フシ穴の眼 〜スポーツ疾風怒濤編〜

      Hope Lights Our Way / 希望の道を、つなごう。

カテゴリ: 世界のボクシング:階級/キャッチウエイト

今夜、菅義偉総理大臣をトップに新内閣が誕生しました。

総理大臣でも大統領でもエラーばかりが指摘される因果な商売です。

普通にやって当たり前、ゴールキーパーみたいな仕事です。

しかし、最も重要な仕事の一つであることは誰もが認めるところです。

安倍晋三前首相の退任会見で、記者から「おつかれさまでした」のねぎらいの声が聞こえなかったことに橋下徹が憤慨していましたが、全くその通りです。

約8年もの長期政権は、圧倒的な支持を集めた時期のない「消去法政権」でしたが、良い意味で「安倍ままの方がマシ」というのが国民感情でした。つまり、8年間を安倍首相に託すことに多くの国民が異論はなかったのです。

そして、新たな挑戦の舞台に立つ菅新首相にも、出航の今この時はエールを送りましょう。

どんなに素晴らしい舵取りをしても、必ず非難の嵐に晒されるのがこの仕事です。

ハネムーンくらいは、殺伐としてはいけません。熱いエールを送りましょう。
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【事件の概要】「ヘビー級が動くが如くボクシングは動く」。

レスリングや柔道など階級制格闘技において、無差別級の地位ば絶対的で、この真理はプロボクシングにおいてより強烈な光を放ち続けていました。

しかし、20世紀終盤からその絶対的地位は揺らぎ始めます。

ファイトマネーの大台、100万ドルをマークしたのも1000万ドルを突破したのも、最初はヘビー級でした。※

しかし、記念すべき1億ドルの空を最初に突き破ったのは身長170㎝前後と小さな二人のウェルター級でした。

一体誰がヘビー級を殺したのか?




◎1960年代のアリバイ◎

ヘビー級はフロイド・パターソンから王座を奪ったソニー・リストンが長期絶対王政を敷くと見られていましたが、カシアス・クレイが登場。

米国ボクシングはそのステイタスの面ですでに衰退期に入っていたと考えられる60年代でしたが、まぶしすぎるアリの時代は、ある意味で米国ボクシング、それどころか米国スポーツの黄金時代でした。

このディケイドでウェルター級王者のベルトを巻いたのはベニー〝キッド〟パレット、エミール・グリフィス、カーティス・コークス、そして1969年にはホセ・ナポレスが滑り込みます。

錚々たるメンバーです。

1962年3月24日、マディソン・スクエア・ガーデンで行われたパレットvsグリフィスの惨劇がきっかけとなり、ボクシングのリングは3本ロープから4本に改革されるなど、世界的に注目される大試合が繰り広げられますが、アリの存在を脅かすようなスターパワーは持ち合わせていませんでした。

それを言い出すと、ヘビー級を殺した真犯人は、モハメド・アリということになってしまいます。

容疑者A:モハメド・アリ
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もちろん、ヘビー級の伝説アリが真犯人であるわけがありません。



 
◎1970年代のアリバイ◎

アリの時代が続いた1970年代ですが、真犯人のアジトとして有力なウェルター級とミドル級で、今なお「歴代最強」とも言われる王者が君臨します。

容疑者B&C:二人の「カルロス」

この二人は極めて怪しい容疑者です。

強打のメキシカン、パロミノはウェルター級の名王者です。今なら、カネロ・アルバレス並みの補助輪付きの過保護なキャリアを送っていたでしょう。

しかし、それは逆に1970年当時、パロミノはボクシングの世界を牽引するリーダーではなかったことを意味します。

もう一人のカルロス、モンソンはまさに伝説的な生涯を送った最強のミドル級でした。しかし、アルゼンチンのショットガンも生まれるのが早すぎました。

モンソンのあと、ミドルを恐怖で支配したマービン・ハグラーのようなメガファイトとは無縁でした。





◎1980年代のアリバイ◎

極めて真犯人と思しき男を連行しました。

この男の二つの拳によって、ヘビー級の独壇場だった「史上最高のファイトマネー」の歴史が打ち砕かれてしまうのです。

容疑者D:シュガー・レイ・レナード

「これからはスターの時代になる」。

そう公言したのはリング誌でもESPNでも、スポーツイラステレイテッド誌でもありません。

公平平等であるはずの承認団体の一つWBCのホセ・スライマン会長でした。

「実質5年以上もリングを離れているレナードをランキングに入れた理由を説明できるのか?」。

スライマンは淀むことなく答えたのです。

「レナードは他のボクサーとは違う」。

史上最大のメガファイトで手にした「最低保障」は1100万ドル(当時のレートで約16億5000万円)、リングの大きさやカンバスの硬さ、ロープの緩みなど全てをオーダーメイドすることと引き換えにハグラーの1200万ドル(約18億円)は下回りましたが、両者の報酬は史上最高でした。

そうです「最低保障」です。実際にはクローズドサーキットを主軸とした興行収入が契約ラインを超えた時点で歩合が発生するので(現在のPPVと同じシステム)、ハグラーは最終的に2500万ドル、40億円近くを手に入れました。

