フシ穴の眼 〜スポーツ疾風怒濤編〜

      Hope Lights Our Way / 希望の道を、つなごう。

カテゴリ: アメリカのプロボクシング

めっきり涼しくなったし、道も空いてそうと車で出かけてしまいました。

結構、混んでたし…。明日はじっとしておこう。
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さて、今年最初のビッグファイトまで1ヶ月が切りました。

現地時間10月17日、ネバダ州ラスベガスはThe Bubble, MGM Grand。

ワシル・ロマチェンコvsテオフィモ・ロペス

トップランクにとって傘下のタレントを使ってできる現状最高のカードです。

プロモーター側の理想としてはクロスゲームになって再戦で1勝1敗、決着のラバーマッチへと繋げたいところでしょうが、ボクシングファンからするとウクライナのハイテクに怖いもの知らずの23歳がなすすべもなく翻弄されるのが見たい。
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この激突はリング誌、ESPNのランキングでも、ライト級の頂上対決。

大方の予想はロマチェンコの中差判定勝ち。もし、32歳のウクライナ人のステップワークと波状攻撃にロペスが後退するようだと中盤以降のストップもありえます。

オッズはほとんど変わっていませんが、ウィリアムヒルの数字で見ると、オッズが立った8月から徐々に差は縮まっています。先週からもロマチェンコ勝利が2/7:1.28倍▶︎1/4:1.25倍、ロペスは16/5:4.2倍▶︎11/4:3.75倍と微妙ながらさらに接近しました。

ロペスの「一発強打」と「人気」を表す動きです。
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それにしても、この試合の2週間後に行われる井上尚弥vsジェイソン・マロニーのオッズは未だに立っていません。米国にとってこの試合は、限りなく関心が低いようです。

井上や日本人選手のオッズは出ても変動しない、ほとんど誰にも買われずに試合当日を迎えるのがいつものパターンですが、今回はそれにしても鈍重です。

とはいえ、人気がないのは井上vsマロニーだけではありません。

パンデミックで無観客試合、つまりカジノにも人が集まらないため人気のないカード、例えばあと1週間を切ったルイス・ネリvsアーロン・アラメダやジョンリール・カシメロvsデューク・ミカー、ブランドン・フィゲロアvsダミアン・バスケスのような軽量級の世界戦のオッズもこの段階でも立ち上がっていません。

ネリやカシメロら、母国で試合をするよりもはるかに大きな報酬をドル建てで手に入る米国で戦うのは当然ですが…身内のはずのESPNにまで「井上なんて誰も名前も知らない」と屈辱的に無視された井上は何のためにラスベガスのリングに立つのでしょうか?

井上も人気がないけど、軽量級も人気がない、ということです。

さて、ESPNがPFPキングに推すロマチェンコもまたその実力に見合った人気を享受できていない〝ホームレス〟です。

マディソン・スクエア・ガーデンのスポーツアリーナに果敢に挑戦(ホルヘ・リナレス戦)しましたが、チケットの売り上げは低迷、中上階席を封鎖しての開催となりました。もちろん、テレビ視聴者数も低迷、前座のロペスvsビクター・ジョーンズにも負ける屈辱。

今回のファイトマネーを巡っても「ロマチェンコの方が多いのは受け入れるが、興行を支えている私が無視されるのはやりきれない」とロペスが交渉放棄を匂わせたのも、ある程度は納得できます。

そのロマチェンコはニューヨークやカルフォルニアやラスベガスの会場を〝たらい回し〟されながらも定住の地は見つからないままキャリアを終えそうです。

ロマチェンコがメキシカンならラスベガスを拠点に人気スターの座を獲得していたでしょうが、彼のケースも母国で戦うことを思えばはるかに巨額の報酬が得られるのですが、なんだか煮え切らないです。

もちろん、野球でもテニスでも人気選手が実力以上の報酬を得るのはプロとして当然なのですが…。西岡や井上のケースは、ちょっと卑屈にいがんでいます。
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ひゅ〜どろどろどろ〜。

夏が終わったところなのに、季節外れの怖い話です。
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世界的なパンデミックによってボクシングのイベントも大打撃を受け、ほとんどの会場では無観客ながら少しずつ前に進み始めています。

それでも、売上げの大きな柱であるゲート収入が全く期待できない状況は、ボクシング興行でお馴染みのカジノが支払う招致フィーまで期待できません。

〝前進〟しているとはいえ、プロモーターにとっては両腕をもがれた格好で、選手や会場に報酬や施設使用料の大幅な減額をお願いし、痛みを分け合う慎ましい〝匍匐前進〟です。

多くの選手・スタッフが集まる何試合も盛り込んだ通常興行は感染リスクが高まるためにままならず、試合を放送するテレビ側も難しい対応を強いられています。

ボクシング放送の新しい盟主と期待されたDAZNも選手の契約見直しを断行、カネロ・アルバレスとはついに法廷闘争に持ち込まれてしまいました。

DAZNは一方で、欧州サッカーと巨額の長期契約を更新するなど、パンデミックによって本当に財源が枯渇しているわけではありません。

そこがカネロも納得できない部分です。「パンデミックで財政難というのはただの口実だ」と。

もちろん、DAZNの財務状況が特に北米で深刻な苦境に追い込まれているのは事実で、欧州サッカーへの積極的な投資は大きな見返りが期待できると踏んだ投資家や金融機関から出資を受けているからです。

逆にいうと、パンデミック前から大失敗と烙印を押されて思うような利益が挙げられないばかりか、赤字が膨らむボクシングビジネスに出資が集まるわけがなく、DAZNとしてもどうしようもないところです。

