フシ穴の眼 〜スポーツ疾風怒濤編〜

      Hope Lights Our Way / 希望の道を、つなごう。

カテゴリ: FIGHT SONG

やっと本題に入ります。

長谷川穂積と西岡利晃、そして井上尚弥。井上の場合は現在進行形ですが、キャリアを終えた二人との比較ということでここまでの19試合だけを切り取っての評価となります。

①3人の中で日本ボクシング界の命題「ファイティング原田超え」を果たしたボクサーはいるのか?

②そして、この3人のレガシーに順位をつけるとどうなるのか?
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まず「①ファイティング原田超え」は、もちろんリング内だけに限定します。日本列島を揺るがした人気の沸騰度で比較してしまうと、現代のボクサーは原田に指一本触れることさえできません。

ボクシングマガジンの独自調査(2020年7月号)によると、人気を測る主要な尺度の一つ、テレビ視聴率においてかつてのべ68人の世界王者が30%ラインを突破しました。

しかし、この3人は全くお呼びじゃありません。

対する原田はトップ10に5回も名前を刻んでいます。最高は63.7%(エデル・ジョフレ第2戦)。もはや、長谷川らと比較する対象ではありません。

価値観が単一的だった時代と現代を視聴率で比較するのは不公平という見方もありますが、現代でもサッカー日本代表の試合は50%ラインも突き破るケースがありますし、ボクシングでも亀田興毅が24位と26位にランキングされています。

長谷川と西岡、井上は「国民的関心事」のレベルには全く届きませんでした。

さらに、リング内での業績でも1団体10階級の時代に2階級制覇した原田の偉業は、現代のボクサーが超えるのはほぼ不可能です。

バンタム級史上最強はエデル・ジョフレで世界評価はほぼ一致していますが、防衛回数はわずか8。世界戦も13試合の経験しかなく星勘定は11勝2敗。

数字だけを眺めると長谷川の防衛回数10、世界戦15勝3敗も遜色ありません。リング誌は「60年代最強はモハメド・アリではなくジョフレ」と評価しましたが、だったら長谷川も「アリ以上」な気がしてきます。

さらに、井上に至っては3階級制覇で世界戦14と、数字の上ではすでに「ジョフレ超え」。内容も14戦全勝。もはや、ジョフレは眼中になくシュガー・レイ・ロビンソンと比較すべきかもしれません。

…もちろん、そんわけはありません。団体と階級の増殖に加え、それによる承認団体の我田引水ランキングが横行している現代と、原田の時代は同列に語れません。

ジョフレのバンタム級8連続防衛全KOは、4団体と17階級のフィルターを掛けると70連続防衛全KOにも匹敵しますが、穴王者と雑魚挑戦者を量産する我田引水ランキングを考慮すると、大橋秀行会長ではありませんがそれこそ70どころか「天文学的数字」になります。

そんな、ジョフレのキャリアにたった二つだけの黒星、それを刻み込んだ原田を超えるには、ジョフレ級の途轍もない強敵を倒すしかありません。それを考えると、そもそもそんな本物の怪物に井上が勝てるわけがありません…。

「国際ボクシング名誉の殿堂」でファイティング原田は長らく「アジア最高のボクサー」でしたが、マニー・パッキャオの進撃によって2007年に「アジア」は「日本」に格下げされてしまいました。

当時は、マルコ・アントニオ・バレラにエリック・モラレス、ファン・マヌエル・マルケスの一発殿堂&PFPファイターのメキシコ包囲網を突破していた頃です。階級ではフェザーからジュニアライト。

これをやらないと「原田超え」に届かないとしたら…現状の貧相極まる軽量級シーンでは絶対不可能です。
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ということで、「原田超え」からは退散して。

②この3人のレガシーに順位をつけるとどうなるのか?です。

現時点で、長谷川と西岡、井上に序列をつけるとしたらどうなるのか?

まずは、長谷川の41戦36勝(16KO)5敗のキャリアから振り返ってみます。

一発殿堂はおろか、殿堂選手との対戦経験もありません。現役のPFP選手との手合わせもゼロです。

現役の世界王者との対戦成績は2勝2敗。

勝利した最強の相手はウィラポン・ナコンルンプロモーション。バンタム級で第二次政権を樹立、14連続防衛中の安定王者でしたが、当時36歳の劣化バージョンでした。

安定していたとはいえ二次政権の内容は王座を奪った辰吉丈一郎と2試合、西岡と4試合と安易な日本人相手に6試合もあてたばかりか、強豪との手合わせはなく長谷川戦時の戦績(46勝1敗2分)に14連続防衛という数字の華々しさにもかかわらずPFPの俎上にもあがらない典型的な〝数字先行〟ボクサーでした。

長谷川は、アジアを代表するPFPファイターだったクリス・ジョンに引導を渡すことになるシンピウェ・ヴェチェカを判定でかわしていますが、やはり対戦相手の質は高いとはいえませんでした。

リング誌とESPNのPFP入りは果たせませんでした。それでも、リング誌のベストファイター100位で13位、ESPNでも得票するなど激しくドアをノックしました。そして、boxing scene.com では日本人初の海外メディアPFP入り。

しかし、世界王者になってからの3敗はいずれも中途半端な相手に凄惨なKO負け。

強い相手とはついに対戦がかなわず、中途半端な相手に粉砕された長谷川。

全盛期でもけして世界評価が高いと言えなかったウィラポンの劣化版から奪ったタイトルを、満場一致の階級最弱王者フェルナンド・モンティエルに奪われ、メキシコのファンも愛想をつかすジョニー・ゴンザレスと、英国のスター選手に狙い撃ちにされた典型的な穴王者キコ・マルチネスに圧倒された長谷川。

日本テレビは亀田一家へのアンチテーゼとして「THE REAL」と打ち出しましたが、長谷川は本物だったのでしょうか?少なくとも本物の強豪とはついに拳を交えることはありませんでした。

もちろん、軽量級で本物の強豪、それもビッグネームとなると「いない」というのがデフォルトです。世界の軽量級シーンで長谷川こそが最も大きな名前だったのです。

もちろん、日本のエースに危険な橋を渡らせたいと考える関係者はいません。それを最も嫌ったのは、山下会長が「恩義がある」とカメラの前で明言したWBCでしょう。

引退から4年経ちますが、殿堂入りとは無縁のまま、あの頃の「日本史上最高」の喧騒は何だったのでしょうか?
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2010年代。この直近10年をリードしたチャンピオンは長谷川穂積、亀田興毅、西岡利晃、内山高志、井岡一翔、山中慎介、井上尚弥、村田諒太らが挙げられます。

国内で圧倒的な人気(アンチも含めて)を集めていた亀田を除くと、全員が「世界志向」を明白に表明していました。

ボストン・レッドソックスに60億円以上で〝落札〟され、6年60億円の大型契約でメジャーに渡った松坂大輔と対談し「ぼくもそっちに行くから」と羨望した長谷川の思いは、その世界志向を象徴するものでした。