このお話はテーマから外れ、きっとどこかでしたのでこの辺りで。

その後もスライマンはまるで飼い犬のように、レナードにべったり寄り添い、挙げ句の果ては1試合で2階級のタイトルか懸けるという〝離れ業〟までやってのけました。

しかし「ヘビー級を殺した」と認めるには、レナードは一代限りで、その荒稼ぎの舞台は、彼が最も素晴らしいパフォーマンスを見せたウェルター級ではありませんでした。


 
◎1990年代のアリバイ◎

この二日間、ヘビー級を殺した真犯人を、リングの上で探していた私は間違っていたのかもしれません。

リングの上でヘビー級よりも魅力的なパフォーマンスを見せる才能あふれる若者が犯人だ!…そんな犯人像に縛られて、重大な事実を私は見落としていました。

リングで戦うのはボクサーですが、そこには必ず演出家が、舞台監督が存在します。

そうです。プロモーターです。

容疑者E:ボブ・アラム

ヘビー級を独占していたドン・キングを駆逐するのに「ヘビー級のタレントを奪う」のは不毛な争いを生み出すだけです。

アリやマイク・タイソンという素材のまま売り出すしか能のないキングの欠陥をアラムは見抜いていました。

「あの男はあと5年以内、いや来年にも最前線から消してやる」。

「素材のヘビー」が〝刺身〟だとすると、演出というソースをかけた「中量級」は〝フランス料理〟でした。

そして、アラムは風を読むにも敏でした。「メキシコの風」を読み取り、オスカー・デラホーヤを〝ドラ1〟で獲得。

アラムはデラホーヤやフロイド・メイウェザーが反旗を翻すのも想定内だったでしょう。

唯一、計算外だったのはメキシコのスター選手の踏み台と考えていたフィリピン人が次々に番狂わせを起こしたことくらいでしょうか。





◎2000年年代のアリバイ◎

アリに続いてまたもや、ヘビー級の容疑者が起訴されました。

容疑者F&G:ピタリとウラジミール、クリチコ兄弟

この〝ウクライナの軛〟によって、米国のヘビー級離れは決定的になります。

「試合が面白くない」。米国のファンは口を揃えますが、ヘビー級の試合なんて大概あんなものです。クリチコ兄弟の試合は、ヘビー級としてはむしろ面白かったです。

やつらの胸の内は「(米国人がロシア系のクリチコ兄弟に惨敗するのが)面白くない」のです。
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ビタリは首都キエフの市長。ロシアの武力干渉にも新型コロナも彼を倒すことはできません。

政治家ボクサー最強は、マニー・パッキャオではないのです。間違いなく、ビタリです。





◎2010年代のアリバイ◎
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米国ボクシングのリングに大異変が起きます。

米国に限らず、異邦人がスターダムの頂点に立つのは至難の業です。それが北中米を遥か離れたアジア、しかも軽量級となると、スターダムの「ス」にも届かないのが常識です。 

ボクシングはとっくの昔にマイナースポーツに堕落していましたが、それゆえにミステリアスなベールをまとい、酔狂なマニアの興味を刺激したのかもしれません。

そのベールを被った小さな男がよりミステリアスに映えたのは、米国人がよく知らないアジアからやって来たことと無縁ではないでしょう。

「東洋人は米国スポーツで過剰に優遇されている。ボクシングでもバスケでも野球でも!本当の実力勝負なら黒人が最強だというのに!俺たち黒人はいつも損ばかりしてるんだ!」(メイウェザー)の言葉は確かに一理あります。

壁も屋根も寝床も無い極貧のドン底から這い上がって来た生ける伝説は、正真正銘のアメリカンドリームを摘みました。

容疑者H:マニー・パッキャオ



◎2020年のアリバイ◎

2020年代。次の事件が起きるかもしれません。

つまり「誰がウェルター級を殺したのか」?

すでに有力な容疑者は挙がっています。

やはり、今回もアジアの島国からやって来た男です。

しかし、2010年代にしょっ引いたフィリピンの貧乏人とは様子が違います。

フィリピンとは比べ物にならない金持ちの国から上陸した118パウンダーには、ウェルター級を殺す動機も、何よりもその実力がないように見えます。

ただ、それを言い出すとあのフィリピン人もボクシング界を震撼させるような大事件を何度も起こすなんて…誰も考えていませんでした…。

容疑者Iあるいは
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菅新首相と同じように、新しい挑戦に乗り出す第一歩です。

便所の落書きブログから、頼まれてなくてもハネムーンお見舞いです。

あと1ヶ月と少し。

「階級下克上」を成し遂げるには、あまりにも頼りないクラス、あまりにもしょぼい相手ですが、それを補って余りある花火を上げましょうぜ。
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1930年代、ヘビー級に傾きすぎる注目度や報酬に嫉妬したヘンリー・アームストロングは10カ月で3階級制覇という超人技をやってのけました。

そして、偉大なアームストロングは、現在の米国で最も人気のあるウェルター級で、今なお破られていない19連続防衛という大記録まで打ち立てます。

しかし、アームストロングがジョー・ルイスに迫る人気や報酬を得たという記録はどこにも見当たらず「ヘビー級が動くが如くボクシングは動く」時代には何の変化も起こせませんでした。
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当時はオリジナル8の時代です。複数階級制覇や防衛記録が今とは比較できないほど価値のあった時代です。

ウェルター級を拠点にそれをやってのけたアームストロングは、今でこそシュガー・レイ・ロビンソンに次ぐ評価を受けていますが、当時はヘビー級を前にした月見草に甘んじるしかありませんでした。

3階級同時制覇もウェルター19連続防衛も、当時はヘビー級が残りの7階級に落とした日陰で人知れず咲く花に過ぎなかったのです。

それにしても、いつからウェルター級がヘビー級と並び、凌駕することも珍しくないプレミアムクラスになったのでしょうか?

階級制スポーツにおいて無差別級が最大の注目と尊敬を集めないケースは、日本の女子柔道や女子レスリングに見られます。

しかし、そこには誰にでもわかる明らかに大きな理由があります。
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一方で、男子プロボクシングで起きた階級下克上は、単純な理由では説明できません。

リングの主人公がメキシカンを中心としたヒスパニックに移行していることは、米国の人口構成比が地殻変動を起こしていることである程度は説明がつきます。

しかし、階級下克上の震源地はどこにあったのでしょうか?

