WBCが「クルーザー級とヘビー級の間に新しい階級を創設する検証を進めている」と発表しました。

プロボクシング18番目の階級はクルーザー級のリミット200ポンド:90.7㎏から、上限225ポンド:102.1㎏ に設定される模様です。
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ヘビー級の大型化からクルーザー級が作られたのは1979年、やはりWBCによってでした。

あれから41年、この間にもヘビー級の大型化は進み、タイソン・フューリーは250ポンド:113㎏を優に超えて秤に乗ります。

「220ポンド:99.8㎏前後のデオンティ・ワイルダーのような〝軽量〟タイプとの差は無視できないほど大きい」というのは、正論です。

フューリーvsワイルダーの初戦は256.5ポンド(116.3㎏)vs 212.5ポンド(96.4㎏)で、その差は19.9㎏。再戦でも273ポンド(123.8㎏)vs 231ポンド(104.7㎏)で19.1㎏の〝ハンディキャップマッチ〟でした。

ヘビー級以外の階級、特に軽量級ではリバウンドのアドバンテージが問題視されていますが、当たり前ながらヘビー級は無法地帯なんです。

「ボクシングで保護されるのは200ポンドまで。それ超えたら文句は言うな」なんて法律はありません。

もちろん、バンタム級でもヘビー級で戦いたいならやりゃいいんです。パッキャオのように144ポンドで、151ポンドのマルガリートを切り刻んでも構いません。

246のバスター・ダスラスを斬り落とし、257のジョージ・フォアマンに競り勝った208のイベンダー・ホリフィールドは偉大です。

ただ、それは個人の自由、自己責任です。

220ポンド前後がベストのボクサーにとってクルーザー級はあまりにも軽く、ヘビー級で戦うにはあまりにも過酷です。現状、彼らには安住のクラスはありません。

「クルーザー級でもタイトルを獲って史上初のヘビー級王者の2階級制覇」ワイルダーも含めた〝彷徨える重量級〟ボクサーたちが、現代のヘビー級で戦うのはあまりにも危険です。


「ボクシングで保護されるのは200ポンドまで。それ超えたら文句は言うな」なんて法律はありませんが…個人的にはそう思います。それは、無差別級への尊敬でもあります。

しかし、階級制のスポーツである限り、やはり真面目に向き合うしかありません。

「ライトヘビー級とクルーザー級の上限を引き上げれば、いたずらに階級を増やさずに済む」という意見もありますが、これには反対です。それこそ、階級制の伝統への冒涜です。

あるいは「(欧米で)ほとんど関心が払われないストロー(105)からジュニアフェザー(122)の間にはわずか17ポンド差しかない。これをまとめて一つか二つの階級にしらた良い」「超軽量級はフライ、バンタムの2階級で十分」という体重差の大きい重量級で新設階級を作って、需要の無い軽量級ではクラス大幅削減という案もあります。
軽量級の人気が低いのは欧米だけの話です。しかし、ヘビー級で進行している体重格差の不条理を考えると、軽量級のクラスは細分化しすぎなのは明らかです。

まあ、…日本のボクシングファンとしては複雑な心境です。