しかし、長谷川らの「勘違い」と直訳できる「世界志向」と、内山のケースは少し事情が違いました。

長谷川や西岡、井上らは「ラスベガス」「ビッグファイト」と抽象的な言葉が宙に浮く一方で、内山の場合は「ユリオルキス・ガンボア」や「マイキー・ガルシア」といった具体的な名前を何度も聞くことが出来ました。

キャリア晩年に、人気階級の入り口でもあるジュニアライト級の内山が絞り出した「今回もいつもと同じ(無名のジェスレス・コラレス)だったら、さすがに」という言葉は、欧米で全く人気がないバンタム級の井上らには当てはまりようがありません。

それを言い出したら超軽量級に常駐する井上らの心は、もうずーーーーっと、永遠に折れっぱなしです。

しかし、日本では多くのボクシングファンの頭の中に「階級と人気」という概念が欠落しています。

それは「黄金のバンタム」や「PFP」という人気の尺度と勘違いしかねない言葉があちこちに踊っていることも原因で、かつての長谷川や、現在の井上の信者の無知蒙昧だけを責めるのはお門違いです。

長谷川や西岡、井上のプロモートには帝拳も大きな役割を果たしてきました。

最初に押さえておかなければいけないのは、バブルというとんでもない追い風が吹いていたとはいえ「マイク・タイソン 」を赤字覚悟で東京ドームに2試合も招致した帝拳の業績は途轍もなく偉大だということです。

しかし、一方で「長谷川vsモンティエル」の〝自腹アナ〟(ジミー・レノンJr.に「世界中が注目するビッグファイトのコールができるのは人生最高の幸せ。ノーギャラでいいからとこの仕事をいただいた」と大嘘をつかせた)に、「西岡のMGMメイン」(パッキャオやタイソンが戦ったMGMでメインを張り報酬100万ドル)という欺瞞に手にかけてしまいます。

帝拳もまたファンを騙してでも「世界志向」 に突っ走りたいという、もしかしたら他のメジャースポーツへの醜い嫉妬に身を焦がしているのかもしれません。

その血は、大橋秀行会長にも受け継がれてるのかもしれません。

本当にくだらないことです。

このブログでは当初から「日本のアスリートで最も大きな栄光をつかんだのは誰か? 」という答えの出ない堂々巡りを続けていますが、それはこれがメインテーマだからです。

「スポーツに貴賎はあるか?」ということです。

昨日だか今日だかのコメントに、 日本のアスリートで最も大きな栄光をつかんだのは「内村航平」と寄せてくれた方がいました。

正解です。

熱心な体操ファンには、内村がやってのけたことがどれだけ偉大か、そして何よりも体操競技がどれほど奥深くて面白いのかを、よく識っているのでしょう。

そんな本当の識者にとってはBBCもニューヨークタイムスもただの一メディアに過ぎません。「彼らが騒いでるから凄い」なんて低脳な発想はありえないのです。

「大坂なおみの方がイチローよりも上。ニューヨークタイムスと英国BBCがともにトップで報道する大坂と比べるとニューヨークでも怪しかったイチローはシアトルのローカルヒーローに過ぎない」…そんなの報道の地図的な広さや量の事実を羅列しているだけで、テニスや野球の面白さや凄さには全く踏み込めていない浅すぎる話です。

正直、先進国のメディアがトップ報道する大坂は、素直にすごいとは思います。BBCもCNNもNHKもみんなトップです。確かに野球ではありえません。

それでも、私が受けた感動の量や質は野茂英雄やイチローと比べると、大坂は劣ります。

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これでいいのだ、と思います。 

軽量級を無視する国でも、ラスベガスが格好いいから押し売りでもする。

欧米にトップリーグが存在するサッカーや野球が 羨ましいから嘘でもいいから、ボクシングでも幻覚を見たい…そんな考えは間違っています。卑屈すぎます。

ボクシング軽量級だけでなくキックもそうです。無い物ねだりは人間の性がもしれませんが、それを抑えきれずに押し売りや捏造に走るのは、あまりにも惨めすぎます。

「ラスベガスへの憧れは誰にでもあるが、日本のボクサーにおいてはそれは特別」(ボブ・アラム)という言葉は「日本のテレビ局が巨額の放映権を支払うのは当然。それだけの価値があるから」という優越感につながります。

法外な放映権料は「ラスベガスへの憧れ料」です。そんなの絶対、払っちゃいけません。

奴らの方に「是非ラスベガスで興行を打ってください」と土下座させて、招致フィーを差し出させるのが筋です。

「いつもお世話になってるのにごねんね、今回はカウボーイズスタジアムの方が高額の条件だったから。カウボーイより高い金額出してくれたら次からまた戻るから」と断るのが格好いいんです。

本気でパッキャオに憧れてるなら、目指すところはそこです!

いきなりラスベガスでメイン。日本では大々的に報道されてるけど、現地ではさっぱりどころかオッズも立ち上がらない…。

もうそろそろやめにしましょう。

やるなら「ナジーム・ハメド」のように5000万ドルとか半端じゃない放映権を差し出して、高品質のPVを製作して街に広告を溢れさせ、タダ券配りまくればいいのです。

メディアに流すパブリシティ(記事掲載料)も十分ですから、THE ANSWERなどのメディアが血眼になってフィリピンやプエルトリコのメディアまで「井上尚弥」を探す苦労もなくなります。

プロモーショナルツアーの記者会見にはカジノの責任者も招待して歓待、それならオッズも早々に出るでしょう。

…前置きが長くなりました。
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ボクシングマガジン7月号によると、これまで日本のジムから誕生した世界王者はちょうど90人。

1952年にダド・マリノを破った白井義男が開いた狭き門を、約70年もの歳月をかけて89人が通ったことになります。

直近のディケイド=2010年代(2010〜2019)では第60代の石田順裕から、第90代の井上拓真まで31人がチャンピオンベルトを腰に巻きました。

70年の歴史では14%程度に過ぎない時間で、34%の王者を量産したことになります。 

最も不毛だったのは1950年代で白井ただ一人。2010年代は過去に例を見ない大豊作のディケイドでした。しかも、複数階級制覇がトレンドになっていることからも獲得王座数は45と他のディケイドを寄せ付けません。

もちろん、この〝黄金時代〟の背景には17の階級に加えて、4団体が同一階級に複数王座を乱造し、さらにはアルファベット団体の世界ランキングが腐敗していることから富裕国である日本の磁力に特に軽量級のベルトが吸引されたというカラクリが隠されています。

そして、誰が本当に強いのか?という格闘技の本質は、どの時代にも増して不透明に混濁してしまっています。

具志堅用高の時代まで、メジャースポーツとして肩を並べていた野球はMLBという「正真正銘の世界」への道が開かれ、後発のサッカーはそもそも「正真正銘の世界ありき」でした。

かつてのライバルたちの「正真正銘の世界」へのまばゆい挑戦を横目に見ながら、ボクシング界の思いは歪に屈折してゆきます。
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ヘビー級やウェルター級のトップ選手が繰り広げるメガファイトが「軽量級にも存在する」という歴史上一度もない幻覚を信じ込み、そこを目指すようになるのです。

長谷川穂積は「ラスベガスでビッグマネー」と語り、西岡利晃に至っては「MGMグランドでメイン」という詭弁のリングに上がってしまうのです。

そして、井上尚弥も含めた3人ともに熱狂的な信者から「世界的な評価を集めた日本史上最高のボクサー」と崇め奉られます。

最近、長谷川や西岡をオンタイムで知らないファンは「そんなアホな」と思うかもしれませんが、嘘ではありません。

そして今、また井上尚弥の周囲で同じ虫が湧いています。

「道半ばで倒れた長谷川や西岡はとっくに抜いてる」というのが井上信者の教義かもしれませんが、それははたして事実でしょうか?