どうして、ウェルター級最強のアームストロングがフロイド・メイウェザーのようなマネーになれなかったのか?

カルロス・モンソンはなぜ、カネロ・アルバレスのようにプライベートジェットを買えなかったのか?

もちろん、アスリート報酬が急騰しているという背景はあります。

しかし、それは人口構成比と同様にあらゆるプロスポーツに当てはまることで、ボクシング限定の「階級下克上」とは別の話です。

ヘビー級が失速して、ウェルター級やミドル級がノシ上がった上昇気流の正体は何だったのか?

その反逆の気流はいつ起きたのか?

その容疑者を問い糺しながら、下克上の真犯人を追い詰めてゆきます。
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ウィルフレド・ゴメスはどうなのでしょう? 私は軽量級スパースターの認識を持っていましたが、彼もまた、世界のボクシングシーンの力学によってスルーされていた存在なのでしょうか? 

vsサラテ戦、vsサンチェス戦、vsピントール戦、いづれもリアタイ視聴の僥倖に恵まれましたが、いまYouTubedなどで当時の映像を見直しても、それは思い出補正などではなく、まごうことなきメガマッチに見えます。vsピントール戦はハーンズvsベニテスの前座でしたがね。 

まあ、メガマッチの定義にもよるのでしょう。ボクシングで動くお金の額は時を重ねるにつれて大きくなっていますが、人々の関心やプレゼンスに関しては、必ずしもお金の増大に比例していないと感じますね。
2020-08-31 14:25:51 返信編集 匿名 111.239.147.191


ボクシングの「ビッグネーム」や「メガファイト」に明確な定義など存在しません。

井上尚弥や井岡一翔、ノニト・ドネアらは米国ではコアなボクシングマニアがようやく認知する、一般のスポーツファンはおろかボクシングファンにすら「全く無名の存在」ですが、彼らを「ビッグネーム」と表現することは間違いではありません。

Many fight fans have never heard of Inoue.〜米国のボクシングファンの多くは井上の名前すらも聞いたことがない。

そして、多くの井上信者らが幻覚している「メガファイト」の定義は「ラスベガスやニューヨークの大会場でPPV50万件セールスをマーク、両者それぞれの報酬が1000万ドル越え」となるでしょうか。

これをクリアするには、フォーブス誌のThe World’s Highest-Paid Athletesで上位40位には食い込まなければ話にならないレベルです。

ボクサーではタイソン・フューリーが11位にランクイン。ファイトマネー5000万ドル+エンドースメント(スポンサー収入)700万ドル=5700万ドルを稼ぎました。

続いて、19位にアンソニー・ジョシュア。ファイトマネー3600万ドル+エンドースメント1100万ドル=4700万ドル。

デオンティ・ワイルダーがジョシュアに肉薄、20位。4600万ドル+50万ドル=4650万ドル。

メイウェザーの退場から北米ボクシング界の顔だったカネロ・アルバレスはパンデミックの影響から1試合はやり逃してしまい3500万ドル+200万ドル=3700万ドルの30位と伸び悩みました。

日本の大坂なおみは29位で、そのカネロをかわしました。メキシコと日本という経済格差、endorsementを考慮すると経済的インパクトにおいて、大坂はもちろん錦織圭もあらゆるボクサーを上回っていると言えるかもしれません。

さらに、欧米のスポーツファンの認知度で、フューリーやカネロは大阪と錦織の足元にも及ばないでしょう。さらに、バンタム級で戦う井上尚弥に至っては、同列で語るべきではない、もはや別の惑星の生き物です。

これは、ニッチスポーツ、ボクシングの中でも不人気階級で開催されたWBSSのような舞台の延長上にある世界ではありません。

ただ、フォーブス誌のThe World’s Highest-Paid Athletes 企画は1990年に始まっていることに注目すると、20世紀末にアスリートの報酬が大きな変革期を迎えたことも透けて見えてきます。

何度も書いているので簡単におさらいしますが、プロスポーツ選手の報酬は長らく「ゲート収入」によって決められていました。誤解を恐れずに言えば、ゲート収入は選手報酬と直結していました。

ラジオやテレビの時代を迎えて「放映権料」が大きな存在になり、選手に宣伝タレントとしての魅力が見出されると「スポンサー収入」が巨額になります。

報酬を決める最も大きな要素は「ゲート収入」(古代ローマ時代〜1950年代)➡︎「放映権料」(1950年代〜1990年代)➡︎「スポンサー収入」(1990年代〜)と変遷してきました。

そうです、1990年代からは「スポンサー料」こそがThe World’s Highest-Paid Athletesの上位に食い込むための最も重要な要素になっているのです。

もちろん、スポーツによって年代や構造は違います。ゴルフでは1990年以前から「スポンサー料」が選手報酬を大きく上回っていました。

一方で、ボクシングは特別な階級のほんの一握りの選手が「放映権料」の亜種といえるクローズド・サーキットやPPVで莫大な富を手にして、他のスポーツのトップを圧倒してきましたが「スポンサー料」はゼロに等しく〝スポンサー料〟時代に完全に乗り遅れています。

もし、スポンサー料を差し引いた選手報酬だけだと1位のロジャー・フェデラーはわずか630万ドルに過ぎないのです。$1億630万ドル(114億5900万円)のうちの1億ドルがスポンサー料という、ボクシングの世界では考えられない構成比です。