ゲート収入も招致フィーもゼロ、放映権料も下落している緊急事態・財源逼迫の状況での興行は八方塞がりです。

PPVのような瞬発力のある課金ビジネスでしかボクサーの高額報酬は期待できない現況ですが、PPVは平時でも一握りの超人気選手だけが許されたレアでハレのビジネススタイルです。

米国のボクシングビジネスはPPVが基本と勘違いしている人もいますが、それは大間違いなのです。

そしてラスベガスのMGMグランドの会議室を完全防疫して作られたThe Babbleの興行は「選手報酬と会場費を切り詰めても5000ドル以上の赤字が重なっている」(ボブ・アラム)と言いますから、状況は深刻です。

トップランクと提携するESPNも「人気選手ならPPVで仕掛けたい」としていますが、現在のトップランク契約選手でその器にあるのはタイソン・フューリーただ一人だけ。

ワシル・ロマチェンコvsテオフィモ・ロペスは、実力で上と見られるロマに大会場をフルハウスにする人気はないもののロペは十分な人気者。それも原因で、報酬の分け前をめぐって試合が破談になりかけました。

ロマvsロペはPPVにならなくても相当な視聴者数や海外への放映権料もそこそこ稼げるので、ESPNもある程度血を流すでしょう。

前置きが長くなりました。

怖い話は井上尚弥vsジェイソン・マロニーのIBF/WBA2団体バンタム級タイトルマッチです。

10月31日にThe Babbleで予定されていますから、無観客興行。もちろんPPVがつくはずもありません。

それどころか、いまだにオッズすらも出ていません…。米国で「イベント再開後の世界戦で最も関心が低いカード」と断言されているのも当然です。

相変わらず軽量級を無視する米国とは反対に、大橋秀行会長は「今回はお金がすごくいいんです。一発目でこの金額だと防衛回数を重ねたら天文学的数字になる」と全く空気の違う発言、威勢が良いのです。

「天文学的数字」が何を指すのかもよくわかりませんが「防衛回数を重ねたら」という前提の意味もよくわかりません。

いつのまにか米国リングはこれまで無関心だった防衛回数を重視するように激変したのかもしれません。

バンタム級で防衛回数を重ねて天文学的数字の報酬を稼げたら、オルランド・カニザレスは苦労しなかったと思いますが、150年に1人の天才が嘘をつくはずがありません。

この数日で米国ファンの嗜好が、今まで見向きもしなかったバンタム大好きに激変したに違いありません。きっとそうです。

それにしても、アラムはジョンリール・カシメロに報酬減額を掛け合ったときには「井上のように大幅の減額に応じないと試合は成立しない」と発言していました。

つまり、井上は大幅減額を飲んでいたということです。

そんな大減額を強いられても天文学的数字につながる「今回はすごくいいんです」というのですから、一体いくらなのか気になります。

それにしても、そんな準・天文学的数字の大金を一体全体誰が払うというのでしょうか?

アラムは「大幅減額」と語り、ESPNは「井上は無名」キャンペーンを張って、他の王者並みの放映権料は出せないと含ませています。

とすると、未だにオッズも立たない無視されたバンタム級の試合に、誰が「準・天文学的数字」を出すのか、まさに怪談話です。

これは、きっとどこかにオバケでも潜んでいますね。


ひゅ〜どろどろ、どろ。
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◉ガーボンタ・デービスvsレオ・サンタクルス◉
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10月24日、コネティカット州アンキャスビルはモヒカン・カジノで予定されている試合は、Show timeがPPVで生中継。

この会場は、チャーロ兄弟のShow time*PPV も先立って開催、カジノのアリーナですからある程度の観客を入れる算段かもしれません。

軽量級メイン(といってもこの非常事態下、現時点ではこの試合しかセットされていません)でShow timeがPPVを手掛けるのは史上初です。

もちろん、デービスとサンタクルスにとってもキャリア初のPPV。

ゲート収入が期待できない、すなわちカジノにとって招致フィーを支払うメリットがない現状ではPPVは最もわかりやすいビジネススタイルです。

報酬が伸び悩んでも「人気のないお前が悪い」と言えますから。1件単価や販売件数目標などはまだ明らかにされていませんが、この二人なら200万ドルは分け合いたいところです。

いろんな意味で奇妙な試合です。

まずは、もちろんWBAの二つの階級が同時にステイクされるという奇妙。

デービスのライト級セカンドタイトルと、サンタクルスのジュニアライトが懸かります。さすがWBAです。

しかし〝本家〟のWBCが黙ってるわけがありません。マウリシオはきっと「倍返しだ!」と闘志を燃やしているはずです。

歴史上1試合で3つのタイトルが懸けられた前例はありませんから、これからは承認団体の〝複数階級制覇〟争いにも注目です。 

そして、キャッチウェイトは何ポンドに落ち着くのでしょうか?

「1試合で2階級」 のパイオニアは「シュガー・レイ・レナードvsドニー・ラロンデ」のスーパーミドル&ライトヘビーのWBC決戦(1988年11月7日)でしたが、あのメガファイトはどちらが悪者かはっきりしていました。

今回のデービスvsサンタクルス、これはどっちがAサイドになるんでしょうか? 

アブネル・マレスにカール・フランプトンとどっちがAかわからないビッグファイトを経験してきたサンタクルスは、今回もスターパワーで互角の相手と戦うことになりました。
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そして、体格でも奇妙なパラドックスが浮かび上がっています。

ライト級でも体重管理が不安定な身長166㎝/リーチ171㎝のデービスに対して、ジュニアバンタム級からプロキャリアをスタートしたサンタクルスは171㎝/175㎝。

25歳のズングリと、32歳のノッポが拳を交える奇妙な激突は、ワンサイドゲームの予感も孕んでいますが、どうなることやら?