3人のキャリアを振り返り、そのレガシーを測定してゆきます。
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プロ入り10年目を迎えた斎藤佑樹に、本人は否定しているものの、引退の噂が出ています。もし、彼が斎藤佑樹でなかったらとっくの昔に戦力外、クビです。

ゴルフの石川遼も米国ツアー進出の夢は打ち砕かれ、昨年ようやく3年ぶりに優勝するなど、あのフィーバーは蜃気楼のようにとっくの昔に覚め消えました。



注目度の高い若い才能には、そうではない選手よりも多くのチャンスと十分な練習環境が理不尽なまでに与えられます。

当たり前です。「人気」があるんですから。多くの人が彼らの活躍を願っているのですから。

もしアスリートの活躍や評価が政治家やアイドルのように「人気」投票で決まるのなら、彼らは期待通りに大活躍して高い評価に浴していたはずです。

何しろ、トップでの実績はもちろんもしかしたら実力も相当に怪しいにもかかわらず知名度、「人気」だけはトップ級なのですから。

もし、彼らが引退を選択したならキャスターや解説者、タレント、俳優としての需要まであるかもしれません。知名度と人気は抜群なのですから、それこそ政治家の道もありでしょう。

「そこ」は、彼らが競技よりも得意とする、好感度「人気」の世界です。

精緻な分析力と解説、高度な演技力や歌唱力、崇高な政治理念を具体化する実行力…そんなものよりも表層的な人気だけが全ての世界です。

そう考えると、彼らは元々が生き馬の目を抜く情け容赦ない残酷な世界の住人ではなかったのでしょう。

爽やかなルックスと、その通りの素直で前向きな性格、そんな自分をしっかり語れる温かく柔らかい表現力を併せ持つ彼らは、たまたま才能があり過ぎたがために、修羅の世界に迷い込んでしまっただけだったのです。

本物の修羅が人気を手に入れるのは最後の最後です。

それでも、過酷で薄情な世界にしがみつくように苦闘する彼らの姿を見るたびに、彼らはアイドルではなく本当は修羅になりたいと渇望していることを思い知らされます。

10代の彼らに私たちが熱狂したのは、そこに修羅の才能を見たからではなく、今思えばその端麗な容姿から滲み出る人を惹きつけるオーラ、とどのつまりは「人気」に絆されたからでした。

32歳のハンカチ王子がNPBで大きなタイトルを獲ってメジャー挑戦を表明する日なんて永遠に来ないでしょう。何度も与えられるチャンスをたまたまものにして「◯年ぶりの白星」と騒がれる程度が関の山ですが、ユニフォームを脱げば、その人気のオーラで第二の人生も華やかに生きてくれるに違いありません。

ハニカミ王子が再びメジャーに挑戦して、大きな果実を捥ぎ取ることもないでしょう。ゴルフツアー機構の副会長を務める28歳は、近い将来、会長の座に座ってゴルフの大使として、このスポーツにとって彼にしかできない大きな役割を果たしてくれるはずです。


それでも。

彼らが修羅になる姿を見たい。

そう思うのは私だけでしょうか。






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2019年の年間表彰式で京口紘人は、米国進出を果たす井上尚弥について「ぼくも続きたい。軽量級の選手がラスベガスでメインを張るなんて今までなかったことだから」と発言しました。

実際には西岡利晃が2011年に、WBCジュニアフェザー級王者としてMGMグランドガーデンのマーキー・ボールルームにラファエル・マルケスを迎えて防衛戦を行っています。

さらに、世界戦ではありませんが辰吉丈一郎もミラージュやザ・アラジンなどラスベガスのリングでメインを張っています。

辰吉人気は凄まじく、リングサイドには大応援団が詰めかけ、リングアナウンサーはジミー・レノンJr.、レフェリーはリチャード・スティール、リングサイドにはフリオ・セサール・チャベスやジェームス・トニーらビッグネームも呼ぶなど、下手な世界戦よりも派手にデコレーションされました。

4月25日のマンダレイベイもジャパンマネーをばら撒いて、とにかく豪華に取り繕うでしょう。

ただ…「辰吉のケース」は井上とは少しニュアンスが違いました。網膜剥離の診断が下された辰吉はJBC統括の試合には出場できなかったからです。

一方で、長谷川穂積や西岡、井上尚弥が目指した「ラスベガス」は、ボクシングの〝メジャー〟でした。

ラスベガスでメジャーなのはウェルター級やミドル級、ヘビー級の欧米での人気階級に限定されるというのに彼らはなぜかそこには軽量級の需要もあると勘違いしてしまうのです。

「ありもしない世界を妄想する」。

それは、かつての魔裟斗や那須川天心らキックボクサーが〝世界〟を目指したのと同じ思考回路です。

特にこの20年あまりで、ボクシングやキックのトップ選手が「ラスベガス妄想」に囚われるようになったことは、野球のメジャーリーグや欧州サッカーのトップリーグに日本人選手が挑戦し大きな成果を持ち帰るようになったことと無縁ではないでしょう。

ボクシングの軽量級やキックにとっても、〝メジャー〟や〝トップ〟の舞台がラスベガスにあって欲しいという切実な思いです。

その強烈な思いがありもしない幻覚、蜃気楼を見てしまうことになりました。

そして「PFPファイターの上位=ラスベガスでPPVで20億円」などというデタラメな方程式が存在するかのようなフェイクの報道を垂れ流す日本のメディアが、思考能力の欠落した長谷川信者や西岡信者、井上信者を蔓延させてきましたのです。

長谷川や西岡は「ファイティング原田に並んだ」とも言われました。しかし「あれから」10年経って、二人の評価はどうなったでしょうか?

そして、あれだけ騒いでいた信者の方々はどこに消えてしまったのでしょうか?
WOWOWはどうして京口の発言に「西岡選手がいますよ!」と訂正しないのでしょうか?

当時「日本ボクシング史上最大の戦い」とまで報道された西岡のMGMメインはどうして無かったことにされたのでしょうか?

