で、ボクサーの言葉はファンがいろいろ想像を巡らせる楽しみの一つですが。

しかし、井上の言葉は本音でしょう。

ただ、ボクサーの本音は時間とともに変質するものでもあります。

過去18戦の相手と何かが違うことは、相当早い段階で気づいていたはずです。体重を乗せた強打を見せつけることで、相手の警戒レベルをマックスまで引き上げてきた井上の常套手段が、ドネアには通用しない、と。

最初の力比べで少なくともリードでは負けてることは思い知ったはずです。

当たり前ですが最も効くのは強いパンチではありません。出所が見えないパンチです。「降りてきた」井上のワンツーに沈んだパヤノは出処どころか全て見えていませんでした。

木曜日の井上は11ラウンドにボディで36歳のフィリピーノを悶絶させましたが、あのパンチもフェイントからの一撃で「降りてきた」ものでも「見えない」パンチでもありません。

ドネアから見ると、井上のパンチは全て見えていたのです。そしてあの夜、井上には何も降りてきませんでした。



◉『その後にもらった左フックですべてが壊れた』、『ドネアが2人いるような状態が最終ラウンドまで続いてしまったので、やむを得ずに左を使ったポイントアウトという作戦に切り替えるしかなかった』と。 

どうやらこの時に眼窩底骨折をしていたようですね。 
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20191109-11090893-nksports-fight 

もし、この時に不用意に左フックをもらわずに骨折していなければ早い段階での井上勝利がありえたと思いますか? 

▶︎2ラウンド2分過ぎにもらった左フック。「不用意」「一瞬の油断」という表現もありましたが「左フックだけはもらわないように」 というのが唯一のドネア対策だったはずです。

それが、開始たった5分で破綻したのです。

かつて、長谷川穂積は「拍子木の音をゴングと勘違いした」と言い訳しました。 

井上も長谷川もそんな油断や勘違いは一度もしたことがないでしょう。ましてや序盤で。油断や勘違いではありません。二人は、モンティエルとドネアに追い込まれていたのです。 

あのとき、顎ではなく右目周辺にヒットしたのは、むしろ幸運だったのかもしれません。

とはいえ、試合後に傷を診たリングドクターは「筋肉まで達していても不思議じゃなかった。そうだったらもっと出血して診断で筋肉が見えた時点でストップ」と証言しています。

もちろん、一度もチェックが入らなかったことに、ドネアのロングカウント。おあいこです。
 

◉確かに「今」の井上は全盛期のドネアには及ばないと思います  ですが井上のピークが今であるとは限らないとも言えるのではないでしょうか 

個人的には、井上が「ここまで」のボクサーではなく、「ここから」のボクサーであってほしいという期待があるのですが、この期待がかなう可能性はどれくらいでしょうか?
2019-11-09 21:34:21 返信編集

またたび
114.157.221.149


▶︎経年劣化で喪失する「反射」「タイミング」「動体視力(動体視力トレーニングの数値は意味がありません)」「スピード」「パワー」、ドネアは最後に残るパワーを除く全てをとっくの昔に失っています。

「井上との対戦にモチベーションマックスで、ヤング戦から猛練習して全盛期に戻った」と本気で考えてる人はいないでしょう。ドネアの夏はとうの昔に終わっています。

そんな末期劣化ドネアに井上が明白に勝っていたのは、スピードだけです。 打たれ強いプレッシャーファイターのドネアと、まっすぐ下がることしかできない井上。相性も最悪でした。

全盛期のドネアと井上が対決したら…井上はドネアのガウンにも飲み込まれて簡単に粉砕されるのではないでしょうか。 

ドネアもそうですが、強打を食らって重傷を負った経験がその後のキャリアの糧になる、というのは甚だ疑問です。

ボクシングの練習で絶対やらないのはテンプルや耳の後ろ、顎をボディを鍛えるように強く叩かないことです。当たり前です。劣化を進める自殺行為です。

井上は勝ちました。その才能と26歳という年齢を考えると「ここまで」とは考えられません。

ただし、今回の「世代の決闘」。誰もが「ドネアにとって遅すぎた」と確信していましたが「井上にとって早すぎた」と言わざるをえません。さらに劣化が進んだバージョンのドネアに「パワー」と「プレッシャー」「接近戦」の授業をソフトに受けることができるのが、きっとベストでした。

井上のピークは「これから」かどうかはわかりません。「いろんなピークを持つ」パックメイやホプキンスのような妖怪は別にして、ボクサーのプライムタイム、頂点で戦える時間は非常に短いものです。

そして、残念ながら井上は妖怪ではありません。100%断言できます。彼は、才能のある日本人のボクサーの一人です。

10年後、井上尚弥の最高傑作を振り返ったとき1位がパヤノ戦、2位はナルバエス戦、3位がロドリゲス戦…と振り返ることがないよう願うばかりです。

バンタムにとどまる井上の「これから」に注目しましょう。
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How Inoue survived Round 9 and how Donaire survived Round 11 is anybody’s guess. They are true warriors.

