フシ穴の眼 〜スポーツ疾風怒濤編〜

      Hope Lights Our Way / 希望の道を、つなごう。

カテゴリ: 世界のミドル級,ゲンナディ・ゴロフキン

明らかに劣化の兆しが見えるゲンナディ・ゴロフキンと、マニー・パッキャオ。

かつて、TripleGは「フロイド・メイウェザーが対戦に応じるなら154ポンドで戦う用意をする」と自らの口で語っています。
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一方のパッキャオは、ゴロフキン陣営とは交渉も接触も無いとし「ミドル級160ポンドはありえない。今日の朝の体重で140を大きく割り込んでいるのに」と言いながらも「154契約ならその体重は作れなくても戦えるかもしれない。しかし、154契約でIBFは160のタイトルを承認するのか?」と、タイトルがかかるなら記録作りのリングに上がる気がありそうです。

勝てば自身の持つ「8」の階級制覇数の世界記録を「9」に更新します。

17階級時代だからこその9階級制覇ですから、この記録にどれほどの意味があるのかわかりません。

単純な数字から「9階級制覇なんだから、オリジナル8時代の8階級制覇よりも凄い」なんてわけはありえません。

そこを見失わなければ「ファイティング原田は2階級制覇と井岡一翔の4階級制覇はどっちが上?」という愚問は湧いてきません。

パッキャオの〝偉業〟は「4団体17階級+4団体よりも価値の高いリング誌とLinealChampion」という王座量産時代だからこそ達成できたのです。

「1団体10階級、以上!」という潔く簡単明瞭な時代とは、全く違うのです。

パッキャオが原田の時代に生きていたとしても8階級制覇は絶対に不可能です。

なんとなく、個人的にはテレンス・クロフォードに勝つ方が難易度が高そうな気もしますが「TripleGを沈めて9階級制覇」の方が茶番劇的ですが衝撃度は遥かに上ですね、多分。

じゃあクロフォードとパッキャオのどちらがTripleGに勝つ可能性があるか?と問われたら、答えに窮します。

フィリピンと、米国のタチの悪いパックマニアの間で火がついて、大手メディアや有名選手らも言及しだした「PAC−GGG」。

火の無いところに煙は立たずーーー。

12年前のデラホーヤ戦と比べたら衝撃度はやや劣るくらいですから「実現しても不思議じゃない」という思いもあります。

ただ、どうせやるなら、赤毛のメキシコ人とやって欲しいですね。

…ガンガン続きます。



 
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ボクシングで、誰の目からも納得出来る採点なんて出来るのか?

100年以上もこのスポーツに取り憑いて離れない問題です。簡単に解決出来るわけがありません。

カネロ・アルバレスとゲンナディ・ゴロフキンの第3戦が9月にAT&Tスタジアム(前カウボーイ・スタジアム)で開催されることで基本合意されました。

DAZNとカネロの間に報酬面で妥協できていないという噂もありますが、この試合をするために2人と大型契約を結んだだけに、このあと交渉決裂する心配はないでしょう。

カネロvsGGG。過去2戦ともに、採点の問題が噴出しました。 

誰もがGGGの勝利を確信した初戦。カネロを118−110で支持したアダレイド・バードは論外としても、日本のボクシングファンには「僅差だがGGGこそ勝利にふさわしい」(ESPN:ダン・ラファエル)という米国メディアの採点には戸惑いを覚えたはずです。

「またラスベガスでカネロ・ジャッジが作動した」(ボクシングニューズ24)のような見方もありましたが、リング誌も115−113とGGGの勝利はわずか1ラウンド差だったと見ています。

あの試合のどこが僅差なんだ? 

互いに手を出しながらも決定打がないラウンド。日本なら単なる突進でも前に出ているボクサーを評価します。そして、ボクシングが格闘技である限り、その見方は正しいはずです。

しかし、ラスベガスではジャブを出しながら下がるボクサーを評価すると言われています。これなら百歩譲って納得できますが、ジャブすらつかずに下がるボクサーが評価されることも普通にあります。

あの砂漠の街は、ジャッジの脳みそまで乾燥させてしまうのかもしれません。

三連休の初日、春分の日にお届けするのはESPNから「ボクシングのスコアリグについて」です。

私見も交えています。




【オープンスコアリングは是か非か?】

ン・ラファエル絶対に反対、これから先もその姿勢は変わりようがない。

WBCがサービスとして始め、日本など一部の地域では「ルール」として完全導入しているが、米国では認めていない。これは正しい判断だ。

途中採点を知ることで、選手が作戦変更することはあってはいけない。

かつてシェーン・モズリーも「8ラウンドの採点発表でリードしていたら、残りの4ラウンドの戦い方は明らかに変わる。試合の3分の1が価値のないものになってしまう」とオープンスコアリングに疑義を呈していた。

ティーブ・キム全く賛同できない。

マーク・ジョンソンは1999年、空位のIBFジュニアバンタム級タイトルをラタナチャイ・ソーウォラピンと争って精力的に動いて素晴らしいボクシング教室を披露したが、この試合で実験的な公開採点が取り入れられていた。

8ラウンド終了のアナウンスで大量リードを聞いたジョンソンは、残りの4ラウンドを時計の針を進めることだけに注力してしまう。

「危険を冒す必要が一切ないことを知ったらだれでもあの戦い方になる」(ジョンソン)。

見ているファンも、途中採点を聞いて試合の興味が削がれることはあっても、ワクワクすることはない。

「ジャッジの傾向を知らずに試合終了のコールを聞いて選手が後悔することを減らしたい」というなら、採点公開のタイミングは3ラウンドと6ラウンドにすべき。

それでも、反対だけど。


+++2人が反対するように、プロボクシングがファンを喜ばせるエンタテインメントである限り、それを阻害する可能性は極力排除すべきです。

さらに、ジャッジは教育や研修制度が充実しておらず、自分の採点に不安を持っているケースもすくなくありません。正確な採点眼を持っている優秀なジャッジでも、他のジャッジの採点を知ることで、不要のバイアスがかかります。

私も公開採点は反対ですが、キムの「3、6ラウンド」は現行の「4、8」よりもマシかもしれません。



【ジャッジ3人は少ない?】

ダン:ジャッジを増やしても問題解決にならない。今以上に混乱した採点、議論を呼ぶ採点が噴出してしまうだろう。

現行の3人制はそれぞれが別のサイドから試合を採点するが、例えば5人制にするならどこに配置するのだ?