スポンサー収入の時代を迎えてもほとんど選手報酬だけで The World’s Highest-Paid Athletes の上位30位にランクされるフューリーら4人はまさしく特別な階級のほんの一握りのボクサーです。

あろうことか2015年にワンツーフィニッシュを飾ったメイパックに至っては、特別な階級なども超越した突然変異の二人だったと言えるでしょう。

ちなみにジュニアウェルター級以下のボクサーがこのランキングの100位以内に入ったことは過去一度もありません。
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大坂は女子アスリートの歴史で最も巨額の報酬を稼ぎました。

前置きが長くなりました。

スポーツとしてのステイタスが泥沼のジリ貧を辿り、スポンサー収入から見放されたボクシング。

しかし、時代を遡るとステイタスは上昇するわけです。そして、ボクサーが恩恵に浴せないスポンサー収入の存在感も希薄になります。

もし、フォーブス誌が20世紀初頭からThe World’s Highest-Paid Athletes を企画編集していたら…おそらく1970年代まではプロボクサーが上位を独占し続けていたでしょう。

1923年に2万3000人を収容したポログラウンズで行われたジミー・ワイルドvsパンチョ・ビラの世界タイトルマッチは、堂々のメガファイト、その報酬はメジャーリーグのタイトルホルダーを凌駕していたはずです。フライ級の試合だというのに、です。

1920年代のThe World’s Highest-Paid Athleteの記録はあるはずもないですが、ジャック・デンプシーで100%間違いありません。多くのメディアで「デンプシーの1試合のファイトマネーは大統領の年収を凌ぐ」と報じられ、当時のもう一人のアメリカンヒーローであったベーブ・ルースも「私の年俸はデンプシーと比べて低すぎる」と嘆いています。

もちろん、デンプシーやルースの時代はアスリートの報酬が大統領の年収を超えることがニュースになった時代です。

今では到底考えられません。総資産はともかく、大統領報酬と選手報酬の比較では、トランプよりもバンタム級の井上ですら上です。

The World’s Highest-Paid Athletes がスタートした、いわゆる〝ポスト1990年〟とは時代背景も、スポーツ興行の仕組みも全く違う時代です。

では…。米国でいつから軽量級のメガファイトが絶滅してしまったのでしょうか?

そして「パンチョ・ビラ」はもう二度と生き返ることはないのでしょうか?
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アジアから世界に向けて放たれた最初の矢は、【フィリピン発】でした。

フライ級史上最強の誉れ高いジミー・ワイルドを攻め落としたアジア人初の世界王者、フライ級のパンチョ・ビラ。 

そして、ヘンリー・アームストロングの大偉業・4階級制覇を阻んだ、やはりアジア初の世界ミドル級王者セフェリノ・ガルシア。

何ということか、彼らは最初から敵地に乗り込み、掠奪の限りを尽くすパックマンだったのです。
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母国に市場がない。

そのことが、少しでも豊かになるためには〝出稼ぎ〟に走らなければならない。

そんな事情が、フィリピンの逞しいボクサーの源流です。彼らは「アウェー」 に対する恐れも、被差別者であることへの卑屈も、微塵も持っていません。

「アウェー」なんて、そもそもが「ホーム」とセットの言葉です。 事実上「ホーム」がない彼らには「アウェー」もないのでしょう。
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パンチョ・ビラvsジミー・ワイルド(1923年6月18日)が行われたのはニューヨークはポログラウンズ。詰め掛けた観客は2万3000人と伝えられています。

フライ級の興行で2万3000人が集まったのです。
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前座はバンタム級とフェザー級の試合ですから、HBOの「スーパーフライ」みたいなものですが、注目度は桁違いだったのでしょう。

もちろんヘビー級のタイトルマッチとは比較にならなかったでしょうが、世界王者の希少価値が確かに存在していた時代です。

そして、セフェリノ・ガルシアはアームストロングのウェルター級タイトルに挑戦した1938年には敗れたものの、2年後にミドル級王者として迎えた再戦ではドロー防衛。
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ガルシアが薄氷でつかんだ防衛戦が行われたのも巨大スタジアム、キルモア・スタジアムでした。

アジアの第一風は、フィリピンの出稼ぎ魂によって米国に届けられたのでした。
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日本にとって最も眩しいスポーツ市場は、米国です。

競技レベルと選手報酬の両面で文句無しのトップリーグが存在する野球やバスケはもちろん、地球儀的なスポーツであるはずのボクシングでもそれは変わりません。

NPBで大きな成功を収めた選手は、MLBを目指します。アスリートが希求するのはやりがいのある舞台と名誉と報酬、その全てが用意されているのですから当然です。

ボクシングにおいては近年、長谷川穂積や西岡利晃、内山高志、山中慎介、井上尚弥ら「大きな成功を収めたボクサー」が〝ラスベガス〟でビッグファイトを戦う夢に焦がれましたが、階級制のスポーツであるボクシングは事情が異なってきます。

悲しいかな、米国で注目度が低い軽量級、特にジュニアフェザー以下のクラスではPPVのメガファイトでメインを張ることは論外、大会場でメインもありえません。

The lighter weight divisions don't get the attention of the bigger weight classes, so there are a few worthy candidates to get this tag of 〝most underrated current champion 〟.Many fight fans have never heard of Inoue.〜軽量級はそもそも注目されていないのだから「最も過小評価されている王者」というタグはそもそも意味をなさない。米国のボクシングファンの多くは井上の名前すらも聞いたことがないのだ。

米国では軽量級扱いのジュニアライトは、オスカー・デラホーヤやフロイド・メイウェザーがキャリアをスタートし、マニー・パッキャオが通過したクラスとはいえ、彼らですらジュニアライトではメガファイトのリングを創造することが出来ませんでした。