まともなスポーツなら世界王者として勝ち続けていれば「世界最強」と認められます。「弱い相手にしか勝っていない」なんて難癖をつけられる訳がありません。

しかし、ボクシングではオマール・ナルバエスのように無敗のまま2階級に渡って二桁防衛をマークしても、PFP10傑にも数えられない摩訶不思議な「伝説の名王者」(フジテレビ)が存在します。

4つのアルファベット団体が我田引水的に王者とランキングを量産、日本人世界王者も多いときは10人を超えて存在。

他のスポーツで例えると、メジャーリーグで毎年日本人の本塁打王や最多勝利投手が輩出され、サッカーで毎年バロンドールの候補に日本人がノミネートされるような状況です。

ボクシングの世界では Undisputed Champion(議論する余地のない王者)やLineal Champion(正統な王者)という他のスポーツではありえない不思議な称号もあります。

「議論する余地のない本塁打王」「正統なW杯得点王」…そんなの聞いたこともありません。
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プロボクシングの世界で「頂点」とは何なのでしょうか?

対戦相手に手枷・足枷を嵌めさせて勝ち続けるカネロは、卑怯者ではなく頂点ですか?誰も世界最高と評価しない41歳のパッキャオは、ただの人気者ではなく頂点ですか?

それとも、卑怯者や人気者だけが優遇されるボクシングに、そもそも頂点など存在しないのでしょうか?

ムーンショットには月面着陸という具体的な着地点がありました。井上が二つの拳で解こうとしているのはムーンショットよりも難問かもしれません。


そして、ボクシングでは本来なら最も評価されるべき Undisputed Champion の座に一度も就いたことのないフロイド・メイウェザーやマニー・パッキャオ、カネロ・アルバレスに飛び抜けて高い報酬と人気が集中する、スポーツと呼ぶにはあまりにも理不尽な状況が当たり前になっています。

世界的な統括団体が存在せず、腐敗し切った承認団体が跋扈するプロボクシングという迷宮では、戦士たちは自分で最強を証明するしかないという不条理なゲームが繰り広げられているのです。

目の前の試合に勝ち続けていれば、栄光も評価も自ずと手に入るのがスポーツ…だとしたら…プロボクシングはスポーツではありません。

今なおパッキャオが最高のPPVファイターである現実は、松坂大輔がNPBで最高年俸を得るようなものです。


腐臭漂う摩訶不思議な魔宮の中で、 倒錯した理不尽と不条理の悪霊を切り裂くべく、拳を挙げた戦士3人の3つの物語です。

最初は「2010年4月30日:日本武道館の長谷川穂積」。そして「2011年10月1日:MGMグランドの西岡利晃」。

そして、それから。。。「2020年4月25日:マンダレイベイの井上尚弥」。  
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正月気分が抜けないうちに…なんて始めたシリーズが2月になっても終わりません…。


パッキャオが見た風景。

井上尚弥は「それ」が見たいと語りましたが「それ」が何であるかは本人も消化しきれていないのかもしれません。

もちろん、だからこそ「見たい」のでしょうが…。
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…大上段からハッタリをかましてばかりの私としては、真面目な語りはあまりしたくはありませんが…。

ボクシングの魅力は、150年の歴史によって研磨された二つの拳で、他のスポーツではありえない高尚な野蛮に耽溺できることです。

そこには、素晴らしい勇気を見せてもらったという、快感しかありません。

「欧米では小さなバンタム級は見向きもされない」「卑屈な減量の鎖を断ち切って最も稼げるウェルターに乗り込むパックメイが偉い」…。

「スポーツには貴賎があるように、ボクシングの階級にも貴賎がある」。

…そんなことを書か散らしてきましたが、当たり前ですが、スポーツの素晴らしさ、その源泉は感動です。

感動に貴賎などありません。

ましてや、TVモニターで観る分には軽量級の試合の方が面白いのですから。

そして、ボクサーにとってはそんな感動を1人でも多くの人に届けてボクシングファンを増やしたい、そう思うのが当たり前です。

しかし、米国ボクシング界は目先の利益に目が眩み、クローズドサーキットからPPVという高額な視聴料を支払うマニアを囲い込む……そんな当たり前じゃないやり方で、一握りのプロモーターと数人のボクサーを例外として、魅力的なスポーツ産業とは呼べない構造に陥っています。

半世紀以上も前から「2%のボクサーが98%もの利益を独占し、98%のボクサーが残りのたった2%を分け合う」といわれた産業でしたが、その傾向は時代と共に加速、市場は没落とマイナーの底無し沼にハマっています。

「ボクシングとイコール」とまで言われたHBOの撤退は、その象徴的な事件でした。

そして、ビッグファイトの会場もまた利益優先で、招致フィーが発生するラスベガスのカジノが好んで選ばれるのです。

パックメイに代表されるメガファイトはPPVでマニアを囲い込み、一般のスポーツファンを遠ざけています。マイナー化するのは当たり前です。

さらに、人里離れた砂漠のリングで行われるのですから、黒ミサ的なイベントの色彩を色濃くしているのは当たり前です。 

その試合をTV観戦するために100ドルも支払うマニアたちは、カルト宗教の熱狂的な信者と何ら変わりません。


日本で「ボクシングをもっとメジャーにしたい」と願う井上が憧憬する「パッキャオが見た風景」の正体が、米国ボクシングをマイナースポーツに追いやった張本人、つまりPPVとラスベガスだとしたら、何とも皮肉な話です。

しかも、PPVも招致フィーも期待出来ない軽量級として米国に乗り込むのですから二重の皮肉です。

もちろん、罪深いギャンブルシティで催される黒ミサには背徳的な魅力が横溢しているのは否定しません。

狂信的なマニアから集金するPPVも、考えてみればスポンサーやテレビ局の予算を超越して、「パッキャオのKOシーンを見たい」「メイウェザーが負けるのを見たい」と純粋に願う熱烈なファンがファイトマネーを支えるという点では、最も健康的なプロスポーツの姿かもしれません。

スポンサー収入が試合報酬を大きく上回るゴルフやテニスのスーパースターよりも、ある意味で純粋で健康的に報酬を得ている、という見方だって出来るかもしれません。

フォーブスのスポーツ長者番付で最近まで「endorsement 0=スポンサー収入ゼロ」と表記されていたメイウェザーは、非常にクールに映りました。

まあ、でもそれは詭弁です。

やはり、プロスポーツは〝黒ミサ〟であってはいけません。「マイナーでもいい」「わかる人にだけわかってもらえればいい」なんてことはないのです。

でもでもでもでも、今は井上がラスベガスで羽ばたく姿を考えるときです。

バンタム級でも日本人でも…もしかしたら、やり方はあります!続きます!


The man who has no Imagination has no Wings. 
想像力があれば空だって飛べる! 