さらにオッズも奇妙です。2/7(1.29倍)と5/2(3.5倍)と、意外なまでに奇妙な拮抗を見せているのです。

ウーゴ・ルイスのような処刑的惨敗はないかもしれませんが、32歳のサンタクルスが初めてストップされる可能性も十分あります。


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それにしても、1週間後にラスベガスで行われる井上尚弥vsジェイソン・マロニーのオッズは例によって例のごとく、出遅れています。

11月、12月の注目試合のオッズはほぼ出揃ってるというのに…。もちろん、井上vsマロニーよりも早々に発表されたノルディーヌ・ウバーリvsノニト・ドネアのオッズもどこを探しても見当たりません。

本当のビッグネームは、対戦の噂が立っただけでも数時間後にポテンシャルオッズが立ち上ります。

メイウェザーやパッキャオ、アンソニー・ジョシュアらは試合が決まってないにもかかわらず、いろんな相手とのオッズが開かれています。

一方で、正式決定がアナウンスされても井上ら日本人の世界戦のオッズは、試合前1ヶ月あたりで渋々出てくるのはいつものことです。

欧米での報道量の圧倒的少なさはもちろん、こういうオッズの鈍重な立ち上がりからも「井上は米国のボクシングファンは名前も聞いたことがないほどに無名」(ESPN)という事実がはっきり裏付けられています。

まあ、わかってたこととはいえ、悔しいです。

わざわざ、商売抜きでラスベガスまで乗り込もうとしてるのに。

でも、これが、外国人、しかもバンタム級の悲哀です。 

目にモノ見せてやる!といきりたっても…そもそもやつらは見てない、興味がないから始末に負えない…。 

やつらが「目にモノ見せられた」と賞賛するのは、パッキャオ的なサプライズです。軽量級でも超ビッグネームを完膚なきまでに叩きのめす、やつらが興味のあるウェルター級のスター選手をリングの中で追いかけ回して圧勝する…。

悲しいかな、今の軽量級に超の付くビッグネームは一人も見当たらず、井上は「エマヌエル・ナバレッテとは縁がなかった」とジュニアフェザー級進出ですら逡巡している有様です。

井上に「ウェルターで戦え」というのは酷です、ありえません。ライトですらも可哀想です。

そう考えると、米国のボクシングファンの身勝手と冷たさが身に沁みます。

オレクサンダー・ウシクが「後楽園ホールで戦うのが夢だった」と商売抜きで来日してくれたら、日本のボクシングファンなら「ウシク?よく知らなかったけどPFPファイターが親日家なんて悪い気はしないぞ」と大歓迎するでしょう。 

地上波が生中継するとは思えませんが…意外と一般ニュースで取り上げられて、そこそこ関心集めそうですが…。
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今夜、菅義偉総理大臣をトップに新内閣が誕生しました。

総理大臣でも大統領でもエラーばかりが指摘される因果な商売です。

普通にやって当たり前、ゴールキーパーみたいな仕事です。

しかし、最も重要な仕事の一つであることは誰もが認めるところです。

安倍晋三前首相の退任会見で、記者から「おつかれさまでした」のねぎらいの声が聞こえなかったことに橋下徹が憤慨していましたが、全くその通りです。

約8年もの長期政権は、圧倒的な支持を集めた時期のない「消去法政権」でしたが、良い意味で「安倍ままの方がマシ」というのが国民感情でした。つまり、8年間を安倍首相に託すことに多くの国民が異論はなかったのです。

そして、新たな挑戦の舞台に立つ菅新首相にも、出航の今この時はエールを送りましょう。

どんなに素晴らしい舵取りをしても、必ず非難の嵐に晒されるのがこの仕事です。

ハネムーンくらいは、殺伐としてはいけません。熱いエールを送りましょう。
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【事件の概要】「ヘビー級が動くが如くボクシングは動く」。

レスリングや柔道など階級制格闘技において、無差別級の地位ば絶対的で、この真理はプロボクシングにおいてより強烈な光を放ち続けていました。

しかし、20世紀終盤からその絶対的地位は揺らぎ始めます。

ファイトマネーの大台、100万ドルをマークしたのも1000万ドルを突破したのも、最初はヘビー級でした。※

しかし、記念すべき1億ドルの空を最初に突き破ったのは身長170㎝前後と小さな二人のウェルター級でした。

一体誰がヘビー級を殺したのか?




◎1960年代のアリバイ◎

ヘビー級はフロイド・パターソンから王座を奪ったソニー・リストンが長期絶対王政を敷くと見られていましたが、カシアス・クレイが登場。

米国ボクシングはそのステイタスの面ですでに衰退期に入っていたと考えられる60年代でしたが、まぶしすぎるアリの時代は、ある意味で米国ボクシング、それどころか米国スポーツの黄金時代でした。

このディケイドでウェルター級王者のベルトを巻いたのはベニー〝キッド〟パレット、エミール・グリフィス、カーティス・コークス、そして1969年にはホセ・ナポレスが滑り込みます。

錚々たるメンバーです。

1962年3月24日、マディソン・スクエア・ガーデンで行われたパレットvsグリフィスの惨劇がきっかけとなり、ボクシングのリングは3本ロープから4本に改革されるなど、世界的に注目される大試合が繰り広げられますが、アリの存在を脅かすようなスターパワーは持ち合わせていませんでした。

それを言い出すと、ヘビー級を殺した真犯人は、モハメド・アリということになってしまいます。

容疑者A:モハメド・アリ
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もちろん、ヘビー級の伝説アリが真犯人であるわけがありません。