ワシル・ロマチェンコが「ジュニアウェルターやウェルターはもちろん、現在のライトでも私には重い」と吐露したとき、メディアやファンから「それじゃメガファイトは無理」と冷められたように「ライト級でも軽すぎる」というのが米国の現実です。

体格的にも、減量の文化・歴史的にも日本をはじめアジアのボクシングは米国で関心が低い軽量級が主流で、ラスベガスのメガファイトの大前提であるウェルターかヘビー級という枠から遠く離れてしまっているのです。

村田諒太があれほどの好待遇でプロに迎えられたのは五輪で金メダリストになったからですが、正確に言うと「ミドル級で五輪金メダルを獲得したから」です。あれがフライ、バンタムならあそこまで注目されません。

しかし、少なくともオリジナル8の時代は現代ほどの「階級格差」は存在しなかったはずです。

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1954年2月18日時点の世界王者。ヘビー級からロッキー・マルシアノ、アーチー・ムーア、カール〝ボボ〟オルソン、キッド・ギャビラン、ジミー・カーター、サンディ・サドラー、ジミー・カラザース、そして白井義男。もちろん全員がUndisputed ChampionでLineal Champion、文句無しのThe Championです。


今よりもボクシングの地位が高く、世界王者は8人しかいないわけですから、ボクシングファンならその8人全員の名前を知っていたはずです。

そんなオリジナル8の時代から、現代の〝少なくとも〟4団体*17階級=68王者時代にかけて、アジアから米国と世界に向けて吹いた風を振り返ります。
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new! フューリーvsワイルダーだけを見て体重差が全てと言い出すのは明らかな間違いです 
事実として、ワイルダーの対戦相手の中にはフューリーの体重を超えるボクサーも居た筈ですが、そういう重量級ボクサーもワイルダーは問題なくKOしています 

というか、現時点で既にクルーザー級が人気の無い隙間階級と化しているのに、更に間に階級を挟んでどうするのでしょう?グダグダになる未来しか見えません 

いや、そもそもヤードポンド法がウザったいですね・・・ 
クルーザー級を人間の境界、才能が無ければ越えられない壁と言われる100キロで区切れば良いんじゃないかと
 
2020-08-30 02:06:24 返信編集 暇つぶしの名無しさん 126.179.34.210

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このイラストで例えると、一番右側のヘビー級の巨大化がもはや許容範囲を超えているということ、それに反して超軽量級では意味のない階級細分化が進みすぎている。ーーそれが欧米の意見です。


「ヘビー級の大型化」は少なくとも1915年にジャック・ジョンソン(身長184㎝/リーチ188㎝/体重93.2㎏)がジェス・ウィラード(199㎝/211㎝/104.3㎏)に倒された頃から指摘されていました。

その後、ウィラードを粉砕したジャック・デンプシー(185㎝/189㎝/84.8㎏)や、50年代を席巻したロッキー・マルシアノ(179㎝/173㎝/83.5㎏)ら〝クルーザー級未満〟の世界王者が出現していますが、フロイド・パターソン(183㎝/180㎝/86.1㎏)がソニー・リストン(185㎝/213㎝/96.6㎏)にノックアウトされタイトルを奪われた1962年を最後に〝クルーザー級未満〟のまともな世界ヘビー級王者は、出現していません。

2003年のジョン・ルイス一点狙い1試合限定のロイ・ジョーンズJr.(87.5㎏)をまともな世界ヘビー級王者と考えるなら、2003年が最も最近となりますが…。

デオンティ・ワイルダー(201㎝/211㎝/99.3㎞)は2メートル超えの大巨人で、タイソン・フューリーとの再戦では104.8㎏で秤に乗りましたが、フューリー(273ポンド=123.8㎏)との差は甚大でした。

※スペックはいずれもタイトル奪取時。

「どんなに優れたライトヘビー級でもヘビー級王者にはなれない」。この有名なジンクスが破られるには、1985年にマイケル・スピンクスがラリー・ホームズを破るまで待たねばなりませんでした。

ヘビー級、すなわち無差別級は「17の階級で最も重い階級」ではなく「自分で自由に体重をデザインできる世界」という見方は確かにできます。
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アントニオ・マルガリート戦の前日計量で、秤に乗ったマニー・パッキャオ。151ポンドのキャッチウェイトでしたが、秤の針が示したのは144。154のジュニアミドル級から10ポンドも軽い目盛りでした。

ウェルター級のリミットも大きく下回る144ポンド=65.3㎏で、ジュニアミドル級154ポンド=65.9㎏のタイトルマッチで圧勝したマニー・パッキャオや、「140ポンドがベスト」と本人も自覚しながらウェルターやジュニアミドルでマネーを追求し続けたフロイド・メイウェザーは非ヘビー級でありながら「自分で自由に体重をデザインする」非凡なボクサーです。

しかし、彼らは変態で非常識な存在です。

階級制は、常識の枠組みの中から生まれたルールですから、当然常識的に考えるべきです。

190ポンド=86.2㎏で新設され、その後200ポンド=90.7㎏に引き上げられたクルーザー級は、ヘビー級の大型化に追いつけないサイズのボクサーが活躍する場所を創るという意味では、オリジナル8から水増しされた9つの「水増し階級」の中で最も納得出来るものでした。

そして、ヘビー級大型化の議論は今なお続き、WBCが「具体的に検討している」と公表した〝225〟ポンド級。

8月30日現在の競技人口を見てもクルーザー級は1211人、ヘビー級は1355人を数え、合計2566人。

105ポンドのストロー級(260人)からジュニアフライ(458人)、フライ(722人)、ジュニアバンタム(794人)、118ポンドのバンタム(1028人)の超軽量級は5階級にも細分化されているにもかかわらず3262人の競技人口にとどまっています。