量が質を補うことはない。それよりもジャッジの研修や勉強会の機会を劇的に増やして教育体制を充実・持続させることが大切。


キム:絶対に反対。より混乱を深めるだけ。

ジャッジの数を増やせばより公平な採点につながると考える人もいるが、問題は数ではなく能力の低いジャッジが普通に採点席に座っていること。

教育体制を充実させて、明らかにおかしな採点をしたジャッジは排除すべき。


+++これは、難しいですね。私はお二人のように「断固反対」じゃないです。

元レフェリーでジャッジもつとめていたジョー・コルテスの「Elevate the judges」の提案は面白いと思います。ジャッジを高く上げろ。つまり、テニスのチェアアンパイアのように、高椅子に座ってジャッジするというアイデアです。

現在のジャッジの位置からは死角が多すぎるというもので、高椅子が観客の邪魔になるなどの問題が解消できたら実験導入はありだと思いますが…。

さらに、ダウンかスリップかなどの微妙な場面はVARで修正はありだと思います。現行ではスリップだったのにダウンと宣告されると10−8が覆りません。




【レフェリーも「第四の男」として採点に参加すべき?】

ダン:英国ではレフェリーだけが採点する時代もあったが、このスタイルが良いとは思えない。

レフェリーは選手を守ること、ルールを徹底することに集中すべき。それ以外のことを考えながら、試合をさばくべきではない。

この問題についてレフェリーと話す機会もあるが、採点に参加すべきという意見は誰からも出ていない。


キム:レフェリーはリングの中で「第三の男」に徹すべき。

選手にルールを遵守させ、試合を円滑に進めること。そして、選手の安全を優先すること。それ以外の仕事をレフェリーにさせるべきではない。


+++何も言うことありません。


【リプレー録画を判断の材料にすべきか?】

ダン:ネバダ州ですでに取り入れられているように、録画は活用すべき。リプレーを見たオフィシャルがすぐにレフェリーに「事実」を伝えている。

ダウンかスリップか。カットはパンチのよるものか、それともバッティングなのか。ノックダウンのパンチはゴングの前か後か。

そういうケースはリプレー録画で判断すべきだ。

ただし、録画判定で試合が止まったり、遅れてしまうことはあってはいけない。

野球やフットボールと違い、エキストラタイムはどちらかの選手に有利に休息を与えかねず、録画の精査に時間はかけるべきではない。

ボクシングにおけるビデオ判定に許される時間は、ラウンド間の60秒だけだ。


キム:簡単なこと。リプレーで検証すべきは、ダウンがパンチかスリップか。カットはパンチかヘッドバットか。ヘッドバットは偶然か故意か。有効打かローブロウか。

ただし、リプレーが試合の自然な流れに反する懸念は常に存在する。


+++ここで出てきちゃいましたVAR。

大方は賛成ですが、キムの指摘する「自然な流れ」への懸念はありますね。例えば、アンドレ・ウォードvsセルゲイ・コバレフの第2戦。コバレフはローブロウで倒されましたが、あの試合を「無効試合」にしてしまうのは問題です。

話は飛躍しますが、VARの前ではディエゴ・マラドーナの「神の手」もあっさりハンド判定です。「神の手」は神のままでいて欲しいのですが…。



【パンチスタッツも採点の中に組み込むべきか?】

ダン:パンチスタッツが必ずしも試合の実態を表さないのは周知の事実。
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もちろん、パッキャオvsホーンのような「単なる突進を最も評価する」明らかに間違ったジャッジが下された試合では、スタッツが採点したほうが良いが…。

リードをジャブ、後ろの手をパワーパンチと人間がテレビモニターを見ながらボタンを押してカウントするスタッツでは、本当に強力で効果的な小さな左フックを読み取ることはできない。

ボクシングは野球やバスケットボールと違い、スタッツが意味を持たないスポーツ。100本のシングルヒットが一発の本塁打で精算されてしまうスポーツだ。

スタッツをカウントする仕事人の技術には尊敬しかないが、彼らはパンチを数えているに過ぎない。パンチの質を精査しているわけではないのだ。


キム:ありえない。パンチスタッツは試合を振り返り、試合の実態を概観するには有効だが、その材料以上の使い道はない。

スタッツはパンチ数しか表さない。実際の勝負を分けるのはパンチの質。

「私たちの仕事はたくさんパンチを打つことじゃない。効果的なダメージを相手に与えること」。シュガー・レイ・ロビンソンの言葉が全て。


+++スタッツを採点の材料に取り入れるべきという意見は根強いですが、やはりありえないです。

こんなものを採点材料にしてしまうと、今以上にタッチボクシングが隆盛するだけです。




【ジャッジの質を向上させることは可能か?】

ダン:可能だ。やるしかない。トレーニングに尽きる。

業界の体質がぬるま湯すぎる。おかしな採点をしたジャッジが翌週のビッグファイトでもジャッジ席に座ってるなんてことがまかり通っている。

どうして私たち以外は声を上げない?