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>アラムは試合前に井上を全面的にバックアップして知名度を上げるみたいなこと言ってましたが、実際は、メインイベンターデビューでどのくらい観客埋まれば良い方なんですかね?
2020-01-13 09:25:01 美味しいおサリバン


▶︎マンダレイベイなら上階席封鎖になります。同じ会場でやはり過半数のシートを封鎖した「ノニト・ドネアvsフェルナンド・モンティエル」の4805人が一つの目安でしょうか。

しかし、井上はドネアとモンティエルよりも米国での認知度こそ低いとはいえ、フジテレビやWOWOWなど彼らにはない分厚いスポンサーがバックについています。

資金繰りで瀕死状態のHBOがスーパーフライ興行に出場する井上に超破格の約2000万円を支払ったとき以上に、日本からのバックアップがあるでしょう(2000万円でも井上にとっては金額的には少なく、最終的には日本からの上乗せ分で約4000万円を手にしました=西岡利晃の「MGMメイン」1億円と同じ理屈ですね)。

そう考えると、ドネモンよりも封鎖の面積は小さく、無料チケットも相当数配布されると思われます。

ジャパンマネーの後押しは、何よりも報酬(ドネアはキャリアハイの35万ドル/モンチは長谷川戦の半分以下の25万ドル)を遥かに巨大にしてくれるはずです。

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「フィリピン人による度肝を抜くパフォーマンスはマニー・パッキャオの専売特許ではなくなった」。リング誌は「パッキャオを彷彿とさせる2ラウンドKO劇」と報じ、日本のボクシングファンもドネアの左フックに戦慄しましたが…。

席料も格安(リングサイドでも50ドル、最低は10ドル)、HBOの視聴者数も低迷、米国の注目度は高くはありませんでした。イベントとしては「長谷川穂積vsモンティエル」には足元にも及ばない、しょぼいものでした。

日本のファンからしたら結果抜きでも垂涎のカードでしたが、米国でのバンタム級は先日のゾラニ・テテvsジョンリエル・カシメロ戦でリングアナがフェザー級と間違えるなど(間違ったことにも気づいてない?)腹が立つほどマイナーです。


井上尚弥が米国挑戦で何を目指しているのか、現時点ではわかりません。

WBSS参戦は「誰が一番強いのかをはっきりさせたい」という気持ちが強烈なモチベーションになっていました。そして「パッキャオが見た風景を見たい」とも語りました。

「パッキャオが見た風景」が何を意味してるのか、私が見たり読んだりしたものからは具体的なことはわかりません。

もし、それが「PFP1位」ならもはや射程圏、ロックオンした状態です。

バンタム級の二つのピース、WBOとWBCのベルトを奪い取り、タイトルのコレクションをコンプリートしたら、リング誌で3位、ESPNで4位のMythical Ranking はさらにアップ、もしかしたらトップに立つこともあるかもしれません。

「タイトルのコンプリート=Undisputed ChampionになればPFP1位」という理屈なら、井上同様に無敗無敵の快進撃、しかも苦戦もせずにバンタム級よりも競技人口・レベルが高いクルーザー級で完全統一を果たし、最難関の2階級制覇に乗り出しているオレクサンダー・ウシクのポジション(リング誌5位/ESPN6位)は低すぎないか?

あるいは、リング誌単独カバー。井上よりも遥かに評価の高かったローマン・ゴンザレス(圧倒的支持でPFP1位)やノニト・ドネア(PFPは3位で同じながらBWAAのFighter Of The Yearを受賞)でも叶わなかったのに、井上は短い期間で2度も表紙を飾ったのは何故か?

そういう至極真っ当な疑問や意見は、今回は取り上げません。ボクシングほど大人の事情が大手を振って歩いているスポーツはどこにもないのですから。

また、井上が完全統一できなくても無敗をキープしていれば、カネロ・アルバレスやワシル・ロマチェンコらが躓くことで他力での1位浮上も十分ありえます。

ただ、PFPは脳内ランキングで何かが残るものではありません(2年前からリング誌はPFPベルトを復活していますが)。

あるいは、ボクサーにとって最高の名誉「Fighter Of The Year」も、PFP1位評価はそのパスポートになる可能性大です。先日のWOWOWで亀海喜寛が「(Fighter Of The Yearは)最高の名誉」と言ってしまいましたが、それはありえないです。

欧米のFighter Of The Yearの系譜を見れば一目瞭然、最も優れたボクサーに与えられる称号ではありません。世界戦でなくても面白い試合、拮抗した試合が選考基準なのです。

もちろん、これを「勇気ある2人のボクサー」に贈られると解釈するなら、確かに「最高の名誉」です。井上に先駆けて受賞した八重樫東や三浦隆司のボクシングには球遊びなど他のスポーツでは味わえない勇気のエッセンスが満載されています。

それでも、亀海がその意味で語ったのなら言葉足らずです、誤解を招きます。

しかし、「PFP1位」や「Fighter Of The Year」がゴールであるならもう王手の段階です。

PFP1位(現在)とFighter Of The Year(2014年)については、既にBoxing scene.com からは選ばれています。

「パッキャオが見た風景」。それは「強い相手、ビッグネームと戦いたい」という意味にも考えられます。

ただ、それならトップランク傘下に入って、軽量級への興味が欠落している米国のリングにこだわる必要はありません。

むしろ、日本で活動した方がトップランクの縛りや、ネコババからも免れて、自由に強い選手を呼べるはずです。

では「パッキャオが見た風景」が PFP1位や Fighter Of The Year でもなく、強い相手を求めることでもないとしたら?

米国のリングでしか実現できない Something else、別の何かであるなら…?

「パッキャオが見た風景」とは、そんな抽象的なものではなくて、もっと具体的なものかもしれません。

「パッキャオが見た風景」とは、パッキャオがその目に焼き付けた風景、そのものズバリだとしたら?

フルハウスに膨れ上がったMGMグランドガーデンアリーナの花道を大歓声や激しいブーイングを浴びながら、ビッグネームの待つメインイベントのリングに上がる。

8万人収容のカウボーイズスタジアム(現AT&Tスタジアム)の特設リング、完全アウエーでメキシカンの強豪と拳を交える。

井上自身が「MGMグランドガーデンアリーナでメインを張って戦うのが夢」と語っていましたから、もしかしたらそうなのかもしれません。

それなら、確かに日本ではできません。

個人的にはMGMグランドの1万6000人(半分近くはタダ券)と、さいたまスーパーアリーナの有料入場者2万人なら、後者の方が素晴らしいと思いますが…。

しかし、だとしたらそれは、Mission Impossible です。

井上も「ここ(MGMグランドガーデンアリーナのメイン)でやるには最低でもフェザー」とわきまえていましたが、ご存知の通りフェザーでも非常に難しいのが現実です。

MGMグランドガーデンアリーナのリングに最も多く上がった軽量級はレオ・サンタクルスですが、メインイベントとなるとカール・フランプトン2(2017年1月28日)だけで、他は前座です。