 
◎1970年代のアリバイ◎

アリの時代が続いた1970年代ですが、真犯人のアジトとして有力なウェルター級とミドル級で、今なお「歴代最強」とも言われる王者が君臨します。

容疑者B&C:二人の「カルロス」

この二人は極めて怪しい容疑者です。

強打のメキシカン、パロミノはウェルター級の名王者です。今なら、カネロ・アルバレス並みの補助輪付きの過保護なキャリアを送っていたでしょう。

しかし、それは逆に1970年当時、パロミノはボクシングの世界を牽引するリーダーではなかったことを意味します。

もう一人のカルロス、モンソンはまさに伝説的な生涯を送った最強のミドル級でした。しかし、アルゼンチンのショットガンも生まれるのが早すぎました。

モンソンのあと、ミドルを恐怖で支配したマービン・ハグラーのようなメガファイトとは無縁でした。





◎1980年代のアリバイ◎

極めて真犯人と思しき男を連行しました。

この男の二つの拳によって、ヘビー級の独壇場だった「史上最高のファイトマネー」の歴史が打ち砕かれてしまうのです。

容疑者D:シュガー・レイ・レナード

「これからはスターの時代になる」。

そう公言したのはリング誌でもESPNでも、スポーツイラステレイテッド誌でもありません。

公平平等であるはずの承認団体の一つWBCのホセ・スライマン会長でした。

「実質5年以上もリングを離れているレナードをランキングに入れた理由を説明できるのか?」。

スライマンは淀むことなく答えたのです。

「レナードは他のボクサーとは違う」。

史上最大のメガファイトで手にした「最低保障」は1100万ドル(当時のレートで約16億5000万円)、リングの大きさやカンバスの硬さ、ロープの緩みなど全てをオーダーメイドすることと引き換えにハグラーの1200万ドル(約18億円)は下回りましたが、両者の報酬は史上最高でした。

そうです「最低保障」です。実際にはクローズドサーキットを主軸とした興行収入が契約ラインを超えた時点で歩合が発生するので(現在のPPVと同じシステム)、ハグラーは最終的に2500万ドル、40億円近くを手に入れました。

このお話はテーマから外れ、きっとどこかでしたのでこの辺りで。

その後もスライマンはまるで飼い犬のように、レナードにべったり寄り添い、挙げ句の果ては1試合で2階級のタイトルか懸けるという〝離れ業〟までやってのけました。

しかし「ヘビー級を殺した」と認めるには、レナードは一代限りで、その荒稼ぎの舞台は、彼が最も素晴らしいパフォーマンスを見せたウェルター級ではありませんでした。


 
◎1990年代のアリバイ◎

この二日間、ヘビー級を殺した真犯人を、リングの上で探していた私は間違っていたのかもしれません。

リングの上でヘビー級よりも魅力的なパフォーマンスを見せる才能あふれる若者が犯人だ!…そんな犯人像に縛られて、重大な事実を私は見落としていました。

リングで戦うのはボクサーですが、そこには必ず演出家が、舞台監督が存在します。

そうです。プロモーターです。

容疑者E:ボブ・アラム

ヘビー級を独占していたドン・キングを駆逐するのに「ヘビー級のタレントを奪う」のは不毛な争いを生み出すだけです。

アリやマイク・タイソンという素材のまま売り出すしか能のないキングの欠陥をアラムは見抜いていました。

「あの男はあと5年以内、いや来年にも最前線から消してやる」。

「素材のヘビー」が〝刺身〟だとすると、演出というソースをかけた「中量級」は〝フランス料理〟でした。

そして、アラムは風を読むにも敏でした。「メキシコの風」を読み取り、オスカー・デラホーヤを〝ドラ1〟で獲得。

アラムはデラホーヤやフロイド・メイウェザーが反旗を翻すのも想定内だったでしょう。

唯一、計算外だったのはメキシコのスター選手の踏み台と考えていたフィリピン人が次々に番狂わせを起こしたことくらいでしょうか。





◎2000年年代のアリバイ◎

アリに続いてまたもや、ヘビー級の容疑者が起訴されました。

容疑者F&G:ピタリとウラジミール、クリチコ兄弟

この〝ウクライナの軛〟によって、米国のヘビー級離れは決定的になります。

「試合が面白くない」。米国のファンは口を揃えますが、ヘビー級の試合なんて大概あんなものです。クリチコ兄弟の試合は、ヘビー級としてはむしろ面白かったです。

やつらの胸の内は「(米国人がロシア系のクリチコ兄弟に惨敗するのが)面白くない」のです。
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ビタリは首都キエフの市長。ロシアの武力干渉にも新型コロナも彼を倒すことはできません。

政治家ボクサー最強は、マニー・パッキャオではないのです。間違いなく、ビタリです。





◎2010年代のアリバイ◎
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米国ボクシングのリングに大異変が起きます。

米国に限らず、異邦人がスターダムの頂点に立つのは至難の業です。それが北中米を遥か離れたアジア、しかも軽量級となると、スターダムの「ス」にも届かないのが常識です。 

ボクシングはとっくの昔にマイナースポーツに堕落していましたが、それゆえにミステリアスなベールをまとい、酔狂なマニアの興味を刺激したのかもしれません。

そのベールを被った小さな男がよりミステリアスに映えたのは、米国人がよく知らないアジアからやって来たことと無縁ではないでしょう。

「東洋人は米国スポーツで過剰に優遇されている。ボクシングでもバスケでも野球でも!本当の実力勝負なら黒人が最強だというのに!俺たち黒人はいつも損ばかりしてるんだ!」(メイウェザー)の言葉は確かに一理あります。

壁も屋根も寝床も無い極貧のドン底から這い上がって来た生ける伝説は、正真正銘のアメリカンドリームを摘みました。

容疑者H:マニー・パッキャオ



◎2020年のアリバイ◎

2020年代。次の事件が起きるかもしれません。

つまり「誰がウェルター級を殺したのか」?

