◉ガーボンタ・デービスvsレオ・サンタクルス◉
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10月24日、コネティカット州アンキャスビルはモヒカン・カジノで予定されている試合は、Show timeがPPVで生中継。

この会場は、チャーロ兄弟のShow time*PPV も先立って開催、カジノのアリーナですからある程度の観客を入れる算段かもしれません。

軽量級メイン(といってもこの非常事態下、現時点ではこの試合しかセットされていません)でShow timeがPPVを手掛けるのは史上初です。

もちろん、デービスとサンタクルスにとってもキャリア初のPPV。

ゲート収入が期待できない、すなわちカジノにとって招致フィーを支払うメリットがない現状ではPPVは最もわかりやすいビジネススタイルです。

報酬が伸び悩んでも「人気のないお前が悪い」と言えますから。1件単価や販売件数目標などはまだ明らかにされていませんが、この二人なら200万ドルは分け合いたいところです。

いろんな意味で奇妙な試合です。

まずは、もちろんWBAの二つの階級が同時にステイクされるという奇妙。

デービスのライト級セカンドタイトルと、サンタクルスのジュニアライトが懸かります。さすがWBAです。

しかし〝本家〟のWBCが黙ってるわけがありません。マウリシオはきっと「倍返しだ!」と闘志を燃やしているはずです。

歴史上1試合で3つのタイトルが懸けられた前例はありませんから、これからは承認団体の〝複数階級制覇〟争いにも注目です。 

そして、キャッチウェイトは何ポンドに落ち着くのでしょうか?

「1試合で2階級」 のパイオニアは「シュガー・レイ・レナードvsドニー・ラロンデ」のスーパーミドル&ライトヘビーのWBC決戦(1988年11月7日)でしたが、あのメガファイトはどちらが悪者かはっきりしていました。

今回のデービスvsサンタクルス、これはどっちがAサイドになるんでしょうか? 

アブネル・マレスにカール・フランプトンとどっちがAかわからないビッグファイトを経験してきたサンタクルスは、今回もスターパワーで互角の相手と戦うことになりました。
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そして、体格でも奇妙なパラドックスが浮かび上がっています。

ライト級でも体重管理が不安定な身長166㎝/リーチ171㎝のデービスに対して、ジュニアバンタム級からプロキャリアをスタートしたサンタクルスは171㎝/175㎝。

25歳のズングリと、32歳のノッポが拳を交える奇妙な激突は、ワンサイドゲームの予感も孕んでいますが、どうなることやら?

さらにオッズも奇妙です。2/7(1.29倍)と5/2(3.5倍)と、意外なまでに奇妙な拮抗を見せているのです。

ウーゴ・ルイスのような処刑的惨敗はないかもしれませんが、32歳のサンタクルスが初めてストップされる可能性も十分あります。


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それにしても、1週間後にラスベガスで行われる井上尚弥vsジェイソン・マロニーのオッズは例によって例のごとく、出遅れています。

11月、12月の注目試合のオッズはほぼ出揃ってるというのに…。もちろん、井上vsマロニーよりも早々に発表されたノルディーヌ・ウバーリvsノニト・ドネアのオッズもどこを探しても見当たりません。

本当のビッグネームは、対戦の噂が立っただけでも数時間後にポテンシャルオッズが立ち上ります。

メイウェザーやパッキャオ、アンソニー・ジョシュアらは試合が決まってないにもかかわらず、いろんな相手とのオッズが開かれています。

一方で、正式決定がアナウンスされても井上ら日本人の世界戦のオッズは、試合前1ヶ月あたりで渋々出てくるのはいつものことです。

欧米での報道量の圧倒的少なさはもちろん、こういうオッズの鈍重な立ち上がりからも「井上は米国のボクシングファンは名前も聞いたことがないほどに無名」(ESPN)という事実がはっきり裏付けられています。

まあ、わかってたこととはいえ、悔しいです。

わざわざ、商売抜きでラスベガスまで乗り込もうとしてるのに。

でも、これが、外国人、しかもバンタム級の悲哀です。 

目にモノ見せてやる!といきりたっても…そもそもやつらは見てない、興味がないから始末に負えない…。 

やつらが「目にモノ見せられた」と賞賛するのは、パッキャオ的なサプライズです。軽量級でも超ビッグネームを完膚なきまでに叩きのめす、やつらが興味のあるウェルター級のスター選手をリングの中で追いかけ回して圧勝する…。

悲しいかな、今の軽量級に超の付くビッグネームは一人も見当たらず、井上は「エマヌエル・ナバレッテとは縁がなかった」とジュニアフェザー級進出ですら逡巡している有様です。

井上に「ウェルターで戦え」というのは酷です、ありえません。ライトですらも可哀想です。

そう考えると、米国のボクシングファンの身勝手と冷たさが身に沁みます。

オレクサンダー・ウシクが「後楽園ホールで戦うのが夢だった」と商売抜きで来日してくれたら、日本のボクシングファンなら「ウシク?よく知らなかったけどPFPファイターが親日家なんて悪い気はしないぞ」と大歓迎するでしょう。 

地上波が生中継するとは思えませんが…意外と一般ニュースで取り上げられて、そこそこ関心集めそうですが…。