おそらく日本のファンの中には井上に「MGMグランドガーデンアリーナ+PPV」のセットを期待してる人がいるかもしれませんが、残念ながら100%ありえません。

軽量級で一番人気のメキシカン、レオ・サンタクルスでもPPVではフロイド・メイウェザーやカネロ・アルバレス、最近ならデオンティ・ワイルダーの前座です。つまり、PPV歩合はほとんど分配されません。

PPVは全階級通じても年数回、それも人気階級の超人気選手のカードに限定されます。パックメイやカネロを見ていると感覚が麻痺してしまうかもしれませんが、奴らは例外中の例外の変態です。

パックメイは、井上や井岡一翔らが登っている山の上に立っているわけではありません。全く別の世界の、全く別の山の頂上に君臨しているのです。もしかしたら山ではなく、井上らが求めても窒息死するしかない深海の底かもしれません。

そこは、フェザー級のサンタクルスでも手の届かないリングなのです。バンタム級の日本人では逆立ちしても不可能です。

ああ!「正月気分が抜けないうちに、めでたいストーリーを勝手に夢見てみました」と能天気な話を書こうと始めましたが…真面目に考えてみる方が面白いかもしれません。

サンタクルスでも無理なんだから、バンタム級の日本人には不可能。歴史上、前例が一つもない.........なんて言ってたらきっとあの人が怒り狂って喚き散らしてきますね。

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Impossible is Nothing .
出来ないと思うから出来ないんだ!

I don't have to be What you want me to be.
お前らの思い通りになってたまるか!

The man who has no Imagination has no Wings. 
想像力があれば空だって飛べる! 

おっしゃる通りです!

井上尚弥が空を飛ぶ方法をみんなで考えましょう!

方向転換しながら、続きます! 
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井上尚弥のトップランク デビューが「4月25日」「マンダレイベイ」で決まったと、ボブ・アラムが公表しました。

「世界で最も多くの嘘をついた男(記録は更新中)」のアラムですが、さすがにこれは嘘をつく理由が見当たりません。

マンダレイベイ リゾート&カジノ のイベントセンター。ラスベガスを代表する大舞台です。

一般的には、3年前の銃乱射事件が起きてしまった悲劇が思い浮かぶかもしれませんが、ここは日本人にとっても思い入れのある場所です。 

2005年にラスベガスの市政100周年イベントとして開催された「大相撲ラスベガス公演」は、マンダレイに特設リングならぬ、特設土俵を築き上げました。

1万席をセットアップした会場は3日間で2万4795人の有料入場者数をマークする大盛況。

英国でも米国でもどこのブックメーカーも賭けの対象としていない大相撲が、ついにブックされるかという話題も大きな関心を呼びましたが、ここは日本相撲協会の「大相撲で賭けてはいけない」という意向をマンダレイベイ側が受け入れて「神聖な大相撲にオッズは一切立てない」という体を取りました。

「大相撲はショウ(八百長)だからオッズは立てない」と事実をまともに突いてしまうのかという懸念を簡単にかわし、ボクシング界が見習いたい大人の対応を見せてくれました。流石です。
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そして、ボクシングファンからすると大相撲フィーバーから遡ること3年、2002年12月7日のWBCライト級とWBOヘビー級のダブルヘッダー、超弩級のメガイベントに日本人も参加していました。

ライト級は王者フロイド・メイウェザーJr.が8ヶ月前に、多くのメディアとファンが「負けていた」とみたホセ・ルイス・カスティージョとのダイレクトリマッチ。

メイウェザーは、初戦こそ普通に負けていましたから、すぐにリマッチを受けたことは勇敢だと評価されていました。今では考えられませんが、この頃のメイウェザーは誰からも毛嫌いされる蛇蝎キャラではありませんでした。

この再戦で完勝して見せたことは、マネーの無敗レコードに最も大きな説得力をもたらしましました。もし、2戦続けて不可解な判定なら、彼が誇る「0(ゼロ)」はもっと揶揄されていたでしょう。

そして、ヘビー級はウラジミール・クリチコがジャミール・マクラインを相手に、第一次政権5度目の防衛戦を10ラウンドTKOで成功させました。

そして、次の防衛戦でDr.スティールハンマーは伏兵コリー・サンダースを迎えてしまうのです。

このとき、メイウェザー25歳、クリチコ26歳。いやー、たまりませんね。タイムマシンに乗って観れるならいくら払いますか?

面白いボクシングを見せてくれていたメイウェザーに、まだあちこちに脆さを抱えていた改善前のウラジミール…どんな贅沢なダブルヘッダーやねん…。

しかも、前座では西岡利晃がジュニアフェザー級6回戦のリングに上がり、1ラウンドKO勝ちを収めているのです。客席は100人もいないガラガラでしたが。

そして、2011年2月19日。ノニト・ドネアvsフェルナンド・モンティエルが激突、日本のボクシングファンも固唾を飲んで見守ったあの試合もマンダレイベイです。

ただ、米国で人気のないドネアvsモンチは2人にとってキャリア初のHBOデビューとはいえ、上階席を完全封鎖、寂しい景観の試合になってしまいました。

今回も、マンダレイベイのボールルームでないなら、井上の試合がメインでは同じように半分以上のシートを封鎖することになりそうです。

。。。話がしょぼい方向にそれました。「めでたいストーリー」です!続きます!!!
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レオ・サンタクルスに続いてカール・フランプトンとオスカル・バルデスも130ポンド戦線に名乗りをあげました。
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タレント豊富なフェザー級とライト級の「隙間階級」であるジュニアライト級は、スター選手が17階級の頂点・ウェルターを目指す「踏み台階級」という暗い性格を抱えています。

その土壌が、フェザーとライトは垣根が高い日本人ボクサーにも多くの機会を与えてくれてきました。

「隙間階級」「踏み台階級」は「マイナー階級」とは明確に違います。

「隙間階級」とは「人気階級に隣接」していることを、「踏み台階級」とはスーパースターの「ゆりかご」を意味しています。

ジュニアライトからライト〜ウェルターを目指したスターは、このクラスをスタート地点としたオスカー・デラホーヤにフロイド・メイウェザーを筆頭に、マニー・パッキャオ、ファン・マヌエル・マルケス、マイキー・ガルシア、ホルヘ・リナレス、ワシル・ロマチェンコ、ジャーボンテイ・デービスらの名前が居並びます。

このクラスで戦うということは、内山高志や三浦隆司のように彼らとニアミスしていたということなのです。

しかし、内山も三浦も彼らとクラッシュすることは叶いませんでした。

それは「より高い極み」を目指す彼らが130ポンドを踏み台と考えていることに他なりません。ジュニアライト級で費やす時間が短い彼らと戦うには厳しい条件交渉はもとより、タイミングの問題も大きく立ちはだかります。

さらに、ビッグパンチャーであった内山と三浦が「危険な踏み台」であったことも、人気選手から敬遠されたかもしれません。

しかし、今回の潮目は少し事情が違います。

サンタクルスはバンタム、フランプトンはジュニアフェザー、バルデスはフェザーと下のクラスで最初に世界王者となったスターたちにとってジュニアライトはスタート地点ではありません。