もちろん、ボクシングの採点はきわめて主観的なものだ。それでも「相手に与えたダメージで測る有効打」「有効打につながる攻勢」「相手の攻撃を無力化し攻撃に繋げる防御」…採点基準は明らかだ。


キム:常軌を逸した採点をしてもまた翌週のジャッジをする。そんなことが繰り返されているうちは、ジャッジの質は向上しない。

これはジャッジの問題ではない。ジャッジだって何のお咎めもなければ、改善しようがない。

他のスポーツではジャッジの教育は厳格で継続的だ。格付けまでされ、解雇されることもある。そしてジャッジを希望する若者たちを積極的に受け入れて、厳しい研修と教育でふるいにかけている。

ボクシングのジャッジには教育も研修も若者への門戸開放もない。ジャッジにも競争を持ち込むことだ。

+++GGGvsカネロの第1戦で世界中の誰が見ても間違った採点をしたバードが、3ヶ月後に日本で二つの世界タイトルマッチのジャッジ席に着いたことは日本のファンはもっとNOと声を上げるべきでしたが…。

不可解な採点をなくす最も効果的な方法はジャッジの質を高めることです。一番簡単に見えますが、これが非常に難しいというのが、ボクシング界が魑魅魍魎である所以のひとつです。

 
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現在のボクシングシーンの中心は、カネロ・アルバレスです。

マニー・パッキャオやフロイド・メイウェザーが悪戦苦闘しながら登り詰めたスターダムの頂点を、赤毛のメキシカンは20代で易々と極めました。

しかし、実力と華を兼備するライバルに恵まれたパックマンと、マネーへのキャラクター変換で大きな成功を収めた二人に対して、カネロは真のライバルに恵まれず、セルフプロデュースを手がける才覚もありません。

5月のシンコデマヨ週間に企画されているメガファイトも、対戦相手は未定のまま。

カネロのライバルとしてすぐに思い浮かぶゲンナディ・ゴロフキンは4月で38歳。時計との戦いは押されっぱなしの状況で、IBF王座の防衛戦にはカミル・シェルメタという無名のポーランド人が内定していましたが、DAZNが最低ラインに置くビジネスが期待できる開催地は見当たらず。

日程も会場もコロコロ変わるWBSSも真っ青の破綻状態です。 

当初2月に計画されていた「シェルメタ戦は3月に米国西海岸」 が「4月にカザフスタン」に伸び、今日は「場所未定ながら5月」と発表されるなど迷走しています。

30歳のシェルメタは21戦21勝無敗の欧州ミドル級王者ながら、このクラスではまさかの5KO。村田が粉砕したエマヌエル・ブランダムラやスティーブン・バトラーと同じ、2部リーグのプレイヤーです。

ただでさえ、人気も時間もないGGGが38歳になって戦う相手ではありません。 

この試合が発表されてからもポーランドのメディアは歓迎していますが、世界的には Fans not interested in Golovkin vs. Szeremeta fight.(こんな試合、誰も興味ない)と非難轟々。

HBOが「PPVでは売れない。ファイトマネー100万ドルでも大きな負担」と嘆いていたゴロフキンを、3年6試合で1億ドルで契約したDAZNはカネロとの激闘シリーズを期待していましたが、カネロ戦は全く見通しが立たず、シェルメタなんてとんでもないドツボにはまっているのです。

現在のミドル級シーンはカネロの輝きに隠れていますが、どいつもこいつも人気階級としては華のないファイターばかり。

ビジネス視点で見れば「東京でカネロvs村田」 以上のメガファイトは見当たりません。

カネロ主導の条件交渉に嫌気がさしているGGGにしても、カネロ戦を本気で敬遠するなら「村田」以外にビッグマネーは期待できません。

ジャーモル・チャーロやデメトリアス・アンドラーデが商業的価値が低いカードであることは明白、DAZNにとって「東京での村田戦」は最後の希望でしょう。 

村田と日本のボクシングファンはカネロやGGGへのラブコールを隠しきれませんが、これは横恋慕なんかじゃありません。彼らは経済的に行き詰まっているのです。

早く見たい!

GGGを倒して、次はカネロ。なんて贅沢なシナリオも十分考えられます。

現PFPキングと、元PFPキングが路頭に迷いそうなんですから、手を差し伸べてあげましょうか。

。。。まあ、でも慎重に交渉を続けて欲しいですね。日本でやるんです。特にカネロ戦では、村田に過剰に不利なキャッチウェイトなんかは飲んで欲しくないです。 
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現在のボクシング界で最も魅力的で大きな興行になるカードは…?

アンディ・ルイスJr.vsアンソニー・ジョシュアの勝者とデオンティ・ワイルダー vsタイソン・フューリーの勝者。このヘビー級注目の再戦、勝者同士が激突!これは確かに魅力的です。

カネロ・アルバレスvsカラム・スミス。メキシコと英国、ボクシング大国の代表対決!ラスベガスかロンドンか、どこが会場になっても超弩級のメガファイトです。

マニー・パッキャオを中心としたウェルター級のメガファイト。147ポンドは、伝説の最終章を飾るにふさわしいタレントの宝庫です。 

そして、カネロvsゲンナディ・ゴロフキン第3戦もまた、世界中のボクシングファンが熱望するカードです。 

しかし、ボクシングの歴史を振り返ると2試合で十分、第3戦は不要だったという事例が少なくありません。

カネロvsGGGは初戦も面白い試合でした。第2戦はリング誌が年間最高試合に選ぶほど興味深い内容でした。だからといって第3戦がさらに面白い展開になるとは限らないのです。