すでに有力な容疑者は挙がっています。

やはり、今回もアジアの島国からやって来た男です。

しかし、2010年代にしょっ引いたフィリピンの貧乏人とは様子が違います。

フィリピンとは比べ物にならない金持ちの国から上陸した118パウンダーには、ウェルター級を殺す動機も、何よりもその実力がないように見えます。

ただ、それを言い出すとあのフィリピン人もボクシング界を震撼させるような大事件を何度も起こすなんて…誰も考えていませんでした…。

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菅新首相と同じように、新しい挑戦に乗り出す第一歩です。

便所の落書きブログから、頼まれてなくてもハネムーンお見舞いです。

あと1ヶ月と少し。

「階級下克上」を成し遂げるには、あまりにも頼りないクラス、あまりにもしょぼい相手ですが、それを補って余りある花火を上げましょうぜ。
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1930年代、ヘビー級に傾きすぎる注目度や報酬に嫉妬したヘンリー・アームストロングは10カ月で3階級制覇という超人技をやってのけました。

そして、偉大なアームストロングは、現在の米国で最も人気のあるウェルター級で、今なお破られていない19連続防衛という大記録まで打ち立てます。

しかし、アームストロングがジョー・ルイスに迫る人気や報酬を得たという記録はどこにも見当たらず「ヘビー級が動くが如くボクシングは動く」時代には何の変化も起こせませんでした。
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当時はオリジナル8の時代です。複数階級制覇や防衛記録が今とは比較できないほど価値のあった時代です。

ウェルター級を拠点にそれをやってのけたアームストロングは、今でこそシュガー・レイ・ロビンソンに次ぐ評価を受けていますが、当時はヘビー級を前にした月見草に甘んじるしかありませんでした。

3階級同時制覇もウェルター19連続防衛も、当時はヘビー級が残りの7階級に落とした日陰で人知れず咲く花に過ぎなかったのです。

それにしても、いつからウェルター級がヘビー級と並び、凌駕することも珍しくないプレミアムクラスになったのでしょうか?

階級制スポーツにおいて無差別級が最大の注目と尊敬を集めないケースは、日本の女子柔道や女子レスリングに見られます。

しかし、そこには誰にでもわかる明らかに大きな理由があります。
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一方で、男子プロボクシングで起きた階級下克上は、単純な理由では説明できません。

リングの主人公がメキシカンを中心としたヒスパニックに移行していることは、米国の人口構成比が地殻変動を起こしていることである程度は説明がつきます。

しかし、階級下克上の震源地はどこにあったのでしょうか?

どうして、ウェルター級最強のアームストロングがフロイド・メイウェザーのようなマネーになれなかったのか?

カルロス・モンソンはなぜ、カネロ・アルバレスのようにプライベートジェットを買えなかったのか?

もちろん、アスリート報酬が急騰しているという背景はあります。

しかし、それは人口構成比と同様にあらゆるプロスポーツに当てはまることで、ボクシング限定の「階級下克上」とは別の話です。

ヘビー級が失速して、ウェルター級やミドル級がノシ上がった上昇気流の正体は何だったのか?

その反逆の気流はいつ起きたのか?

その容疑者を問い糺しながら、下克上の真犯人を追い詰めてゆきます。
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8月15日 オクラホマ州タルサ 

女子ウェルター級 Undisputed Championship


リング誌と欧州では「主要」に数えられるIBOも含めた5団体完全統一世界女子ウエルター級王者セシリア・ブレークスがついに陥落。
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マッキャスキルのしつこい手数に女王が押し切られた格好でした。

この試合には、ジョー・ルイスの世界記録を更新する26連続防衛がかかっていましたが、タイ記録で頓挫。

ブレークスから見て、95ー95/93-97/94-97の2ー0のマジョリティデジションでしたが 、マッキャスキルの勝利で間違いありません。

判定が読み上げられ「アンド、ニュー!」のコールに、拍手で勝者を称えてたブレークスのホッとしたような笑顔が印象的でした。

38歳のブレークスは6年間守った完全統一王座を手放し、2007年のプロデビューから積み上げた連勝記録も35でストップ。

大番狂わせを起こしたWBA/WBCジュニアウェルター級王者マッキャスキルは、プロ11戦目で2階級制覇に成功しました。

来月、36歳の誕生日を迎える〝キャスキラ〟の「次」は、またもビッグネームのライト級完全統一王者ケイティ・テイラーへの雪辱戦が噂されています。


この試合はタルサの大通り、交差点に特設されたリングで行われました。なかなか面白い試みです。

日本でも銀座の歩行者天国などを貸し切ってのイベントができれば話題性十分ですが…。
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ウェルター級の大駒をテレンス・クロフォードしか持たないトップランクにとって、ワシル・ロマチェンコvsテオフィモ・ロペスは〝内製〟できる最高のカードです。

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一旦は10月3日に内定していたリング誌/WBA/WBO王者ロマチェンコと、IBFのロペスが激突する3団体統一戦。