リング誌:井上は9ラウンド、ドネアは11ラウンドの大ピンチを耐えて乗り越えて見せた。彼らは真の戦士だ。

フジテレビの解説陣は「ものすごい技術戦」と語っていましたが、意地と意地のぶつかり合いでした。

とにかく、間違いなくいい試合でした。


Naoya Inoue tops Nonito Donaire, signs with Top Rank

ESPN:ドネア戦の勝利が条件だったトップランクとの複数年契約を結んだ。2020年に米国でESPNが生中継する2試合を戦い、そのあと日本に戻る。

ボブ・アラムは「井上は日本ではスーパースターで、世界的にも史上最高選手の一人。米国にも日本のサポーターが押し寄せるはずだ」。

…?結局ジャパンマネー目当てかよ?


 
井上に批判的な記事も目につく米国ボクシングニューズ24は、117−109で井上勝利を支持してますが「井上は多くの欠陥を曝け出した」。「井上は打たれ弱い」とも指摘していますが、それは厳しすぎます。9ラウンドの大ピンチはよく生き延びたと思います。


英国ボクシングニューズ誌は、すぐ速報をだしてくれますが、さすがです。 軽量級の試合は井上vsドネアでもまだアップされていません。頭の中はジョシュアとアンディのことで一杯なんでしょう。

結構、興奮してるのに意外と報道が少なくて肩透かしですが、リング誌はこれからフルレポートが上がるようです。
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負けたわけではありませんが、ここから「ムーンショット」を目指せるのか?それとも…?

「オーバアリと統一戦」を表明しましたね。いきなり次戦はないでしょうが、あのフレンチもやりにくいと思いますが…。ジュニアフェザー進出はやめるべきでしょうから、バンタムでUndisputed Championを目指して欲しいです。

PFPランキングはどうなんですかね?

変わらない気もしますし、直下のオレクサンダー・ウシクは簡単にWBSSを制覇(それも完全統一王者)してますし、井上のランクが落ちなければ、ウシクのファンからしたら「はあ?」って感じですよね、多分。 

それにしても、面白い試合でした。ドネアはもちろん、井上もぶん回して、倒すことしか考えてない。世代対決、若者が出血、終盤にはボディが試合の大きなアクセントになる…伝説vs若き才能、 パッキャオvsサーマンの裏返しのような対決でしたが、内容は今夜の方が遥かに面白かったです。
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いい試合になって欲しい。

そう願っていたのは、そうはならないという確信の裏返しでした。 

フジテレビ系列のサンケイスポーツは「“黄金のバンタム”で世界最強を証明した。ファイティング原田、長谷川穂積、山中慎介など、伝説の王者たちが名を刻んだ中量級で、怪物が頂点に君臨した」と打ちましたが、お粗末すぎます。

日本をはじめアジアでもバンタムは軽量級。「黄金のバンタム」の使い方も、もうそろやめるべきです。誤解を招きすぎます。 

いい試合でした。ボクサーが経年劣化で喪失する5つの能力は、早い段階から順番に「反射」「タイミング」「動体視力(よく見る動体視力トレーニングの数値は関係ありません)」「スピード」。そして最後に「パワー」。

ドネアは間違いなく、今夜のリングに上がるずっと前に、とっくの昔に最初の4つを失っていました。最初の4つがまだ残っていたら、井上は12ラウンドのゴングを聞けなかったでしょう。

いいえ、最初の4つのうち何か一つでも残っていたら、井上は倒されていたでしょう。



この試合で井上は多くのものを学んだとは思いません。ボクシングは野球やサッカーとは違います。怖さを知ることは、多くの場合マイナスです。

井上はギリギリの戦いで生き残った、とも思えません。 

また、ドネアが強かったとも思いません。年齢を重ねたレジェンドが最後までパワーを失わないというのは、ボクシングの歴史が何度も教えてくれていますし、ドネアがそれを失っていないことも前戦で証明済でした。