「この5階級をフライとバンタムの2階級に集約すべき」「超軽量級でいたずらに3階級制覇や4階級制覇が続出している理由は明らか」という欧米ファンの意見に全面的に賛成は出来かねますが、その言い分は理解できます。

ワイルダーは世界王者になる前に352.5ポンド=159.9㎏のリチャード・グリーネJr.を、王者になってからも250ポンド=113.4㎏を超えるバーメイン・スティバーンやドミニク・ブルージールをKOしているから「ヘビー級とクルーザー級の間に体重問題は存在しない」というのは全く論点がずれた見方です。

また、競技人口こそクルーザー級はバンタム級の1.2倍に過ぎないとはいえ、選手報酬は5倍ではきかないでしょう。欧米での注目度という点でも比較になりません。

クルーザー級、200ポンド=90.7㎏は作れない「210=95.3㎏〜220ポンド=102㎏」で最高のパフォーマンスを発揮出来るボクサーの活躍の場を創る意味は、ボクサーの安全面を考えても十分にあります。

クルーザー級の誕生時と同様に「WBCの225ポンド構想」が、ESPNなど多くのメディアで肯定的な意見が多く見られることからも、他の水増し階級とは事情が違うことが窺えます。

「3ポンド=1.36㎏刻み(ジュニアフライ112〜フライ112は4ポンド差)の超軽量級で水増しクラスを廃級すべき」というのは、この5階級で偉大なボクサーが素晴らしいパフォーマンスを見せ続けていることを知らない欧米目線の意見とはいえ、日本のボクシングファンからしたら耳が痛い指摘です。

「17階級は多すぎる」というのは世界の共通意見でしょう。そして〝スーパークルーザー級〟の誕生で18階級に増殖することは、確かに「グダグダになる未来しか見えません 」

それなら、明らかに不条理に細分化された超軽量級5クラスを2階級に統合することで15階級に〝前進する〟という見方の方が、「スーパークルーザーなんて要らない」という拒否反応よりも理屈は揃っています。

承認団体が廃級を実施するわけがなく、WBCが〝スーパークルーザー級〟の新設を決定したなら、間違いなく他の団体も続き、18階級時代が幕を明けるでしょう。

当たり前ですが、現行17階級で唯一大型化するのがヘビー級ですから、ここを起点として「時代に合わせた新設階級を作るべき。問題は同級王座の乱立」という姿勢はWBCにしては真っ当です。

そして、遠くない将来、クルーザーとスーパークルーザー、ライトヘビーとクルーザーの間に横たわる全階級通じて最も大きな25ポンド=11.3㎏の溝を埋める「ジュニアスーパークルーザー級」や「スーパーライトヘビー級」の創設で、スライマン3世の時代にはめでたくキリの良い20階級時代を迎えているかもしれません。 

現在よりもさらにグダグダの未来がもうすぐやって来そうです。 
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1937年10月から1938年8月。わずか10ヶ月の時間で、ヘンリー・アームストロングはフェザー、ウェルター、ライトの順で3階級制覇を成し遂げる大偉業をやってのけました。

その動機は「ヘビー級が動くが如くボクシングは動く」と言われたヘビー級絶対時代への反抗と嫉妬 。

オリジナル8の時代。世界チャンピオンが世界に8人しか存在しなかった時代。

確かに、ヘビー級だけが別格でしたが、ジミー・ワイルドやパンチョ・ビラ、パナマ・アル・ブラウンらフライ級やバンタム級の王者にも現代にはない尊敬と十分な報酬が与えられていました。

誤解を恐れずにいうと、当時はヘビー級だけが別格で、残りの階級には現在ほどの格差はありませんでした。

確かに、ヘビー級は特別なクラスです。

20世紀に入ってからのディケイドを切り取っても1910年代:ジャック・ジョンソン、1920年代:ジャック・デンプシー、1930−40年代:ジョー・ルイス、 1950年代:ロッキー・マルシアノ、1960−1970年代:モハメド・アリ…極東の島国のボクシングファンでも時代を代表してきたヘビー級王者は当たり前に覚えています。

他のクラスでこんなことはありえません。

そう、それは1970年代のアリの時代までは絶対不変の常識でした。

逆にいうと、1980年代に入るとヘビー級は別格ではなくなるのです。
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シュガー・レイ・レナードとボブ・アラムという、リングの内外で傑出した才能が結託、時を同じくして米国ボクシング市場で進行する凋落が、ヘビー級が絶対だったはずのボクシング界の地殻に大変動をもたらします。

米国アマチュアボクシングが最も燃え上がったモントリオール1976の金メダリストと、良い意味でも悪い意味でもプロモーターの鑑のような怪人の刹那のランデブーが、現代に続くウェルターとミドルを中核とした中量級時代をあっという間に作り上げたのでした。

あのときと同じようなことが、起きないか?

軽量級のメキシカンが五輪か世界選手権で金メダルを獲って国民的英雄に、そしてプロ転向ーーそんなことがあれば…〝ウェルター〟で起きた同じ現象が、フライ級やバンタム級でも起こるのではないか…?

アブネル・マレスやレオ・サンタクルスにもっと「箔」があれば、バンタムでも100万ドルかそれ以上のビッグファイトが実現していたのではないか?

そんな箔のついたメキシカンの台頭と、日本の才能がオーバーラップしたら? 

井上尚弥は残念ながらタイムアウトでしょう。

では、近未来にその可能性はあるのか?