32歳のウクライナ人はWBCのピースも保持、本来ならリング誌と4団体のベルトを賭けた完全統一戦になるはずでした。

しかし、WBCがロマチェンコを「防衛戦を免除される」フランチャイズ・チャンピオンに〝昇格〟させたことによって、王者とは認められなくなってしまいました。

それでも、アフター・コロナでは飛び抜けたビッグファイト。

ところが、ロペス陣営が「125万ドルは安すぎる。最低でも200万ドル」と最終合意を拒否。試合は暗礁に乗り上げていました。

ボブ・アラムは「報酬で揉めるのはよくあること。54年もこの業界の最前線で仕事をしてきた私にとっては大騒ぎしたり、悲嘆したりすることじゃない。試合は予定通りに行われる」と楽観的な姿勢を貫いてきました。

昨日、88歳の殿堂入りプロモーターは「ロペスの取り分を引き上げるためにロマチェンコの報酬を一部カットする」と発表しました。

ロマチェンコが手にする報酬は350万ドルとされ、ロペスの要求額を補填するには75万ドルが引かれる計算です。しかし、報酬の20%以上にのぼる減額をロマチェンコが合意するかどうかは疑問で、実際の数字は30〜40万ドルではないかと見られています。

しかし、アラムはロマチェンコの350万ドルをそもそも否定しています。

“That figure that you’ve seen posted, ‘Loma getting $3.5 million,’ that isn’t very far from the truth,” said Arum.
メディアはロマチェンコの報酬を350万ドルと書きててているが、それは事実から大きくかけ離れた数字だ。


アラムの言葉は真に受けることはできませんが、いずれにせよ、重度の虚言癖のある88歳が投げたこのボールをロペス陣営がどう返すかで、試合実現が決まります。

そして、この試合を何としてもやりたいのはロマチェンコの方です。

「史上最高のアマチュア」の触れ込みで2013年にプロデビューしてから7年、ウクライナのハイテクは多くの強豪を翻弄してきました。

しかし、フェザー級からライト級にわたる米国では「軽量級」にあたるゾーンは、痩せた土壌に貧弱なタレントしか存在しないのがデフォルトです。

ゲイリー・ラッセル、ローマン・マルチネス、ニコラス・ウォータース、ギレルモ・リゴンドー、ホルヘ・リナレス、ホセ・ペドラサ、アンソニー・クローラ、ルーク・キャンベル…実力者ではあっても、米国でロペス並みの人気を要するボクサーは一人もいません。

本人が「あと2年程度」とフィニッシュラインを決めているキャリアは劣化の症状も見られ、キャリア最高のビッグファイト、ロペス戦を先延ばしすることは得策ではありません。

トップランクの持ち駒でロペスに次ぐ人気を持つのは、フェリックス・ベルデホですが、堕ちたホープ相手では興味も半減です。

さて、ロマチェンコがやや有利と見られている展開ですが、ハイテクを最も苦しめたリナレスは「非常に危険な戦いになる」とロペスにチャンスがあると見ています。

LOMACHENKO ISN’T THE SAME FIGHTER HE ONCE WAS

「私と戦った頃のロマチェンコはもういない。被弾が目立ち、動きも滑らかさを欠くようになった。ロペスはスピードのない、一発屋でコンビネーションが使えない不器用なボクサーだが、その偏向したスタイルもまた劣化したロマチェンコにとって深刻な問題を引き起こすかもしれない」。

また、23歳のロペスが井上尚弥レベルの12%前後という大きなリバウンドを経て当日のリングに上がることも、ライト級で対戦相手を持て余すケースが目立つようになったロマチェンコにとって不安要素です。

「ウェルター級?そこが最も人気があるのはわかる。しかし、ジュニアウェルターはおろか、ライト級でも170㎝の私は小さい。あと10㎝大きければ考えるけど、適正階級はジュニアライトだ」というウクライナ人の前に、ジュニアミドル級間で膨れ上がったロペスはどう映るのでしょうか?

ロマチェンコの身長があと10㎝高ければ…クレオパトラな話はひたすら虚しいだけです。


なんだか、劇的な世代交代を期待してしまいます。

「あと10㎝」。パックメイはそんな泣き言は発しません。
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現時点のトップランクの持ち札で最高のマッチアップ、ワシル・ロマチェンコvsテオフィモ・ロペスとのビッグファイト。

両陣営合意で10月3日に内定とされていましたが、トップランクが提示した125万ドルの報酬をロペスが拒否、試合は消滅の危機に直面しています。

ボブ,アラムは「ゲート収入もクローズドサーキットも期待できない異常事態。125万ドルはプロモーターとして精一杯の数字だ。これ以上を求めるなら我々が100万ドル単位の損失を引き受けることになる」と、ロペス陣営に理解を求めています。

対して、ロペスのマネージャー、デビッド・マクウォーターは「状況は分かっているし、減額も当然。しかし、この試合は他とは違う、125万ドルはありえない」と納得してしません。

マクウォーターは、正論を振り回すタフネゴシエーターで知られています。

最近では約束の報酬か期日を過ぎても振り込まれないことからイヴァン・バランチェックのWBSS 離脱をプチ上げた人物です。

「我々が低報酬に我慢することもトップランクが損失を負担する必要もない。このビッグファイトで一番潤うのは、ESPNだ。ESPNは多くの視聴者を稼げるこの試合をオンエアしたいはず。それならそれなりの放映権料を支払うべき」。

確かに、現在ラスベガスのBabbleでやっている10万〜40万人レベルの視聴者しか見ないイベントではありません。

アラムは「この条件が飲めないならロマチェンコの相手は他にするしかないが、10月3日に試合が出来ると思う」と楽観的です。

具体的な金額も出て、生々しいニュースというのが、井上尚弥vsジョンリール・カシメロとの違いです。

ゾラニ・テテ戦が幸運な入札になりキャリア最高の7万5000ドルを手にしたカシメロでしたが、提示している金額は普通に2万ドル前後でしょう。

カシメロにとってはコロナ関係なしに普通の報酬ですが、さすがに井上vsドネアのさいたまスーパーアリーナを見てるだけに、いつもの数百万円では納得出来ないでしょう。

とはいえ、さすがにそのしょぼすぎる金額では、ニュースに乗せられません。

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エロール・スペンスJr.ダニー・ガルシアのビッグファイトが11月21日に会場未定ながら決定しました。