カネロ・アルバレスが来月2日にセルゲイ・コバレフの持つライトヘビー級のWBOバージョンに挑戦します。

オッズはカネロ勝利が2/9(1.22倍)、コバレフ3/1(4倍)。カネロが明白に有利と見られているのです。

もし、これがGGGvsコバレフならカザフスタン人に大きく不利予想が立てられたでしょう。この1年でカネロとGGGの距離はかくも広がってしまったのです。
 
カネロはオッズと予想通りにコバレフをボディで KOすると、ミドルから数えて4階級制覇。

コバレフを含めて、これまでの対戦相手の質の高さはPFPファイターの中でも群を抜いています。メディアにもアンチが多いカネロは現在3位ですが、コバレフにも明白な勝利を収めるようなら、PFP1位にすべきです。

一方、セルゲイ・デレビャンチェンコに大苦戦の末に幸運な判定勝ちを拾ったゲンナディ・ゴロフキンは来年2月29日に全く無名のカミル・シーレメタとの対戦が内定。


………

9年前、フロイド・メイウェザーvsジェーン・モズリーの前座で全米PPVデビューを飾ったカネロは、平凡なジュニアミドル、ホセ・コットのパンチにグラつくシーンもありました。

あのときのカネロが将来、天文学的な報酬を稼ぐスーパースターになると誰が予想できたでしょうか?それよりも、もっと予想外だったのは、GGGと互角に渡り合う日が来たことです。
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カネロは周到なマッチメイクで信じられないほど順調に、そして効率的に成長しました。そして、おそらくまだ成長途上です。
 
一方のGGGは、プライムタイムにビッグネームや強豪から敬遠され、二線級の相手といたずらに防衛を重ねてしまいました。

GGGに直接の責任はないとはいえ、十分予想できた未来を今、迎えているのです。

ボクサーの評価で最も大切な「誰に勝ったのか」という一点で、GGGのそれはデビッド・レミューが最強です。レミューが最強…なんという残念なキャリアでしょうか。

20連続、17連続KOの防衛記録は、強豪と対戦した途端にストップしました。

全盛期ならダニエル・ジェイコブスやカネロ、セルゲイ・デレビャンチェンコをノックアウト出来たはずだ…なんて、今となっては虚しい負け惜しみです。

それを言い出したら、マイク・タイソンの信者たちと何ら変わりません。

もちろん、層の厚いミドル級で覇権を築いたことは評価に値しますが、現時点のレガシーでGGGがカネロより上だ考える人は誰もいません。

もうすでに「GGG はカネロに抜かれた」のです。

プライムタイムには「ジュニアミドルでも戦える」と若きカネロやフロイド・メイウェザーとの対戦にも興味を示していましたが、相手にされるわけがありません。

GGGは全盛期に、オッズや予想で不利になるような相手と戦うべきでした。

「カネロやメイウェザーはやりやすい相手ばかり選んで、どうして俺だけ危険な橋を渡らなければならないんだ?」なんて言い分は通りません。プロボクシングとはそういう不公平が当たり前に横たわっているスポーツなのです。

スター選手は、恐ろしく強そうなカザフスタン人なんて相手にしません。強いだけで、人気がなく報酬も期待できないカザフスタン人とは誰だって戦いたくありません。

カネロら人気選手が、GGGのボクシングが雑魚相手の防衛戦で荒くなり、時間がその肉体を蝕むのを待ち構えるのは最初から分かっていたはずです。

かつてGGGはアンドレ・ウォードの挑発に応じず、今はジャーマル・チャーロやデメトリアス・アンドラーデらの対戦要求に目を逸らしています。

厳しい言い方ですが、同じ穴のムジナです。

今回の第3戦も、カネロは「GGGとは決着がついている。デレビャンチェンコに負けているGGGとやる意味がない」。

ゴールデンボーイ・プロモーションズのエリック・ゴメスは「失神したGGGをファンが見たいというなら試合を成立させたいが、本当にやる意味があるのか?デレビャンチェンコのボディで泣きそうになるGGGは、今のカネロのパンチには耐えることが出来ない」。

今回の相手、シーレメタは 欧州ミドル級王者で30歳のポーランド人。戦績は21戦全勝5KO。名前のある選手に勝ったのは、3年前の2016年に元IBFジュニアミドル級王者カシム・オウマだけ。

ちなみに当時オウマは37歳。2011年にはGGGのWBAタイトルにも挑戦、その時点でさえ直近10試合5勝5敗。完全下り坂のウガンダ人でした。

ゴロフキンのキャリアは、特に全盛期が意味のない相手との対戦に溢れてしまっています。カネロとは対照的です。

今回のシーレメタも勝って当たり前、カネロが弄んだロッキー・フィールディングのように勝って何かが付いてくる相手でもありません。時間の無駄です。

多くのメディアは第3戦について「やるべきじゃ無い。GGGがノックアウトされるに決まってる」と、やるべきではないと否定的ですが、やるべきです。

絶対にやるべきです。
 
GGGにとって、第3戦は絶対に必要です。

何故なら今のカネロは、GGGにとって予想もオッズも圧倒的不利になる相手だからです。勝てば40戦を超えるキャリアで飛び抜けて最大の勝利です。

カネロに勝利することは、17連続KOや20連続防衛などの中身の無い空虚な数字とは価値が違います。

ゴロフキンにとって、第3戦は絶対必要なのです。 
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ミドル級の歴代最強は誰なのか?