私たちは今夜、さいたまスーパーアリーナで何を見たのか?何を学んだのか?…私は大阪のホテルで無理やり頼んだ大画面テレビでしたが…。 


①井上尚弥はモンスターではない。

試合開始ゴングですでに負けていました。「体があったまっていない序盤は慎重に」という以前の問題でした。スコアカードを付ける試合になると思い直しました。

ドネアの重さ、厚さ、打たれ強さが想像を遥かに超えるレベルであることに、鋭敏な嗅覚を持つ井上はすぐに気づいたでしょう。

「エマニュエル・ロドリゲスは気持ちが弱い」と一目で直感した井上は、自分を全く恐れないドネアに序盤で気圧されました。

今までの相手は井上をのパンチの交換を嫌ったり、ボクシングが途端に雑になりましたが、ドネアはパンチの交換に圧倒的な自信があることを1ラウンドで井上に伝えました。

2ラウンド、飲まれた井上の方が雑になります。ドネアの左右で何度か顔面を揺らされ、左フックでついに右目をカット。3ラウンドには鼻血も。

試合自体は一進一退、スピードで上回る井上がアドバンテージを持っているとも思われましたが、その余裕はありません。

井上がキャリア初めて重圧をかけられます。

戦前、ドネアは「井上の技術やスピードはリゴンドーよりずっと下、パワーはウォータースの方が遥かに上。私がリング上で井上について何か驚くことはない」と語っていましたが、その通りでした。

井上がモンスターに見えたのは、過去18戦の相手との相対比較ゆえでした。

鮮血に顔を染めてドネアのプレッシャーに下がり、大きくグラつくシーンも見せた井上は、今夜間違いなく魔法のガウンを脱がされました。



②井上の顎はガラス製でも鋼鉄製でもない。

ドネアは井上の印象を聞かれて真っ先に「井上は打たれ強かった。私のパンチにあれだけ耐えた相手はいない」と打たれ強さを挙げました。

今なおハードパンチャーとはいえ、反射もタイミングもスピードも喪失したドネアです。

ただ、井上の顎は想像以上に強かった。効かされたシーンは何度かありましたから、鋼鉄製とはいえないものの100点満点で60〜70点レベルのタフな顎を持っています。

ただし、顎には二種類あります。フリオ・セサール・チャベスのような永遠不滅の鋼鉄の顎と、ドン・カリーのように叩かれるたびに脆弱化する顎と。

いずれにしても、井上の顎はガラスではありませんが、鋼鉄でもありません。これからは、その顎をしっかり守らなければなりません。



③井上は、ドネアが跳ね返されたフェザーでは通用しない。

今夜の井上がドネアに上回っていたのはスピードだけでした。中盤から下肢を気にしていた原因はわかりませんが、試合前からの異常でなければ、長丁場に肉体が悲鳴を上げたからでしょう。

井上が強打者であることは間違いありませんが、それが際立って見えたのは間違いなく対戦相手の質が低く、思い切って重心を乗せて打てたからです。

長谷川穂積もネストール・ロチャのような相手にはとんどもない一撃をお見舞いできましたが、世界基準の相手や、より強靭なジュニアフェザーやフェザーの相手には体重を乗せたパンチは打てなくなりました。

リング誌のダグ・フィッシャーは「井上はファン・フランシスコ・エストラーダには勝てない」と見立てましたが、その根拠は「エストラーダはしっかり踏ん張ってパンチを打つには危険すぎるから」でした。

井上がドネア以外でバンタム級で戦ったのは、危篤状態のジェイミー・マクドネル、ファン・カルロス・パヤノ、エマニュエル・ロドリゲス。パヤノとロドリゲスはこの階級では強豪に数えて差し支えありませんが十分にテストされたかとなると、疑問です。

以前「疑問はない!」と断言してしまいましたが…。

そして、バンタムに疑問符がついた井上は、ガウンを脱いだ上に122ポンドではさらに厳しい戦いを強いられるでしょう。ましてやフェザーとなると…。



④それでも井上は今のバンタム級なら最強。

現在のバンタム級シーンは井上がIBFとWBAを統一。WBOがゾラニ・テテ、WBCが拓真を圧倒したノルディン・オーバアリ。

憎きルイス・ネリや、ジュニアバンタムの強豪など手強い相手が控えていますが、井上が推定階級最強であるのは間違いありません。

もちろん、今までのような圧倒的有利の予想もオッズも立たなくなりますし、ジュニアバンタムからエストラーダが上がってきたら不利予想も立つでしょう。


 
⑤ドネアは井上を追い詰めたが、だからといって他の強豪相手に有利とは見られない。

11ラウンドのダウンがなければ今夜の試合はスプリットデジション。あのダウンがなければ、最後の2ラウンドの展開が変わっていたとしたら2−1でドネアの目もありました。