スペンスが保持するIBFとWBCのタイトルがステイクされます。

階級最強と目されるスペンスは26勝21KO無敗の30歳。直近2戦はマイキー・ガルシア、ショーン・ポーターとPPVファイト、マイキー戦は36万件、ポーター戦は28万件と「合格」の販売数字を叩き出しました。

実力者との対戦で商品価値を証明した一方で、いずれの試合も判定まで持ち込まれポーター戦はスプリットデジション、最強評価は下含みです。

もちろん、ライバルのテレンス・クロフォードはまだそこまでの実力者とは手合わせしておらず、キース・サーマンらも低水準の相手に圧勝していた頃は「invincible(誰も勝てない)」と思わせる状態でした。

このスポーツは「誰と戦ったのか」が全てです。弱い相手でも凄まじい勝ちっぷりを見せるとinvincibleに見えますし、強豪に苦戦するとボロが出たと思われてしまいます。

フェザー級上がりとはいえ勝負根性の塊、マイキーの肉体と精神をヘシ折るのは簡単な仕事ではありません。

勇敢で打たれ強い重戦車、ポーターはどんなに優れたボクサーでも苦戦の末にしか勝ち目はありません。

そして、今回のガルシアも気持ちが強く、頑丈な顎と強烈な左右フックを鎌のように振るう嫌な相手です。敗北したのはサーマンとポーターの二人だけ。十分健闘した内容でした。

その相手と、昨年10月10日に交通事故で重傷を負ったスペンスが、調整試合を挟まずに対戦するのです。

事故の影響がゼロとしても簡単な相手ではありません。
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How do you see the Spence-Garcia fight playing out?

「完全に元通り。数本の歯を失ってしまった以外は何も失っていない」(スペンス)という本人の感覚は嘘ではないでしょう。しかし、本当に何も失っていないかどうかは本人の感覚が決めるのではありません。それがテストされるのは、リングの中だけです。

3人の専門家がESPNで展開を予想しています。

「事故前ならスペンスとクロフォードがウェルター級戦線で頭一つ抜けた存在だった。あの事故でスペンスは車から放り出されて顎を骨折、重傷を負った。この4月下旬でもまだスパーリングはできない状態だったスペンスが本当に回復しているのかどかは、誰にもわからない」(スティーブ・キム)。

▶︎まさに酷いKO負けを喫した以上のダメージを受けたわけですから、この試合は〝復帰戦〟です。ポーターよりも速く、マイキーよりも強打を持つガルシアは非常に難しい相手に思えます。


「スペンスがあの事故で変わったのか、変わらなかったのか。もし、何も変わっていないならスペンスのスピードとパワー、大きさはガルシアには荷が重い。スペンスがはっきり勝利するだろう。ダウンも奪うかもしれない。しかし、もし何らかの影響があれば、そんな隙や瑕疵を突くのが最も得意なのがガルシアだ」(キャメロン・ウルフ)。

▶︎骨折した顎の程度がわかりませんが、衝撃的なフィニッシュシーンで幕が閉じる番狂わせを見るかもしれません。

「あの事故がなければ、予想はスペンス勝利しか思い浮かばない。しかし、重症を負う事故の復帰戦。さらには事故前の試合からはボクシングに迷いも見えた。何が起きるかわからない」(ベン・ベイビー)。

▶︎マイキーとポーター、強豪を相手にして従来のスタイルがスムースに機能していないことは素人目にもわかりました。弱い相手だと凄まじい勝ちっぷりを見せるのはガルシアも同じですが、スイフトには迷いはありません。

What advantages does Spence have over Garcia?

「スペンスはナチュラルなウェルター級で、将来ジュニアミドルやミドルに進出するだけのフレームを持っている。技術面では二人ともハイレベルだが欠点も目立つ。スペンスはパワーはあるが、サウスポーのやりにくさが少ない正直なボクサー」(キム)。

▶︎二人とも引き出しの少ないボクサーであるのは間違いありません。主導権を握られたら潮目を変えるオプションが乏しいとはいえ、どちらも形勢をひっくり返す一発は持っています。


「スペンスのジャブをガルシアはかいくぐれない。打撃戦になればポーターほどの装甲を持たないガルシアは危険な時間を過ごすことになる」(ウルフ)。

▶︎スペンスのジャブは打たれ強いポーターには効果が低かったものの、やはり試合を決定するツールになりそうです。


「体格差は明らか。ガルシアを波打ち際でピン留めできれば、スペンスの圧勝もありうる。三段論法はなしにしても、ガルシアがマイキーに圧勝できるか?普通に考えて、大きなスペンスをガルシアはコントロールしきれない」(ベイビー)。

▶︎体格差を埋めるにはガルシアはあまりにも不器用。スペンスとの相性は悪そうです。



What advantages does Garcia have over Spence?