その続きの前にかつて「呪われたミドル」と呼ばれた逸話をご紹介していきます。

ボクシング全盛期にヘビー級に次ぐ人気を誇り、華やかな現役生活を享受したスター選手が悲劇的な最期を迎えてしまうのはある意味当然の筋書きなのかもしれませんが、それにしてもその音色はどこまでも悲しい旋律です…。



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1910年10月15日、ミズーリ州コンウェイの牧場で2発の銃声が響いた。

この瞬間、ミドル級に忌々しい呪いがかけられてしまったのだ。牧場でトレーニングに励んでいたスタンレイ・ケッチェルが胸を撃ち抜かれて殺されてしまった。

稀代の名王者を射殺したのは農夫ウォルター・ディプレー。恋人のゴルディ・スミスがケッチェルに寝取られたと38口径リボルバーの引き金を引いた。

ケッチェルはまだ24歳。

現役の世界ミドル級王者The Michigan Assassin(ミシガンの暗殺者)はジャック・ジョンソンとの再戦に燃えていたが、雪辱を果たす機会も永遠に失われてしまった。

後年「ディプレーとスミスは美人局の強盗だった」という説もまことしやかに流されたが、もはや事実は確かめようもない。確かな事実は無限の未来があったはずのミドル級の才能が殺されてしまったということだけだ。


1917年5月24日。リング誌初代編集長になる前のナット・フライシャーがミドル級史上屈指の天才と評したレス・ダーシーが肺炎のために亡くなった。

「ケッチェル以上の才能」と言われたミドル級史上最高の才能が開花する様を、ボクシングファンが見ることは永遠に訪れることはない。

世界王者アル・マッコイとのタイトルマッチが内定していた矢先の悲劇だった。


1926年10月22日。ハリー・グレブは現役時代から眼の手術を受けた。

手術前の医師の「失明寸前で数年前からほとんど見えていないはず」という診断は衝撃的だった。なにしろグレブはまだ現役だったからだ。

ほとんど見えない眼で戦ってたのか!!

しかし、手術は失敗したどころかグレブの命までを奪ってしまう。

宿敵でのちにヘビー級王者となるジーン・タニーは「お前と戦えたことを誇りに思う。ほとんど見えない眼で戦っていたなんて!お前がどれほど強かったか、俺が世界に知らしめてやるからな!」と号泣しながら棺を担いだと伝えられています。


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「呪われたミドル級」も同時並行で続けていきます。

さて、ミドル級ワールドカップのプール発表も残すはあと4つ…。


プールG
シード:ジェイク・ラモッタ
[伝説部門]
トニー・ゼール
[近代部門]カーメン・バシリオ
[現代部門]ジェラルド・マクラレン
[現代部門]バーナード・ホプキンス

 シードに陣取るのは「本家レイジング・ブル」ラモッタ。スタンドには親交の深かったマフィア連中に混じってロバート・デニーロとアル・パチーノの姿も。

シュガー・レイ・ロビンソンに初黒星をつけたラモッタは最もマフィアとの結びつきが強いとみられ、決勝でロビンソンと7度目の対戦となるオッズは1.00倍。結果もラモッタの1.00倍だが…。

伝説部門からは「鋼鉄の男」ゼール。殿堂創設のきっかけとなったバシリオは勇気と不屈のファイター。

現代部門からは脅威のパンチ力でクロンクを体現したマクラレンと、50歳迄世界の第一戦で戦う素地を、ミドル級で磨いたホプキンス。



プールH
[伝説部門]ハリー・グレブ
[伝説部門]セフェリノ・ガルシア
[近代部門]ランディ・ターピン
[現代部門]ジェームス・トニー

 のちの世界ヘビー級王者ジーン・タニーからも勝利を収めている「ピッツバーグの人間風車」グレブはプロで300試合以上を戦った、これぞ伝説の王者。

ガルシアはヘンリー・アームストロングの4階級制覇を阻止したフィリピンの防波堤。 ターピンは史上最大の番狂わせでロビンソンからタイトルを奪ったが、引退後37歳でピストル自殺してしまった悲劇の英雄。

このミドル級の深海のようなプールHで戦える現代ボクサーはトニーしかいない。 
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ミドル級オールタイム・ワールドカップ2019。

恐るべきエントリー選手を各プール四人ずつに振り分ける。

大前提として各選手は「全盛期」であること。ロープは4本、グローブは10ozで現代ルールを採用するが、ジャッジの基準はシュガー・レイ・ロビンソンが戦った50年代に倣う。試合間隔もロビンソンに右向け右で、1ヶ月とする。

各選手のプロモーターやセコンドも現代に甦る。

つまり、伝説の偉人をプロモートするのがマフィアというケースもあり、アル・カポネが「ボブ・アラムは決勝戦を見ることが出来ない」と暗殺を示唆するなど不穏な空気に。

会場は自衛隊が厳重警備に当たっているが、マフィアが続々入国。安倍晋三首相は「トーナメント中止」を弱気に主張するもテックス・リカードから「中止にしたらあなたの命が危ない」と忠告を受けて大会は自民党主催に。
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↑「ジョニー・ウォーカー ブレンダーズバッチ」のウィスキーボトルが全く無意味に置かれていると思ったあなたの眼は、フシ穴です。

この安価なジョニー・ウォーカーの名前は「(Aged 10years) TRIPLE GRAIN (AMERICAN OAK)」。そうです、このウィスキーもまた Triple G なのです。

そんな酔っ払いの駄洒落はどうでもいいので、一次トーナメントの組み合わせ発表です。


プールA
シード:シュガー・レイ・ロビンソン
[伝説部門]ゴリラ・ジョーンズ
[近代部門]トーマス・ハーンズ
[現代部門]セルヒオ・マルチネス
[開催国枠]村田諒太

◉ゴリラvsハーンズ、セルヒオvs村田の勝者が激突。グループ1位候補はハーンズだが、グラスジョーが叩かれた場合は番狂わせも。

名前の面白さだけで選出されたゴリラ・ジョーンズは穴に思えるかもしれないが、1930年代に活躍したピュギリストのタフネスは驚異的。

プールAの勝者はシード選手ロビンソンとの対決という夢のリングが用意されている。


プールB
[伝説部門]ボブ・フィッツモンズ
[近代部門]カルロス・モンソン
[近代部門]マービン・ハグラー
[現代部門]ロイ・ジョーンズJr.