彼らは少なくとも勝負階級、もしかしたらキャリアのゴールとして130ポンドに進出してきたのです。

先週のサンタクルスに続いて、バルデスとフランプトンが勝負の階級デビューを果たしました。

 「バルデスとフランプトンが勝てば、それぞれWBC王者ミゲール・ベルチェルト、WBO王者ジャーメル・ヘリングとの世界戦が用意される」(ボブ・アラム)のが既定路線。


ール・フランプトンはタイラー・マクリアリーを手数で圧倒。6ラウンドには左ボディを突き刺してダウンを奪います。

マクリアリーは無敗の26歳ですが、主戦場はフェザーで強豪との対戦はゼロ。百戦錬磨のジャッカル相手では分が悪い。

32歳のフランプトンは、9ラウンドにもやはりボディフック、左のダブルでダウンを追加。スコアは一方的です。

マクリアリー相手なら伊藤や尾川ならもっと鮮やかに攻め落としそうに見えるのは贔屓目でしょうか。

最後の10ラウンドが終了。スコアは三者一致の100−88。次はヘリングに挑戦となりそうです。
Punch Stats
PUNCHESFRAMPTONMCCREARY
Total landed14177
Total thrown461412
Percent31%19%
Jabs landed173
Jabs thrown15792
Percent11%3%
Power landed12474
Power thrown304320
Percent41%23%
-- Courtesy of CompuBox
フランプトンがヒットしたパンチ141発中67発がボディ。「キャンプから拳の状態が悪かったからボディを攻めるのが作戦だった」。その狙い通りの展開に持ち込みました。

「次はヘリングの王座に挑戦したい。ベルファストでアイルランド史上初の3階級制覇を達成できたら最高だけど、ニューヨークに行かなければならないならそれでも構わない」とリングサイドで見守ったヘリングを見下ろしながらインタビューに答えたフランプトン。

ヘリングに勝ったら、伊藤と戦って欲しいですね。勝てると思います。


さあ!メインイベント。スカル・バルデスが2ラウンドにクリーンヒットを食らって、まさかのダウン!ロペス、手強いです。

4ラウンドまで、ダウンを喫した2ラウンドはもちろん、全部持っていかれていてもおかしくない展開。バルデスは強引に攻める必要はありませんが、焦りもあるか。

「いきなりのピンチヒッターでバルデスに勝つと…シンデレラマン誕生だ!」。

気の早い解説席がザワついています。

ただ、バルデスのタフネスとハートはPFP級です。

おおおお!!!7ラウンド終了直前、バルデスが左右フックでダウンを奪い返して、レフェリーストップに。早いストップですが…。議論を呼びそうです。

何はともあれ、これでバルデスもWBC王者ベルチェルト戦へ前進。

「ロペスはしっかりガードでてたのに」「いつもAサイドに優位なジャッジ」…早速、レフェリーのラッセル・モーラへの攻撃が始まっています。

2011年のアブネル・マレスvsジョセフ・アグベコで人気者マレスの再三に渡るローブローを看過して「史上最低のレフ」の異名を頂戴し、先日のカネロvsコバレフでは「カネロのローブローを必ず絶対に見逃す」と揶揄された〝ローブロー・ラバー〟が今度は早過ぎるストップ、風当たりは強烈です。



*******

ラスベガスのザ・コスモポリタンで開催された「トップランク・ボクシング on ESPN+」に出場した選手の報酬はバルデス30万ドル、ロペス7万5000ドル、フランプトン25万ドル、マクリアリー6万5000ドル。

Oscar Valdez $300k, Adam Lopez $75k; Carl Frampton $250k, Tyler McCreary $65k; Carlos Adames $35k, Patrick Teixeira $40k; Arnold Barboza Jr. $50k, William Silva $12k.


さて、ジュニアライト級ウォーズを彩る惑星とプロモーターをおさらいすると…。

WBA王者レオ・サンタクルス=アル・ヘイモン

カール・フランプトン=フランク・ウォーレン&トップランク

オスカル・バルデストップランク

WBC王者ミゲール・ベルチェルト=ザンファー&トップランク

WBO王者ジャーメル・ヘリングトップランク (犀賀さんチェックで訂正)

IBF王者テビン・ファーマー=ルウ・ディベラ&エディ・ハーン

WBAセカンド王者レネ・アルバラードトップランク

伊藤雅雪=横浜光&トップランク

尾川堅一=帝拳



主要選手のほとんどにトップランクのネットがかかっているのがわかります。アラムにとって不倶戴天の敵ヘイモンですが、伊藤vsヘリングが実現したように、サンタクルス以外は露骨にプロテクトしないでしょう。

それでも、伊藤と尾川はもちろん、末吉大や西谷和宏ら世界ランカー、清水聡らもビッグネームとクラッシュする可能性が膨らんでいます。 
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1968年、WBCがWBAから分離独立してから50年の歳月が流れ、矢吹丈が「世界王者は世界にたった一人しかいないんだ!」と叫んだその玉座は粗製乱造大量生産され続け、今やボクシングはマイナースポーツに成り下がってしまいました。



〓〓〓「ラスベガスでビッグファイト」という白昼夢を見た長谷川穂積は、SHOWTIMEから届いた「バンタム級最強トーナメント」の信じられないほど低い報酬を目にしても夢から醒めませんでした。

そして、2010年。「自分の報酬を削ってでも」と当時誰もが認める絶対最弱王者フェルナンド・モンティエルを迎えるのです。

世界最強を証明したらビッグマネーが付いてくるはずなのに…モンティエルごときを呼ぶだけでこっちの報酬を削る…この矛盾が世界の軽量級の正体です。




〓〓〓そしてこの白昼夢でしかない「ラスベガスでビッグファイト」を無理やりデッチあげたのが西岡利晃でした。

パックメイのホーム、MGMグランドで、ビッグネームと対戦、その報酬は100万ドルと発表されました。

表面上はなるほどビッグファイトに見えますが…リングが作られたのは1万6000人キャパのアリーナではなく宴会場、相手はWBCから異例の引退勧告が出されていた完全ロートルのラファエル・マルケス。

HBOもSHOWTIMEも全く関心を示さず、小さなローカル局がテレビ放映するマイナーイベントでした。

もちろん、西岡一人で考えたデッチあげではないでしょう。どこかでストーリーを練り上げた人、矮小な興行でありえない100万ドルを用意した人、衛生放送局の人などなどがいるのです。

西岡も〝加害者〟であり〝被害者〟でした。

WOWOWの解説でも「パッキャオやメイウェザーと同じリングに上がったわけですよね」というのは今や禁句になってしまいました。「MGM詐欺」と指摘されても一言の反論もできないわけですから。






軽量級には〝ラスベガス〟は存在しませんし、PPVでメインを張るようなスターも歴史上たったの一人も存在しないのです。

それでもM資金のように「軽量級でもラスベガスで高額報酬のメガファイトはある」というホラ話が湧いてきて、一般メディア上ですらまことしやかに語られることが珍しくありません。