「ガルシアは生粋のウェルターじゃないが、誰も彼を粉砕することはできていない。頑健な肉体は32歳の今もプライムタイム。事故の影響が懸念されるスペンスとは違う。ガルシアの顎は本物だが、スペンスは?サウスポーとはいえ、相手の射程距離にいる時間が長いスペンスはやりにくい相手じゃない」(キム)。

▶︎確かに打たれ強さはガルシアな気がします。ただ、小さなガルシアにそのパンチが打ち込めるか、それが問題です。


「規律のある日常と練習で常にシェイプアップしているのがガルシア。これまでのキャリアでも、大苦戦を潜り抜けてきた。Aプランが崩れても踏ん張れるだけのハートを持ち、準備も出来るボクサーだ。スペンスが思い通りにならない展開に戸惑ったり、苛立ったりするなら番狂わせは起きる」(ウルフ)。

▶︎両者が100%の状態でリングに上がるなら、スペンス有利です。ただ、いまわかってることはガルシアは100%に仕上げてくるだろうということだけです。


「調整試合を挟まなかったのは良い判断とは思えない。第1ラウンドの動き出しを手探りで始めるしかないスペンスに対して、ガルシアは様々な攻撃を仕掛けることができる」(ベイビー)。

▶︎結果はわかりませんが、大事故のあとです。調整試合は挟むべきですね。



What's your prediction for the fight?

「ガルシアの終盤KO勝ち。私にはあの大事故の影響がないとは思えない。しかもいきなりガルシアのような速くて、一発のあるタイプを選ぶのは危険すぎる。マイキーやポーターを簡単に斬り落としていたならまだしも」(キム)。

▶︎ガルシアのKOは十分にあると思います。


「スペンスのユナニマスデジション。序盤を慎重に戦うだろうスペンスは、前半をポイントでリードされるかもしれないが、後半一気に巻き返す」(ウルフ)。

▶︎これが最も確率の高いシナリオですね。


「スペンスのユナニマスデジション。マイキーやポーターを倒せなかったとはいえ勝ち抜いてきた。KOできなくても、勝つこと、それが一番大切。今度もガルシアという強豪相手に簡単にはいかなくてもしっかり勝利を収めるだろう」(ベイビー)。

▶︎強豪同士が戦って一方的な展開になるのは、先にビッグパンチが炸裂したケース。あるいはそれが「強豪vs強豪」ではなく「超強豪vs強豪」だった場合。ベイビーはスペンスを超強豪とは見ていないのでしょうが、その通りだと思います。




 
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このシリーズは1年も寝かせていたのですね…。

再開です。

4月25日に予定されていたIBF/WBA王者・井上尚弥とWBO王者ジョンリール・カシメロの世界バンタム級団体統一戦。

延期されていた試合の輪郭が朧げながらも見えて来ました。

2020年9月某日。会場はマンダレイベイ・イベンツセンターかMGMグランドガーデンアリーナ。

先週、無観客で再開されたトップランク& ESPN & ネバダ州アスレティックコミッションの連合チームは上々のスタートを切りました。

早ければ7月下旬に移行するフェーズ2では、会場キャパの30〜40%の観客を迎えます。順調に進めば井上のラスベガス・デビューは無観客を免れそうです。
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トップランクHPから。ボブ・アラムは忘れてるでしょうが、日本のファンはカシメロ戦の公式発表を心待ちにしています。

おあずけを喰らった、野生のQuadro Alasとの戦力比較、試合予想から、慢性的なタレント不足に悩む軽量級でモンスターに期待される〝アフター・カシメロ〟はどうなるのか、どの道を進むべきかを、いつもの如く独断と偏見で考えてゆきます。

まずは、目の前のカシメロ。

ジュニアフライ、フライ、バンタムの3階級でアルファベット団体のピースをピックアップしたフィリピン人の階級評価はリング誌で3位、ESPNで5位。

タイトルを持つ王者としては、けして高い評価を得ているわけではありません。

ただし、円熟の気配すらない31歳は「誰に負けてもおかしくないが、誰に勝ってもおかしくない」(リング誌)という〝永遠の野生〟です。

「誰に勝ってもおかしくない」。

もちろん、その中にはほぼ全てのメディアでバンタム最強の評価を得ている井上も含まれています。

どんな相手でも一撃で沈めるカードを持つ Quadro Alas は、井上にとってより評価の高いノニト・ドネアやノルディーヌ・ウバーリらよりも危険な相手です。

タイトル奪取の3試合は全て番狂わせ、フィリピンと時差のある欧米のリングだったために自国での人気は今ひとつというロード・ウォリアーの辛酸を舐めてきました。

しかし、昨年は母国の英雄マニー・パッキャオのプロモーションに迎えられ潮目が変わります。

ゾラニ・テテとの大一番は入札になり、フランク・ウォーレンに30万ドルで競り落とされてしまいますが、王者テテ75%:カシメロ25%の配分はキャリアハイの7万5000ドルの報酬をもたらしてくれました(テテの22万5000ドルもキャリアハイ)。

井上戦では10万ドル以上の報酬が確実、勝利して日本に乗り込むことになるとさらに高騰するのは間違いなく、カシメロはモチベーションを高めていましたが…。

軽量級メインの試合では、最大の収入源は入場料。

フジテレビとWOWOWが合わせて2000万円以上の放映権料を支払うと見られますが、これはトップランクが中抜きしたあと井上の報酬に回されます。

試合が行われる9月には、ソーシャルディスタンスをとって2500人の観客を入れる見込みですが、軽量級メインの席単価は格安で、@40ドル程度。

日本からの応援団なら高額チケットを売値で購入してくれるはずでしたが、一般のファンが渡米できるかどうか非常に怪しい状況です。

2500人が全員有料入場者というカジノではありえないことが起きたとしても、ゲート収入は10万ドル。井上の報酬にも足りません。

カシメロの報酬は相当低く抑えられるはずで、永遠の野生児のモチベーションはダダ下がりしてるかもしれません。
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