◉プールBはまさに「死のグループ」。このミドル級W杯の大前提は「プライムタイムである」ということ。誰が勝ち抜けてもおかしくはない。

下馬評ではアンダードッグのロイだが、プライムタイムの身体能力は抜きん出ている。


プールC
 [伝説部門]スタンレー・ケッチェル
 [伝説部門]ロッキー・グラジアノ
 [近代部門]シュガー・レイ・レナード
 [現代部門]カネロ・アルバレス

◉ プールCは「アイドルの園」。プールAに次ぐ人気グループだがカネロとレナードがキャッチウェイトを巡って対立、レナードはミドル級だけではなく「報酬は10億ドルでクルーザーとヘビーのタイトルも同時に懸けなければ棄権する」と暴言を吐く。

プレスツアーinシカゴでカポネがレナードに耳打ち。「偉大な君には二つの選択肢がある。リングに入場するか、人生を退場するか、だ。私は君の人生を終わらせたくない」。

青くなったレナードは「報酬はゼロでいい。クルーザーもヘビーも要らない」と参戦にサイン。この時点でウィリアムヒルなどブッカーはカポネの息がかかった「ローリング20」 時代のボクサーにあらゆる忖度がなされると見て、オッズが大きく動く。


プールD

シード:ゲンナディ・ゴロフキン
[伝説部門]天下無双・ジャック・デンプシー
[近代部門]ディック・タイガー
[近代部門]ロベルト・デュラン
[推薦国枠]竹原慎二

◉GGGとデュランが入ったグループなのにやけに地味に見えてしまうのは、これはどうしようもない、仕方がない。

竹原にもチャンスがあるようにも思えるが、プールAの村田以上に厳しい相手が揃った。

ヘビー級のジャック・デンプシーが憧れて、自らもその名にあやかったノンパレル(天下無双)が、果たしてどれほど強いのか。ノンパレルvsタイガー戦は早々にソールドアウト。

そして全盛期にビッグネームから敬遠されたGGGだが、ついに破格のビッグネームと拳を交える日がやって来た!(大番狂わせで竹原が勝ち上がってこない限り…)



ーー、プールHまで予定してますが、睡魔が…今夜はここまで。またお付き合いください。

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160ポンド、ミドル級。

「最も層が厚いクラス」と誤解されることが多いのも仕方がない、常時活況の人気階級です。

現実には最も層が厚いクラスはウェルター級ですが、この華やかなウェルターで選ばれしスターもミドル級に憧れて挑み名勝負を数々の繰り広げて来ました。

そして、21世紀の最高評価を分け合うマニー・パッキャオとフロイド・メイウェザーですら、ミドルの牙城には色気を示すことすら出来なかった事実からも、その城壁の堅牢は推して知るべしです。

団体分裂時代を迎えてからも、カルロス・モンソン、マービン・ハグラー、パーナード・ホプキンスと長期政権を敷くThe Undisputed Champion を生み出し、常に統一への磁力を持ち続けてきた唯一無二の高貴な階級。

このクラスの歴代最強は誰になるのか?現時点の歴代ベスト10にゲンナディ・ゴロフキンやカネロ・アルバレス が割り込む余地があるのか?

どうせ歴代最強はもう決まり切ってるやん…なんて言わないで、お付き合いください。
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取り敢えず、ノミネート選手をつらつらと書き連ねて見ます。

ミドル級オールタイム最強決定戦

◎ゲンナディ・ゴロフキン★♬
◎カネロ・アルバレス ★
◎セルヒオ・マルチネス
◎パーナード・ホプキンス
◎ジェームス・トニー
◎ロイ・ジョーンズJr.
◎ロベルト・デュラン
◎シュガー・レイ・レナード
◎トーマス・ハーンズ
◎マービン・ハグラー
◎カルロス・モンソン
◎ディック・タイガー
◎シュガー・レイ・ロビンソン♬
◎ジェイク・ラモッタ♬
◎ロッキー・グラジアノ
◎トニー・ゼール
◎セフェリノ・ガルシア
◎ゴリラ・ジョーンズ
◎ハリー・グレブ
◎スタンリー・ケッチェル
◎ボブ・フィッツモンズ♬
◎ノンパレル(天下無双)・ジャック・デンプシー

うーーーん、、、それにしてもミドル級、ハンパないです。

まだ、いますよね、私が忘れてるグレートや伝説が。すごいです、ミドル級。GGGやカネロ、マルチネスが可哀想に思えてきます。
 

◎村田諒太(開催国枠)★
◎竹原慎二 (開催国枠)

★は現役選手。♬はシード選手

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早く「セブン・ネイション・アーミー」を聞かせてくれ!

その前に国歌斉唱ですね。



第1ラウンド。GGGの動きが硬く見えるのは気のせいでしょうか。

第2ラウンドはロールズが積極的に仕掛けます。このラウンドは35歳のカナダ人が取りました。

第3ラウンド、自信を持ったロールズが前に出ますが、これはGGGの土俵。ガードの上から叩いた左右フックを、空いたボディへ下げてパンチを散らします。

2分過ぎに互いの右が相打ち。これでロールズが倒れない…「リズムと強弱」(ジョナサン・バンクス)を意識するあまりGGGは強いパンチが打てない?

それにしても、もともと打たせるタイプとはいえ、このレベルの相手に打たれ過ぎ。

第4ラウンドはカザフスタンの英雄の連打にロールズが綻びを見せ始めます。トドメは顎に吸い込まれた左フック。
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意識を失ってうつ伏せに倒れたロールズは、ロープにしがみついて必死に立ち上がろうともがきますが、ダメージはありあり。レフェリーはストップするしかありません。

Final Punch Stats  
FIGHTERTOTALJABSPOWER
GGG62 of 223 (28%)14 of 108 (13%)48 of 115 (42%)
Rolls38 of 175 (22%)13 of 71 (18%)25 of 104 (24%)
-- Courtesy of CompuBox  

フィニッシュの回となった4ラウンドが一方的だったことを差し引くと、パンチスタッツはほぼ互角かカナダ人のペースだったことを示しています。

スタッツの数字をみるまでもなく「左のリードがリズムを作る」(バンクス)はずが、その左でロールズにコントロールされかかっていた展開でした。



GGGのファイトマネーは1500万ドル弱。ロールズ30万ドル。

アクメドフ2万5000ドル、マクダニエル4万5250ドル。


ーーー9月にカネロ・アルバレスとの決着戦か?