もう、第二の長谷川、西岡は作ってはいけないのです。

繰り返しますが「井上もラスベガスで試合をしてPPVで何十億円も稼ぐかも」なんて素っ頓狂な記事やコメントを今も目にしますが、軽量級で戦う限り100%ありえません。

米国にもラスベガスにも軽量級のメガファイトの需要なんて100%ないのです。軽量級メイン(歩合報酬が入る)のPPVも歴史上ただの一度の前例すらないのですから。

日本から見たら、ラスベガス、米国なんて軽量級不毛の地です。

PFP1位のロマゴンのファイトマネーですら60万ドルが精一杯、軽量級随一の実力者ファン・フランシスコ・エストラーダですらキャリアハイがシーサケットとの再戦で得た20万ドル、それまでは10万ドル以下でした。

井上尚弥の一昨年の遠征でも、ジャパンマネーが補填されてようやく4000万円。米国でやっていては日本よりも格安報酬で経費もかかる、経済的には何一つ良いことはありません。

DAZNが巨額の大型契約したボクサーの階級を見れば一目瞭然です。米国は軽量級不毛、不遇の地なのです。




***************

ボクシングは滅びゆくスポーツ。

この40年間、米国でこのスポーツを支え続けたHBOの撤退は、ボクシング落日の象徴的な出来事でした。

その一方で、世界のアスリート長者番付でトップボクサーは、今でも首位を賑わしています。

ボクシングが没落の坂道を転がり落ちているにもかかわらず、フロイド・メイウェザーやカネロ・アルバレスはメジャースポーツの選手たちも羨む莫大なカネを手にしているのです。
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〓〓〓日本でも村田諒太が登場、従来のボクサーとは一線を画するスポーツセレブとして認められています。

ただし、これはメイウェザーやカネロ、村田にだけ限定される〝超常現象〟であり、ボクシング界全体には全く当てはまらない排他的な特例です。

ボクシングはトップに立てば豊かな報酬が約束される中量級とヘビー級、そしてトップですら副業を持たざるを得ない貧困な軽量級という二重構造になっています。

この二重構造を理解出来ない無知蒙昧が「バンタム級最強になればラスベガスでカネロのようなメガファイトの舞台が用意される」なんて有り得ない白昼夢を見てしまうのです。

そして、単純に中量級でトップに立ってもカネロやメイウェザー、村田にはなれません。中量級のトップでも、軽量級と比較したら遥かに見入りが良いというだけで、メジャースポーツから見ると恵まれているとは言えません。

彼らの共通点はメキシコと米国、日本というボクシング大国、経済大国をバックに、ウェルター級とミドル級という中量級の人気クラスで頂点に立ったということです。

もしゲンナディ・ゴロフキンがメキシカンだったなら、その報酬は10倍では済まなかったでしょう。

逆にカネロがカザフスタン人なら、DAZNはあんな突拍子も無い巨額の契約を結ぶわけがありません。

村田は頂点に立っていませんが、超富裕階級で日本人としては奇跡的な五輪金メダルを獲り、メイウェザーやカネロの世界に斬り込める可能性があると大きな夢を託されたのです。

残酷な断定になりますが、井上尚弥は貧困な軽量級にとどまる限り「ラスベガスでメガファイト」なんて寝言に過ぎません。

しかし、村田にはその可能性が十分にあるのです。 

それが例え、ロブ・ブラントに再戦で敗れたとしてもカネロの調整試合に呼ばれる可能性はゼロではありませんし、GGGとならその可能性はさらに跳ね上がります。

もちろん、ブラントに連敗となると村田も決断するでしょうが…。

ブラントのタイトルはWBAセカンドタイトルで世界的には認められていませんから、カネロも「完全統一まであと一つ(デメトリアス・アンドラーデのWBO)」と発言しています。

それでもブラントに雪辱することで「まだここにいるぞ」というアピールになります。



もし、日本でも衰退の一途をたどるこのスポーツに決定的な救世主が現れるとしたら、中量級の世界的なスターが登場することしかないでしょう。

先日の大谷翔平の新聞一面広告や、あるいはイチローの偉業に出た号外…あの扱いをボクサーで受けることが出来るとしたら、村田しかいません。

村田本人がそこに辿り付かなくとも、村田のアプローチならそれが可能です。

村田がここから連勝し、T-Mobileアリーナでカネロを倒すようなことになれば、世界のボクシング界を揺らして、日本のスポーツシーンでも最大の偉業の一つに数えられるでしょう。

号外も普通に出るでしょう。



王貞治から大谷翔平へ。

しかし、ボクシングは具志堅用高から井上尚弥へ、何も変わっていません。

この50年の間に日本人アスリートの体格は飛躍的に向上したというのに、ボクシングはずっと軽量級にしがみついています。

この最大の元凶は階級制度でしょう。

「骨と肉を削ればより弱くて小さな相手と戦える」。この誘惑には誰も勝てないのかもしれません。

そして、ボクシングが小さな才能の受け皿になっていることも、相変わらず軽量級にタレントが集中している背景の一つにはありますが、それはやはり言い訳でしょう。

大谷がMLBをパワーでねじ伏せる令和の時代、ボクシングだって日本人の中重量級の世界王者が現れても驚いてはいけないはずなのですが…。

身長180㎝で運動神経が並外れて優れた少年はボクシングに興味を持つ前に野球などメジャースポーツに奪われてしまうのは仕方がありません。

だからといって競争率の激しい、すなわちレベルの高いウェルター級やヘビー級から目を背け続けていては一歩も前に進めません。

正直、アクションに富んでスタミナ抜群の軽量級ボクシングが大好きです。

しかし、欧米(日本でも?)では軽量級は発展途上国の小さなボクサーが低報酬で戦う見るに値しないもの、という偏見が今でも付きまとっています。

競技人口が少なく、貧困な東南アジアや中南米、アフリカに偏る人口分布も、欧米の視界から外れる理由でした。

しかし、東西冷戦が終わって〝東側諸国〟が解放され、中国が世界最大の経済大国にノシ上がり、東南アジアや中南米、アフリカが急成長中の現在、ウェルター級やヘビー級は欧米のものだなんて遠慮する必要などありません。

マニー・パッキャオはマイナー(軽量級)からでも、メジャー(中量級)を 征服できることを証明しました。

このメジャーに直接殴り込みをかけているのが村田です

ファンも電通もフジテレビも、米国のMGMリゾーツまで巻き込んだスポンサー企業群も、大きな夢を胸に村田の船に乗りました。

村田の挑戦は「最強階級で最強になる」という紛うことなき〝聖戦〟です。

その海に村田は漕ぎだしたのです。

そして万一、村田が志半ばで座礁したとしても、次の船が近い将来港を出るでしょう。

その船が約束の地に着岸したとき、もしかしたら軽量級の素晴らしいボクシングもまた、あらためて評価されるのかもしれません。

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