メキシコの「箔」と、日本の「才能」を探してみましょう。 
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WBCが「クルーザー級とヘビー級の間に新しい階級を創設する検証を進めている」と発表しました。

プロボクシング18番目の階級はクルーザー級のリミット200ポンド:90.7㎏から、上限225ポンド:102.1㎏ に設定される模様です。
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ヘビー級の大型化からクルーザー級が作られたのは1979年、やはりWBCによってでした。

あれから41年、この間にもヘビー級の大型化は進み、タイソン・フューリーは250ポンド:113㎏を優に超えて秤に乗ります。

「220ポンド:99.8㎏前後のデオンティ・ワイルダーのような〝軽量〟タイプとの差は無視できないほど大きい」というのは、正論です。

フューリーvsワイルダーの初戦は256.5ポンド(116.3㎏)vs 212.5ポンド(96.4㎏)で、その差は19.9㎏。再戦でも273ポンド(123.8㎏)vs 231ポンド(104.7㎏)で19.1㎏の〝ハンディキャップマッチ〟でした。

ヘビー級以外の階級、特に軽量級ではリバウンドのアドバンテージが問題視されていますが、当たり前ながらヘビー級は無法地帯なんです。

「ボクシングで保護されるのは200ポンドまで。それ超えたら文句は言うな」なんて法律はありません。

もちろん、バンタム級でもヘビー級で戦いたいならやりゃいいんです。パッキャオのように144ポンドで、151ポンドのマルガリートを切り刻んでも構いません。

246のバスター・ダスラスを斬り落とし、257のジョージ・フォアマンに競り勝った208のイベンダー・ホリフィールドは偉大です。

ただ、それは個人の自由、自己責任です。

220ポンド前後がベストのボクサーにとってクルーザー級はあまりにも軽く、ヘビー級で戦うにはあまりにも過酷です。現状、彼らには安住のクラスはありません。

「クルーザー級でもタイトルを獲って史上初のヘビー級王者の2階級制覇」ワイルダーも含めた〝彷徨える重量級〟ボクサーたちが、現代のヘビー級で戦うのはあまりにも危険です。


「ボクシングで保護されるのは200ポンドまで。それ超えたら文句は言うな」なんて法律はありませんが…個人的にはそう思います。それは、無差別級への尊敬でもあります。

しかし、階級制のスポーツである限り、やはり真面目に向き合うしかありません。

「ライトヘビー級とクルーザー級の上限を引き上げれば、いたずらに階級を増やさずに済む」という意見もありますが、これには反対です。それこそ、階級制の伝統への冒涜です。

あるいは「(欧米で)ほとんど関心が払われないストロー(105)からジュニアフェザー(122)の間にはわずか17ポンド差しかない。これをまとめて一つか二つの階級にしらた良い」「超軽量級はフライ、バンタムの2階級で十分」という体重差の大きい重量級で新設階級を作って、需要の無い軽量級ではクラス大幅削減という案もあります。
軽量級の人気が低いのは欧米だけの話です。しかし、ヘビー級で進行している体重格差の不条理を考えると、軽量級のクラスは細分化しすぎなのは明らかです。

まあ、…日本のボクシングファンとしては複雑な心境です。
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「井上はもう日本では見れなくなる」「井上が世界でどれほど注目されているのかを日本がよく理解していない」「ラスベガスでスーパースターになる」…。

信者がこんな素っ頓狂な誤解をしてしまうのは、無知蒙昧が原因です。無知蒙昧なら普通は事実を知ろうとするはずですが、なぜか根拠も何もない勝手な思い込みと幻覚に嵌っていくのです。

まあ、だから「信者」なのですが。
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The lighter weight divisions don't get the attention of the bigger weight classes, so there are a few worthy candidates to get this tag of 〝most underrated current champion 〟.軽量級はそもそも注目されていないのだから「最も過小評価されている王者」というタグは意味をなさない。

最近のESPN の記事からです。

「最も過小評価されてる王者」というテーマで、スティーブ・キムが田中恒成をあげたのに対して、ニック・パーキンソンが「軽量級そのものが無視されてるのに、そこの王者が過小評価されてるというのは思考の順番がおかしい」と、このテーマで軽量級の王者を出すのは間違ってると指摘したものです。

ここでいう軽量級はジュニアフェザー以下の、米国で特に関心が薄いクラスを指しています。

過小評価=人気と考えると、もっとわかりやすくなります。

人気のない軽量級で最も人気のない王者は誰?…確かに、おかしな文脈です。そもそも、全員人気がないのに、何を聞いてるんだということです。

これは最近の記事ですが、欧米では軽量級の悲哀と不遇に同情的な記事はよく見かけます。

それを普通に理解していれば、幻覚症状が激しい井上信者にならないはずですが…。


信者が幻覚症状から脱するためには…。

①軽量級と人気階級ではソフトボールと野球ほど人気や報酬に差がある(実際はそれ以上)。

②米国では軽量級の外国人には全く興味が向けられない。

③PFPは人気とは一切関係がない。

④PFPとPPVは字面はよく似てるが一切関係がない。

⑤軽量級はPPVメインとは一切関係がない。

⑥PPVは年に数試合しかない非常にレアなスタイルで、ウェルターやヘビーなどの一部の人気階級の超人気選手限定。

⑦軽量級はロマゴンやドネアですら全く人気がない。

⑧トップランクが井上と契約したのは米国で売れると見込んだからではない。

⑨トップランクが井上と契約したのはさいたまスーパーアリーナを見たから。

⑩「日本人は米国とラスベガスに強烈な憧れを抱いているから日本のテレビやスポンサーが高額の資金を出し、ハイローラー2000〜2500人が駆けつける、というアラムの言葉には軽い怒りと嫌悪を感じるべき。

ーーーという、勝手な妄想や幻覚ではない事実をまず踏まえることです。


では、「軽量級」「外国人」という重い十字架を背負って米国に上陸しながら、バンタムよりはマシとはいえブレークしたのはフェザー級、そこからわずか5年でスターダムの頂点にノシ上がったマニー・パッキャオとは何だったのか?