「ファンが望んでいるならやるしかないでしょう。彼も望んでいるはずだ」

ーーー(前の2戦は判定で物議を醸したから)今度はニューヨークでやりたいんじゃないか?

「いいね!ここにカネロを呼んでくれ」 「" I love knockouts and I love New York "

+++++++++

ーーージョナサン、今夜の GGGの出来をどう採点する?

「 KO勝利はいつだっていいものさ。今夜の出来には満足している。ただ、もっと上手く戦えたはず。修正点はいくつかあるが、正しい方向に向かっているのは間違いない」

バンクスはよくわかってますね。今日の出来ではカネロに勝つのは厳しいということを。

エマヌエル・スチュワードのDNAを継ぐバンクスの理想が「ウラジミール・クリチコ」であることは明らかです。

速くて強い左ジャブでバリアを張り、強打をつなぐタイミングを計りながら、じわじわと相手を追い込んで いく。

その理想をGGGの身長と短いリーチでそのまま再現することは不可能であることも、バンクスはわかっているはずです。

「ビッグドラマショー」「メキシカンスタイル」にこだわってきた37歳のカザフスタン人が、どこまでアジャストできるのか。 

9月決戦があるとしたら、あと約100日しかありません。

簡単な作業ではありません。 
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日本時間6月9日。ニューヨーク マジソン・スクエア・ガーデン。ノンタイトル、スーパーミドル級(164ポンドのキャッチウェイト)12回戦。

ゲンナディ・ゴロフキンvs スティーブ・ロールス


2019年初リング、DAZNとの大型契約第1戦、GGG×バンクス新体制初戦 …37歳のゲンナディ・ゴロフキンにとって節目の試合です。

日本時間6日23時現在のオッズ(ウィリアムヒル)はGGG勝利1/50(1.02倍)、ロールス15倍。

「試合は前半(7ラウンド1分30秒以内)で決着するか?」は YES が7/4 (2.75倍)、NO が2/5(1.4倍)と試合は後半までもつれ込むと見られていますが、「判定まで行くか?」では YES が7/2(4.5倍)に対して、NO は1/7(1.14倍)。

ブッカーはこの試合を「GGGの後半KO勝ち」と予想しています。

この試合の注目は、GGGの「様々な節目も重なった再起戦」という一点です。つまり、ロールスは置いてけぼりです、当たり前ですが。

ロールスは無敗の北米ミドル級王者ですが、世界的な強豪との対戦経験はゼロ。GGGとは2つしか違わない35歳。

19戦全勝(10KO)とはいえ、今回が初めての12回戦。

空位の北米タイトルをかけた前戦(キアンドレ・レザーウッド:12ラウンド判定勝ち)が唯一の10回戦。

83勝14敗のアマチュア時代まで振り返ってもカナダの国内タイトルは獲得経験があるものの、世界選手権では3回戦進出が最高。

プロ&アマの実績からでも「GGGはどうしてこんな雑魚を選んだのか?」と誰もが首を傾げるのがロールスです。まあ、GGGではなくDAZNが選んだようなものですが。
 
本人もよくわかってます。「俺は絶対に諦めない、根性で戦うファイターだ。俺をナメたら痛い目にあうぜ」 。
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鼻歌交じりにストレッチを行うゴロフキン。「私はロールスのことを何一つとして知らない。ボクサーにとって、これがどれほど危険なことかは十分に理解している」。DAZNのプロモーションビデオ「40Days」はマーク・ウォルバーグが総監督、豪華です。

***************

2001年、今から18年前。

オンタリオ州チャタムのジョン・マクレガー中学の11年生(日本では高校2年生に相当)のロールスは学食で友人たちとボクシングごっこをして遊んでいましたが、意を決してボクシングジムに通います。

その才能は徐々に開花、2009年から2年間はカナダのナショナルチームに所属、2011年にプロへ転向しました。

「ボクシングは大好きだし、大きなチャンスが欲しかったけど…35歳のカナダ人に何か幸運が舞い込むとは想像できなかった。ボクシングとスポーツを愛してるから、トロントやその周辺の町でフィットネストレーナーの仕事をしてるし、将来は自分のジムを開きたいと考えてた」。

「GGG?知ってるさ。当たり前だろ。向こうは俺のことなんか絶対知らないだろうけど。去年、北米タイトルを獲ったけど…自分がGGGやカネロと同じ世界に住んでいると感じることは出来なかった」。

「ファンに近い目線だね。GGG、すげー!って。カネもどんだけもらってるんだって…ただファンと違うのは、自分ならもっと上手くGGGと戦える、GGGを空回りさせることが出来るとテレビを観ながら仮想対決してたよ。その意味では、GGGと戦うのは今回が初めてじゃないね」。

「GGGとの戦績?俺の全勝だよ。勝つのにボクシングすることが大切なのはわかってる。俺にはそれが出来る」。

 当初、GGGの「DAZN初戦」の相手はブランドン・アダムスでしたが、アダムスは「今のGGGに勝っても得られるものは少ない」とWBC暫定王者ジャーマル・チャーロとのタイトルマッチを選択。

「チャーロの方が危険な相手だが、それだけに倒しがいがある」というアダムスの選択は正解です。

そこでお鉢が回ってきたのが、緩いキャリアを歩いてきた35歳のカナディアン、ロールスです。

マネージャーのトッド・クリスティは「こんなことってあるのか?って思いだ。ロールスがゴロフキンと戦うなんて!ロールスに『GGGとマジソン・スクエアで戦うぞ』と電話したとき、あいつは『エイプリルフールか。でもそのジョークは俺には面白くもなんともない』と不機嫌になったんだ」と笑って話しています。

It is surreal. I'll be honest.When I beat Golovkin, that will be life-changing money," he said. "And once I'm victorious, it's going to be like hitting the Super Lotto. 