ドネアは大健闘しました。公言通り「簡単には越えられない壁」になって見せました。

しかし、これからドネアがテテやオーバアリと戦うとなると普通に大きく不利の予想やオッズが立てられるでしょう。

今夜の試合でドネアの評価は変わりません。PFP4位を追い詰めたからPFP9位とか10位にはなりません。

変質したのは井上の評価です。今までまともに重圧をかけられたことがありませんでしたが、まっすぐに下がる癖が明らかになりました。ロドリゲス戦の一直線の後退は、余裕や誘いもあったかもしれませんが、今夜の正直なバックステップはおそらく修正できない欠点です。

そして、長らく指摘されてきたクロスレンジでの戦い方は厳しい、厳しいです。これからはインサイドでの打ち合いは回避していくスタイルを身につけるしかありません。



⑥井上にとって次の試合は、ここまでのキャリアで最も重要になる。慎重に選ばなければならない。

井上の次戦がどうなるのか。

今夜、私たちが見た井上は、全盛期から8年もたったボクサーのプレッシャーにまっすぐ下がって、スピード勝負で逃げ切ったサバイバーでした。

絶対的にいえることは、次の試合は今まで通りのパワーのないソフトな相手に戻るべきです。少なくとも1〜2試合はパワーヒッター厳禁です。

技術的にはネリは問題ないでしょうが、あの暴風雨に裸の王様状態の今の井上は危険極まりありません。今月末にジョン・リエル・カシメロを迎え撃つテテもありえません。


⑦ノニト・ドネアはもちろん、井上尚弥もライオンハートを持っていた!

いい試合でした。最後に抱き合ったとき、井上の口が「ありがとう」と動いたようにも見えました。

11ラウンド、井上のハンマーのような左で肋骨を叩かれたドネアが悶絶してひざまづきました。立てない、立ってこないと思いました。

ドネアがどれほど偉大なボクサーかを、あらためて、今更ながら思い知らされました。しかも、傷ついたラストラウンド、最後の1秒まで雄叫びをあげて、逆転の拳を振るい続けた姿の神々しさよ!

自分を恐れずに立ち向かってくる相手と初めて対峙した井上も立派に戦い抜きました。

今夜、井上が失ったものの大きさは計り知れません。

しかし、井上は逆境でも諦めないハートを見せてくれました。

今夜の試合が契機となって、井上がフェザーから上の眩い世界のスターダムではなく、辰吉丈一郎のような浪花節の風に帆を上げることになるのかもしれません。

二人の獅子が互いのプライドを拳に込めて殴り合った12ラウンド。

いい試合でした。BWAAやリング誌、 ESPNの年間最高試合に、八重樫東以来、史上二人目の日本人として選ばれても不思議じゃない激闘でした。
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いやあ、緊張してきました。

大阪出張中の勤め人がどうして緊張するのかわかりませんが、わざわざホテル近くの銭湯でしっかりあったまって臨戦態勢です。

大阪は大好きな出張先ですが、今回ばかりは「たまアリ」に行けない身が恨めしい。

よくよく考えると、勝負への不安がここまで小さな試合で、ここまで緊迫感があるというのも井上尚弥とノニト・ドネアのおかげです。

特に、ドネアです。 ありがとう、ドネア!

 123456789101112
井上尚弥
           
ノニト・ドネア            
 
…こんな採点表が必要でしょうか。「えーっと…」とスコアを計算することが あるでしょうか?


大変失礼しました。

拓真が先に勝つんでした。

こっちのオッズは拓真の勝利が12/5(3.4倍)、ノルディン・オーバアリ3/10(1.3倍)。完全なアンダードッグです。

メディアやファンの間でも悲観的な予想が多いですが、相性はいい相手だと思います。ラウシー・ウォーレンのようなタイプの方がやりにくいでしょう。

ハッキリ決着つけてやりましょう!