彼にだけ、何が起きたのか?

その信じられない幸運と、巡り合わせの奇跡、驚愕の実力を《べ》で振り返ります。
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米国東西海岸部の大都市でメガファイトを繰り広げるーー。

最近だとヘビー級のタイソン・フューリーやアンソニー・ジョシュア、デオンティ・ワイルダー。ウェルター級のマニー・パッキャオやエロール・スペンスJr.、マイキー・ガルシアらPPV興行で大きな数字を残しています。

もちろん、DAZNと超大型契約を結び「1000万ドル単位の報酬を稼ぐ」カネロ・アルバレスもメガファイトの主役です。
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このメガファイトの舞台では、軽量級は完全に蚊帳の外です。歴史的にも軽量級ボクサーが1000万ドル以上を稼いだことは一度もありません。

しかし、バンタム級の井上尚弥が「パッキャオが見た風景」と憧憬するのは、おそらくこの舞台です。

彼は、そこに辿り着くには「最低でもフェザー」と口にもしています。

「最低でもフェザー」は、アントニオ・マルコ・バレラとの決戦でフェザー級にもかかわらずPPVイベントのリングにメインで上がり、軽量級史上最高の850万ドルの報酬を獲得したナジーム・ハメドを意識してのことでしょう。

ただ、現実的にはハメドですらPPVはこの1試合だけ、しかもイエメンやサウジアラビアがHBOに巨額の放映権料を支払った〝マッチポンプ〟でした。

ハメドがニューヨークとラスベガスの大会場のリングに上がったのは、たった2試合でした。

これをもって「最低でもフェザー」というには、あまりにも心細すぎます。

トップランクと業務提携するESPNに、ハメドのアラブマネーに匹敵する5000万ドルレベルの放映権料を支払えば、彼らはハメドのときのように喜んでプロモーショナルビデオを制作したり、全米宣伝ツアーも企画するでしょうが、いくら日本が富裕国といっても回収の見込みゼロで5000万ドル投資はありえません。

巨額の投資で成立したハメドというメガファイターですら、バレラという超ビッグネームとの対戦でやっとPPVと850万ドルを手に入れることができたのです。

しかも現状では、井上の周辺階級で名前のあるメキシカンはファン・フランシスコ・エストラーダかレイ・バルガス、エマヌエル・ナバレッテという絶望的なまでの貧弱さです。

「フェザー級はビッグネームが少なく報酬が低い」とレオ・サンタクルスやオスカル・バルガス、カール・フランプトン、アブネル・マレスがジャンプしたジュニアライト級ですら、歴史的にPPVスターと呼べるのはマニー・パッキャオとエリック・モラレスだけです。

そして、ライト級になってようやくワシル・ロマチェンコやテオフィモ・ロペスら、安定した100万ドルファイターが現れてきます。

ライト級では11月に予定されている「レオ・サンタクルスvsガーボンタ・デービス」(サンタクルスのジュニアライト級タイトルもステイク)がPPVで予定されていますが、これもゲート収入が期待できないコロナ下で集金する苦肉の策で、PPVデビューの彼らが大きな人気を持っているわけではありません。

「最低でもフェザー」は、奇跡的な巡り合わせでビッグネームと戦うチャンスをモノにするしかありえません。

それでも「とりあえずライト」とは言えるかもしれません。メガファイトの足がかりは「とりあえずライト、話はそれから」ということです。

とはいえ、ライト級の実力No.1と見られるロマチェンコでもラスベガスやニューヨークの大会場でメインを張ったのはマディソン・スクエア・ガーデンの1試合だけ(ホルヘ・リナレス戦)。それも、チケット販売が芳しくなく、中上階席を封鎖する有様でした。

ロマチェンコは他の試合でもMSGのシアターでメインを張っていますが、あそこは5000人キャパ。ここでの「大会場」の定義にはとてもあてはまりません。

ロマチェンコは「とりあえずのライト級」で「外国人」。

外国人がメガファイトを戦うには、ウェルター級に乗り込んで大暴れするしかありませんが、ロマチェンコは「ジュニアウェルターでも重すぎる。ジュニアライトに戻ることも考えている」ということですから「パッキャオの風景」を拝むことは一生ないでしょう。

27歳の井上にしても「バンタム級の完全統一」が最優先で、そのあとジュニアフェザー進出を見通している模様ですから「パッキャオの風景」を見るには、完全にタイムアウトです。

このまま、Many fight fans have never heard of Inoue.〜ESPN~米国のボクシングファンの多くは井上の名前も聞いたことがない、という状況のまま終わるのでしょう。

井上は、すでに米国で1試合戦っています。しかもHBOの全米生中継の番組枠で。

それでも、いまもって全く無名のままなのは「軽量級」の「外国人」という重い十字架を背負っているからに他なりません。

どこの国でも異邦人は人気面でハンデを背負います。そして米国の場合、軽量級への興味はありません。彼らにとって軽量級とは文字どおりライト級まで、それ以下は超軽量級の世界、興味関心の届きようのない暗い海の底です。



「外国人」であることは、今更どうすることもできません。

出来るとしたら「軽量級」の十字架を叩き捨てることしかありません。

そうです、憧れのパッキャオがやってのけたように。 
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