正直、嘘だと思ったよ。ゴロフキンに勝てば人生が変わる。今は、超ド級の高額の宝くじを当てる気分だ。〜スティーブ・ロールス


DAZNとGGGがロールスを選んだのは、カネロ・アルバレスとの第3戦に向けて絶対に勝てる雑魚を選んだということです。

14年間に渡ってロールスを指導しているトミー・ハワットは「GGGはロールスはもちろん、ロールスの対戦相手も誰一人知らないだろう。ロールスの家族もそうだったろうに、GGGと戦うなんて家族が一番驚いているだろう」と世界水準からかけ離れた相手としか戦っていないことを認めています。

ハワットはニヤリと笑って畳み掛けます。「じゃあ、アドニス・ステベンソンはみんな知ってるよね。デビッド・レミューは?グレン・ジョンソンは?アンディ・リーは?ルシアン・ブテは?」。

 "June 8, we'll be shocking the world."  
6月8日。この日は私たちが世界を驚かせた日として記憶されることになる。

「みんなロールスのスパーリングパートナーだ。彼らに聞いてみるがいい、ロールスがGGGに勝てると思うか?と。きっとビックリする答えが返ってくるだろう。彼らとのスパーでロールスは互角か上回ってたんだから」。

伝説のクロンクジムでエマヌエル・スチュワードの薫陶も受けたロールスですが、どう考えてもGGGの敵ではありません。

ブッカーは中盤から終盤のストップを予想していますが、もっと早くても誰も驚かないでしょう。

6月8日は世界が驚く日ではなく、世界初体験のロールスが驚愕する日になるはずです…なんてことを先週も書いて世界の方が腰を抜かして驚いてしまいましたが、二週連続でMSGでの超大番狂わせなんてありません!!!!!
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日本時間6月9日、ニューヨーク マジソン・スクエア・ガーデン。

ゲンナディ・ゴロフキンvs スティーブ・ロールズ

全てのベルトを失ったGGGの再起戦。

DAZNと結んだ6試合1億ドルとされる大型契約の第1戦。

この大金が原因で、長年連れ添ったアベル・サンチェスと袂を分かち〝クロンク〟の血を継ぐジョナサン・バンクスをトレーナーに迎えるなど心機一転で無名のカナディアンを迎えます。
リングのアイドル、シンシア・コンテのハイテンションはいいですね〜。

ロールズは19戦無敗10KOの北米ミドル級王者。

しかし、KO率は53%とこのクラスのトップファイターとしては物足りない数字。そもそもロールズをトップの1人に数えることに無理がありますが。

もし、MSGで二週続けて大番狂わせが起きるとしたら、それはGGGの内部で何かが変わったからでしょう。

37歳のミドル級は、29歳でヘビー級のアンソニー・ジョシュアとは違います。

若くて英国という巨大なファンベースを持つジョシュアには、これからもチャンスが何度も与えられるでしょう。

しかし、GGGは違います。

環境の一新はカザフスタンのスラッガーに凶と出るのか、吉と出るのか???


⬇︎⬇︎⬇︎不安要素⬇︎⬇︎⬇︎

これまでカネに執着を見せることが少なかったGGGが超高額契約に飛びつき、サンチェスを切ったのは残された時間が少ないことを理解しているからでしょう。

DAZNとの6試合契約。この次、つまり7試合目は考えていないはずです。

しかし、GGGはサンチェスと決別したあともカリフォルニアの高地ビッグベアでトレーニングを積んでいます。

①サンチェスとは何度も条件交渉を重ねた。②決別後もビッグベアから〝下山〟していない。

この2点から読み取れることは、たった一つです。

カネの問題さえなければサンチェスと別れていなかった ーーー ということです。

 GGGは、長い人生を見据えた経済的な意味では正しい選択をしたのかもしれません。

しかし、ボクサーとしてはどうなのでしょうか?しかも、キャリアの最後を迎えるボクサーとしては?



⬆︎⬆︎⬆︎好材料⬆︎⬆︎⬆︎

GGGはカザフスタン人であるがゆえに、高い評価を受けながらも人気が伴いませんでした。

強いけど人気が無い…対戦相手からしたらハイリスク・ローリターン、最悪です。

それゆえに、レベルの低い相手ばかりと防衛戦を重ねて技術的には停滞、心理的にもマンネリに陥っていました。

そして、2年前からダニエル・ジェイコブス、カネロ・アルバレスと本物の強豪との手合わせで、その欠点を曝け出してしまいました。

弱い相手をKOすることで重ね着された魔法のガウンは、強豪相手にはオモリでしかありません。

この状況を打破する最善の一手は、トレーナーを変えることです。

 GGGが選んだのはバンクス。2014年12月に最後の試合を戦ったバンクスは、非常に勉強熱心でボクシングに精通してることで有名でした。

もちろん、それはエマヌエル・スチュワードがマンツーマンで叩き込んだものです。

自らの死期を悟ったスチュワードが、彼の最高傑作ウラジミール・クリチコをバンクスに託したのです。

伝説の名匠は、バンクスに最大級の評価を与えていました。

最近まで世界レベルのファイターとして戦い、ボクシングの知見とコーチングの能力にも長けている。晩年を迎えたGGGにとって、これ以上最適のトレーナーはいないでしょう。
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