しかし、アマチュア時代にビッグタイトルはないもののオーバアリ、いい選手です。強い相手と何人も戦っています。

シカゴ世界選手権ではゾウ・シミンに負けて銅メダル。ロンドン五輪もベスト8。33歳と軽量級としては肉体的なピークは過ぎているかもしれませんが、弱いわけがないです。

おーー、テレビはテレビ、当たり前ですが…。現地はすごい雰囲気でしょうね。

今日ばかりはドネア入場のときが最も清冽な声援が送られるはずです…。

拓真、いけーーーッ!!!!!

しかし、それにしてもブツ切れでCM、フジテレビもどうしようもないです。
 123456789101112
井上拓真  9 9 9 
 

 
10
 
 
10
 
オーバアリ10 10 10 10  101010
10
 
10  
 
 109 
 
オーバアリは前がかりの選手ですから 、拓真にもビッグチャンスはあります。誰もそんなこと予想してないでしょうけど!

オーバアリの手数とプレッシャーで最初のラウンドはオーバアリ。拓真にやりにくさは見られません。これから!

第2ラウンドも取られましたが、オーバアリは距離が遠いと感じているのでは。第3ラウンド、いいパンチをもらいましたが、距離が合ってません、あれは効かない。それでもこの回も9−10。 

第4ラウンド。もらっちゃいました。ダウン。まともです。拓真は打たれ強い、さすがに。 しかし、難しい。第5ラウンドも同じ展開。拓真が待って、オーバアリが詰める。これじゃダメ。

第6ラウンド折り返し。すべてのラウンドを失っています。判定勝利はありません。 第7ラウンドもモロッコ系フランス人がとりました。このままズルズル、な雰囲気です。 

第8ラウンドも劣勢を打開できません。 第9ラウンドも同じ展開ですが、オーバアリがやや疲れたか。拓真はそう攻撃を仕掛けるしかありません。

第10ラウンド、拓真が前へ。まー、ボーナスで10−9。第11ラウウンド、この流れは変えられない。

と思いきや!最終回、いい右当てました!この回は文句無し10−9ですが、時すでに遅し。完敗ですが、頑張った。





さあ、メイン。

二人ともいい表情してます。

井上は「キルビル」ですか。入場曲。
 
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リング誌が電子版で、ついにやっと「井上尚弥vsノニト・ドネア」の直前情報をアップ!

…と思いきや、むむむむむ…これは何だか読んだことがある気がするけど?????
INOUE-stats

Editor’s Note: This feature originally appeared in the September 2019 issue of Ring Magazine 編集者・註釈:この記事はリング誌9月号のものです 

やっぱり、舐めとんな。 

唯一、そこはしっかりしてると思うのは……、


26 Years old

118 Pounds (fight weight)

81 Amateur fights (75-6, 48 KOs)

18 Professional fights (18-0, 16 KOs)

11 World title fights (11-0, 10 KOs)*

6 Fights to win his first title

8 Fights to win a title in a second division

18 Fights to win a title in a third division

7 Fights against former or current titleholders (7-0, 7 KOs)

*WBA “regular” title bouts not included →WBAレギュラーは王座と認めない

ここは、日本のメディアもリング誌やESPNなど世界に倣うべきです。

認めなければ、奴らも儲かりません。世界戦と認めて多額の承認料を支払うから、奴らは「もう一個タイトル作ってもイケるんちゃうん?次はゴールドやな」と調子付くのです。
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11月7日 さいたまスーパーアリーナ WBSSバンタム級トーナメント決勝

IBF王者 井上尚弥vsWBA王者ノニト・ドネア


欧米メディアがこの後に及んでも取り上げないのは単純に興味がないからです。日本で戦前予想が少ないのは勝敗への興味が低いからです。

この8年間、まともな相手から勝利を収めていないドネアは16日には37歳の誕生日を迎えてしまいます。

マニー・パッキャオのように狡猾なボクサーの顔を持たないドネアは「左フックをどう当てるか」という引き出ししか持たない純情ファイターです。

右顔面にグローブを密着させた西岡利晃は右で倒しましたが、あれは〝引き出し〟なんかじゃありません。

26歳、今がまさにプライムタイムのモンスターに、ドネアが大番狂わせを起こす可能性は限りなくゼロです。

とにかく引いて引いて井上を前に出してカウンター狙い。大きなダメージを負うことなく中盤から終盤を迎えて、どこかで一か八かの勝負に出る。 

あるいはエマニュエル・ロドリゲス戦で硬さが目立った井上の立ち上がりに総攻撃を仕掛ける、これも結局は一か八かです。

下がって戦うのが大の苦手であることを考えると後者しかない気もしますが…。 

8年間もまともな相手に勝てなかった(ライアン・バーネットは除く)ドネアが、PFPファイターから大金星を挙げるーー考えられない奇跡です。ドネアが未知のボクサーならまだ怖さもありますが…。

