日本時間10月31日、ネバダ州ラスベガスはMGMグランド・カンファレンスセンターに特設された完全防疫のThe Bubble でゴングが打ち鳴らされる、井上尚弥vsジェイソン・マロニー

井上が保持するバンタム級のリング誌とIBF、WBAのストラップが賭けられた団体統一戦です。

試合まであと40日と迫った現在でも、残念ながらどのカジノ、どのブッカーもオッズを立ち上げていない欧米では完全無視された世界戦ですが、日本のボクシングファンは違います。

一年近く待たされたエースの試合、バンタム級完全統一に向けて絶対に躓くことは許されません。
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オッズは出てい無いとはいえ、ノニト・ドネア戦で露呈した防御面での欠陥から一方的な賭け率にはなら無いでしょう。

参考までに、対戦が消滅した井上vsジョンリール・カシメロのオッズはウィリアム・ヒルで井上1/6(1.17倍)、カシメロ7/2(4.5倍)。

ドネア戦では井上1/10(1.1倍)、ドネア11/2(6.5倍)でしたから「カシメロはドネアよりも強い」「ドネア戦で井上の評価に疑問符」、その両方が掛け率に現れました。

ちなみにテテ戦でのカシメロは12/5(3.4倍) テテが4/11(1.36倍)。

井上はPFPではランクアップしたものの、この流れを含むとマロニー戦はかなり接近したオッズになる模様です。そして、戦前予想もドネア戦のように一方的ではないでしょう。

さて、このモンロー。オージーらしいタフネスを、河野公平とエマヌエル・ロドリゲスとの戦いで証明しました。世界レベルの相手とは、井上が圧倒したこの二人とだけで、それを考えると苦戦する相手とは思えません。

しかし、直近7月25日のレオナルド・バエス戦を見ると、かなり進化してるようにも見えます。

身長・リーチともに10㎝上回るバエスはフェザー級を主戦場に戦いながら、北米ジュニアフェザー級のタイトリスト。

マロニーがスピードとテクニックでバエスをコントロール、棄権に追い込んだ試合は結果と7回までのスコアカードから受ける楽勝ではありませんでした。

しかし、出入りの速さに旺盛なスタミナで大きな相手を追い込んでいくスタイルは、井上が言うように「一番面倒くさいタイプ」です。

テレビ画面からは21勝18KO(1敗)という、軽量級離れしたパワーは感じることはできませんが、バエスが「とにかくパンチが強かった」とコメントしたのが意外でした。

井上のパンチも受けている河野が「キャリア最強」とマロニーの強打を高く評価しているのも気になります。

見た目では一発のパンチはないように見えますが、受け手からすると「これはヤバい」と引き気味になることでまともな被弾を防いでいるうちに徐々に削られていく…そんな過小評価される種類のパンチャーかもしれません。

いずれにしても、ラフではあっても重いバエスをコントロールして最後はギブアップさせたことから、井上の最大のアドバンテージである「リバウンド」は大きな効果をあげられないかもしれません。

そして、最近のトレーニング風景で井上の表情を見ても右目が元通りになったかどうかは疑問です。

「ドネア戦は期待されていたパフォーマンスが見せれなかった。マロニー相手ではグズグズした試合はできない」という意気込みが、裏目に出なければいいのですが…。