というわけで、井上のポストWBSSです。 そんな先のことを考えてると村田諒太やアンソニー・ジョシュアのように足元をすくわれる、そんな心配も今回ばかりはないはずです。


CASE① Stay Bantam〜118ポンドにとどまる場合

このケースは拓真がWBC王者ノルディン・オーバアリに敗れることが大前提でしょう。

IBF/WBA王者の井上は、あと二つのベルトをコレクションして日本史上初の4団体完全統一王者Undisputed Champion をめざすことになります。

WBCのオーバアリはエリートアマからプロ転向、頑健でタフなサウスポー。暫定王者・拓真にとってこの団体統一戦は厳しい戦いになるでしょう。

尚弥にとってのドネアと同じく、拓真から見てオーバアリは10歳年上ですが、33歳のモロッコ系フランス人は今が全盛期。

WBO王者はトーナメント離脱からも「肩は完治した」という切れ味鋭いカウンターパンチャーのゾラニ・テテ。今月30日には、6度目の防衛戦のリングにジョン・リエル・カシメロを迎えます。

どちらも井上にとってはキャリア最強の相手ですが、WBCではルイス・ネリが指名挑戦者のポジションを獲得しており、オーバアリvs拓真の勝者と戦う目が濃厚です。

いずれにせよ、バンタムにとどまるなら〝WBSS〟でやり残した仕事、完全統一を目指すことになります。


CASE②Beyond Bantam〜122ポンドに上げる場合

尚弥は現在26歳。選手寿命の短い軽量級とはいえ、十分な時間が残されています。

本人も自覚している「(米国で注目されるには)最低でもフェザー」に上がるのに性急になる必要はありません。もちろん、126ポンド・フェザー級がゴールなら、ですが。

となると、とりあえずは122ポンド、ジュニアフェザー級です。

フェザー級ですらPFPファイターは見当たりませんし、ジュニアフェザーも目立った強豪は居ません。122ポンドでも井上が飛び抜けて評価の高いボクサーです。

とはいえ、完全に穴階級と化しているバンタムよりは興味深いボクサーが並んでいます。

リング誌王者は不在、アルファベット王者はWBA/IBFがダニエル・ローマン。日本でもお馴染みのダニーは決定力のない2団体統一王者。

WBCがレイ・バルガス。7月13日に亀田和毅とのつまらない試合を制した28歳の試合巧者。世界レベルではグダグダの試合を繰り返しながら、タイトルは手放さないしぶとさは持っています。

WBOはエマニュエル・ナバレッテ。推定階級最強のアイザック・ドグボエを2度にわたって撃破。ナバレッテが現在の推定階級最強です。

この「強打のVaquero(カウボーイ)」を倒せば、軽量級シーンに大きなインパクトを残すことが出来ます。

井上戦にも関心を示していますが、井上よりも若い24歳、これからさらに強くなる可能性を秘めた非常に危険な相手です。

タイトルこそ持っていないものの、ギレルモ・リゴンドーは人気がないビッグネーム。もし、井上がキューバのジャッカルを失神ノックアウトするようなことがあれば、軽量級を超えたニュースです。

現在39歳のジャッカルは直近のフリオ・セハ戦を見るまでもなく、魅せるボクシングにこだわり、死に場所を探しています。危険な相手ですが、井上にとっては評価のリターンが最大の果実でもあります。

そして、フェザー級進出を示唆している亀田和毅です。フェザー進出ならすれ違いになりますが、亀田一家を苦悶させる呪縛を解く、一番手っ取り早い方法は井上に勝つことです。

変な相手に変な勝ち方をして「どんなもんじゃい!」と言われても、こっちが恥ずかしくなるだけです。「5階級制覇したら文句ないんやろ!」と開き直られても、弱い相手ばかりを選ぶなと言ってるのに論点がズレすぎです。

和毅は勝たなくとも善戦したら、亀田一家の最終兵器と認められるでしょう。


CASE③Beyond Minor-division〜マイナー階級を翔び超えて…パッキャオが見た風景へ

「パッキャオが見た風景を見たい」。かつて井上が口にした、その言葉の真意はわかりませんが、それが多くのファンが想像することと一致するなら…。
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